表紙 第27回 視覚障害リハビリテーション研究発表大会抄録集 会期:2018年9月14日(金)~16日(日) 会場:神戸国際会議場 5階 会議室 501 神戸国際展示場 2号館 1階 神戸アイセンター Vision Park 主催:視覚障害リハビリテーション協会 主管:第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会  大会テーマ 発見 そして 自立 ~ 視覚リハの新時代へ ~  テキスト化凡例 ・目次についてはページを外して、頭に数字をつけております。 ・検索するときは目次の数字で検索してください。 ・アクセス等のイラスト等は外して編集をし、一部ワード版と異なります。 目次 1 大会長挨拶 2 会場アクセス 省いております 3 会場案内図 省いております 4 参加者へのご案内 5 抄録作成支援について 6 発表者へのご案内 7 神戸アイセンター内 ビジョンパーク見学について 8 大会プログラム 9 神戸国際展示場ロビーイベント情報 10 協会主催企画 11 口頭発表 12 特別プログラム 13 ランチョンセミナー 14 市民公開講座 15 ポスター発表 16 スマートサイトサミット 17 得する寺子屋 18 機器展示 19 「視覚リハビリテーション研究」論文募集要項 20 後援・協賛・協力一覧 21 第28回大会案内 22 実行委員一覧 1 大会長挨拶 第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会開会のご挨拶 第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会大会長  髙橋 政代 視覚リハビリテーション研究発表大会を神戸で開催することができ大変嬉しく思っております。昨年12月に開設した神戸アイセンターでは研究、病院とロービジョンケア、福祉をつなぐ機能を持つことが大きな柱となっており、この大会と目指すところが同じです。これからの10年は大きな変革の時代だと言われていて、世界であらゆることが大きく変わっていきます。皆様にアイセンターのこともご紹介したいですし、新しい技術や治療研究がどのように視覚リハビリテーションと関わってくるかが感じられるようであればよいなと思います。 近い将来人工知能(AI)などの発達により医療も大きく変わります。今後医療は病院から開放される方向にあり、疾患だけではなく人々の生活まで考えるものになる必要があります。眼科とロービジョンケア、福祉はいずれ融合されるべきもの、その端緒となる大会になるように願っております。 2 会場アクセス 省いております 3 会場案内図 省いております   4 参加者へのご案内 1.受付 ・事前登録 当日、受付の必要はありません。名札を忘れた方は総合受付へお申し出ください。 ・当日登録 14日(金) ※申込定員に達しましたため、当日登録はありません。 15日(土) 9時45分~18時20分まで(神戸国際展示場2号館ロビー) 16日(日) 8時00分~12時30分まで(神戸国際展示場2号館ロビー) 2.大会参加費 事前登録 非会員8,000円 会員6,000円 学生2,000円 当日登録 非会員9,000円 会員7,000円 学生2,000円 ・当日登録をされる学生の方は、受付の際に学生証をご提示ください。 *日本ライトハウスが実施する「視覚障害生活訓練等指導者養成課程」を受講中の方は学生証の代わりに「養成課程在籍証明書」をご提示ください。 ・視覚障害者の付添者は無料ですが、受付で名札を受け取りご着用ください。 ・機器展示・企画展・市民公開講座は無料です。 3.抄録集 ・事前に大会ホームページにダウンロードデータを掲載しますので、必要な方はご自分でプリントアウトをお願いします。 ・視覚障害者で希望される方のみ、視覚障害者用抄録集データパックCD版(テキストデータ・テキストデイジー用データ)を郵送します。 4.協会企画 ※事前申込み制 日時:9月14日(金) 13:00~17:00 場所:神戸国際会議場5F 会議室501 *大会参加者であれば会員、非会員を問わず参加できます。 5.視覚障害リハビリテーション協会各種委員会・理事会 日時:9月14日(金) 17:20~18:20 各種委員会 18:30~20:50 視覚リハ協会理事会 場所:神戸国際会議場5F 会議室501 6.視覚障害リハビリテーション協会定期総会 日時:9月15日(土) 10:15~11:15 場所:神戸国際展示場2号館1F北側 メイン会場 *非会員の方で傍聴を希望される方は、総会開始までに傍聴席の方に移動してください。総会途中での入室はお断りしています。傍聴途中で退席していただくことは問題ありませんが、お静かに退出いただきますようお願いいたします。 7.ランチョンセミナー ※事前申込み制 日時:9月16日(日) 12:30~13:30 場所:神戸国際展示場2号館1F北側 メイン会場 *11時30分より12時30分までの間、メイン会場ステージ前にてお弁当を配布します。お渡ししているお弁当引換券をお持ちください。 8.地域ブロック会 日時:9月15日(土) 18:20~19:20 場所:神戸国際展示場2号館1F北側 メイン会場 全国7ブロックに分かれての交流の場です。協会員の資格は問いません。 北海道・東北 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟 関東・甲信 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野 東海 静岡、岐阜、愛知、三重 近畿 滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 北陸 石川、富山、福井 中国・四国 鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知 九州 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 ・各県の振り分けをしておりますが、他県ブロックへの参加も可能です。 9.機器展示会場 日時:9月15日(土) 13:00~17:30 16日(日) 8:30~14:00 場所:神戸国際展示場2号館1F南側 サブ会場 10.交流会  日時:9月15日(土) 13:00~14:10  場所:神戸国際展示場2号館1F南側 サブ会場  参加費:無料 *事前にお申込みいただいた皆様には、地元神戸にちなんだ「おにぎりセット」をご用意しております。会場にてお受け取り下さい。なお、交流会終了時までにお受け取りになられなかった分につきましては、事務局で処分いたします。 11.市民公開講座 日時:9月16日(日) 14:10~16:30 場所:神戸国際展示場2号館1F北側 メイン会場 12.視覚障害者の誘導・口頭説明サービス ・市民広場駅改札から会場までは誘導ボランティアを配置します。(スタッフは青のベスト、ボランティアは黄色のベストを着用しております。) ・会場内での手引きが必要な方は、総合受付にお申し出ください。 ・ポスター発表、機器展の口頭説明を希望される方は、「ボイスサインカード」を名札に差し込んで見えるように掲示ください。  当日登録の方は、総合受付でお申し付けください。  13.クローク ・15日(土)、16日(日)は神戸国際展示場2号館ロビーにて、お荷物をお預かりいたします。*14日(金)、神戸国際会議場には、クロークがございませんのでご注意ください。 14.生涯学習事業 ・日本眼科学会専門医制度生涯教育事業(認定番号28231)に認定されています。 専門医単位制度単位受付時間   取得単位 9月14日(金) 12:30~17:00   3単位 9月15日(土)  9:45~18:00   3単位 9月16日(日)  8:00~12:00   3単位 専門医制度登録カードをご持参の上、受付にお越しください。 ・日本視能訓練士協会生涯教育制度に認定されています。  参加 3単位 ・日本作業療法士協会生涯教育制度に認定されています。  参加 2ポイント 発表 1ポイント *講師として参加した場合は90分以上の講義で1ポイントが加算されます。 15.その他 ・大会中は、カメラでの撮影・ビデオでの撮影はご遠慮いただいております。ご了承ください。なお大会委員用にビデオ・写真を撮影しております。これは全プログラムに参加できない実行委員会で大会を振り返り検証する際に使用するものですのでご理解ください。 5 抄録作成支援について 大会長 髙橋 政代 視覚障害リハビリテーション協会の依頼を受け、第21回大会から行われてきた抄録作成支援を本大会でも実施いたしました。 その支援内容は、「抄録としての基本的要件である、目的・方法・結果・考察のような章立てた構成がなされているか」「各章のタイトルと内容にずれがなく、読者が分かりやすく理解できるような記載となっているか」「内容の有効性と800字の活用具合はどうか」「個人情報の取り扱い」「明らかな間違いや誤字脱字の指摘」などです。 大会事務局が依頼した支援者の方々には、上記の視点に基づいて登録された抄録をお読みいただき、その結果について抄録担当より発表者にフィードバックさせていただきました。このことにより発表者は抄録を修正する機会ができ、より発表の質が高められたことと期待しております。 修正に応じていただきました多くの発表者の方々に心より感謝申し上げます。また、お忙しい中を支援にご協力いただきました新井千賀子様、大倉元宏様、小林章様、田中恵津子様、田中雅之様、永井伸幸様、山縣祥隆様、吉野由美子様、和田浩一様、仲泊聡様 にも厚く御礼申し上げます。   7 発表者へのご案内 I.口頭発表 1.発表時間 発表9分 質疑応答4分 円滑な進行のため時間厳守でお願いします。 2.発表会場 神戸国際展示場2号館1F北側 メイン会場 3.進行 発表の1時間前までに、PCセンターでデータの受付、動作確認等をしてください。発表者は講演開始の15分前までに会場内の次演者席につき、座長の進行に従って発表を行ってください。 4.発表時の配慮 視覚障害者が言葉のみで理解できるように、具体的な説明を心がけてください。指示語(あれ、これなど)の多用はご遠慮ください。図や写真も言葉で説明してください。 5.配布資料 資料の配布をご希望のかたは、事前に事務局(taikai@jarvi.org)までご連絡ください。 6.プレゼンテーション 全ての発表は、PCによるプレゼンテーションとなります。PCは事務局でご用意します。条件は下記のとおりです。 基本ソフト Microsoft Power Point2007/2010/2013/2016 画面サイズ 4:3 画面解像度 XGA 1024×768 フォント オリジナルフォント 動画・音声 Windows Media Playerで再生できるフォーマット 【注意】 <ハードウェア> ・上記の条件以外では、誤動作や誤表示、文字化けなど動作保証ができませんのでご了承ください。 ・動画・音声をご使用になられる場合、事務局でご用意したPCでは再生できない場合がございますので、ご自身のPCをご持参ください。 ・マックユーザーのかたは、ご自身のPCと出力コネクタをご持参ください。 ・PC本体をお持ち込みの場合、ACアダプタは各自ご持参ください。 <作成ファイル> ・発表データファイル名は下記の例に従って表記をお願いいたします。例:O-1-3 神戸太郎 (プログラム番号-@-@氏名) ・PC本体を持ち込みの場合や、PCトラブルやデータ破損などに備え、バックアップ用データとしてUSBメモリを必ずお持ち込みください。(CDは受け付けません) ・発表データは終了後、事務局にて責任を持って消去いたします。  <スライドデザインへの配慮> ・背景と文字に、色でなく、明るさのコントラストをつけてください。 ・行間を充分とり、字づまりにならないようにしてください。 ・スライドに掲載されている内容を把握するのに充分な提示時間を確保できるスライド枚数としてください。 ・背景色と文字色に、以下の組み合わせはなるべく避けてください。 2色:赤と緑、オレンジと黄緑、緑と茶、青と紫、赤と黒、ピンクと明るい青 3色:ピンクと白と灰色、緑と灰色と黒 II.ポスター発表 1.発表会場 神戸国際展示場2号館1F北側 メイン会場 2.ポスター発表のスケジュール ポスター貼付 9月15日(土)10:00~ ポスター発表 9月15日(土)14:20~15:20(奇数番号)9月16日(日)11:20~12:20(偶数番号) ポスター撤去 閉会式以降~ ・ポスターの撤去時間につきましては閉会式以降となりますが、市民公開講座が開始する14:10前までに行っていただけるよう、ご協力をお願いいたします。 3.ポスター作製時の注意事項 ・大きさ横90cm×縦180cm(図1参照) ・演題番号は予め事務局で貼付しますので、ポスター内に記述する必要はありません。 ・タイトルには、「演題名」「所属名」「氏名(発表者に○印)」を入れてください。 ・文字サイズ、行間などは適宜調整して、視認性に配慮してください。 ・ポスター貼付用の画鋲は事務局でご用意します。 ・9月16日(日曜日)16:40以降に残っているポスターはこちらで処分いたします。 ・「with voice」と書かれた名札(ボイスサインカード、図2)を付けている方には、口頭による説明をお願いします。   8 神戸アイセンター内 ビジョンパーク見学について 9月15日(土)、16日(日)は、ビジョンパークで行われる企画・イベント事前登録者以外の入館はできませんので、ご注意ください。9月14日(金)は、通常通りオープンしています。 ただし、来場者が多くなることが予想されるため一部エリアの見学や体験を制限する可能性があります。14日は平日のため、神戸アイセンター病院では通常の診察が行われています。病院業務に支障のないよう、みなさまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。 見学のご希望が多かったため、急遽 9月17日(月・祝)は9時から12時までオープンすることにしました。17日の見学をご希望の方は、9月15日(土)、16日(日)に、国際展示場受付にて大会事務局スタッフまでお申し出ください。 時間限定となりますが皆様のお越しをおまちしております。  9 大会プログラム 日時 9月14日(金曜日)神戸国際会議場 5階会議室501      協会主催企画 視覚リハ未来への挑戦 Part3 総合司会:岡島 喜謙(福井県立盲学校)武田 貴子(北九州市立介護実習·普及センター) グループディスカッション進行:新井 千賀子(杏林アイセンター) 第一部 13:00~15:30 『視覚リハ自分ごとプロジェクト』 クローズアップ 子供たちの未来 視覚障害がある子供たちの未来を考えよう-あなたの今の仕事で子供たちの未来に何ができるか?- 宿題報告者:外園 千恵(京都府立医科大学)松友 輝子(愛媛県立松山盲学校)田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーション事業団)新井 千賀子(杏林アイセンター) 第二部                  16:00~17:00 『研究トラの巻』其の3 現場から発信! 実験的研究のツボ 講師:小田 浩一(東京女子大学/視覚リハ協会副会長) 9月15日(土曜日) 神戸国際展示場 2号館 1F北側 メイン会場 10:15~11:15 視覚障害リハビリテーション協会 総会 11:15~11:45 開会式 11:45~12:45 口頭発表 ① 座長:大倉 元宏 (成蹊大学 理工学部) 研O-01. NEDO 福祉用具実用化開発事業 「あらゆる状況に歩行補助できるMy地図端末機器の開発状況」 ○小菅 一彦、朝倉 純一、笠原 宏文 研O-02. 視覚障害者の駅ホームにおけるヒヤリ把握困難の実態 ○加藤 俊和、佐木 理人、青木 慎太朗 研O-03. 歩行訓練における立体的触地図の使用は 先天全盲視覚障害者の空間理解を向上させる ○豊田 航、早苗 和子、尾形 真樹、大内 進、清水 美知子 研O-04. 視覚障害者の駅ホームからの転落事故を防止するための取り組み -日本歩行訓練士会として- ○堀内 恭子、關 宏之、山本 利和、森 一成、武内 清、土井 恵二、原 志治、古橋 友則、正井 隆晶、山下 紗輝、良久 万里子 14:20~15:20 ポスター発表 ① 奇数番号 15:25~15:55 特別プログラム ① 座長:田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーションセンター) [誰でもどこでも歩行訓練が受けられるようにするために] 橋井 正喜(日本盲人会連合 常務理事) 15:55~18:00 特別プログラム ② 座長:岡田 弥(日本ライトハウス) [見えにくさを持っての移動~ローテクから最新システムまで~] 1.歩行訓練士からの提言 堀内 恭子(日本歩行訓練士会) 2.バーチャルリアリティ・システムの活用 喜多 伸一(神戸大学) 3.白杖使用者向け音声誘導システムについて 田中 慧(TOA株式会社) 4.交通制約者移動支援システムの開発 米田 友樹(日本信号株式会社) 5.視覚障害者用ナビの可能性 山下 晃弘(東京工業高等専門学校) 6.視覚障害者の立場から 佐木 理人(視覚障害者の歩行と自由と安全を求めるブルックの会) 18:05~18:20 表彰式                         18:20~19:20 地域ブロックミーティング   9月15日(土曜日) 神戸国際展示場 2号館 1F南側 サブ会場  ※一般来場者が入場可能となるのは14:10からとなります 13:00~14:10 大会参加者交流会 13:00~17:30 機器展示  飲食コーナー営業 14:30~15:20 アマチュア落語会 15:30~16:45 ファッション&トークショー 17:00~17:30 社交ダンス 9月15日(土曜日)  神戸国際展示場 屋外 14:30~16:00(最大17:30) タンデム自転車体験 ※雨天の場合、16日(日)12:30~14:00に延期となります          ※15,16日の両日ともに、国際展示場ロビー・サブ会場内・屋外にて展示を行います 9月15日(土曜日) アイセンター Vision Park           9:00~10:45 ワークショップ ① デコ白杖 15:00~16:00 クライミング体験 ① 15:00~16:00 Vision Park ツアー ① 16:00~17:00 クライミング体験 ② 16:00~17:00 Vision Park ツアー ② ※9月15日、16日はビジョンパークで行われる企画・イベントの事前登録者以外の入館はできませんので、ご注意ください。 9月16日(日曜日) 神戸国際展示場 2号館 1F北側 メイン会場 9:00~ 9:10 3日目開会のご挨拶 9:10~10:10 口頭発表 ②                       座長:成戸 宏幸(神戸視力障害センター) 研O-05. 主体的視覚リハビリテーションを目指して~文章講座の試み~ ○石川 佳子、久保 弘司、西岡 由美子 研O-06. 中途視覚障害者が点字を触読できることの現代的意義 ○金山 佐保 研O-07. NPOによる地域での視覚リハ(神戸アイライト協会20年の歩み) ○森 一成 研O-08. 訓練修了後の就労継続支援の取り組みと課題 ○中野 真輔、福田 香絵、石川 佳世子 10:15~11:15 特別プログラム ③ 座長:原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター) [視覚障害者の近未来] 報告者:小寺 洋一(スクールカウンセラー)榊原 賢二郎(早稲田大学先端社会科学研究所)鈴木 祐香(福島県保健福祉部 障がい福祉課)奈良 里紗(筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程障害科学専攻) 11:20~12:20 ポスター発表 ② 偶数番号 12:30~13:30 ランチョンセミナー 座長:髙橋 政代(国立研究開発法人理化学研究所 生命機能科学研究センター、網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー、公益社団法人NEXT VISION 理事) [自動運転-国内の状況] 岩貞 るみこ(モータージャーナリスト/ノンフィクション作家) 13:30~ 閉会式 14:10~16:30 市民公開講座 ロービジョン研究最前線                          座長:近藤 寛之(産業医科大学) 1.視覚障害者の就労実態を反映した医療・産業・福祉連携による支援マニュアルの開発 近藤 寛之(産業医科大学) 2.スマートサイトによるロービジョンケア連携システム構築に関する研究 平塚 義宗(順天堂大学) 3.多職種協働による地域包括ロービジョンケアシステム開発に関する研究 鈴鴨 よしみ(東北大学) 4.ICTを活用した寡少専門家による地域・在宅ロービジョンケア 仲泊 聡(理化学研究所) 網膜再生医療の近未来~「もの」から「こと」へ                     座長:山縣 祥隆(山縣眼科医院 院長)    髙橋 政代(国立研究開発法人理化学研究所 生命機能科学研究センター、網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー、公益社団法人NEXT VISION 理事) 9月16日(日曜日) 神戸国際展示場 2号館 1F南側 サブ会場 ※一般来場者が入場可能となるのは8:30からとなります 8:15~ 9:45 スマートサイトサミット 座長:田中 桂子(神戸アイセンター病院/橋村メンタルクリニック) 講話:山縣 祥隆(山縣眼科医院) 助言者:永井 春彦(勤医協札幌病院)平塚 義宗(順天堂大学)岡島 喜謙(福井県立盲学校)仲泊 聡(理化学研究所)原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター) 10:00~12:05 得する寺子屋                      座長:岡田 弥(日本ライトハウス) 1.障害年金を知ろう 辰巳 周平(辰巳社労士事務所) 2.ショーワリの達人~鉄と空をお得に楽しむために~ 永井 春彦(勤医協札幌病院眼科) 3.実践!身体を守る予防衛生 橋本 伸子(しらお眼科) 4.目の病気の遺伝 吉田 晶子(理化学研究所/神戸アイセンター病院) 12:05~14:00 パラスポーツ体験 ブラインドサッカー ゴールボール 8:30~14:00 機器展示 9:00~14:00 飲食コーナー営業 9月16日(日曜日) アイセンター Vision Park           8:30~ 9:30 ワークショップ ② 三菱音声家電による調理体験会 8:30~ 9:30 Vision Park ツアー ③      10:30~11:30 ワークショップ ③ 三菱音声家電による調理体験会 10:30~11:30 Vision Park ツアー ④   ※9月15日、16日はビジョンパークで行われる企画・イベントの事前登録者以外の入館はできませんので、ご注意ください。   10 神戸国際展示場ロビーイベント情報 大学院生 ポスター発表 9/16(日)11:20~12:20 理化学研究所 大学院生リサーチ・アソシエイト(JRA)制度※により、理化学研究所で経験豊富な研究者と研究を展開する大学院生のポスター発表を行います。これからの未来を担う若手研究者の研究成果をぜひご覧ください。なお、15日(土)、16日(日)ともに、終日ポスターの掲示を行っております。 ※ ”大学院生リサーチ・アソシエイト(JRA)| 理化学研究所”理化学研究所. http://www.riken.jp/careers/programs/jra/ 地域の活動・団体紹介コーナー 9/15(土)、9/16(日) 終日    視覚障害に関わる各種団体の活動を紹介するポスターコーナーをロビーの一角に設けております。プログラム内のポスター発表には収まらない地域の活動につきまして、この機会にぜひ足を運んでご覧になってください。 盲導犬体験 9/15(土)10:00~17:00 9/16(日) 9:00~14:00   日本ライトハウス盲導犬訓練所 日本ライトハウス盲導犬訓練所は、大阪の空気がきれいで自然豊かな千早赤阪村にあります。盲導犬に興味はあるけどあと一歩踏み出せない方、犬と触れ合ってみたい、歩いてみたい方などお気軽にブースへお越し下さい。相談コーナーでは「盲導犬の世話って大変じゃないの?」「仕事をしながら共同訓練は受けられるの?」など皆様からの質問にお答えします。犬と歩くのはとても楽しいですよ! 兵庫盲導犬協会                               今回の展示ではPR犬をはじめ、ハーネス等盲導犬に使用する犬具やパネル展示等で来場者に盲導犬を知っていただきます。また、相談コーナーを設置し、盲導犬ユーザーや専門のスタッフが様々な相談に応じます。併せて、実際に盲導犬との歩行を体験していただく、『体験歩行会』や『見て知る盲導犬』講座など盲導犬についての理解を深めていただくイベントも予定しています。 日本歩行訓練士会ブース 9/15(土)10:00~17:30 9/16(日) 9:00~14:00   歩行訓練って何でしょうか? 見えない見えにくい人が安全に歩くことを目的にした取り組みです。歩行訓練によっていつでもどこでも、行きたい所に行きたい時に行くことができる可能性があります。声かけして下さる手引きの方法をご存じない方に、安心して手引きを受けることや室内をスムースに移動ができるようになって頂くことも歩行訓練です。今もなお視覚障害者の駅ホームからの転落事故が後を絶ちません。安全に駅ホームを利用して頂く技術や考え方もお伝えしております。このような歩行訓練を行う専門家の集まりが日本歩行訓練士会です。歩行訓練に関する疑問にお答え致します。どうぞ、お立ち寄りください。   11 視覚障害リハビリテーション協会主催企画 視覚リハ未来への挑戦 Part3 協会主催大会プログラム検討委員会 ◆協会主催大会プログラムについて 視覚障害リハビリテーション協会では、2009年度以降、年に1回の研究発表大会を開催地域主体のプログラムで実施することとなり、大会準備・運営を通して、開催地域内での関係職種の連携が強まるなどの成果も出ています。また、各地域の課題や特色が色濃く出るようになってきました。一方で、より日本を俯瞰して大きな視点で考えることが求められ始めており、全国の協会会員が一致協力して検討する課題も見えてきました。そこで、今後の大会のプログラムや開催方法の在り方について検討するために、協会内に協会主催大会プログラム検討委員会を作り、研究発表大会の一部で、協会主催大会プログラムの企画・運営を行ってきました。試行期間は3年間で、今回はその最終年になります。 3年間を通しての総合テーマは『視覚リハ未来への挑戦』として、第一部は、宿題報告と討論形式で行い、『視覚リハ自分ごとプロジェクト』として特定の領域(今年度は「子供の未来」)を取り上げます。関連する領域の複数の専門家に各領域での視覚リハの特徴と現状、そして課題を宿題報告していただきます。講演後、参加している会員の皆様とクロスオーバーにテーマを討論し未来への挑戦へのバネにしていただく企画です。第二部は、講義形式で、未来への挑戦の武器として、日々の仕事を振り返り、かつ様々な現場で役立つ臨床研究手法を『研究トラの巻』シリーズで実施していきます。『研究トラの巻』シリーズの企画・運営は、当協会の論文編集委員会と協力して行います。 ◆プログラム 総合司会 岡島 喜謙(福井県立盲学校)武田 貴子(北九州市立介護実習·普及センター) グループディスカッション進行:新井 千賀子(杏林アイセンター) 第一部 13:00〜15:30 『視覚リハ自分ごとプロジェクト』 クローズアップ子供たちの未来 視覚障害がある子供たちの未来を考えよう-あなたの今の仕事で子供たちの未来に何ができるか?- -あなたの今の仕事で子供たちの未来に何ができるか?- 一昨年は高齢者、昨年は移動支援をクローズアップした視覚リハ未来への挑戦は、今年度は「子供たちの未来」をクローズアップしたいと思います。多くの視覚リハに関わる人たちは、視覚障害がある子供たち(18歳以下の乳幼児・児童・生徒)に直接かかわることは少ないかもしれません。だからこそ、ここで一度、子供達の視覚リハについて勉強し、そして、未来を考えてみたいと思います。視覚障害がある赤ちゃんの20年後は、成人の視覚リハが必要になります。日々接している成人の視覚障害の方も、かつては子供だったわけです。大人の領域の視覚リハ、学齢時の視覚リハ、乳幼児の視覚リハは決して独立したものではなく、連続した一連の流れのなかにあります。それぞれの分野、立場で「子供たちの未来」を見据えた視覚リハのありようについて考えたいと思います。今回の宿題報告者は、成人を主に担当している視覚リハワーカーの立場から名古屋市総合リハビリテーションセンターの田中雅之さん、学校教育のなかで子供達に関わっている教員の立場から愛媛県立松山盲学校の松友輝子さん、教育や福祉の外側の視能訓練士の立場から杏林アイセンターの新井千賀子さん、医療・教育・福祉の連携を医師の立場から京都府立医科大学教授の外園千恵さんの4名の演者にお願いしました。ご報告をいただいた後、参加者でグループディスカッションを行います。 宿題報告者 外園 千恵(京都府立医科大学 教授)松友 輝子(愛媛県立松山盲学校)田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーション事業団)新井 千賀子(杏林アイセンター) グループディスカッション進行 新井 千賀子(杏林アイセンター) 第二部 16:00〜17:00 『研究トラの巻』 其の3現場から発信! 実験的研究のツボ 講師 小田 浩一(東京女子大学 教授、視覚リハ協会副会長) 実験的研究のツボ3年間の締めくくりとして、当協会の副会長であり、論文編集委員長の小田浩一さん(東京女子大学教授)にご講義いただきます。研究というと我々の日常の仕事からかけ離れたイメージがあり、若干ハードルが高い気がしてしまいます。しかし、普段現場で患者さんや利用者さんへの対応を通して経験していることや職場の同僚、先輩などと話している見立てのようなことの多くは明日の視覚リハの大きな鍵を握っています。それを発表としてまとめ、多くの方と共有することで新たな視覚リハの未来を切り開く種になっていきます。小田さんには、そういった我々の日常業務の中での発見や気づきを、どうやって科学的な視点で分析し、発表レベルにまとめるか、今回は、実験的研究をテーマに、その手法とコツをわかりやすくご講義いただきます。皆さんの日々の実践の成果を多くの人達と共有しそれをブラッシュアップする方法のポイントを一緒に勉強しましょう! ★協会主催大会プログラム委員会 田中雅之(委員長)、新井千賀子(副委員長) 岡島喜謙、園順一、武田貴子、仲泊聡、原田敦史、吉野由美子、和田浩一 12 口頭発表 会場:神戸国際展示場2号館 メイン会場 日時:① 9月15日(土) 11:45~12:45 研-O-01~研-O-04    ② 9月16日(日) 9:10~10:10 研-O-05~研-O-08 研-O-01. NEDO福祉用具実用化開発事業 「あらゆる状況に歩行補助できるMy地図端末機器の開発状況」 ○小菅 一彦1)、浅倉 純一1)、笠原 宏文2) 1)株式会社KOSUGE、2)株式会社ニュージャパンナレッジ 【目的】 盲人・弱視者が抱える一人歩行時の以下の問題点を解決できる機器を開発する。 1.通い慣れた道から外れたときに、自分の所在がわからなくなった。 2.同僚と一緒に会合に行った、夜間時の帰路に一人歩行して迷子になった。 3.夜の8時以降に音声案内信号機の音声停止となったり、音声案内のない横断歩道信号機の横断時に不安となった。 【方法】 視覚障害者の自立歩行を補助できる高精度なMy地図端末機器システムの開発。準天頂衛星(みちびき)から視覚障害者に関する高精度に位置情報を検出できる通信端末機器を用いて、独自の地図データベースに歩行経路および目印情報をクラウド登録し、使用者専用の地図データベースを作成する。歩行誘導は、iPhoneが振動する方向へ誘導し、骨伝導ヘッドホンによる音声補助案内を基本とする。登録ルートから外れた時には、リストバンドの振動により警告し、定めたルートに戻れるように音声誘導できる。小型カメラ等による信号機の色判断システムをも開発する。 【結果】 みちびき衛星の実用化まで、従来のGPSによりiPhoneを使用して歩行経路の登録と誘導できるアプリを開発した。登録歩行経路に沿って振動する方向に歩行誘導を出来、迷子状態からも振動方向を頼りに登録経路に戻れた。また、日本全国のLED信号機に対してiPhone内の信号機カメラアプリを立ち上げて、ほぼ赤青色の音声案内する事を確認した。 【考察】 中途視覚障害者の方に、歩行訓練士が歩行訓練する時の経路記憶効率が上がると期待される。また、盲導犬使用中の視覚障害者にとっては迷子となった場合に登録ルートに復帰できるもので、使用者の熟練度に合わせて、カスタマイズができるようにすることが必要と考える。 【結論】 まずは、盲導犬により1人歩行する人達の迷子時に登録ルートに戻れるものと判断された。   研-O-02. 視覚障害者の駅ホームにおけるヒヤリ把握困難の実態 ○加藤 俊和、佐木 理人、青木 慎太朗 視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会 【目的】 鉄道駅ホームにおいて、転落しそうなヒヤリハット状態になっているとは気づいていない視覚障害者が多い実態を明らかにし、基本的な対策への示唆とする。 【方法】 実際にホームを一人歩きしている視覚障害者119名へのアンケート調査を行い、その結果を分析した。 【結果】 119名中、転落16%、車両・ホーム間に足等がはまる31%で、「転落しかけたことがある」は35%、「方向または位置の誤認あり」は36%、「転落しかけたことはない」との回答は39%、「転落またはしそうになったとき方向または位置はわかっていた」との回答は28%であった。ところが「方向や位置の誤認に結びつく可能性のある要因」として、人や柱にぶつかる、向こう側の電車を手前と勘違いする、点字ブロックを階段部と間違う、島形ホームの反対側に近づくなど、13の項目の経験の有無の回答を重ねると、「転落しかけたことはない」との回答者の4割近くにこの「誤認要因の経験」があった。また「方向または位置はわかっていた」との回答者の8割もの人に「誤認要因の経験」があった。 【考察】 一般に、事故発生の十倍以上のヒヤリハットがある、とされているが、ヒヤリハット状態と感じていた視覚障害者はかなり少なかった。「方向や位置はわかっていた」とは、視覚障害で周囲状況把握が不十分でも「正しいとの思い込み」もしくは「そう思わないと歩けない状況」が多いことの示唆とも考えられる。 【結論】 視覚障害者の転落は「ホーム上の誤認が主原因」であるとされている。「誤認の有無」は、これまでは本人への聞き取りなど主観的な調査であったが、今回の調査でそれだけでは不十分なことが明らかになった。視覚障害者が自分の位置と方向をより客観的に確認できる対策が重要であることを示したといえよう。   研-O-03. 歩行訓練における立体的触地図の使用は 先天全盲視覚障害者の空間理解を向上させる ○豊田 航1)、早苗 和子2)、尾形 真樹3)、大内 進4)、清水 美知子5) 1)成蹊大学理工学部、2)公益社団法人東京都盲人福祉協会、 3)杏林大学医学部付属病院アイセンター、4)国立特別支援教育総合研究所、 5)モビリティ研究会 【目的】 歩行訓練で立体的触地図を使用することで先天全盲視覚障害者の空間理解が向上した事例を報告する。 【方法】 合目的的サンプリングにより、空間の理解が乏しく、俯瞰的な認知地図を構築できない先天盲視覚障害者(以下、事例)が選ばれた。単独外出頻度は週3日で、伝い歩き中心の歩き方をしていた。今回の訓練を行うまで、立体コピーなどの高さがない平面的触地図は読めなかった。触地図を用いた歩行訓練に精通した歩行訓練士(以下、訓練士)の協力を得て,筆者らが開発した高さ、体積,エッジのある立体的触地図を用いて、4日間に渡り同じ経路の往復を訓練した。訓練の感想を半構造化面接とメールで聴取した。 【結果】 事例は数回迷うことがあったが、連日目的地に単独で辿り着いた。特に3日目は単独歩行の経験がない復路を迷わずに歩けた。事例は立体的触地図を一貫して高く評価し、今後の利用を強く希望した。事例は全ての訓練後も依然として空間を俯瞰的にイメージできないと述べたが、重要なことに、自身の歩行体験を立体的触地図に投影することで事例独自の認知地図を構築し、空間の理解と記憶が向上したことを報告した。また,3日目にレーズライターで作製した当該訓練場所の平面的触地図を提供した所、事例は回転させずにその内容を単独で理解できた。 【考察】 立体的触地図は先天盲視覚障害者の空間理解に役立つ。事例が認知地図を回転操作して平面的触地図を回転せずに読めた点は、事例が空間の概念を理解し始めた可能性を示す。長期の訓練によって俯瞰的な認知地図が構築できるようになるかもしれない。立体的触地図を導入した歩行訓練が平面的触地図の読みを改善させた点は,触地図の触読に関するより良い教育方法を示唆する。 【結論】 触地図の利用が適さないと判断されがちな、俯瞰的な認知地図が構築できない先天盲視覚障害者であっても,歩行訓練での立体的触地図によって空間理解が向上する。 【謝辞】 本研究は(公財)交通エコロジー・モビリティ財団の助成を受けた。   研-O-04. 視覚障害者の駅ホームからの転落事故を 防止するための取り組み-日本歩行訓練士会として- ○堀内 恭子1)、關 宏之2)、山本 利和3)、森 一成4)、武内 清5)、土井 恵二6)、原 志治4)、古橋 友則7)、正井 隆晶8)、山下 紗輝1)、良久 万里子9) 1)日本歩行訓練士会、2)日本ライトハウス、3)大阪教育大学、4)神戸アイライト協会、5)フリーランス、6)京都府立盲学校、7)ウイズ蜆塚、8)奈良県立盲学校、9)鹿児島県視聴覚障害者情報センター 【目的】 平成27年8月、「歩行訓練士会」から「日本歩行訓練士会」という名称に変更し、歩行訓練士の職能団体として、全国組織としての活動を展開した。特に視覚障害者の駅ホームからの転落事故が絶えないことから、事故防止のために歩行訓練士として取り組んできたことを報告する。 【方法】 転落防止に関する日本歩行訓練士会としての取り組みについて報告する。 【結果】 1.駅ホーム上の歩行訓練の変遷、指導方法について意見交換し、歩行訓練士間での技術の共有化を図った。 2.日盲連主催「第4回鉄道駅ホームの安全問題意見交換会」、国土交通省主催「新型ホームドア等に対応する視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法に関する調査検討委員会」の会議に出席し、駅ホーム上の歩行訓練の考え方について認識を得た。 3.JR富木駅視察、意見交換:体調不良、援助依頼せず。声掛けの徹底等協議。 阪急上新庄駅視察、意見交換:白杖不所持、弱視者、駅員不在。人的環境整備等要望。 4.全国視覚障害者情報提供施設大会にてチラシの配布、点字毎日への投稿 以下を確認、実行してほしい旨記載。 ・よく使うホームの環境について確認 ・普段と異なる状況では、援助依頼 ・白杖を浮かさず、左右に振り、床に接地して歩く ・乗降時、必ず白杖で床が有ることを確認し足を出す 5.近鉄阿部野橋駅視察、意見交換:ロープ式ホーム柵を手や白杖で伝えること、開口部に転落箇所が来ないように要望。 6.シンポジウム開催「視覚障害者の駅ホーム上の安全な移動について―歩行訓練、歩行訓練士について思うこと―」当事者から我流で歩行、急いで飛び乗り転落などの転落実態、目的を明確に、いつでも歩行訓練が受けられる体制必要などの要望が出された。 【結論】 当事者、鉄道事業者等に職能団体としての歩行訓練士の存在、駅ホーム上の歩行訓練について認識を得た。 【考察】 駅ホームからの転落事故防止のため、本会の継続した取り組みが必要である。  研-O-05. 主体的視覚リハビリテーションを目指して~文章講座の試み~ ○石川 佳子、久保 弘司、西岡 由美子 社会福祉法人 京都ライトハウス鳥居寮 【目的】 医療や当事者団体との横断的連携により早期にリハにつながっているケースもあることから、障害に対する葛藤、抵抗の強い状況で訓練されている方も増えている。QOL向上という前向きな取り組みの中にありながらも自己受容と承認へ向いて進むことそのものに対する抵抗もみられる。そうした行動と内面のミスマッチそのものを受け止め、ありたい自分とは何か、心の対話を通して心と技術の両輪で成す主体的な視覚リハビリテーションを模索する。 【方法】 週1回 90分、文章講座を設置。定員7名。テーマに沿ってグループセッション→文章作法・表現の課題解説→パソコンにて文章作成→作品・アドバイス・感想を共有→テーマ・技術的課題を参加者から提案。参加期間内でのモニタリングと終了時に振り返りアンケートを実施。 【結果】 2016年2月開始。講座107回、参加者18名(2018年3月現在)。参加期間2か月~1年。音響点字作文コンクール第14回優秀賞、第15回最優秀賞受賞。京都府視覚障害者協会発行メルマガ色鉛筆配信20回。参加者コメント:書くことは会話による交流よりも深い。心が整理できる。この時間はリハビリに必要だ。文章作成において視覚障害による不自由さを感じない。フィクションに挑戦するのも楽しい。伝わる表現を意識できる。 【考察】 自己と対話する機会を積極的に持ち、自分が見ている自分、他者が見る自分の両側面から、客観的視点を獲得することができる。グループで取り組むことで傾聴する・してもらえる時間が生まれ、セルフメンタルケアにつながっている。会話術、質問術の向上により、情報障害によるコミュニケーションストレスを軽減できる。 【結論】 書くこととグループセッションは自己受容の一助として有益であり、積極的な課題提案と目標設定にもつながっている。この点から、文章講座は主体的視覚リハビリテーションの実践につながる取り組みであると考える。   研-O-06. 中途視覚障害者が点字を触読できることの現代的意義 ○金山 佐保 社会福祉法人 山梨ライトハウス青い鳥成人寮 【目的】 近年、スマートフォンやタブレットPC、パソコン、デイジー図書等再生機、拡大読書器等、視覚障害者にとって文字の読み書きや読書の手段は点字以外にも数多く存在する。そのような現代において、中途視覚障害者が点字を触読できることの意義について本人がどう感じているかを中心に考察する。 【方法】 質問紙法により調査を実施した。調査対象者は山梨県で2015年7月から2018年2月末までに点字訓練を受け終わった5名と訓練中の5名、合計10名の男女で年齢は30代前半から60代後半。10名全員がスマートフォン等の点字以外の手段も日常的に使う中途視覚障害者である。調査内容は、点字を触読できることの意義についての5段階評価、その具体的理由を問う自由記述、点字触読と目読と聞くことに違いについての5段階評価、その具体的理由を問う自由記述、点字の読み書きについての意見の自由記述の、合計5つの質問である。 【結果】 点字を触読できることの意義を10名全員が「感じる」と回答した。その具体例は情報取得の手段を得ることのほか、外出先のトイレのボタン、駅の運賃表、洗濯機など家電製品のボタン、調味料、薬の袋、通帳・カードなどの持ち物が点字でわかること、好きな本を自分のペースで読めること、点字が読めることへの感動、嬉しさ、楽しさ、友人に自分のがんばりを示すこと、選挙の投票、誰かの役に立てることが挙がった。点字を触読することと目読と聞くことの違いについては10名中9名が「違う」と回答。具体的には、目で読むことは速度が速い、目が疲れる、見えなくてストレス、見える範囲に限界、音では速度が速い、聞き流しになる、点字は時間がかかる、考えながら読める、自分のペースで読める、疲れない等が挙がった。 【考察】 点字を触読できる意義はその場で物理的に分かることが独特である一方、目や音と比べると一長一短あり、各自使い分けている様子が伺えた。 【結論】 点字を触読できることには、点字以外の情報取得手段が多くある現代でも意義があり、中途視覚障害者にとっての選択肢の一つになることで、より豊かな生活を送ることの一助となると考えられる。   研-O-07. NPOによる地域での視覚リハ(神戸アイライト協会20年の歩み) ○森 一成 神戸アイライト協会 【目的】 訪問指導等の地域視覚障害リハビリテーションは、残念ながら地域差が大きい。20年前の神戸も訪問指導事業は全くない状況だった。阪神淡路大震災で改めて必要性を痛感し、訪問指導等の地域視覚リハ事業を地域で確立したいと思った。 【方法】 そこで1999年にNPO「神戸アイライト協会」を創設した。全国的には社会福祉法人等の福祉施設が訪問指導等を実施していたが、NPOによる視覚リハが一部地域で行われていた。そこで私もNPOを創設し、ボランティア的視覚リハの試行、NPO法人化等を実施した。通所施設の開設等で行政ともつながり、視覚リハの啓発をすすめた。 【結果】 まずは2008年にロービジョン(視覚障害)専門相談を神戸市委託事業として開始した。年間約500件で始まった事業は、神戸市関係だけで年間約1200件。他地域も含めて2000件を超えている。2015年からは事業内で歩行訓練等の訪問指導も可能になった。 【考察】 事業開始以来、年々業務は増え「ニーズは確実にある。潜在的には、まだまだある。」と実感している。関係者、行政と協力してさらに事業を改善していきたい。 【結論】 訪問等の地域視覚リハ事業がない地域でも、熱意とノウハウがある人々の存在と、関係者や行政の理解があれば事業実現できる。今後、訪問指導等の広がりに期待したい。   研-O-08. 訓練修了後の就労継続支援の取り組みと課題 ○中野 真輔、福田 香絵、石川 佳世子 日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター 職業訓練部 【目的】 日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター職業訓練部は大阪障害者職業能力開発校からの特別委託を受け視覚障害者を対象とする職業訓練を行っている。今回は、就労継続支援のあり方について考える。 【方法】 訓練修了者の就労継続支援の具体例を分析し、課題を考える。 【結果】 2006年9月に修了し就職されたA氏。JAWS for Windowsを利用し、データーベースソフトを中心に利用した請求督促業務に従事。入社当時は、WindowsXP+MS-Office2003+JAWS6の環境であった。2010年4月JAWS更新作業、2013年9月MS-Office2010への変更に伴う適応訓練、2015年7月グループウェア導入による適応訓練、2017年12月グループウェア変更に伴う適応訓練及び、JAWS18への更新作業の支援を行ってきた。 【考察】 ソフトウェアの更新に伴うスクリーンリーダーでの操作上の不具合は、視覚障害者の就労継続にとって死活問題となる。オフィスソフトは不具合への対応がすぐになされるが、グループウェアや職場独自のソフト等はなかなか対応されていないのが現状である。ソフトウェアの更新に伴い、再訓練が必要となるが、そのためには、(1)会社の理解、(2)支援機関のスキル確保、(3)ソフトウェア開発会社の協力、が必要となる。また、ソフトウェアの大幅改変が行われるたびに、スクリーンリーダーの更新が必要となり、費用負担も発生する。就労継続支援を効果的に行うためには、就職決定時から将来を見据えた支援計画が必要であり、支援機関、雇用側ともに就労継続に向けて協力体制を整えていく必要がある。 【結論】 上記支援を行うために有効な助成制度はなく、また支援に対するスキルは人に依存したスキルであるため、同等レベルを維持できるかが課題である。 13 特別プログラム 会場:神戸国際展示場2号館 メイン会場 日時:① 9月15日(土) 15:25~15:55 ② 9月15日(土) 15:55~18:00    ③ 9月16日(日) 10:15~11:15  特別プログラム ① 誰でもどこでも歩行訓練が受けられるようにするために 座長 田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーションセンター) 報告者 橋井 正喜(日本盲人会連合 常務理事)  日本盲人会連合(以下、日盲連)では、全国の視覚障害者がどこに住んでいても歩行訓練などの生活訓練が受けられることを厚労省に要求し、その要求の根拠とすべく、平成28年度、平成29年度の2か年に渡り、厚労省総合福祉推進事業の調査研究を行ってきた。平成28年度の調査では、現在の障害福祉サービスのなかで、視覚障害者へのリハビリテーションを行うサービスと位置付けられている機能訓練(事業所)の現状と課題を、機能訓練以外で行っている事業との比較で明らかにし、平成30年度の報酬等改定のなかで一部その要求を通すことができた。また、平成29年度の調査においては、訓練効果のエビデンスを示すとともに、訓練(施設)につなぐシステムが現状十分ではないことを具体的に示した。 これらの調査結果を受けて、日盲連では次回の報酬改定に向けて、引き続き、歩行訓練などの生活訓練が全国どこでも受けられる体制づくりを目指し、厚労省への要求を続けていく予定である。 今回の報告では、平成29年度の調査研究事業の概要を報告するとともに、日盲連内部で今後どのような動きをしていくか、また要求を行っていく中で、視覚障害リハビリテーション協会に望むことは何かについて報告する。 特別プログラム ② 見えにくさを持っての移動~ローテクから最新システムまで 座長 岡田 弥 (日本ライトハウス) 報告者 堀内 恭子(日本歩行訓練士会)喜多 伸一(神戸大学)田中 慧 (TOA株式会社)米田 知樹(日本信号株式会社)山下晃弘(東京工業高等専門学校)佐木 理人(視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会) 見えにくさを感じると、これまで当たり前のようにやってきた歩くこと、乗り物への乗降、案内表示の確認など、移動に関わる多くのことがらが難しくなる。これらの困難を解消するのに必要なものは何なのか? 歩行訓練士、研究者、機器メーカー、視覚障害当事者のそれぞれの立場からの発言を元に考えてみたい。 ●歩行訓練士からの提言(堀内恭子) 人は一つのことに注意を集中しすぎると、他の刺激が大脳まで届かないしくみになっている。見えにくいものを一生懸命見ようとすると、音や白杖からの情報を同時に処理することが困難になる。また、何となく見えているということから、さまざまな見誤り(誤認)も生じる。見え方の特徴を知り、以上のようなことを理解することから歩行訓練が始まる。どのような場面でどのような情報が必要かを分析し、視覚と他の感覚を有効に使い分けることを意識し習慣化することが重要である。このような役割を担うのが歩行訓練士といわれる専門職である。ご活用いただきたい。 ●バーチャルリアリティ・システムの活用(喜多伸一)  視覚障害者の多くは、屋内や屋外を歩行するときに足元の見え方が弱く、事故を起こしがちである。これに対し本研究は、人が装置の中に入り込める没入型バーチャルリアリティ・システムを用いて、足元に光点や図形を提示するシステムを開発し、地面にバーチャルな視野計を作ることにより、歩行者の足元知覚の精度を計測する。本研究は、眼科の検査室で行われている視力・視野の検査と、日常的な視覚機能を数値的・計量的に対応させ、歩行時の安全性を高めることを目的として遂行している。 ●白杖使用者向け音声誘導システムについて(田中慧)  弊社が開発した「白杖使用者向け音声誘導システム」の概要と、その実証実験で得られた課題・改良点について紹介する。本システムは、カメラで撮影した画像から白杖を認識し、自動的に音声案内放送を流すシステムである。案内放送により必要な情報をすばやく伝えるために、放送の内容・タイミング・音質・スピーカーの指向性、といった要素を考慮したうえでシステムを構成した。より効果的な使い方を探るために、神戸アイセンターにて実証実験を実施し、実際の白杖使用者の意見を取り入れながら改良開発を行っている。 ●交通制約者移動支援システムの開発(米田知樹)  一般社団法人UTMS協会では2014年より、内閣府の推進するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の一つである「交通制約者等の移動支援システムの開発」に取り組んでいる。開発の目的は、高齢者、視覚障害者等の交通制約者等の安全・安心かつ円滑な移動を支援する利便性と経済合理性を兼ね備えたシステムの実現である。そのため、我々は現行システム(PICS: Pedestrian Information Communication Systems)を高度化し、信号の状態を音声通知や、歩行横断時の青時間延長を可能とした。新システムの概要と検証結果を報告する。 ●視覚障害者用ナビの可能性(山下晃弘)  準天頂衛星みちびきは、センチメートル級の測位精度を達成可能な次世代衛星測位システムである。2010年度に1号機が打ち上げられて以降、2018年度には4機体制での運用が既に始まっており、2023年度には7機体制での運用開始が予定されている。本セッションでは衛星測位システムの簡単な仕組みと、みちびきが持つ従来型GPSとの違いについて解説する。また、屋内測位システムを含めた最新の位置測位システムの動向や、センチメートル級の精度が実現した場合の応用例、視覚障害者向けのナビゲーション開発の展望について、近年の研究成果を交えて紹介する。 ●視覚障害者の立場から(佐木理人)  全盲の私は現在、白杖で歩いている。慣れたところは1人で移動できる。一方、慣れていなかったり初めて訪れたりするところでは、ガイドヘルパーや駅職員、街行く人にサポートしてもらう。歩行を支援するさまざまな機器の開発には、とても期待している。ただ、その関係者には、ぜひ視覚障害者や支援者ら、歩行の現状に詳しい人と共に取り組んでいただきたい。そして、誰もが使いやすいものを継続的に作っていただきたい。とはいえ、人の支援に優るものはない。私たち視覚障害者は、機器の進化に期待するだけでなく、街中で周囲と気持ちよくやり取りできるこつを身につける必要もあると思う。   特別プログラム ③ 視覚障害者の近未来 座長 原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター) 報告者 小寺 洋一(スクールカウンセラー)榊原 賢二郎(早稲田大学先端社会科学研究所助教)鈴木 祐花(福島県保健福祉部 障がい福祉課)奈良 里紗(筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程障害科学専攻)  視覚障害者は全体でみると高齢化が進んでおり、リハビリテーションの場面でも中途で高齢という方に注目が集まることが多い。しかし若い世代の視覚障害者も少なくなく、年齢に応じた不自由さ、困難さが存在する。本プログラムでは各分野で活躍する若い世代の視覚障害者4人にスポットを当てて話を進めていく。前半は今までどのような支援を受けてきたのか、家族との関係はどうであったのか等、現在に至るまでに何をしてきたのか、どのような問題があったのかを聞いていく。後半ではそれぞれの立場から、視覚障害者の取り巻く環境について必要とすること、変化を望むこと、未来に期待することをそれぞれの立場から語ってもらう。 報告者プロフィール ○小寺洋一(こでら よういち) 昭和46年 京都生まれ 平成14年 甲南大学大学院人文科学研究科卒業 平成16年 臨床心理士資格取得 スクールカウンセラー非常勤勤務 平成19年 社会福祉法人京都ライトハウス ピアカウンセラー非常勤勤務 その他 公益社団法人 京都府視覚障害者協会理事 著書「白い杖のひとり旅―ニュージーランド手探り紀行」(絶版) 視覚障害について 平成4年、21歳のころに科学実験中の事故により視覚障害。現在の視力は両眼とも 全盲。 ○榊原 賢二郎(さかきばら けんじろう) 昭和59年 横浜生まれ 平成28年 東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士後期課程修了 博士(学術) 平成28年 東洋大学社会学部非常勤講師(社会学概論) 平成29年 早稲田大学社会科学総合学術院先端社会科学研究所助手 平成30年 早稲田大学社会科学総合学術院先端社会科学研究所助教 その他 日本網膜色素変性症協会ユース部会 部会長(平成26年まで) 日本網膜色素変性症協会 アポインティー(準理事)(平成30年まで) 著書『社会的包摂と身体障害者差別禁止法制後の障害定義と異別処遇を巡って』(第16回日本社会学会奨励賞受賞) 視覚障害について 4歳前後に網膜色素変性症の診断を受け、本人への告知は18歳前後。 現在は良い方の矯正視力0.2。視野狭窄かつ中心暗点。夜盲により夜は光以外ほとんど見えない。 ○鈴木祐花(すずき ゆうか) 平成 2年 福島県生まれ 平成25年 四天王寺大学 人文社会学部 人間福祉学科 社会福祉専攻 卒業 平成25年 福島県総務部職員研修課勤務 平成30年 同保健福祉部障がい福祉課勤務 その他 平成28年より盲導犬ユーザー。 視覚障害について 未熟児網膜症により視力は10歳頃までは右目0.01程度、左目0、その後緑内障を併発し10歳くらいから右目で光を感じる程度。 ○奈良里紗(なら りさ) 昭和62年 鎌倉生まれ 平成21年 筑波大学第二学群人間学類心身障害学専攻 卒業 平成23年 筑波大学大学院教育研究科特別支援教育学専攻 修了 平成23年 筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程障害科学専攻 在籍 日本学術振興会特別研究員DC2(平成24年~25年) その他 視覚障がい者ライフサポート機構“viwa”理事長 NPO法人 Inclusive Fellowship Promotion 事務局長 視覚障害について 17歳のときに視神経萎縮による弱視と診断される。現在は視力両眼0.01で、中心暗点がある。23歳のときに難聴と診断される。 14 ランチョンセミナー 協賛:HOYA株式会社 会場:神戸国際展示場2号館 メイン会場 日時:9月16日(日) 12:30~13:30 自動運転-国内の状況 座長 髙橋 政代(国立研究開発法人理化学研究所 生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー 公益社団法人NEXT VISION 理事) 演者 岩貞 るみこ(モータージャーナリスト/ノンフィクション作家) 政府は2020年までに「特定区域での完全自動運転車両(レベル4)」を走らせる目標をたて、業界や各省庁が動いている。たしかに自動運転技術は、サーキット内を時速200キロ以上の速度で走り、駐車場で空いているスペースを自力で見つけ縦列駐車を行うなど、目覚ましい進化をみせ、特定区域や限定されたエリアであれば走れるようになってきたものの、一般道の交差点で車同士が交差したり、歩行者や自転車がいる場所での実用化にはまだ長い道のりがある。車両技術の問題だけでなく、コスト、責任の在り方、法律といったハードルがあるほか、社会がいかに受け入れるかも課題である。特に法律では、ジュネーブ条約で「周囲の監視義務は運転者にある」と定義されているため、これに加盟している日本、及び加盟国の道路交通法は簡単に変えることはできない。 技術はどのように進んでいくのか。法律はどう変わろうとしているのか。世界の動きを紹介すると同時に、視覚障がい者がクルマで自由に移動できる時代は、いつごろ訪れるのか、そのためにクリアしなければならない問題はなにかについて解説する。   15 市民公開講座 会場:神戸国際展示場2号館 メイン会場 日時:9月16日(日) 14:10~16:30   市民公開講座 前半は、日本医療研究開発機構からの研究資金を使ってロービジョンの研究を行っている4チームの進捗状況を解説します。会場入口に資料を準備しておりますので事前にお受け取り下さい。後半は、本大会の大会長でもあります神戸理研の髙橋政代が登場します。視覚障害について、研究という視点から今何が検討され、今後、どこに向かっていくのかをこの市民講座は明らかにするでしょう。 ロービジョン研究最前線  座長 近藤 寛之(産業医科大学) 1.視覚障害者の就労実態を反映した 医療・産業・福祉連携による支援マニュアルの開発 近藤 寛之(産業医科大学) 2.スマートサイトによるロービジョンケア連携システム構築に関する研究 平塚 義宗(順天堂大学) 3.多職種協働による地域包括ロービジョンケアシステム開発に関する研究 鈴鴨 よしみ(東北大学) 4.ICTを活用した寡少専門家による地域・在宅ロービジョンケア 仲泊 聡(理化学研究所) 網膜再生医療の近未来~「もの」から「こと」へ 座長 山縣 祥隆(山縣眼科医院 院長) 演者 髙橋 政代(国立研究開発法人理化学研究所 生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー 公益社団法人NEXT VISION 理事) iPS細胞の技術を用いると、疾患の治療に必要な、患者本人の若返った細胞を作ることが可能であり再生医療の細胞源として注目されています。我々はiPS細胞から網膜細胞を作り、視覚障害の原因となる網膜疾患の治療に応用しようと研究を重ねてきました。網膜の数種類の細胞の中でも網膜色素上皮細胞は茶色い色素を持ち、顕微鏡下に選別できるので目的の細胞以外の腫瘍形成の危険のある細胞が混在しないことと、ごく小さい領域を治療することで治療効果があがるので必要な細胞数が少ないことなどから臨床応用に有利な条件を持っています。様々な安全性試験や倫理委員会の手続きを経て、2014年には「加齢黄斑変性」という疾患に対して自家移植を、2017年には他人の細胞を用いる他家移植の臨床研究を始めています。これらは安全性を確認する段階であり、今後治療効果や治療としての改善を重ねて完成していきます。 また、網膜の中で光を受け取る細胞である視細胞の移植も動物実験が進み、臨床研究の準備を始めています。臓器移植の初期と同じような段階である網膜細胞治療がどのように進むか、近未来をお話しします。   16 ポスター発表(研究発表・活動報告) 会場:神戸国際展示場2号館 メイン会場 発表者による説明: 奇数番号 9月15日(土) 14:20~15:20 偶数番号 9月16日(日) 11:20~12:20 活-P-01. 歩行訓練士確保を目指しての福島県ロービジョンネットワークの取り組み ○八子 恵子1)2)、寺井 和子1)3)、加藤 三保子1)4)、山田 昌宏1)5)、木村 肇二郎1)6)、 村井 孝典1)7) 1)福島県ロービジョンネットワーク、2)北福島医療センター、3)福島県視覚障がい者生活支援センター、4)特定非営利活動法人にじの会、5)郡山市障害者福祉センター、6)視覚障害者サポートグループゆかり、7)日本盲導犬協会仙台訓練センター 【目的】 視覚障害者生活訓練等指導者(以下、歩行訓練士)の確保を目指して福島県ロービジョンネットワーク(以下、ネットワーク)が行っている取り組みを紹介する。 【経緯】 1)福島県の現状:福島県には歩行訓練実施機関がなく、歩行訓練士が不在である。その状況下での歩行訓練は、ネットワーク構成団体である日本盲導犬協会スマイルワン仙台に依頼している(1年間の回数50~60回、受ける人数30~40名、一人の訓練回数1~2回程度)が、不足していることは明らかである。 2)県への要望:平成29年3月に福島県知事に対して歩行訓練士を県に配置し歩行訓練を県の事業としてほしいと要望書を提出した。その後、歩行訓練及び歩行訓練士の必要性を理解してもらうべく障がい福祉課との意見交換会をもち、県での検討も続いている。 3)アンケート調査:ネットワークとして要望だけでなく何かしらの活動をしてゆくべきとの考えから、歩行訓練を希望あるいは必要としている視覚障害者がどのくらいいるのかのアンケート調査を行った。調査は、チラシを用いて広報(ネットワークの構成団体を通じて手帳保有者に渡す、ネットワークや福島県眼科医会のメーリングリストを通じて配信するなど)し、チラシに記載されたネットワークの4つの構成団体に電話をもらい、担当者が聞き取りを行う形で行った。 4)アンケート調査の結果:調査期間の3か月で、158名の本人あるいは家族からの電話があった。歩行訓練以外にパソコン、料理など生活訓練の希望も多かったが、道路状況などの変化や自己流になっているなどから再度訓練を受けたい、以前より見えなくなっているので受けたい、自宅近くの目的地に歩いて行きたいなどの期待や希望が聞き取れた。この調査結果は障がい福祉課に提出した。 5)今後の活動:歩行訓練士確保の要望を継続するとともに、歩行訓練の存在を知らない視覚障害者に知ってもらう活動もしていきたい。   活-P-02.「オリエンテーションとモビリティ分科会」の紹介 ○大倉 元宏1)、尾形 真樹2)、武田 貴子3)、原田 敦史4) 1)成蹊大学 理工学部、2)杏林アイセンター、3)北九州市介護実習・普及センター、4)堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター 【設立の趣旨】 本分科会は2016年度第5回の定例理事会において設立が認められた。2018年2月末における所属メンバーは56人である。O&M(オリエンテーションとモビリティ)の保障は、視覚障がい者の社会参加促進や心理的独立性の向上において極めて重要な課題である。本分科会では,さまざまな状況や環境における歩行訓練方法について情報共有を図る。また、視覚障がい者の命を脅かす可能性のある重篤事故事例について学び、事故の未然防止策を多角的に検討する。 【主たる活動の内容】 1)歩行訓練事例や事故事例(たとえば鉄道ホームからの転落事故など)などを検討し,効果的な訓練法や事故の防止策を立案する。 2)視覚障がい者のO&Mの安全性・効率性を保障するために開発・整備された最新の補助具・技術・環境について学ぶ。得られた知識を実際の歩行訓練で応用し、その効果を共有する場を提供する。 3)視覚障がい者が、日本全国どこでも歩行に関する適切なサービスを受けられるよう、歩行訓練に携わる者がその個人に関する情報を共有可能な仕組みづくりをめざす。そのため、当事者の生活背景、視機能の程度、歩行訓練経過等を記した手帳/カルテ(仮称)を検討する。 【最近の活動成果】 分科会のメンバーの一人が視覚障害者用道路横断帯(通称,エスコートゾーン)の補修工事における不備を発見し,メンバーの連携により,比較的早期の解決をみた。事の経緯は以下のようであった。 1)10月27日に,地下鉄早稲田駅前と九段北1丁目交差点において,エスコートゾーンの補修工事中の代替として,ゴム製の点状点字ブロックが貼付されているのを発見し,MLで情報交換を開始。 2)11月7日に警視庁の標識BOXに不備を投稿。10日ごろに早稲田駅前では補修完了するも,九段北にはその気配なし。 3)12月13日に再度,標識BOXに投稿。さらに,19日に直接,所轄署に電話。 4)12月20日に所轄署より九段北の補修完了の連絡を受ける。   活-P-03. 地域活動支援センター・ひかりの森 「移動訓練」の実践報告 ○小倉 芳枝1)、松田 和子2)、橋本 隆弘2)、有田 由美2)、佐藤 愛里沙2)、中村 伸一2)  1)東京ヘレン・ケラー協会点字図書館、2)地域活動支援センター・ひかりの森 【はじめに】 地域活動支援センターひかりの森では、平成17年のデイケア開始以来、視覚障がい者の自立支援を目的としてPC・点字・生産活動(点字名刺・木工)等の活動を行っている。現在、登録利用者数58名(1日平均11.7名)。訓練施設利用が困難な方も多いなか、白杖や歩行に関する問い合わせ・訴えを受け、開設当初より地活の活動プログラムの中で歩行の基礎を学ぶ場として独自に“移動訓練”を実施してきた。活動記録からこれまでの実践を振り返り、課題や今後のあり方を考察したい。 【実践報告】 1.概要 週1回、2時間枠で実施。利用者それぞれ、屋内環境認知・手引き・白杖操作・施設周辺コース等、個々の課題に取り組む。技術獲得中の利用者(3~4名)は職員が担当し、支援内容・方法について講師(歩行訓練士 月1回指導)と相談しながら進める。上記課題を達成した利用者は有償ボランティアの見守りで自主練習を行い、技術維持を図る。 2.活動実績(平成17~29年度。※は22年度の地活移行後) (1)実施回数:511回 (2)1回あたりの平均参加者数 10.4名(※) (3)利用者属性 実人数 59名 開始時平均年齢 53.2歳(±12.2)手帳等級 9割が1・2級 平均参加期間 2年3か月(終了者42名) (4)終了時の状況(終了者26名中の該当者数) 白杖携行・使用に繋がった(25)/手引きを安全・快適に受けられるようになった(23)/自宅近隣の外出が怖くなくなった(23)/援助依頼をできるようになった(23)/通所の安全が確保できた(16)/単独での行動範囲が広がった(2) 【考察】 白杖携行・使用に繋がったり正しい手引きが可能になったりして移動の安全性・快適性が向上していることは大きな成果といえる。また利用者・職員とも地域での理解向上に繋がっている実感を得ている。一方で、現体制では個別ニーズへの対応や基本技術以降の支援が難しく、課題となっている。   活-P-04.「すべてのスタッフがガイドヘルプをできる病院に!」の実施報告 ○小谷 真弘1)2)、岡田 弥2)3)4)、竹田 幸代3)4) 1)北野病院、2)近畿ロービジョン研究会、3)日本ライトハウス情報文化センター、4)きんきビジョンサポート 【目的】 見えにくい患者が病院内を移動する際にガイドヘルプが必要な場合があるが、その手法をすべての病院スタッフが認識し実施できているとは限らない。病院職員を中心に院内の売店員、食堂配膳員、清掃員などを含む病院に携わるすべての病院スタッフを対象に、見えにくい患者に安全、安心して病院を利用していただくためガイドヘルプの基本知識の講習会を行った。 【方法】 2017年11月~2018年1月の期間に講習会を病院スタッフに対して3回実施した。指導者は、歩行訓練士、視能訓練士、視覚障害者とし、講習会では視能訓練士による「誘導が必要な人の見分け方」、視覚障害者による「当事者の声」、歩行訓練士による「ガイドヘルプの手法」、シミュレーションキットを用いた視覚障害者の見え方体験とガイドヘルプの実技と講義を行った(計60分)。 【結果】 全職員1491人のうち235人(15.7%)が受講した。所属は看護師・助手83人(35%)、事務員59人(25%)、設備スタッフ48人(20%)、コメディカル40人(17%)、医師5人(2%)であった。受講者に対しアンケートを実施したところ、「これまでに見えにくい患者の誘導に困ったことがあるか」では、「ある」が64人(33%)、「ない」が122人(64%)であった。「明日からガイドヘルプを実践できるか」では、「すぐできる・ややすぐできる」が144人(75%)、「やや躊躇する・躊躇する」が43人(22%)であり「今後、積極的に声かけてみたい」など回答があった。 【考察】 病院スタッフがガイドヘルプの手法を習得することにより、病院内の安全な誘導はもちろんのこと日常生活において駅や街頭など、誘導が必要な人に遭遇した際に活用できると想定できる。今後もこの講習会を継続し、すべての病院スタッフがガイドヘルプをできる病院をめざす。   活-P-05. しろがめ方式のガイドヘルプ ○村上 琢磨1)、石川 充英2)、酒井 智子2)、山口 規子3)、河原 佐和子1)、千葉 康彦4)、中澤 由美子4)、宍戸 久子1)、小平 純子5)、関田 巖6) 1)NPO法人しろがめ、2)東京視覚障害者生活支援センター、3)関西盲人ホーム、4)宮城県立視覚支援学校、5)東京都盲ろう者支援センター、6)筑波技術大学 【目的】 ガイドヘルプ(同行援護)のサービス要素は「移動」と「便宜供与」に大別される。いずれもお客様である視覚障害者(Visually impaired,以下VI)の立場に立っての行動が求められる。今回は、移動においてVIに負担をかけないしろがめ方式のガイドヘルプを紹介する。 【方法】 移動はガイドヘルパー(Guide helper、以下GH)とVIがななめ横方向に並ぶのを基本形とし、場面が変わる度にしばしば並び方を変える方法が一般に行われている。例えば場面Aでは基本形から一列縦隊となり基本形に戻り、場面Bでは基本形から左右の位置を交換し基本形に戻る等、外出してから帰宅するまで繰り返し行われる。しかし、VIにとって、並び方をかえる行動が負担となっている。つまり、VIの立場を考えた行動でないことになる。そこで、NPO法人しろがめは、VI並びにアイマスクした晴眼者を被験者とし、GHとVIが並び方を変えて通過することが一般的な場面(狭所・ドアなど)を基本形のままでVIが安全でかつ安心して通過できる方法について検証した。 【結果】 様々な方法を検討した結果、GHは基本形のまま狭所・ドアに接近し場面の直前で一旦止まり、情報を提供し(例えば、「狭所です」)、VIの手(GHを掴んでない方)を場面の所要部位(VIがぶつかる可能性の高い場所:狭所部位やドア枠など)に導き、ゆっくり通過することによりVIが安全でかつ安心して通過できることがわかった。つまり、VIの負担が少ないことがわかった。また、この方法によりVIは障害物にぶつからないように避けて、スムーズに通過できることが確認できた。更に、VIは所要部位に導かれた手を離さず進むことで手の触覚を通して通過している過程が具体的にわかり、場面ごとに並び方を変えないため心理的にも身体的にも負担が少ないとの内省を得た。 【結論】 今回の検証結果で得られたしろがめ方式のガイドヘルプは、足腰の弱いVIにも適用できる方法で、負担が少ないことが期待できる。   活-P-06. 雪道が盲導犬歩行に及ぼす影響 ○青木 舞子、多和田 悟、根本 学、矢野 遥  公益財団法人 日本盲導犬協会 【目的】 日本盲導犬協会では、約250名の視覚障害者に盲導犬歩行を提供しているが、約3割の方は降雪・豪雪地帯在住であり、冬季には個別のフォローアップ(歩行指導)を必要に応じて実施している。雪道がオリエンテーションとモビリティー(盲導犬歩行)に及ぼす影響を考察し、より安全な雪道歩行を提供するための取り組みを報告する。 【方法】 2017年12月~2018年2月の降雪期間に、秋田県、山形県、新潟県在住の盲導犬ユーザー18名に対し、現地訪問にて雪道歩行における困難さの聞き取り、及びフォローアップを実施した。また、盲導犬候補犬15頭に対し特別訓練として計8回の雪道訓練を実施した。 【結果】 雪道がオリエンテーションに及ぼす影響として、足裏からの情報が変わる、直進性を保つために使っていた情報が変わる、手がかりや目じるしが変わる、音情報が使いにくくなる、反射光による羞明を感じる、以上の5つが挙げられた。また、モビリティーに及ぼす影響としては、通常時とは盲導犬が提供する情報が変わる、高さの障害物に変わるものがある、犬側に車道がある道では車道に出るリスクが高くなる、人と犬とが横に並んで歩行できない場合がある、犬の歩行への集中力が低下する、以上の5つが挙げられた。 【考察】 雪道では、自分が立っている位置と目的地までの位置関係を把握することが困難になるため、通常時より普遍的な定位の証拠を確保しておく必要がある。そして、通常時よりも、人も犬も判断を間違える、迷うリスクが高まっている認識を持つ必要がある。以上の課題を改善し、より安全性の高い雪道歩行をするためには、余裕を持った歩行時間の確保、歩行服装の工夫(暖かい服・滑らない靴)、除雪状況の把握とそれに応じた歩行ルートの変更、視認性を高める工夫、道具の活用(伸縮バーハンドル、電子コンパス等)、積極的な援助依頼がポイントになると考える。   活-P-07. 高齢の視覚障害者に対して、歩行訓練とともにデイサービスを活用する ことの有用性について~川崎市視覚障害者情報文化センターの事例~ ○島田 延明 社会福祉法人 日本点字図書館 【はじめに】 川崎市においても視覚障害者の高齢化は進んでおり、歩行訓練をはじめるにあたって、足腰の筋力が弱っているケースが多く見られる。よって、目的地まで行く体力がなかったり、歩行のバランスが悪かったり等の要因で、通常の訓練ベースに乗りにくい現状がある。 【方法】 川崎市には、視覚障害者の方に配慮したデイサービスを行っている「かみふうせん」という事業所があり、多くの視覚障害者が通っている。65歳以上であれば介護保険のサービスが受けられるので紹介し、「体を動かし、体力をつけたり、筋力を維持することはした方がよい。一度見学に行ってみないか」と誘ってみた。3名の方(年間)に了解が得られ、訓練担当者が事業所とコンタクトを取り、見学の日にちを設定し、連れて行くと同時に、地域包括支援センターなどとコンタクトを取ってもらい、デイサービスを受けられる段取りをつけた。 【結果】 3名の方は週に1~2回通うようになり、ずっと自宅にいる生活からデイサービスに行って適度な運動や他の利用者との交流をするようになった。その結果、全体的な生活の質の向上につながった。 【考察】 視覚障害と高齢が重なると、日常で体を動かす機会が激減し体力や筋力の低下が目立ち、週に1回程度の歩行訓練では思うような成果があがらない場合が多い。デイサービスと組み合わせる、もしくは先にデイサービスに通い体力や筋力を向上させることにより、歩行訓練の手助けになることがある。また、引きこもりがちな生活習慣を変えたり、家族などの支援者と少し離れることによる気分転換の効果も期待できる。高齢の視覚障害者が活動できそうなデイサービスに繋げることを、選択肢の一つとして考えておくことは有用である。   研-P-08. 盲導犬歩行における点字ブロックの活用方法についての提案 ○平野 竜、多和田 悟、山口 義之  公益財団法人日本盲導犬協会 神奈川訓練センター 【目的】 視覚障害者誘導用ブロック(以下、点字ブロックとする)は白杖歩行では有効活用されているが、当協会の盲導犬歩行の点字ブロックの活用方法に明確な原則はない。また、近年頻発する盲導犬ユーザーのプラットホーム転落事故の対策として、ホームドア設置や周囲の人への援助依頼の呼びかけだけでなく、訓練事業者やユーザー自身ができる対策として、盲導犬歩行における点字ブロックの活用方法を検討し、より安全で快適な歩行をできるようにすることを目的とする。 【方法】 当協会盲導犬歩行指導員が、訓練途中の盲導犬(訓練犬)6頭に点字ブロックを探し、点字ブロックに沿って歩行するように10~20回訓練を実施した。訓練期間は2017年10月~2018年2月。訓練環境は当協会の仙台訓練センターで、敷地入り口から建物正面玄関まで2か所屈折した点字ブロックが敷設されている。検証場所は同施設とJR仙石線あおば通り駅。指示語はブロックとした。 【結果】 協会事情のため、訓練を中断した犬2頭以外の4頭は、訓練担当者が既知の場所でアイマスクをし、点字ブロックを探させ、点字ブロックに沿って歩行させることができた。 【考察】 盲導犬は通常伝い歩きをするが、上記結果から空間歩行に伴う点字ブロックの利用は全ての犬に教えられる可能性が高いと考えられる。しかし、点字ブロックの設置場所は不規則で、ユーザーがある程度の方向を定めて指示を出すユーザー主体の歩行では、未知の場所での活用は難しいと感じた。 【結論】 盲導犬歩行における点字ブロックの活用方法として、点字ブロックの設置場所に規則性のあるプラットホームと、ユーザーが点字ブロックの設置場所を把握している場所での空間歩行において、犬に点字ブロックを探させ、ユーザーが点字ブロック上を歩行すること、ホーム歩行時は、併せて白杖で内方線を探りながら歩行をすることを提案する。この方法により、より安全で快適な歩行が可能になると考える。   研-P-09. 全盲者に対する歩行支援の基礎的研究-電子デバイスの有効性について- ○大内 厚1)、荒関 仁志2) 1)日立リハビリコンサル、2)日本大学大学院 【目的】 上半身部への障害物を感知するために開発されたスマート電子白杖を用いて、その使用の実態を明らかにし、使用上の問題点や解決策を検討し提案する。 【方法】 秋田県立大製とインド工科大製のスマート電子白杖の利用者45名を対象として無記名式アンケートを実施した。アンケートの調査期間は2017年5月から7月で行い、基本項目として、使用者の性別、年齢、電子白杖の種類、使用期間、安全性、歩行スピード、感知した障害物、電子白杖と白杖の使い分け、機能上・使用上の問題点について質問を行った。さらに空間認知機能を調査する目的で、竹内が作成した方向感覚質問紙簡易版の一部を修正した18項目を5件法で実施した。 【結果・考察】 アンケートの回収率は18%であった。性別は男性7名、女性1名。平均年齢は58.1歳であった。2017年時点で国内入手が可能なスマート電子白杖には、秋田県立大製(2017年度12月現在入手不可)とインド製が存在する。本研究では秋田県立大製の利用者が3名、インド工科大製が5名であった。使用年数に関しては1年以上が4名、3ヶ月以内が1名、1ヶ月以内が3名であった。スマート電子白杖の利用により障害物への衝突に関しては、やや減少したが7名、変化ないが1名であった。安全性ではやや高くなったと考える利用者が5名で、変わらないが3名であった。歩くスピードに関しては、スマート電子白杖を利用することでやや速くなったが2名、変わらないが3名、やや遅くなったが3名であった。なお、感知した物としては、トラックの荷台、電柱、交通標識、看板、立木などが報告されている。なお、スマート電子白杖の利用での問題点としては、杖が重い、持つ角度により感度が変わる、狭い場所で使用し難い、振動が分りにくいなどが報告されている。方向感覚質問紙簡易版18項目では、以前調査した白杖利用者とこのスマート電子白杖利用者のアンケート結果を分散分析した結果、両者の間には有意差は確認できなかった。   研-P-10. スマートフォンを用いた視覚障害者向け歩行者用信号機の 認識支援システムの評価 ○高橋 伊久夫、稲垣 光博、奈良 栄之  株式会社アーク情報システム 【目的】 開発したシステムが、道路幅や時間帯など、さまざまな環境条件で正しく動作することを確認する。 【システム概要】 このシステムは、歩行者用信号機(以下、「信号機」と表す)の状態をわかりやすくリアルタイムに、表示や振動、音声で通知するもので、表示は、「横断可能」、「横断不可」、「判断不能」の3種類である。また、視覚障害者の利用を想定しており、横断歩道の片側に立てること、進むべき方向にスマートフォンのカメラをかざせることが前提である。 【方法】 JR「市ケ谷駅」近くの交差点3箇所(道路幅2ー6車線、信号機20箇所)を対象に、1日3回、信号機にカメラを5秒かざし、その検出率と認識率を評価した。評価は1信号機・時間あたり50回程度行なった。使用した機種はiPhone6(iOS9.1)、評価期間は2016年11月25、28、29日、晴眼者が実施した。なお、検出率とは、カメラで信号機を捉えることができた割合。認識率とは、捉えた信号機の内容を正しく判定できた割合と定義した。 【結果】 全体平均で、検出率は午前90%、午後90%、夜間93%となり、認識率は午前94%、午後95%、夜間96%となった。また、検出率の最小値は、1信号機で午前37%と低い値を示した。 【考察】 特定の信号機で検出率が極端に低かったが、これは太陽光による影響と考える。検出率や認識率低下の原因として、太陽光のほか、信号機にかかる電圧低下もあった。また、道路幅については、検出率や認識率において差は見られなかった。さらに、昼間より夜間の方が検出率、認識率ともに上がった。 【結論】 このシステムはLED方式の信号機のみ対応したが、特定の環境条件を除けば、ある程度の利用が可能であると考える。なお、この開発は、東京都中小企業振興公社が実施した、平成27年度新製品・新技術開発助成事業にて行った。   研-P-11. 視覚障害児専用白杖の開発 ○吉岡 学1)、清水 順市2) 1)金沢大学、2)東京家政大学 【目的】 本研究においては、視覚障害児の身体負荷が少なく、耐久性の高い、メンテナンス費用がかからない白杖歩行学習に最適な石突の開発を目的とした。 【方法】 本研究は、以下の方法にて行った。 (1)石突の具体的なサイズの選定、重量、素材の決定  (2)石突の試作品の製作 (3)使用評価試験{視覚障害児3名(小学部3年女児2名、6年女児1名)}にて評価 (4)改良品の製作及び再評価   【結果】3pt 本研究では、以下の点が明らかになった。 (1)石突の操作性 新規開発した石突及びペンシル型石突による操作側の上肢筋活動の影響を尺側手根屈筋、尺側手根伸筋、上腕二頭筋、腕頭骨筋の筋活動を測定したところ、尺側手根屈筋と腕頭骨筋の筋活動に関してペンシル型石突に比べて有意に小さかった。 (2)石突の耐久性 従来の石突と新規開発石突を1ヶ月間の歩行訓練にて使用した。その結果、従来の石突は、平均3㎝の片側摩耗が見られた。一方、新規開発石突は、平均1㎝の全体摩耗が見られた。 (3)石突のメンテナンス容易性 今回の新規開発石突は、白杖シャフト取り付け部、振動調整部、路面接地部の3つのパーツで構成され、摩耗などで破損した場合は、路面接地部のパーツのみを交換できるようにした。 【考察】 新規開発石突は、構成部品をシャフト取り付け部、振動調整部、路面接地部の3つのパーツにすることで軽量化に成功した。また、路面接地部は回転することで、白杖操作側上肢の筋への負荷の少ない石突であること、石突の片面磨耗を防ぐことができた。さらに、路面接地部のパーツのみを交換できるようにすることで、視覚障害児・者自身が容易に交換できるようにした。 【結論】 本研究においては、視覚障害児の白杖操作側上肢の負荷が少なく、耐久性の高い、メンテナンス費用がかからない白杖歩行学習に最適な石突を開発することができた。   研-P-12. 視覚障害者の単独歩行を実現する歩行者支援システムの開発 ○丹下 裕、波多野 克信、片山 英昭 舞鶴高専電気情報工学科 【目的】 すでに本研究室では、日常的に視覚障害者が使う白杖に超音波センサと6軸センサを取り付けることで静止障害物(壁や階段など)を検出するシステムを構築している。しかし、視覚障害者が単独歩行するうえで必要な機能として、自動車や人などの移動障害物の検出、道案内機能や障害物情報の事前通知が挙げられ、これらの機能を実装することが望まれている。そこで本研究では、移動障害物の検出システムと携帯情報端末を用いた道案内機能を有する障害物事前通知アプリを制作することを目的とする。 【方法】 移動障害物は、本研究室で開発した超音波白杖にドップラーセンサを取り付けることで検出する。道案内機能を有する障害物事前通知アプリは、Googleが提供するAPIを用いて現在の位置情報と目的地までの経路情報を取得し、電子マップ上の障害物情報はHTTPリクエストを用いて取得する。これら3つの情報を携帯情報端末上で処理することで道案内機能を実現する。上記2つの実験は、開発段階のため被験者2名(晴眼者)とし、検出する移動障害物は人とした。また、道案内については高専から近くのスーパー(4km程度)までとした。 【結果と考察】 移動障害物の検出は、ドップラーセンサを3個使用することで、正面の検出を改善することができた。道案内アプリは、音声誘導に従うことで目的地までの移動を正確に行うことができた。しかし、障害物の事前通知については、事前通知されない箇所等が発生したため、今後は障害物の登録方法と検出条件の検討を行う必要がある。 【結論】 本研究では、視覚障害者の単独歩行の実現のため、歩行の妨げとなる移動障害物の検出と道案内機能を有する障害物事前通知アプリの制作を行った。移動障害物の検出は、ドップラーセンサを用いることで実現できたが、障害物事前通知アプリは障害物の登録方法と検出条件の検討が必要であることがわかった。   研-P-13. 視覚障がい者の駅ホームからの転落 -ホームと車両の間に足を落とした事例について- ○大倉 元宏1)、武田 貴子2)、多和田 悟3)、豊田 航1)、石川 充英4) 、田内 雅規5)、清水 美知子6)、村上 琢磨7) 1)成蹊大学 理工学部、2)北九州市介護実習・普及センター、3)日本盲導犬協会 、4)東京視覚障害者生活支援センター、5)岡山県立大学 、6)モビリティ研究会 、7)NPO法人しろがめ 【目的】 未然防止に資する目的で、ホームと車両の間に足を落とした2例について報告する。 【方法】 あらかじめ作成された調査票1)に基づいて,対象者に転落の概要を聴取するとともに、当該駅に同行してもらい、歩行軌跡等を実地検分した。 【結果】 事例1:発生は2017年5月で、56歳のロービジョンの女性であった。薬害の影響で腕や手指が短く、白杖は所持していなかった。ホーム上のいつもの点字ブロック敷設場所で電車の到着を待っていた。このホームでは,扉付近はホームの縁端が7cmほど,車両側に突き出しているが、それと車両との隙間は15cm程度あった。電車が到着したので、線状ブロックに沿って扉の真ん中に近づいて行った。その時,考え事をしており、さらに太陽光に直射されて,目が眩み,足元がよく見えなくなった。すると、右足がホームと電車の隙間に落ちた。背負っていたリュックと左足がつっかいとなり、線路上まで身体が落ちることは免れた。 事例2: 発生は2017年10月で、程度等級1級の50歳の女性であった。改札で介助を依頼し、駅員の誘導を受けて、最後はエレベータを使って、ホーム上に降り立った。電車到着後、駅員から「乗ります」と声かけがあり、誘導を受けて電車に近づいていったが、不安を感じ、「乗れますか?」と確認した。駅員からの返事がないため、まだホーム上にいると判断し、右足を一歩前に出したところ、そのまま右足、左足の順に、隙間に落ちた。ホームと車両の隙間は約17cmあった。デイバックを背負っていたので、足は線路までには達することなく、腰のあたりで止まった。 【考察と結論】 見えていても、あるいは誘導を受けていても、条件次第で、足の踏み外しは起きることに注意を要する。 【文献】 1)大倉元宏:プラットホームからの転落事例データベース作成のための調査票の試案、第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会抄録集、p.92,2012.   研-P-14. 駅ロータリー移動時における視覚障害者誘導用ブロックの活用方法 ○小林 章 社会福祉法人 日本点字図書館 自立支援室 【目的】 鉄道駅前の道路はロータリー構造になっていることがしばしばあり、視覚活用が困難な者にとっては移動が困難な場所である。ロータリーを移動する手がかりとしては(1) 通行人の移動音、(2) 車両の走行音、(3) ロータリーの歩道の縁石 (4) 視覚障害者誘導用ブロック(以下、点字ブロック)があるが、(1)(2)の利用が難しくても(4)の規則性を理解していれば効率的な移動が可能になると思われる。この報告は、駅ロータリーに敷設されている点字ブロックの規則性を提示し、点字ブロックを活用した移動方法を提案することを目的とする。 【方法】 Googleマップのストリートビューを利用し、ロータリーのある大阪府内を起点とする鉄道各線、総武線等36駅について点字ブロックの敷設パターンを観察し、規則性を確認した。その上で、その規則性を活用する移動方法を考察した。 【結果】 点字ブロックは、敷設されていないロータリーも散見されたが、多くのロータリーに敷設されており、敷設方法は国土交通省による「道路の移動等円滑化整備ガイドライン」の「線状ブロックは、主に誘導対象施設の移動方向を案内する場合に用いるものとし、歩行方向は、誘導対象施設等の方向と線状突起の方向とを平行にすることによって示すものとする」という設置原則に準じるものだった。 【考察】 駅舎と平行になるまでは点字ブロックの内側(車道側)を歩くと、必然的に駅舎と平行になれる。その後は点字ブロックの外側を歩くと、駅舎内に誘導する点字ブロックと直交するので、そのブロックと平行になることで駅舎に入ることができる。点字ブロックを確実に検知するための白杖技術としては常時接地法、またはそれに準ずる技術で移動することが望ましい。 【結論】 駅ロータリーの移動では、聴覚的な手がかりを利用できない場合でも点字ブロックを有効に活用することで、効率的に移動することが可能である。   研-P-15. 視覚障害者における高視認性安全服のニーズ ○落合 信寿1)、吉井 秀雄2)、近藤 寛之1) 1)産業医科大学医学部眼科学教室、2)ハイドサイン株式会社 【目的】 視覚障害者の交通事故は歩行者事故全般とは異なる特徴を有しており(落合ら,2017)、事故防止は喫緊の課題である。路上作業者等のユニフォームに用いる高視認性安全服は、蛍光色生地と再帰性反射材の使用により視認性や目立ち感を高めて、運転者等から着用者を瞬時に発見可能にする。自力での危険回避が困難な視覚障害者には、簡便に実現可能な交通安全対策として有効と考えられる。本研究では、視覚障害者の介助者を対象に、高視認性安全服のニーズについて調査した。 【方法】 視覚障害者の同居家族で日常的に介助をしている成人146名(男性78名、女性68名)を対象にインターネット調査(調査委託先:株式会社マクロミル)を実施した。Web上で高視認性安全服の画像を提示して、ニーズ等に関する質問項目に回答を求めた。 【結果及び考察】 ニーズは、高視認性安全服の着用に対して「介助者の立場からどう思うか」、「視覚障害者本人(当事者)はどう思うと考えるか」の2項目で聴取した。その結果、介助者の立場から「ぜひ利用したい」が60名(41%)、当事者は「着用に抵抗を感じないと思う」が29名(20%)であり、一定のニーズがあることが明らかになった。しかし、介助者として「利用したくない」が29名(20%)、当事者は「絶対に着たくないと思う」が16名(11%)いたことから、目立ち感の高さに起因する着用への拒絶・抵抗感の存在が示唆された。一方、「衣服や持ち物の一部に目立つ素材を使ったもの」を着用する場合、介助者側の36名(25%)、当事者側の47名(32%)が利用の意思を示した。故に、バッグや帽子等のような身体の一部に着用する装備品類に蛍光色生地や再帰性反射材を取り入れた製品の方が、全身に纏う衣服よりも視覚障害者に受け入れられやすい可能性が考えられる。 【結論】 視覚障害者における高視認性安全服のニーズの様態が明らかになった。 【謝辞】 本研究はJSPS科研費 JP15K00745の助成を受けた。   研-P-16. 大学キャンパス環境における視覚障害者の移動問題に関する実践研究 ○王 鑫1)、森 まゆ2) 1)筑波大学人間総合科学研究科、2)広島大学 【目的】 視覚障害のある大学生・教職員が抱える不便さは大きく分けて2つあり、それは広大な学内の移動の問題と文字へのアクセスの問題である。大学のキャンパスの数が多い茨城県つくば地域の関係者にも同じ問題を抱えている。本研究は、大学キャンパスである特定環境における視覚障害者の移動問題を中心に、今までの歩行支援経験をまとめ、今後の支援の在り方を検討することを目的とする。 【方法】 郊外にある大学のキャンパスは、坂道が多い、建物の構造が複雑、自転車の通行が多い、点字ブロックや交通信号の音声案内などが整備されている。この特定環境に対して、歩行支援活動の記録により支援活動の特徴をまとめる。 支援時間:1~4時間/回 支援者:第一著者 支援対象者:学生6名(20代~40代)、教職員3名(30代~60代) 支援期間:2014年4月~2018年4月 支援活動内容:(1)校内のファミリアリゼーション、歩行指導 (2)随時のキャンパス内の移動 (3)キャンパス生活 (4)歩行支援の休憩時間、あるいは支援の終り時点を利用し、代筆、郵便物の確認、資料読み上げなど 【結果】 支援の特徴:全ての支援対象者は単独歩行経験がある。最初にファミリアリゼーションを支援すると、ほぼ全員がある程度自立して移動できる。しかし、広いキャンパス環境にでは、全部の道を暗記することが難しく、随時支援も必要である。支援ニーズには共通性があり、支援内容が多様であることが特徴であった。支援者と支援対象者は信頼関係を作り、友人関係に移行する傾向もみられた。予定外の支援内容を求められ、予定時間より長くなることも多かった。 【考察・まとめ】 大学キャンパスでの大学生・教職員への歩行支援は、ある程度パターン化できる支援活動と考えられる。しかし、視覚障害者の各自の歩行状況とニーズに合わせ、柔軟な歩行支援を提供することは難しい。   研-P-17. 畳み込みニューラルネットワークを用いた 視覚障害者誘導用ブロックの推定 ○尾山 匡浩 神戸市立工業高等専門学校 【目的】 視覚障害者が街中を安全に歩くためのパートナーとして盲導犬が存在するが,その数は盲導犬を必要としている視覚障害者の数に対して不足している。そこで、盲導犬に取って代わる歩行支援の仕組みが必要であるといえる。このシステムを実現するためのアイデアの1つとして、カメラなど各種センサを用いた周囲の環境情報の提示が考えられる。これは視覚障害者がカメラをはじめとしたセンサ類を装着し、そこから得られた画像や信号に対して標識や看板、信号や人を含む障害物や所望の対象物を画像・信号処理技術で推定し、その種類や位置情報を伝達する方法である。これにより、視覚障害者は周囲の状況を理解しやすくなり、歩行の際の手助けになることが予想される。しかしながら、全てを一括で認識することは難しいため、本研究ではまず視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の検出に焦点を当て、カメラから得た動画像から点字ブロックを自動で抽出する手法について検討する。 【方法】 画像認識をはじめとする分野では深層学習が注目を浴びており、特に大規模画像認識のコンテストでは、深層学習の1つである畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network : CNN)を応用したモデルが次々と提案され、日進月歩で性能が向上している。そこで、本研究でもこのCNNを用いて点字ブロックの抽出が可能か検討する。最終的には小型のPCに実装しリアルタイムに認識が可能か検証する。 【結果・考察・結論】 実際に駅などで撮影した画像を用いてネットワークの学習を行い、評価実験を行った。結果として90%以上の精度で点字ブロックの有無を推定することは可能であった。しかしながら、黄色ではない点字ブロックを誤認識したり、黄色いラインを点字ブロックと認識したりする場合があったため、学習画像を追加させることでより精度の高いシステムにしていきたい。   研-P-18. 変動係数を用いた白杖歩行のベアリング評価に関する一考察 ○門脇 弘樹1)2)、氏間 和仁3)、牟田口 辰己4) 1)広島大学大学院教育学研究科、2)日本学術振興会特別研究員DC 、3)広島大学、4)元広島大学 【目的】 白杖歩行中に生じるベアリングについて客観的に評価し、指導に生かすことが必要である。そこで、本研究では、視覚障害シミュレーションでの白杖歩行のベアリングについて、ベアリング距離と変動係数(Coefficient of Variation;以下,CV)の関係からベアリング評価の一指標を示すことを目的とした。 【方法】 晴眼大学生17名(男性6名,女性11名)に対して、直進歩行実験(16m)を6試行ずつ行った。その際、実験参加者はアイマスクを着用した状態で、白杖歩行を行った。実験中の歩行速度(m/分)は、各実験参加者の通常歩行速度であった。分析は、16m地点でのベアリング距離を計測し、その標準偏差を平均値で割ったCVを実験参加者ごとに算出した。 【結果】 実験参加者のベアリング距離は、平均1.52±1.03mであった。また、 CVを求めた結果、ベアリング距離の平均が0~1mに分布したベアリングの小さい実験参加者のCVは0.4~1.3とその変動に個人差がみられた。一方、ベアリング距離の平均が約3m以上とベアリングの大きい実験参加者は一貫してCVが0.4未満であった。そこで、ベアリング距離とCVの相関係数を求めた結果、相関係数は-0.731であり、有意であった(F(1,15)=17.26, p<.01)。説明率は53.5%であり、両変数の間には強い相関があった。 【考察】 相関係数の結果から、ベアリングの小さい実験参加者はベアリング距離の変動に個人差がある一方で、ベアリングの大きい実験参加者は,CVの変動が小さいことから一貫してベアリングが大きくなる傾向にあると示唆された。つまり、ベアリングが大きいと直進歩行を維持することが難しく、一貫してベアリングが大きくなると推察された。 【結論】 ベアリング距離が大きい実験参加者ほどCVの変動が小さくなることが示された。この点で、ベアリングが大きく生じる者は一貫してベアリングが大きくなるため、指導の工夫が求められる。また、ベアリング評価の一指標としてCVが有効であると考えられた。   研-P-19. 視覚障害者の鉄道ホーム対策としての「声かけ」の実態と評価 ○田邉 泰弘、加治川 千賀子、加藤 俊和 視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会 【目的】 2016年8月の東京の地下鉄銀座線転落死亡事故以降、視覚障害者への「声かけ」のキャンペーンが全国的に幅広く行われている。声かけをする側と受ける側の双方を対象とした調査により、その実態を明らかにする。 【方法】 「声かけ」などについてのアンケート調査を実施し、実際にホームを一人歩きしている視覚障害者119名及びボランティアなど晴眼者443名から回答を得た。調査期間は、2017年7月10日~8月31日、調査方法は、各種メーリングリストへの広報と団体への依頼でメール回答など、調査内容は、視覚障害者は声かけの変化・転落関係・内方線付点字ブロック利用など7項目、晴眼者は声かけした・できなかった・危ないと思ったなど5項目について調査した。 【結果】 2016年の転落事故前と比べて、視覚障害者は「声かけ」が増えた73%、内容がよくなった26%の反面、「困ることも増えた」が23%あった。ボランティアは「声かけをした」は45%であったが、「どこまで手伝ってよいか不明」が16%、「以前声かけして断られ、ためらった」も7%あった。 【考察】 視覚障害者は「声かけ」が増えてありがたく思う人が多い反面、視覚障害者の歩行の状況を配慮しない声かけが多いことも明らかになり、駅員等の声かけに対する意見もかなり多かった。一方、ボランティアも声かけをためらうケースがよくあることも明らかになった。 【結論】 ホームドア未設置駅では「声かけが重要」とされて呼びかけがかなり増加しているが、転落事故防止までの効果は不明であった。なお、「声かけ」は白杖保持者が対象で、補助杖の場合や、白杖不保持の弱視者に対しては行われていない。安全確保のためには複合的な対策が必要なことも示唆する結果となった。   研-P-20. 視覚障害者によるスマートスピーカーの有効性の検証 ○渡辺 哲也1)、松永 秀夫2)、佐藤 喜代美3)、山口 俊光1)、加賀 大嗣1) 1)国立大学法人 新潟大学、2)新潟県視覚障害者福祉協会、3)新潟市視覚障害者福祉協会 【目的】 音声入力だけで操作できるスマートスピーカーが視覚障害者の生活で役立つ場面と利用上の課題を明らかにすることが本研究の目的である。 【方法】 視覚障害者2人が約2週間、自宅及び福祉会館等でスマートスピーカー(Google Home mini)を試用した。その利用歴をもとに、操作・検索の内容と、その操作・検索の成功/不成功を分析した。利用後にアンケートを行った。なお、2人とも著者に含まれており、利用歴の収集と分析に同意している。 【結果】 記録期間内の問いかけ数は1113回、1日当たり平均で76.1回の話しかけ数となった。その内容は主な順に、百科事典的質問19%、スマートスピーカーの操作(音量の調整など)とラジオの操作がいずれも10%、交通情報と地域情報がいずれも8%であった。以下はニュース、時刻、天気、実用情報、スマートスピーカーとの対話、飲食店情報等が続いた。このうち、時刻、天気、スマートスピーカーの操作は成功の割合が高かったが、ラジオの操作ではNHKの放送が未対応、交通情報、地域情報、百科事典的情報は期待した結果が得られないことが多かった。アンケートでは、食べ物のカロリーを答える、時刻を離れた場所から聞ける、音量、ニュースの放送局を音声で変更できる、天気予報をいつでも聞ける点が便利な点として挙げられた。他方で、外国について尋ねると現在位置からの距離を答える、交通情報で乗り換え駅の情報が得られない、飲食店が複数候補あったとき2番目以降を読み上げない、など役立たなかった事例も挙げられた。 【考察】 検索が失敗した理由は、音声認識のエラー、システムの未対応(ラジオ、音楽を聴けないなど)、人工知能が人の発話の意図を理解できなかったことなどが考えられる。 【結論】 スマートスピーカー(Google Home mini)は時刻、天気、ニュースなど限定的な用途では、視覚障害者に役立つと言える。   研-P-21.「障害者差別解消法」施行に伴う施設の対応についての質問紙調査の報告 ○原田 敦史1)、姉崎 久志2)3) 1)堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター、2) 北海点字図書館、3)全国視覚障害者情報提供施設協会 【目的】 平成25年6月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、差別解消法)」が制定された。法律のガイドラインの中では合理的配慮として、視覚障害者への情報提供の際には点字、テキストデータ、音声データ等の提供行うことと具体例が挙げられている。今回の調査は、差別解消法施行から一年が経過し、各施設・団体において視覚障害者向け資料製作の実態に変化があったのかについて調査し、今後の取り組みの参考にすることを目的とする。 【方法】 全国視覚障害者情報提供施設協会の加盟館101館に対してメールで調査票を送信し、メールで回答をしてもらった。調査の期間は2017年8月18日~8月31日であった。 【結果】 回答は81施設・団体からあり、回収率は80.2%であった。自治体直営や指定管理等、柔軟に業務変更ができないところも多いが、差別解消法に絡む行政や事業者からの点字・音声等の製作依頼があった場合は67%が対応しているとし、41%が依頼が増加したと回答した。また、有料か無料かという質問には77%が有料で実施している。資料製作の実施者は職員だけというところは22%で、職員とボランティアで対応しているというところが約3倍の69%であった。 【考察】 資料製作については41%が増加したと答えており、その点については法律が有効に機能していると思われた。資料製作以外にも誘導ブロックの敷設や視覚障害者の接し方など幅広い相談が寄せられていることも明らかとなった。一方で対価については十分な配慮がされておらず、ボランティアが無償で担っている実態も明らかとなった。法律に伴う合理的配慮の実施であれば、製作に伴う対価、経費を算出していくことが必要だと思われた。   活-P-22.「堺市点訳ボランティアひかりの会」における点訳自動化の 取り組みについて ○安山 周平1)、原田 敦史1)、原田 稔2)、王田 桂子1) 1)堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター、2)堺市点訳ボランティアひかりの会 【はじめに】 堺市立健康福祉プラザ内「視覚・聴覚障害者センター」を拠点に活動する「堺市点訳ボランティアひかりの会」(以下、「ひかりの会」)の中に、点訳自動化を推進するチーム「夢点(ゆめてん)」がある。本発表ではその活動を紹介し、点訳自動化の現状と課題について報告する。 【活動概要】 「ひかりの会」ではパソコン点訳を基本とし、87名の会員が活動している。点訳図書一冊の完成に必要な期間はおおよそ10か月で、近年は年間約85冊の図書・雑誌を製作している。 その中で「夢点」というチームは、6年前から点訳の自動化に取り組み始め、現在8名が所属する。そのうち7名は10年以上の点訳経験者である。他チームとの違いは、OCRで作成したテキストデータと自動点訳ソフトを用いることである。 【現状と課題】 自動点訳ソフトによる「分かち書き」の精度は完全とはいえず、スタート当初は校正に要する時間や回数が増加していた。それでもOCRとの組み合わせにより入力作業を減少でき、点訳図書の完成期間を約2か月短縮するにいたった。その結果、製作数はスタート当初の3冊から17年度は10冊にまで増加した。また、昨年から書籍の断裁を必要としない非接触式OCRを導入したことで、今後、対応可能な書籍の増加が見込まれる。ただテキストデータの修正と、それを点字変換したデータの校正という作業は、従来の点訳方法で考えると必要のない作業で、この作業に慣れるとともに精度を高めていく必要がある。 【まとめ】 OCRの過程で作成されたテキストデータは、テキストデイジーなど他の情報提供手段にも活用でき、点訳だけするよりも広がりがある。今後は発生しやすい間違いを蓄積していき、いかに効率的に修正・校正時間を短縮するかが課題と考えている。ICTの発達は目覚ましいものがあり、様々な機器やソフトを組み合わせることにより速いペースで点訳図書を増やしていきたい。   研-P-23. 視覚障害者が理解しやすい「手で触って観る」シンボルマークの 開発と制作 ○安田 輝男1)2)、市川 あゆみ1)、安田 孝子2)、飯塚 潤一1) 1)国立大学法人 筑波技術大学、2)触覚伝達デザイン研究会 【目的】 我々は、2002年以来、美術作品(絵画、写真、デザイン)を「カプセルペーパー」で触図化することで、視覚障害者にも手で触って鑑賞できる「触って観る」アートを作成してきた。今回報告する「手で触って観る」シンボルマークは、視覚障害者がシンボルマーク、サイン等も手で触って理解することが期待できると考えて制作した。 【方法】 「障害者のための国際シンボルマーク」「盲人のための国際シンボルマーク」「身体障害者マーク」「聴覚障害者マーク」「ほじょ犬マーク」「オストメイトマーク(人工肛門・人工膀胱をもつ人を示す)」「ハート・プラスマーク(内臓に障害のある人を示す)」等を「カプセルペーパー」で触図化し、「手で触って観る」シンボルマークを作成。その際、必要であれば触って理解しやすいように原画に修正(わかりやすくするために、黒色で輪郭やストライプ、ドット等を描く等)を施す(この場合、原画の作者の了解を得る)。 【結果】 上記の「手で触って観る」シンボルマークを、茨城県庁主催「いきいき茨城ゆめ国体・いきいき茨城ゆめ大会 開催600日前イベントいっしょに行こう茨城国体茨城大会」の「触れるアート~ユニバーサル社会へ向けた絵画・写真展」等で展示し、視覚に障害のある人に実際に手で触って鑑賞してもらい、ヒアリングした結果、「わかりやすい」「触って楽しい」等の意見や感想を得た。 【考察】 上記の結果を得たので、今後は、パラリンピックの競技マークや、会場のサイン、シンボルマーク等も立体化(触図化)して、誰もが理解できる「ユニバーサル・シンボルマーク」の研究・普及を進めていきたい。   研-P-24. 山地や県の形がリアルな立体県別日本地図の製作とその有用性の検討 ○細川 陽一1)、萩 達也2) 1)名古屋工業大学大学院工学研究科、2)名古屋工業大学技術部装置開発課 【目的】 触地図は各地方で縮尺が異なり、大きさの関係性が理解しにくく、形も明瞭ではない。また等高線による高さの把握も困難である。これらを解決するために、各県が個別に分かれ、山地や県の実際に近い形が触って観察できるような立体地図を製作し、その有用性について検討した。 【方法】 地図は縮尺108万分の1、高さを約5倍に強調した各県のデータを用意し、材料ABSプラスチック、マシニングセンターにより切削加工した。各県は地域毎に取り外しができるよう磁石でアクリル板に固定し、さらに縦横1.8mのスチレンボードに固定した。盲学校の文化祭等で展示し、視覚障害者18名(小学生~60歳代)が観察した際の内省を聴取した。 【結果】 県の形がはっきりしていて分かりやすく、磁石で取り外せるため県の位置関係が理解しやすいという意見が大半であった。大きさと位置に関する意見:大都市圏は人口密度が高いことは理解していたが、他の県と比較すると思いの外小さいことに驚いた(全盲大学生)。地図帳でははっきりした形が分からなかったが、立体物を触りながら見るとその形が明瞭となった(弱視20歳代)。高さに関する意見:掌で広い地域を触り、日本は山が多く、平地が少ないことを実感した(全盲中学生)。関東平野は広く、江戸幕府が置かれたことが納得できた(全盲50歳代)。 【考察】 全盲者は県の形や位置関係の理解が深まるとともに、平地や山地など高さの関係についても把握でき、また弱視者は見るだけでなく、触ることにより視覚情報を補完しながら理解を深められたことが示唆された。晴眼者も積極的に触察し、不明瞭な箇所の確認をする様子が観察された。 【結論】 情報を精選した地図は、地図学習の初期では有用であるが、本地図は視覚障害者の地図学習の理解を深め、未習得な高さの関係についても学習できる教材であることが明らかとなった。   研-P-25. イタリアにおける視覚障害者の美術鑑賞への取組 ○大内 進1)、大内 紀彦2)、藤原 紀子3) 1)国立特別支援教育総合研究所、2)神奈川県立高津特別支援学校、3)手と目でみる教材ライブラリー 【目的】 イタリアにおける視覚障害者の美術鑑賞への近年の取組について、文献や現地での美術館での聞き取り調査に基づいて明らかにする。 【方法】 イタリア国内における視覚障害者のための美術鑑賞に関する資料、及び視覚障害者を対象とした美術館と視覚障害者の鑑賞に積極的に取り組んでいる一般美術館の学芸員やスタッフからの聞き取りにより、視覚障害者の美術作品鑑賞への取り組みについて整理分析する。 【結果】 イタリアには、視覚障害者のための美術館が2館設立されている。1館は国立の機関として位置づけられ、国内外の著名な彫刻作品のレプリカや建築模型を展示し、全展示品が制約なく触察可能であった。もう1館は、絵画を半立体的に翻案した「さわる絵」を開発し展示していた。触察により図像をとらえ、言語情報の補完により視覚障害者の絵画鑑賞を支援していた。一般向けの美術館については、ローマ、フィレンツェ、ミラノ等の地域を対象に事例的に情報を収集することができ、著名な絵画には「さわる絵」を併置する館が増えていた。視覚障害者専門の美術館と連携した研修などにより学芸員の専門性の向上に努めるなど、「質的」側面を重視した取組も行われていた。 【考察】 イタリアでは、障害者の社会的統合が浸透しており、障害児学校の全廃、精神病院の廃止などが断行されている。こうした機運の醸成が、視覚障害者の美術鑑賞の機会の保障とその質的向上にも波及している。視覚障害当事者の意欲や関心も高く、そのことにより視覚障害者専門の美術館の開設に至ったといえる。一般の美術館も積極的に対応しているが、自然体で且つ当たり前のこととして障害者対応がなされているところにイタリアの特徴が看取できる。 【結論】 日常生活の場面で美術作品に接する機会は多く、その享受は視覚障害者の生活の質の向上に影響する。こうした観点からイタリアの取り組みから示唆を受けるところが大きい。   活-P-26. 視覚に障害があっても使いやすいe-Learningシステム「まなびシート」 ○金堀 利洋1)、飯塚 潤一1)、早川 楽2) 1)国立大学法人 筑波技術大学、2)アンザスインターナショナル株式会社 【目的】 現在、大学をはじめとする高等教育機関の過半数以上でe-Learningシステムが導入されているが、メニュー画面が複雑であったり、スクリーンリーダーでは読めない個所があったりして、視覚障害学生には利用できないことが多い。そこで、市販のe-Learningシステムの視覚障害対応を行う。 【課題】 既存のシステムの多くは非常に多くの機能があり、Webページ上にさまざまなボタンや表示ボックスなどが配置され、一目でそれらを把握できるようになっている。しかし、弱視学生が使用する際、複雑な画面構成だと、現在拡大している場所がページのどの部分か見失ったり、読みたい項目が見つからなかったり、目を通す必要のある情報の存在に気がつかなかったりするなど、単に1ページ上から必要な箇所の情報を読むだけでも大変な手間がかかる。 【方法】 この問題に対して我々は、アンザスインターナショナル株式会社の「まなびシート」のアクセシビリティ機能強化を、共同開発という形で行っている。今回、スクリーンリーダーでの使用を想定し、以下の改善を行なった。(1)キーボードで、全ての機能にアクセスできること。(2)画面の動的書き換えによって、現在のフォーカス(居場所)が変わることがないこと。(3)書き換えられた内容にアクセスできること。(4)少ない操作で必要な情報が得られること。 【結果と考察】 今回、ITパスポートの過去問とTOEIC模擬試験問題をコンテンツとして対応し、筑波技術大学の視覚障害学生数名に対して、試行してもらった。その結果、弱視学生には画面が見やすく、操作がわかりやすい、全盲学生にはスクリーンリーダーで全ての項目を読み上げ、操作もキーボードだけでできる、必要な項目をストレスなく選択できる、などの評価を得た。今後は、障害特性に合わせた、見やすい色やレイアウトの設定や、複雑な数式の読み上げへの対応を行っていく予定である。   活-P-27. アクセシブルなe-Learningシステム「まなびシート」の コンテンツ作成支援機能 ○早川 楽1)、金堀 利洋2)、飯塚 潤一2) 1)アンザスインターナショナル株式会社、2)国立大学法人 筑波技術大学 【目的】 近年の、e-Learningシステムの高機能化により、多様なコンテンツ作成が可能になったが、教員のシステムの操作の習得にかかる負担が大幅に増加している。特に視覚に障害がある場合、この負担は非常に大きなものとなる。我々は視覚に障害がある教員でも、使い慣れたアプリケーションから問題を容易に作成できるシステムを開発する。 【課題】 現在、e-Learningシステムでは、選択問題・穴埋め問題・作文など様々な形式の問題作成が可能なものが多く、そのために、多くの情報・設定を入力する必要がある。単純な問題を作成する場合であっても、必要な項目を設定するのは視覚に障害のある教員にとって、大きな負担となっている。また、視覚に障害がなくても、PCの操作に不慣れな教員にとっては大きな負担となる。 【方法】 この問題に対して我々は、「まなびシート」のアクセシビリティ機能強化を、視覚障害学生の教育にノウハウを有する『筑波技術大学』と共同開発という形で行っている。今回は、作成するコンテンツを資格・技能試験でよく用いられている選択問題に絞り、コンテンツ作成を容易にするために外部のアプリケーションとの連携機能の追加を行った。まず「まなびシート」側にAPIを実装し、外部からの操作を可能にした。次に、外部アプリケーションとしてExcelに必要項目(問題文/選択肢群/正解など)を表形式で記入したファイルを作成し、APIを利用して一括して「まなびシート」に流し込むことで問題を作成することとした。 【結果と考察】 筑波技術大学に勤務する弱視の教員にExcelで問題を作成してもらい、それを今回のAPIを用いて、一括して「まなびシート」に流し込み、問題が容易に作成することができた。今後はWordや、テキストファイルで問題を作成できるようAPIを改良する。これにより問題作成がより効率的に作成できることが期待される。   研-P-28. データ保護や試験における機能制限を考慮した 教科書・教材閲覧アプリの改良 ○中野 泰志1)、氏間 和仁2)、田中 良広3)、永井 伸幸4)、三科 聡子4)、韓 星民5)  1)慶應義塾大学、2)広島大学、3)帝京平成大学、4)宮城教育大学、6)福岡教育大学 【目的】 平成31年度からタブレット端末等を活用したデジタル教科書を視覚障害のある小中高校生が教育課程の全てで使用できることになった(文部科学省、 2017)。そのため、デジタル教科書やタブレット端末等のデジタルデバイスに対する関心が高まってきているが、教育現場では導入に慎重な意見も見られる。そこで、本研究では、教科書・教材閲覧アプリ「UDブラウザ(UDB)」(中野ら、 2016)にデータ保護や試験における機能制限を付加し、その有効性について調査した。 【方法】 UDBにデータ保護と不正利用を防止する機能を付加し、32桁のパスワードで保護した教科書データ(PDF版拡大教科書)と共に、25校の盲学校に在籍しているロービジョン生徒103人、担当教員223人に配布した(延べ924冊の教科書を提供)。約6ヶ月の試用後、安心感や利便性等に関するアンケート調査を実施した。なお、本研究は、研究倫理委員会の審査及び対象者の合意を得たうえで実施した。 【結果】 生徒調査は97人(94.2%)、教員調査は223人(100.0%)、学校調査は25校(100.0%)から有効回答が得られた。セキュリティが向上したことで安心感が向上したと回答した学校は76.0%であった。また、生徒の91.8%が、教員の87.9%がUDBの継続利用を希望していた。 【考察】 デジタルデータは容易に複製が出来るため目的外利用の危険性があるし、デジタルデバイスを試験等に用いると辞書検索等が不正に行われる可能性があることが不安要因になっている。本研究で開発した改良版UDBとパスワード付きPDF版拡大教科書は、これらのセキュリティに関する不安を低下させつつも、利用者の利便性は低下させないことがわかった。 【結論】 改良版UDBとパスワード付きPDF版拡大教科書は、データ流出や不正利用等の不安を解消でき、なおかつ、利用者には有効活用できることがわかった。   活-P-29.「触れて視る・触れて読む・触れて味わえる」点字ポストカード制作に あたって ○西村 亜希子1)、武田 暢博2) 1)福岡市立心身がい福祉センター(あいあいセンター)、2)フリーランス詩画作家 【目的】 フリーランスとして活躍されている詩画作家、武田氏との出会いから、視覚障害者にも詩画を味わえるよう点字をつけたポストカードを作成した。その点字ポストカードが視覚障害者へ与えた印象、制作したことに対しての反応が予想以上の効果であったため、その内容と有効性、これからの課題について報告する。 【方法】 点字ポストカードは詩画作家武田氏が制作。ポストカードには季節を感じる言葉を添え、文字は点字で、イラストは書いた線が暖めると浮き出るペンを使用した。イラストは複雑さを避け、触ってイメージしやすいようシンプルさを心掛けながら作成した。この広報と案内は、西村が当事者団体に依頼しメーリングリストで広めてもらった。 【結果】 約70枚、17種類の点字ポストカードが完成。6日間の個展中、視覚障害者と支援者は約40名、一般来場者は約370名であった。点字ポストカードはほぼ完売し、一般の方の購入もあった。また、点字なしのポストカードにも興味をもち、展示されている全ての詩画作品を支援者から読み上げ、説明を聞く姿も見られた。点字ポストカードのイラストはシンプルなもの、季節感のある作品が好評であった。来場した視覚障害者から「実際に触れて味わえた」「ポストカードはどんなものか楽しみだった」等の感想があり、連日来場した視覚障害者もいた。またポストカード以外に点字の絵画や絵本の依頼もあった。 【考察】 点字なしの詩画作品も、声に出し読み上げることで、作品をイメージしやすいことがわかり、今後は詩画作品や絵画にも点字を打ち、触って味わえるよう改善していきたい。今回の点字ポストカードの制作と展示は、視覚障害者が普段とは違う楽しみを持って外出する機会を提供できQOL向上に繋がったと実感した。今後もこのような取り組みを継続し、努めていきたい。   活-P-30. ロービジョン・ブラインド川柳コンクールのご報告 ○神田 信1)、梶谷 政志1)、中村 成美2)、 影山 正樹1) 1)株式会社三城、2)株式会社三城ホールディングス ロービジョン・ブラインド川柳コンクール 目的:川柳を通して視覚障害に関する理解や共感を深めること 主催:株式会社三城 後援:公益社団法人NEXTVISION 協力団体:視覚障害リハビリテーション協会、日盲連、中途視覚障害の就労を考える タートル、JRPS、日本盲導犬協会、色覚障害のカラーユニバーサルデザイン機構、当時者だけでなく1,000人以上の健常伴走者が登録するランニングのバンバンクラブ その他にも多くの団体や個人の協力をいただいた。 応募期間:2017年12月1日~2018年1月31日 応募総数:1970句 応募部門:(1)見えにくさを感じている方部門:ロービジョン・ブラインド・色覚障害・盲ろうの当事者 (2)メディカル・トレーナー部門:医療関係者、訓練施設職員等 (3)サポーター部門:家族、友達、職場関係者、ヘルパー等 2018年3月に入選作品100句をホームページと神戸アイセンター ビジョンパークにて展示掲載した。さらに入選作品の中から優秀作品5句を選出し、神戸アイセンター ビジョンパークにて発表と表彰式を開催した。 作品はそれぞれの立場から視覚障害を捉えた興味深い内容であった。当事者からは、困り事、失敗談、症状、虚しさを詠んだ句がある一方で、残存視力や他の感覚器官の活用、白杖、スマホ、盲導犬、人の優しさ、病気の受容、医療、ICTへの期待や夢を詠んだ句も多くあった。メディカル・トレーナー部門、サポーター部門においては、それぞれの立場や視点で視覚障害者を描写し、ウイットにとんだ句が集まった。それら一部の作品をポスターにて発表を行う。   活-P-31. チャレンジド・ヨガ~視覚障がいの方のヨガ~ -発見そして自立- ○﨑元 宏美1)2)、太田 幸子3)、 松石 琴代4)、井口 貴子5)6)7) 、高平 千世8)9)、澤崎 弘美10)、佐藤 友見4)11)、城谷 直人11)12) 1)チャレンジド・ヨガ関西代表、2)スマイルスペース代表、3)視能訓練士、4)ヨガインストラクター、5)BELLE VIEメディカルハーバルセラピスト、6)アロマテラピーアドバイザー、7)アロマブレンドデザイナー、8)チャレンジド・ヨガ代表、9)国立障害者リハビリテーションセンター、10)いけがみ眼科整形外科、11)チャレンジド・ヨガ、12)江戸川区視覚障害者福祉協会 【はじめに】 「やってみたいな、ヨガ…」視覚障がいの方の一言から、5年前、埼玉で誕生した。現在では全国12か所で定期開催され、昨年には関西初となる神戸クラスが2か所でスタートした。関西初の活動にスポットを当て、参加者、サポーター双方の身体と心の変化を考察する。 【方法】 実績調査及び継続参加者・サポーターへのヒアリング調査を実施した。 【結果】 参加人数及びクラス数は共に増加している。当事者からは、睡眠の質や体質の改善を実感し、仲間との楽しい貴重な時間になっているとの回答が得られた。また自主的に交流会を企画し、他スポーツや就労の挑戦など積極的な行動への変化がみられた。晴眼者サポーターからは、目を閉じヨガを体験するなど視覚障がいに対する理解を深める行動がみられた。 【考察】 視覚障がい者が求めている活動であり、自立を促す活動であると考える。障がいの有無に関係なく、誰もが身体一つで行えるヨガに安心・安全への配慮が加わることで、できるという達成感と自信が生まれ、繋がりや交流を大切にする独自のスタイルが、継続に導いていると考える。また、提供する側・される側という意識が徐々に薄れ、共に創っていく活動へと変化している。県外の参加者も多く、身体を動かしたいと願う方が多い反面、受け入れる環境が少ない事も感じる。今後、関西地域で支援団体等との繋がりを深め、勉強会・イベントの機会を創る必要性を感じている。 【おわりに】(ヨガの視点から) ヨガの語源はYuj ユジュ=繋がる であり、ヨガの定義は「本来の自分を取り戻す」ことである。ヨガを通じて、本来の自分自身の「発見と自立」へと繋がると考える。呼吸やポーズで自身の身体と心に向き合う事となり、サットサンガ(善きものの集まり)に参加する事で、自身を肯定し、他者を思いやる心が芽生え、本来の力に気づき・発揮し、自然に共に創る地域コミュニティへと変化する姿は、社会が目指す縮図と言える。   活-P-32. 余暇活動分科会(通称:RLS)活動報告 ○岡島 喜謙1)、金平 景介2)、小林 幸一郎3)、橋本 伸子4)、和田 浩一5) 1)福井県立盲学校、2)高知県身体障害者連合会、3)NPO法人 モンキーマジック、4)しらお眼科、5)公益財団法人NEXT VISION 見えない・見えにくい方が、毎日の生活をより楽しく豊かに有意義に過ごせるように、余暇活動について考えることを目的とした余暇活動分科会をたちあげ、2017年8月より活動を開始した。通称はRLS(Recreation Life Style)である。 視覚障害者が抱える問題として、医療や就労、福祉などがとりあげられることが多いが、より生活を豊かにするという意味で、余暇活動の充実も避けて通ることはできない。 現在でも全国には見えない・見えにくい方が参加する多くの余暇活動がある。しかし、それらは個々の団体や個人によって行われている場合も多く、積極的に情報発信を行っている一部の活動を除き、あまり知られていないものも多い。また情報収集に困難を抱える視覚障害者の場合、それらの情報にたどりつくことはより困難であると考えられる。さらに、見え方や環境によって外出が困難だったり、近くに集まる場所がなかったりする場合もある。 これらのことを踏まえ、多くの人が人生をより楽しむことができるよう、余暇活動についての情報収集と発信、また新たな余暇活動の提案などを行っていきたい。 現在は、日本全国の余暇活動を地図やリストで表示するレクマップ作成のための情報収集や、おすすめのラジオ番組、ゲームの情報などについて情報交換を行っている。 まだはじまったばかりの分科会のため、今回の活動報告をきっかけに、多くの方にRLSの存在を知っていただき、今後の活動へとつなげていきたい。   活-P-33. メイク技術獲得のために~メイク室の挑戦~ ○飯山 知子1)2)、川越 利信2)、赤堀 浩敬2)、岡田 太丞2)、石川 佳子2) 1)神戸アイライト協会、2)日本盲人会連合メイクアップ推進協議会 【目的】 女性の社会参加においてメイクを必要とする人は多いが、視覚障害ゆえの困難や意欲喪失がある。自信を持って単独でメイクできるようになることを自己実現の一つと考え、自分らしさを表現するためのメイク技術の獲得方法を模索する。 【方法】 日本盲人会連合主催のメイクアップセミナーを開催する。セミナーの前後に受講者から感想や意見を聴取する。リハビリテーション関係者からリハビリテーションの一環としてのメイクについての意見を聴取する。 【結果】 受講直後はメイクに対する意欲がわいたが、一人でのメイクは難しく多くの方が限界を感じていた。その困難は一人一人違ったものであり、現在の環境と今までの経験が大きく影響していることがわかった。一人でメイクできるようになるために、その人に必要なフォローアップの環境が必要である。フォローアップの一つとして相談対面式のメイク室を開設し、本人のメイク道具による相談や購入前のトライアル対応に取り組んだ。メイク室を開設するメリットは、個人のプライバシーが守られることと、施設の開館日であれば予約の必要なく比較的気軽にその機会を提供できることである。利用状況からメイク室開設で一定の効果が得られた。一方、個別相談ではモチベーションの維持は難しく、今後はメイクに関心のある当事者の情報交換会「メイクサロン」が必要である。 【考察】 自分らしさを表現する為のメイクを一人でできるようになる為には、段階に応じた課題への取り組み・個別での対応、モチベーションを持続させるための環境づくりが必要である。メイクは女性のQOLに関わるものであることから視覚リハビリテーションの一環として取り組む必要があり、これらの環境をメイクセミナー開催地の全てに展開していくことがこれからの課題の一つと考える。   活-P-34. 視覚障害者ケアメイク講習会から得られたもの ○坂部 司、髙栁 泰世、山本 潔、古澤 葉子 NPO法人愛知視覚障害者援護促進協議会 【目的】 愛知視覚障害者援護促進協議会は2015(平成27)年6月に、創立35周年記念事業「ロービジョンフェア」の一つとして教育講座を開催した。その講座の中で「ブラインドメイクー貴女の美しさを磨くための化粧法―」というテーマで日本ケアメイク協会から講師を招聘しご講演をいただいた。この講座をきっかけに『視覚障害者が「鏡を使わずに化粧が自分でできる」ことを学習して、積極的な社会参加を促進する足がかりとする』ことを目的として、「視覚障害者ケアメイク講習会」を開催することとした。 【活動内容】 この講習会は、講師を日本ケアメイク協会に依頼し、受講者の視覚障害者は本会理事であるそれぞれの施設・団体から募った。視覚障害者に関わる人たち・興味のある方の見学は自由とし、家族・医療関係者・教職員の参加も募った。平成29年3月から平成30年2月までに4回(延べ11回)開催して、15名(延べ38名)が受講した。居住地は名古屋市、北名古屋市、岡崎市、蒲郡市、額田郡、長久手市、常滑市であった。年齢は19歳から75歳で平均年齢は45歳であった。見学者は家族2名、医療関係者9名、教職員2名、一般2名が参加した。 【成果】 受講者からの感想は、「洗顔の大切さが理解できた」「手のひら・指で肌を触れることの大切さが理解できた」「今までの方法が間違っていたことに気付いた」「化粧をする楽しみが湧いてきた」などであった。見学者からの感想は「私たちが眼となって現状を伝える大切さがわかった」「顔の表情が明るくなった」などであった。 【考察】 化粧をすることにより、視覚障害者の心理面の安定と外出への意欲が向上した。また、家族や医療従事者は現状を伝えることの大切さが理解できた。このことにより相互のQOLの向上を図ることができ、「化粧」がリハビリテーションとして大きな役割を担っていることが、この講習会から得ることができた。   研-P-35. 視覚障がい者向けセルフメイクセミナー ○野田 あさ子、上坪 理紗 株式会社ファンケル 【目的】 ファンケルの創業理念は「不の解消」である。視覚に障がいのある方の「不便」や「不安」の解消のため「視覚障がい者向けメイクセミナー」が生まれた。視覚障がいのある方にもメイクの楽しさを知っていただき、自信を持って積極的に社会活動に参加できるよう、セミナーを開催している。 【方法】 受講者が、ご自宅でも再現できるように、受け身のメイクサービスではなく、ご自身が実践できるメイクセミナー形式にしている。「見え方、どのようなイメージになりたいか、普段メイクで困っていること」を事前に聞き取りシートでヒアリングすることで、パーソナルな要望に応えることを実現している。2014年2月から2018年3月末までに、25回開催し、約300名様参加。また「第23回視覚リハP-44」で発表された眉メイク技術の試案を改良した手法を開発し、全盲の方でも眉メイクができるよう支援している。 【結果】 身だしなみとして求められるメイクが、自分でできるようになることで、たくさんの笑顔が広がっている。 第10回神奈川県バリアフリー街づくり賞 『ソフト部門』受賞 <受講者の声> ・道具を使うのではなく、一番信頼できる自分の指を使うので、安心してメイクができる。 ・自分に似合うファンデーション・アイカラー・チーク・リップの色を教えてもらえてよかった。 ・メイクの仕方だけでなく、メイクの機能もわかり、自分に必要なものはどれなのか情報を得ることができた。 ・授業参観にメイクをして行ったら、子どもから「ママがキレイだった」と言われ、嬉しくて涙がでた。 【考察】 美容に関する情報が入りにくいという「不便」もあるため、美容情報の配信にも協力していきたい。参加者から要望の多い、視覚障がい者のメイク方法をテキスト化し、公開することを検討したい。 【結論】 メイクができるようになることで、積極的に社会活動に参加するなど、QOLを高めることができるため、今後も視覚障がい者向けメイクセミナーを実施していく。   研-P-36. 眉メイク技術の試案 Ver.2 ○道面 由利香1)、野田 あさ子2)、上坪 理紗2)、小倉 芳枝3) 1)横浜訓盲院生活訓練センター、2)株式会社ファンケル、3) 東京ヘレン・ケラー協会点字図書館 【目的】 2014年に視覚に障害を持つ人が眉を書く方法の試案を報告した。その方法として、眉毛が薄い人にはテンプレートを使うことを提案したが、「いかにテンプレートをずれなく当てられるかが最大のポイントである」(道面ほか,2014)という問題があり、その原因としてテンプレートとして使用したクリアフォルダが、顔にフィットしない素材だった事が挙げられた。それから数年経過してシリコーン素材のフェイスマスクが手に入るようになり、素材の問題が改善したので再度テンプレートを作成することを試みた。加えて、眉を書くだけではなく、眉毛の手入れ用としても利用できることがわかったのでその報告を行う。 【方法】 シリコーン素材のフェイスマスクで作成したテンプレートを使って、1)眉毛が薄い人には、眉を書いてもらい、2)眉毛が濃すぎて減らしたい人には、眉を整えてもらうことを行った。 【結果】 数回の練習で毎回同じ位置でテンプレートを付けることができるようになり、1)眉を書くこと、または2)眉を整えることができた。 【考察】 テンプレートがずれてしまって同じ位置に眉を書けないというかつての問題点は、シリコーン素材のフェイスマスクを利用することで、解決することができた。フェイスマスク自体は、どこでも安価に入手でき、既に顔の形になっているので対象者の眉に合わせて切り抜くだけで簡単に作成することができる点も改良されている。また、誰がテンプレートを作成するかという点についても身だしなみセミナーを行っている企業の協力を得られることになり改善があった。実際に眉を書くとき、「テンプレートの下にペン先が入り込んでしまう」など(道面ほか,2014)の問題点は依然残されており、眉を書くときの技術は引き続き検討が必要である。 【結論】 眉メイクにテンプレートを使うことは有用であると考えられる。   研-P-37. 中国人による「ブラインドメイク・プログラム」の評価研究 ○黄 晶晶1)、辻 圭輔2)、大石 華法3) 1)青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科、2)日本福祉大学大学院 社会福祉研究科、3)日本福祉大学大学院 福祉社会開発研究科 【目的】 視覚障害者に向けた鏡を使用せず自分で化粧ができる技法ブラインドメイク・プログラムが日本で2010年に開発され、日本の視覚障害者に普及されている。2017年から中国の視覚障害者にもプログラム・プログラム(以下「ブラインドメイク」という)を取り入れたい要請があった。しかし、現在のブラインドメイクは日本人に向けた化粧技法であるため、中国人に向けた化粧技法にアレンジする必要があるのではないかと考えた。そこで本研究では、化粧に関する専門知見のある中国人を対象とし、中国の視覚障害者の心理ケアや外出支援につなげることに期待し、ブラインドメイクが中国の視覚障害者に向けた化粧技法プログラムになりうるかどうかの評価することを目的とした。 【方法】 対象者は中国人(JMA1級検定取得・講師)。日本の視覚障害者5名にブラインドメイクで化粧を行ってもらい、日本メイクアップ技術検定協会セルフメイク・ジャッジ表(以下「評価表」という)を基にした中国版を使用し、合否の判断を行うスコアー分析を行った。 【結果】 日本人の視覚障害者に向けたブラインドメイクは、中国人の視覚障害者に向けた化粧技法のプログラムになり得ると評価された。ただし、中国人はマスカラをする人がほとんどいないため、プログラムから省くことを前提とした。 【考察】 ブラインドメイクの化粧技法は、自分の手指を使用した化粧技法であるため、化粧道具の使用方法について評価不可であった。しかし、完成時の審美性が高い評価をうることができたため合格に至った。これらから評価表そのものを見直す必要があることがわかった。 【結論】 日本人の視覚障害者に向けたブラインドメイクは、中国人の視覚障害者に向けた化粧技法プログラムとしてなりうると示唆された。今後は、ブラインドメイクそのものを評価するための評価表が必要となる。また、中国における化粧事情やニーズ調査も行う必要がある。   活-P-38. 鹿児島心の健康講座 実践報告Vol. 6 ○良久 万里子1)、田中 桂子2)3)、斉之平 真弓4)、川野 太郎5) 1)鹿児島県視聴覚障害者情報センター、2)神戸市立神戸アイセンター病院、3)橋村メンタルクリニック、4)鹿児島大学病院、5)鹿児島生協病院 【はじめに】 「鹿児島心の健康講座」は、視覚リハ担当者と心理カウンセラーが協働し、視覚障害者およびその家族、支援者を対象として、彼らのメンタルヘルス維持を目的とし、平成24年度から実施している。回を重ねる度に他分野の専門職との連携・協働による講座も実施できるようになってきた。ここではVol.5以降の実施分を報告する。 【内容】 1. 視覚障害者・家族を含む総合的支援 *医療機関に繋いだり、視覚障害者対象の講座への参加を促したりしつつ、継続して支援している。 2. 支援者対象の講座の実施 *盲ろう者通訳・介助員養成講習会(出張講座・姶良市)において「視覚障害者の心理」「活動する前に知っておいて欲しいこと」「支援者のメンタルヘルス」の単元を心理カウンセラーが担当。 3. 視覚障害者対象の講座の実施「災害時の食を考える」 *災害時の対応を学ぶことで、災害に対するストレスを最小限に減らす工夫を考えた。 4. 他分野の専門職との連携・協働による、視覚障害者対象の講座の実施「視覚障害女性のためのメイクアップ教室」「なぁんちゃっておもてなし料理教室」「チャレンジドヨガ教室」 *視覚障害を理由にあきらめていたことにチャレンジすることで、日常生活の中に潤いを見いだし、自分自身で心のケアができるようになることを目指した。 【今後の展望】 視覚障害者対象の講座に関し、これまで取り組んだことがない分野(住環境、精神医学など)の専門家を講師に迎え、視覚障害者が、自分たちの生活を豊かにするアイディアやスキルを身につけられるような講座を企画する。   活-P-39. 青年層のつながり重ねて16年 自分事(じぶんごと)きららの実践 ○的場 孝至、石川 佳子、河村 優子、三ツ井 直樹 視覚障害者ネットワーク きららの会 【目的】 2001年12月、「同じ眼の病気を持つ人同士、若い世代ならではの思いを分かち合える場所がほしい」という思いから網膜色素変性症の青年層メンバーによりきららの会は発足した。20代から40代の同世代交流を通じて、学校生活、仕事、恋愛、子育て、趣味、余暇など日常生活のあらゆる場面で遭遇する見えない・見えにくいゆえの困難と工夫を共有することで、明日を描く力を分かち合う。 【方法】 多様な障害歴・眼疾患のメンバーが入会。多面的テーマにて交流会を実施。参加者ニーズを企画に反映し、関心の高い企画は定番企画として担当スタッフが運営。他団体との共催(京視協青年部、職業部、きんきビジョンサポート)。視覚リハ施設、当事者団体のスタッフとの横断的連携による個別相談とマッチング対応。メーリングリスト、HP、チラシ活用。 【結果】 2017年度活動実績:京阪神を中心に年13回の交流会を実施、74名が参加、年間総参加者216名、新規入会13名。メーリングリスト登録者169アドレス(2018年3月現在)。参加者コメント:きららは私にとっての居場所。仲間の前向きな気持ちや生活の工夫は新鮮。失敗談、おしゃれの話、きららでならできる。友達が増え、視野もひろがった。何もできないと思っていたことがもったいなかった。自分だけじゃないんだ、一歩前に出るきっかけに。 【考察】 視覚リハ、当事者団体スタッフとの横断的連携により、若い世代ならではの苦悩を抱える人につながることが、地域を越えて可能となった。個人の抱える課題に向き合う対応から、早期に明日への自分を描くヒントにつながっている。自分事きららの実践から自己実現の機会を獲得できる。直接出会い、語り合う中での居場所づくりから主体的な活動意欲も生まれ、継続的参加者も増えている。SNSによる交流の場も多様化するなか、顔の見える交流の中でこそ障害の段階的変化に伴う共感の場を提供することができると考える。   活-P-40. 視覚障害児の親支援に求められるコーディネートについて ○奈良 里紗1)、増田 雄亮1)、岩池 優希1)、上杉 相良1)、小沢 素子2)、鈴木 みち子2)、細川 陽一2) 1)視覚障がい者ライフサポート機構“viwa”、2)愛知県立名古屋盲学校 【目的】 視覚障害児の親支援に求められるコーディネーションについて明らかにする。 【方法】 2018年3月に神戸アイセンタービジョンパークで実施した「パパママ会」に参加した4家族を対象に、支援者、参加者間にどのようなコーディネーションが行われたのかを分析した。 【結果と考察】 1. 親同士のつながりのコーディネーション:A盲学校に子どもが在籍する母親Aは、「親同士のつながりを作りたい」というニーズがあった。そこで、同県内在住の母親Bを紹介することで、母親同士で情報交換をしていた。このように、親同士のつながりをコーディネーションする場が求められている。 2. 親と当事者とのつながりをコーディネーション:親は視覚障害児を育てることに対してさまざまな不安を有している。当事者が親の不安を聞き、例えば、兄弟との関わり方、遊びや玩具について、就学、就労、結婚等、自分の経験談を語ることで親の不安が軽減し、「将来を見通すことができ安心した」等の声が聞かれた。 3. 親と専門家とのコーディネーション:当事者とのやり取りで安心した親に対して次に必要なコーディネーションは子どもの実態に応じた適切な助言である。今回も教育関係の専門家が5名参加していたことで、幼児期に必要なスキルや通級による指導等について助言をしていた。 4. 他団体とのコーディネーション:今回は、NPO法人モンキーマジックや公益社団法人NEXT VISIONの協力を得ることで、親が相談をする時間、子どもはクライミングに夢中になる空間を作ることができた。一つの団体だけではこのような空間を作り上げることは難しく、関係団体との連携がよりよい活動を生み出すことを示唆している。 【まとめ】 視覚障害児の親支援では、多様なコーディネーションが求められていることから、教育・医療・福祉・当事者団体等が連携することは重要であろう。   活-P-41. きんきビジョンサポート(KVS)サロンの2017年活動報告 ○畑野 容子、原田 敦史 きんきビジョンサポート 【はじめに】 きんきビジョンサポート(以下、KVS)は、2003年から医療と福祉・リハビリのかけ橋となることを目標に活動を開始した。活動の中心の一つにKVSサロンがある。このサロンは日々の疑問や不安、喜びや楽しかったできごとを話す場、役立つ情報提供やさまざまな体験ができる場を提供することを目的としている。今回は2017年に実施した内容を中心に報告する。 【サロンの概要】 対象:障害の有無は問わず(一部内容は見えない・見えにくい方のみ対象) 日時:毎月1回(土曜日または日曜日) 2時間程度 参加者居住地:大阪を中心に関西圏内 / 参加費:500円 広報:KVS通信(メールマガジン約400名登録)、KVSホームページ掲載、相談電話対応時に案内、他団体発行物など 実施形式:体験会、意見交換会、講演会、施設見学など 【2017年のまとめ】 参加者数:224人 内容:毎回テーマを変えて実施。以下、サロンのタイトル。( )内は参加者数。 新年会(36)、裁判員制度について(14)、視覚障害者のホーム歩行について考える(49)、大阪検定(10)、一人歩きについて(25)、偏光レンズについて(21)、朗読劇鑑賞(2)、見ないで光を感じるメラノプシン、新しい光の感じ方!(22)、差別解消法から一年半、何か変わったと感じますか?感じませんか?(11)、盲導犬体験歩行(13)、私のとっておき声かけ、声かけられ方(21) 【まとめ】 大阪での開催が中心であるが、京都、奈良、兵庫からの参加者も多く、外出のきっかけになっている。また、サロン終了後のランチ会(希望者のみ参加)で、情報収集や意見交換などが行われ、より深い交流の場としても活用されている。 ボランティア団体が開催するサロンであるため、開催継続に必要な予算やスタッフの確保・維持が課題であるが、実施内容や参加条件などの設定に関して、自由度の高さが強みとなっている。   研-P-42. 視覚障害に関する経験が視覚障害者への意識及び行動に及ぼす影響 ○岡﨑 あずさ1)、木澤 利英子2)、松崎 純子3) 1)国立障害者リハビリテーションセンター学院 視覚障害学科、2)駒沢女子大学、3)国立障害者リハビリテーションセンター学院 【目的】 大学生を対象に、視覚障害に関する知識や経験、家族での会話量が、視覚障害者に対する意識や援助行動にどのような影響を及ぼしているか検討する。 【方法】 調査対象者:経済学部482名(平均年齢19.5歳)に視覚障害に関する直接経験(接触体験・疑似体験)・間接経験(読書や講義)、家族での会話量、知識、意識、援助行動、声をかける・かけない場合の理由、視覚障害者について最も深く考えたできごと、視覚障害者を見かけたときの気持ち、声をかけやすい順位について授業の冒頭に質問紙を配布し回答を求め回収した。 【結果】 意識および援助行動を従属変数に知識、経験、家族での会話量を独立変数とする重回帰分析を行った。直接経験は意識に正の影響を及ぼしていたが、間接経験からは負の影響が見られた。また、直接・間接経験、家族での会話得点が高い学生ほど積極的に援助行動を行っていた。一方、知識があり、意識が高くても、必ずしも援助行動に出るわけでなく、介助方法の欠如が援助行動を抑制している可能性も示された。視覚障害について考える際にメディアの影響は大きく、また援助を要する高齢者や車いすの方、ベビーカーを押す母親と比較した時、視覚障害者へは声をかけづらいと感じる大学生が多いことも示された。 【考察】 間接経験に留めず、直接経験の機会を設けることで、視覚障害者に対する肯定意識を向上できるものと期待できる。援助行動に関しては、直接・間接経験、家族での会話が肯定的な影響を及ぼしていた。これらの経験の中で、援助の手立てを知る機会があったと推測する。声をかけない理由として、どうすればよいかわからないとした回答者が多数いたことからも、視覚障害者と接する際の手立てを知らせることが有効と考えられる。 【結論】 視覚障害に関する福祉理解教育及びメディアの報道においては、視覚障害者が「違う世界の存在」にならぬよう配慮する必要があり、また、具体的な介助方法を教授することで、援助行動を促進することができるだろう。   研-P-43. 視覚障害生徒の卒業後の思いを生かす自主的活動当事者サークル 「チーム響き」の試み ○刀禰 豊1)、阿部 麿2) 1)岡山東支援学校、2)チーム響き 【目的】 視覚障害児童生徒が卒業後の自主的な活動に積極的に参加できるようにするための学校在学時に取り組むべき課題について明らかにする。 【方法】 卒業後、「チーム響き」として自主的な障害者による活動団体で活動している生徒の現状における活動の状況や、視覚支援学校在学時の意識などについて個々に聞き取り調査を行い、自主的な活動を意図するにいたった経緯を明らかにしていく。 【結果】 学校在学時、活動はそれなりに多かったが「やらされていた」「思いとはちがった」などの意見が多かった。在学時の生徒会や寄宿舎での話し合い活動を自主的な活動の取り組みがある程度できたとする意見も少数であるがあった。「話し合いの機会があり、思いを生かして活動できるよう考える時間があれば、もっと有意義な活動できた」など自分たちの思いを深める場や時間の不足を指摘することが目立った。 【考察】 生徒の希望や思いを育てる話し合い活動は、自らすすんで活動に取り組む積極性を育てる上で大切なものとなっていたようである。お互いの支援しあう介助歩行などの経験は、お互いをよりよく理解し、どういった内容の支援をすることで、メンバー全員が活動を楽しめるかといった点から深い話し合いの活動に発展し、現在の「チーム響き」の活動へつながる結果になった。「思いは大切で、話し合いは重要だ」という点を指摘する生徒の考え方が基本となり活動が広がる大きなきっかけとなった面は大きかった。 【結論】 児童生徒の思いを大切にし、自立できる生徒に育てることは視覚障害教育の中で主要なテーマの一つである。卒業後思いを育てている生徒の活動の一端から言えるのは、思いを生かし活動に結び付けるためには十分な生徒自身の意見を交わす時間確保し、意図を実現しともに活動する姿勢の中で、児童生徒の現状把握することである。そして、その思いに根ざした、適切な支援を学校という場で実践していく必要がある。   活-P-44. 視覚障害スキーヤーへの援助指針 -ブラインドスキー・サポートガイドラインの作成を通して- ○矢部 健三1)、市川 健太2)、白崎 正彦2)、高木 麻理子2)、丹野 美有紀2) 1)神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢自立支援ホーム、2)かながわブラインドスキークラブ 【はじめに】 かながわブラインドスキークラブ(以下「当クラブ」)では、視覚障害スキーヤーを支える晴眼スキーヤーの育成を目的に、「ブラインドスキー・サポートガイドライン2017年版」を作成した。今回はこの作成経過と内容を紹介する。 【方法】 当クラブ内にガイドライン検討WGを立ち上げ、2017年6月から9月まで、毎月1回検討会を開催した。ガイドライン作成にあたっては、過去に当クラブでまとめたスキー誘導法のマニュアルの他、視覚障害者スキーに関連する文献をいくつか参照した。 【結果】 スキー滑走時の誘導法だけでなく、視覚障害者への基本的な接し方や、事前準備から滑り終わるまでの流れを紹介するように編集した。スキー誘導法については、視覚障害スキーヤーの見え方や滑走技術、ゲレンデ状況によって望ましい形が大きく異なるため、「マニュアル」として誘導法を限定するのではなく、後方前向き誘導法や、前方前向き誘導法、前方後ろ向き誘導法、ストック誘導法、ムカデ誘導法など基本的な方法を指針として紹介するにとどめた。付録として、視覚障害スキーヤーに技術アドバイスを行う際の注意点や、初めてスキーに挑戦する視覚障害者への指導法も紹介した。 【おわりに】 イラストを多用することで、わかりやすく親しみやすい「ブラインドスキー・サポートガイドライン」を作成することができた。今後は、当クラブ内で視覚障害スキーヤーを支える晴眼スキーヤーの育成やスキルアップに活用するとともに、当クラブHPなどで広く公開し、視覚障害者のスキー環境の充実・発展に繋げていきたい。   活-P-45. 視覚障がい者スポーツにおける視覚国際クラシファイアの活動報告 ○清水 朋美1)、林 知茂1)、大野 建治2)、鈴木 重成3) 1)国立障害者リハビリテーションセンター病院、2)上野原市立病院、3)獨協医科大学 2020年の東京オリパラを目前に、視覚障がい者スポーツ全般に関する業務も増えてきている。特に障がい者スポーツ特有のシステムであるクラス分けを無事に受けるためには、選手と競技団体にとって眼科医療との関係は欠かせない。 主な課題として、1.眼科医療関係者に対する視覚障がい者スポーツ全般についての啓発、2.国際舞台をめざす選手が安心して国際クラス分けを受けるための体制確立が挙げられる。1.については、各種雑誌への投稿や学会等での発表を試み、平成29年度までで障がい者スポーツ医を有する眼科医が計44名となり、平成21年度と比し22倍の数になった。眼科医療関係者への啓発は、競技スポーツの場合には選手発掘に繋がることもある。健康増進という観点からも主要な課題のひとつである。2.については、国際クラス分け受検時にNot eligibility(NE;クラス外)を出さないことと、円滑なMedical diagnostics form(MDF;医学的診断書)作成がメインとなっている。NEについては、強化選手指定前の視機能確認を徹底させ、未然にできる限りNEを防ぐように競技団体、日本障がい者スポーツ協会との協力を進めている。MDFについては、いまも課題が多いが、全国のロービジョンケアのネットワーク等を活用し、より多くの眼科医に協力してもらいながらよりよい体制確立を模索しているところである。 日本に視覚国際クラシファイアが4人となって3年が経過するが、いまは全競技団体を分担し、4人で話し合いの機会を作り情報交換をしながら、問題点を共有し、解決するための方策を検討し続けている。選手たちの活躍は、選手以外の視覚障がい者にとっても励みになり、視覚障害リハビリテーションの観点からも大切である。 以上、視覚国際クラシファイアが各方面とともにどのような活動を行っているのかを報告する。   活-P-46.「阿波ZARU」発足までの経緯と活動報告 ○阪井 紀夫1)、秋山 真一2) 1)徳島県立障がい者交流プラザ 視聴覚障がい者支援センター、2)ボルダリングジムRoots 【はじめに】 障害者クライミング普及活動を目的としたNPO法人モンキーマジック(以下、モンキーマジック)の支援を受けて、平成29年10月に徳島県で「交流型クライミングイベント」を企画運営するグループとして「阿波ZARU」が発足するまでの経緯や発足後の活動についての報告である。この報告を通して全国各地で広がりを見せる交流型クライミングイベントのさらなる発展に寄与するための情報提供を目的とする。 【経緯】 平成28年3月、徳島県立施設主催のイベントにモンキーマジック代表理事の小林幸一郎氏を招いて徳島市内のボルダリングジムにて徳島県初の視覚障がい者向けクライミングイベントが開催される。参加者から定期的な開催を望む声はでたが、公的な機関が定期的に開催するには保険の問題など制約も多かったため継続には至らず。その1年後の平成29年にモンキーマジックより徳島県で交流型クライミングイベントをとの話があり、徳島県聴覚障害者福祉協会青年部が「ボルダリングジムRoots」においてクライミングイベントを開催したという経緯もあり、そのボルダリングジムのオーナーである秋山氏の協力を得て、「阿波ZARU」発足イベントの開催の運びとなった。 【活動内容】 (1)平成29年10月28日 第1回「阿波ZARU」発足記念オープニングイベント開催(モンキーマジック協力) (2)毎月1回「交流型クライミングイベント」の開催 (3)障がい者クライミングの広報活動 【現状と課題】 発足イベント後、毎月イベントを継続して開催しており、イベントに参加した視覚障がい者がプライベートでクライミングジムを利用するようにもなり、徐々にではあるが広がりを見せつつある。しかし、新規参加者はあまり多くなく、さらなる広がりを生むためにも地元のメディアへの広報活動や障がい者が参加しやすい場所などでの体験イベントの開催などが必要ではないかと考えられる。   研-P-47. 視覚障害者の武道における先行研究の傾向と課題-武道必修化を契機として- ○中嶋 克成 徳山大学 【目的】 武道が視覚障害者に対し、心身のリハビリテーションとしての有効性をもつことは先行研究等で示されているが、いまだ「視覚」障害者の武道へ焦点化された研究は一般のそれに比して極めて少ない。かような問題意識に立ち、本研究では先行研究を分析し、今後の研究の課題を明らかにするための基礎資料を作成することを目的とする。 【方法】 本研究における対象論文を次の基準で選定した。 (1)資料の検索方法は、CiNiiにおいて「フリーワード」での「論文検索」を用いた。 (2)日本武道協議会制定の定義を採用し、武道を「柔道」「剣道」「弓道」「相撲」「空手道」「合気道」「少林寺拳法」「なぎなた」「銃剣道」の9武道とした。 (3)検索は「視覚 (武道種)」、「盲 (武道種)」、「弱視 (武道種)」「障害者 (武道種)」で行った。なお、「(武道種)」は(2)の「9武道」及び「武道」である。 【結果】 「視覚」は53編、「盲」は19編、「障害者」は96編が該当した。「弱視」での該当はなかった。計168編のうち、重複論文や学術的価値を有しないもの等を除外し、最終的に41編を研究対象とした。 【考察】 各先行研究をKJ法で抽出された小カテゴリーを意味や内容のまとまりごとに分類し、「視覚障害者の武道の研究」「視覚制限下での武道実施についての研究」「武道における視機能の役割についての研究」の3つの大カテゴリーを析出した。視覚障害者の武道について核となる「視覚障害者の武道の研究」が24編と不足し、カテゴリー同士を接続する研究も少ないことがわかった。 【結論】 本研究対象のコアである「視覚障害者の武道の研究」は24編(58.5%)ではあったが、「武道における視機能の役割についての研究」に14編(34.1%)の先行研究が存在した。両者を有機的に連携させるには、後者の研究結果で武道において有効として示された視機能の一部を制限した場合の研究やその視機能を代替する手法の研究等が必要と考えられた。   活-P-48.「高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会」設置経過と今後の取り組み報告 ○吉野 由美子1)、阿部 直子2)、古橋 友則3)、良久 万里子4) 1)視覚障害リハビリテーション協会、2)特定非営利活動法人アイサポート仙台 仙台市中途視覚障害者支援センター、3)NPO法人六星ウイズ蜆塚、4) 鹿児島県視聴覚障害者情報センター 【分科会設置の目的】 我が国の視覚障害者の7割が65歳を過ぎた高齢視覚障害者である。その結果、病院でのロービジョンケアや福祉施設での歩行訓練・生活訓練等を提供している現場には多くの高齢視覚障害者が訪れる。しかし、高齢視覚障害者の抱えている問題は何であり、その方たちがどんなことを望んでいるかについてもほとんど把握されていない。当分科会では、高齢視覚障害者の置かれている現状やニーズ、サービスを提供する視覚リハ専門家が実際どんな問題に直面しているかを、率直に意見交換する中から明らかにしていく場所を作ることを目的として設置したものである。 【メンバー構成と分科会活動へのニーズ】 2018年2月20日現在この分科会には、発起人4名を入れて24名のメンバーが属している。メンバーは、関東近県の人が多いが、九州から北海道まで全国に散らばっている。職種は、眼科医・視能訓練士・視覚障害者生活訓練指導員・教員・同行援護サービス事業者など多岐にわたっている。メーリングリスト上での自己紹介の時に表明していただいた「この分科会で話し合いたいこと」は、特別養護老人ホームや介護保険関係のデーサービスなどでの高齢視覚障害者の置かれている現状の把握、介護保険の仕組みと報酬改訂後の状況の把握、ケアマネージャーや相談支援員との連携の作り方といった問題から、高齢視覚障害者に適した余暇活動について・ロービジョンケアにおける留意点・認知状態の悪い高齢視覚障害者に対する歩行訓練の方法、同行援護サービスにおける留意点等、これも多岐にわたっている。 【今後の活動について】 2018年夏にかけて、集まれるメンバーで顔を合わせての勉強会をもち、そこで今後の活動の仕方や研究テーマ等について絞り込むことを計画している。その経過も含めて、大会会場で活動報告を行う。   活-P-49. 第28回盛岡大会に向けてのプレ企画について ○佐渡 一成1)2)、阿部 直子1)3)、泉 正之1)4)、永井 伸幸1)5) 1)第28回視覚障害リハビリテーション研究発表大会事務局、2)さど眼科、3)アイサポート仙台、4)東北大学大学院 歯学研究科、5)宮城教育大学特別支援教育講座 【目的】 2019年7月の視覚障害リハビリテーション研究発表大会in盛岡開催を1つの足掛かりとして、岩手県、あるいは北東北、東北地方における視覚障害リハビリテーションの周知を促進し関係者間のさらなる連携を図ること、および2回のプレ企画と研究発表大会の開催によって、充実した視覚リハの実践を根づかせることである。 【方法】 盛岡大会のプレ企画としての研修会を2017年と2018年に各1回ずつ行うこととした。 【結果】 1)2017年11月に「ひろげよう 視覚障害リハビリテーション~視覚リハのための地域リソースの確認と連携~」という研修会を行った。定員50名に対し、どの程度集まるか不安であったが、結果的には54名が参加した。特に岩手県内から、盲学校教員・視覚障害当事者団体のスタッフなど15名の参加があった。 2)2018年7月に日本眼科医会との共催で「ロービジョン者・視覚障害者へのサポート法を学ぶ研修会」を行う。場所は2回とも2019年の盛岡大会を行う盛岡市地域文化交流センター「マリオス(MALIOS)」である。 【考察】 1回目の研修会の開催案内のために視覚障害者支援施設に出向いて参加を依頼したものの、反応は消極的であったため、宮城県の仲間に依頼して、同じ職種というネットワークから本研修会の趣旨や目的を説明してもらったことが奏功し、参加増加につながった。研修会終了後に設けた自由な交流時間には、地域内のリソースの確認もできていた。また、研修会を実施したことで、会員の少ない地域での研修会の開催のためのノウハウも確認できた。 【結論】 プレ企画は、盛岡大会までにさらに連携を深めていくきっかけとなった。2回目の研修会と盛岡大会は「充実した視覚リハの実践を根づかせる」ための大切な機会になる。 <多くの発表と活発な討論が地域の視覚リハを育てますので、2019年7月は盛岡でお待ちしています>   活-P-50. 日本ライトハウス養成部で担当した在宅指導の実態報告-最近5年間の事例から- ○山下 紗輝 社会福祉法人日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター 養成部 【目的】 平成25年度から平成29年度までの筆者が行った過去5年間の在宅指導の利用者(和歌山県、宝塚市、兵庫県、奈良県)を対象に訓練実績を分析し、訓練ニーズの把握、在宅指導の実態を明らかにする。 【方法】 申込み時の年齢35歳から86歳(30代3名、40代3名、50代3名、60代10名、70代8名、80代4名)の男性7名、女性24名計31名を対象に、眼疾患や訓練期間、訓練内容等をケース記録と報告書から分析した。 【結果】 眼疾患は、網膜色素変性症14名(45%)、緑内障5名(16%)、糖尿病3名(10%)の順で多かった。平成29年度時点の訓練対象者は17名で、過去5年間の終了者数は14名であった。終了者を含む訓練期間は5年以上3名、4年2名、3年3名、2年5名、1年18名であり、全訓練回数は1回から42回であった。訓練内容は、歩行22名(71%)、ADL15名(48%)、PC9名(29%)、点字4名(13%)であった。訓練内容は1人の利用者に対し複数の内容で実施した。内訳は、歩行は白杖操作(68%)、ファミリアリゼーション(32%)、白杖の選定(32%)が多く、ADLは用具の紹介(53%)、機器操作(47%)、PCは高知システム系ソフト(33%)が最も多かった。歩行は対象者の全年代で実施し30代の実施率は100%であり、点字は60代以上に実施していた。 【考察】 歩行は全ての年代でニーズがあり、申込みのきっかけとしても多いことがわかった。点字とADLは、当初の訓練ニーズとしては少ないが、訓練が進むにつれ点字を習得したいニーズが挙がり、ADLは生活場面を把握するうちにニーズとして増加する傾向にある。 【結論】 在宅指導では60歳以上の割合が高く、高齢視覚障害者でも歩行訓練を受け、単独での外出を希望する方が多かった。対象者が希望する訓練は歩行やPCなど具体的なものが挙がりやすいが、生活場面での課題は様々であり、それらのニーズを支援者が把握する必要性がある。   活-P-51. 馬場村塾の活動報告 ○大川 和彦1)、甲賀 金夫2)、黒田 昌弘3)、成松 一郎4)5) 1)千葉市中央図書館、2)社会福祉法人桜雲会、3)株式会社画像聴覚化研究所、4)有限会社読書工房、5)専修大学 2015年4月から毎月1回、高田馬場で「馬場村塾(ばばそんじゅく)」という集まりを開催している。高田馬場という場所は、視覚障害関係の施設や企業・団体などが多く、歴史的にも視覚障害者の文化と深いつながりがある土地であるが、その一方で、各施設職員や利用者同士が交流する場が少なくなってきているという問題意識から、視覚障害の有無や、世代などのボーダーを超えた集まりを定期的に開くことになった。 塾のテーマは「視覚障害」にかかわる内容を中心にしているが、必ずしもそれにこだわるものではなく、その周辺のテーマも含む。 毎回、一人の方による60分のプレゼンがあり、後半の60分はディスカッション形式で行うことにより交流、情報共有を図っている。また、馬場村塾MLには、プレゼンの資料が投稿されたり、大小様々なイベント情報などが投稿され、情報共有、交流の場として機能している。塾の模様は編集後、株式会社19のサイトにて公開される。 視覚障害関係者の間では近年、『連携』がキーワードとなり、スマートサイトの開設も進んでいるが、気軽に集え情報交換出来る場が各地に広がることが望ましいと考える。 以下は主なプレゼンターとテーマである。 大胡田誠(弁護士)「障害者差別解消法を考える」原利明(鹿島建設)「デザインの可能性 ー ロービジョンの視点からデザインの在りかたを問い直す」堀越喜晴(大学講師) 「障害学とは何だ!?」宇野和博(筑波大学付属視覚特別支援学校) 「読書バリアフリーについて考える」嶺重慎(京都大学教授)「さわって楽しむ天文学」   活-P-52. 高知県での視覚リハの啓発活動についての報告 「広域で効果的な啓発活動を行うために」 ○金平 景介1)、日浦 胡桃1)、西川 理紗1)、上光 陽子2) 1)公益財団法人 高知県身体障害者連合会、2)高知県立高知盲学校 【高知県での啓発活動の背景】 高知県では、視覚障害生活訓練事業として視覚障害リハを実施しており、当事者への対応(訓練、相談)と啓発活動(出張機器展示、講演活動等)を両輪として活動を行っている。訓練士退職、採用、養成といった端境期にあり、訓練相談待機者が増加し、初回相談までの期間が長くなり、啓発活動が少なくなってきた。啓発活動の一環として巡回相談を実施している。巡回相談では、市町村・相談支援事業所・包括支援センター・同行援護事業所などの職員を対象に「視覚障害基礎講座、盲学校・点字図書館の紹介」と、当事者を対象に便利グッズなどの出張機器展示を実施している。 【目的と方法】 巡回相談を実施する市町村を決定するにあたり、福祉サービスの情報が行き届いていない市町村で優先的に開催しようと考えた。福祉サービスの情報が行き届いているかの指標として、各市町村の視覚障害の身体障害手帳取得率を集計した。手帳取得率が福祉サービスの情報が行き届いているかの指標となるか研究大会参加者の皆さんのご意見をうかがいたい。 【結果とまとめ】 人口の多い市町村ほど、相談施設や医療機関などの福祉サービスの情報を提供できる施設が多いことから手帳取得率が高いと考えていたが、人口と手帳取得率の相関関係はなかった。今後は、手帳取得率の低い市町村で巡回相談を実施していきたい。相談対応するなかで、「あと10年早く拡大読書器にであっていたら仕事が続けられていたかもしれない」等と言われる方も少なくない。身体障害者手帳で給付される音声時計や拡大読書器など視覚障害リハの情報を「いつでも誰でもどこに住んでいても」受けられ地域を目指して啓発活動に力を入れていきたい。   活-P-53. 九州北部豪雨における視覚障害者支援について ○武田 貴子1)5)、三浦 久美1)5)、吉松 政春2)、西村 亜希子3)5)、林 知徳3)5)、藤岡 保4)、松本 大史4)、安藤 薫4) 1)北九州市立介護実習・普及センター、2)福岡点字図書館、3)福岡市立心身障がい福祉センター 、4)北九州市身体障害者福祉協会 、5)九州歩行訓練士会 【目的】 2017年7月5日の九州北部豪雨により水害が発生し、福岡県と大分県に局地的な被害が生じた。県庁所在地から離れた中山間部にある同地域で被災した視覚障害者に対し、主に福岡県内の関係者が連携し支援を実施したので報告する。 【方法】 災害発生から時系列に支援経過をまとめ考察した。 【結果】 災害発生の翌日、視覚障害リハビリテーション協会の災害対策委員より、北九州市立介護実習・普及センターに安否確認の要請があり、九州歩行訓練士会が中心になり関係機関への安否確認を開始した。7月9日、福岡点字図書館(春日市)からの連絡で被災者を把握した。7月10日、日本盲人福祉委員会から支援物資の提供を受ける事が決定した。7月12日、福岡点字図書館を支援拠点にすることとし、福岡県から被災地の視覚障害者の名簿120名分を入手した。現状が概ね把握できた7月17日より、福岡県内の支援者が主体となり連携しながら、被災地での支援を開始した。本人や家族への訪問支援および避難所、視覚障害者団体の役員宅、社会福祉協議会、福祉事務所等とも情報交換した。のべ15名の支援者で、当事者4名を計全3回訪問した。訪問活動最終日の8月19日に今後被災地支援のキーパーソンとなる元盲学校教諭と視覚障害のある神父と情報交換し、現地での継続的な支援へと移行した。 【考察】 東日本大震災や熊本地震の経験から、災害対策や支援マニュアルが整備され、支援の経験者も増えてきた。その蓄積されてきた知識や経験を生かし、地域の特色に合わせた支援が必要である。   活-P-54. 京都府南部地域における地域拠点(サテライト)の実践 ○田伏 久士1)、京極 裕子1)、清水 和美1)2) 1)社会福祉法人 京都視覚障害者支援センター、2)社会福祉法人 京都ライトハウス 【目的】 京都では、京都ライトハウスにおいて、通所、入所で視覚リハの機能訓練や生活相談が行われている。用具販売、IT相談、点字図書館、クラブ活動など視覚障害者にとって総合的なサービスが提供され、プラットフォームの役割を果たしている。また、訪問相談・訓練の体制も整備されている。しかし、訪問は京都市外の地域にも行われているが、視覚障害に関する制度や機器・用具、訓練、工夫などを相談したい・試したいと思った時に、京都ライトハウスは遠すぎて行けないという話をよく耳にする。また、同じ障害を持つ仲間とつながる機会を得難いことを、訪問担当者は課題と感じていた。そこで、2012年から地域の方が利用しやすい場所に、月に一度ずつ会場を借りて、サテライトという名称の集まりを開催し、視覚リハ訓練、相談支援、情報提供、交流企画などを実施している。6年間の活動と実施するなかで得られた成果の紹介を行う。 【活動内容】 毎月第2水曜は京田辺市(地域の支援センター)、第3水曜は長岡京市(市立の会館)、第4水曜は宇治市(京都府の保健所)で開催。午前は、個別の訓練・相談。午後は、講習形式の制度・機器・訓練紹介や仲間の生活の工夫や趣味披露、交流サロンなど。また、第1水曜日は外出・交流企画や、定期的開催地以外の出張サテライトなど。 【成果】 情報の届きにくい人に、広報等により制度・視覚リハ・工夫などの紹介の機会を作り出し、手帳未取得等の制度の谷間にいる人への相談も可能である。近隣地域に住む視覚障害者が集まることで、同じ不自由さを持つ方との仲間作りができて、ピアカン的効果で生活の意欲を作ることができる。また教え手となる人の生き甲斐も作り出している。地域のボランティアにも手伝ってもらうことで参加者との連携が生み出されている。簡単な視覚リハ訓練により、本格的な訓練への導入効果があり、訓練終了後に地域へ戻った方の受け皿にもなっている。   活-P-55. 大分県での視覚障害リハビリテーション1年目 ○神屋 郁子 大分県盲人協会 【目的】 2017年4月から大分県では歩行訓練士設置事業を開始した。初年度1年間の活動を報告する。 【業務内容】 訪問を主とした相談から訓練までの視覚リハ全般を歩行訓練士が行うものである。利用回数の制限や利用料はない。 【1年間の実績】 利用者数は、57名であった。訪問回数は354回で来館回数は11回であった。このうち約50回が相談であった。相談は、手帳取得後の制度の紹介や、白杖や日常生活用具を見てみたいというものである。訓練では、一番希望が多いのはパソコンやプレクストークなどの録音図書機器操作やiPadなどの機器類であった。歩行のニーズとしては、近所の喫茶店や美容院に行きたいなど乗り物に乗った移動よりも身近な範囲での安全性を向上させるためのものが多かった。紹介元は、当事者同士の口コミや会報誌などからの問い合わせが多く次いで医療機関からとなっている。医療機関では中間型アウトリーチとして、患者向けの講習会を行った。患者もだが、その医院のスタッフと顔の見えるつながりができることが大切だと感じている。つながりができることで、他の患者の紹介につながっている。 【課題と今後】 訪問することで当事者の移動の負担はないが、当事者同士が知り合う機会がないため、交流会などが必要なこと、また、訓練を進める中での、進め方などを検討できる場が訓練士一人だと持ちにくいため、複雑なケースの場合の対応方法を考えておかなければならないこと、そして、地域での専門家としての役割を果たしていけるように、地域の資源との連携を強化していくことが大切であり、啓発や視覚障害を理解する機会を作っていかなければならない。 1年目を終え、当事者や医療などからのニーズがあることがわかってきている。ニーズに応えていくためにも、よりよい方法を当事者や地域と一緒に考え求められる形を作っていきたい。   活-P-56.『眼の会』の活動について ○山口 規子  関西盲人ホーム 眼の会は、「視覚障害者がより暮らしやすい環境創りを目指して」を目標に、平成21年11月にスタートした。いわゆる視覚障害者の当事者団体であるが、自由な発想で活動している。 ●主な活動について。 (1)会員及び視覚障害者を対象としたQOL(生活の質)の向上につながる事業として、見ることに不自由さを抱えた方を対象とした機器展を開催。 また、医療、福祉制度等の研修会を適時開催。 (2)医療、福祉、教育、ボランティア等の従事者を対象とした事業として、視覚障害者の理解と支援法研修会を開催。(年1回)また、災害時の要支援者への取り組み(様々な立場の要支援者及び支援者の参加協力をいただき)を開催。平成23年から現在までに8回(年1回)開催。 (3)一般の方に向けての啓発活動として、平成27年度に「障害者差別解消法」への取り組み、啓発パンフレット「視覚障害者からのメッセージ」を発行。また、事業開催にあたり、会員以外の当事者や一般の方への参加を幅広く呼び掛けていることが、眼の会のひとつの特徴である。 平成29年度は、兵庫県みんなの声かけ運動14回(全30回)講座に講師派遣 『みんなの声かけ運動 ~視覚障害者への正しい「声かけ」~」』DVD制作協力  ◎小さな当事者団体であるが、様々な取り組みを積極的に企画・運営している。この活動に参加していただいた方々が、積極的に自分たちの住んでいる地域で防災等の取り組みに参加して、自分の状態を地域の方に理解していただき、自分に合った支援を得るきっかけに繋げて欲しい。継続は力なり。 ■発行物 ★兵庫県内における、ガイドヘルパーの利用実態について 平成22年度 ★視覚障害者からのメッセージ 平成27年度 ■表彰 平成28年度 神戸市市民福祉顕彰奨励賞 平成28年度 神戸市社会福祉協議会理事長感謝状 ◆眼の会連絡先◆ 担当 榊原(さかきばら)TEL/FAX:078-921-5489(神戸眞鍼道治療室内)Eメール:bugpw104@hi-net.zaq.ne.jp   活-P-57. 日本点字図書館での相談支援事業から見える視覚障害者の現状 ○関谷 香織、小林 章、松本 みゆき 日本点字図書館自立支援室 【目的】 情報提供施設である日本点字図書館は、平成29年8月から障害福祉サービスの指定特定相談支援事業を開始した。当施設で実施した指定特定相談支援事業の基本相談及び計画相談の報告をするとともに、その過程で見えてきた現状と課題、今後の情報提供施設が担う役割について考えたい。 【方法】 平成29年8月から平成30年3月までの基本相談及び計画相談の内容を集計し考察を行った。 【結果】 1.基本相談:82件。 2.計画相談:13件(新宿区4名、大田区2名、台東区1名、板橋区1名、練馬区1名、小金井市1名、さいたま市1名、蕨市1名、つくば市1名)。 3.計画相談担当ではないが関わっている対象者:4名。 半数は60代以上。事業実施地域(新宿区、豊島区、中野区)の利用者は7名であり、実施対象地域外からの相談が多い。利用者居住地の事業所では、視覚障害に対する専門性が低く、適切な情報提供がされていない事例や、地域外という理由で視覚障害者支援施設が利用者を受け入れない事例がみられた。すでに当事業所以外の相談支援事業所や、地域包括支援センターのケアマネージャーが支援に入っているが、視覚障害に対する専門性が不足していることから、当事業所も関わっているケースもある。 【考察・まとめ】 障害福祉サービスにおいて相談支援事業は障害者ケアマネジメントの要として重視される過程にあるが、視覚障害者への対応はきわめて不十分な状況にあるといえる。 全国各地の情報提供施設において基本相談、計画相談、さらには訓練まで対応することができたら、支援を必要とする視覚障害者はより身近なところでニーズを満たすことができるようになる。また、情報提供施設が視覚障害者支援の基幹となり、地域の相談支援専門員と連携していくことで、視覚障害者に関われる相談支援専門員が次第に増えていくことも期待できるであろう。   研-P-58. 通常学級で学んだロービジョン若年者6例について ロービジョンケアの時期、方法の検討 ○塩田 直子、鈴木 知美、小林 瑞代、山口 美穂、大豊 真理子、大野 明子  東京都立多摩総合医療センター眼科 【目的】 視覚障害手帳の等級に該当しない低視覚児童、生徒の多くは通常学級で学ぶ。学年が上がるにつれ、ロービジョンケア、学校での見えにくさに対する配慮、メンタルケアが必要となる。しかし、本人は望まないことも多い。長期経過観察できた若年者6例について、ロービジョンケアの時期や内容、本人、家族の反応と変化について報告する。 【対象と方法】 2011年4月から1年間、当院を受診した全低視覚者の内、29歳以下で重複障害がなく、通常学級で学んだ症例の原因疾患、視機能、ロービジョンケアの時期と内容、本人や家族の反応とその変化について、診療録から後ろ向きに検討した。 【結果】 症例は6例あり、初診は4か月から6歳8か月。経過観察期間、13~28年間。原因疾患は緑内障、無虹彩、網膜分離症、網膜色素変性症、網脈絡膜萎縮、眼白子症。中高生時期の視力は(0.2)から(0.5)。うち2名は視野狭窄も合併。中高生時期、読み書きに関して当事者全員が「困っていない」と答えた。4例は中高生時期に本人と家族にロービジョンケアを行い、2例は成人してからのケアとなった。拡大鏡、遮光眼鏡等補助具の希望はなく、主に情報提供(学習環境への配慮、拡大教科書、弱視通級指導学級、iPadの活用、受験特別措置、当事者団体の紹介)を行った。当初、本人、家族共に反応が薄い印象を受けたが、受験等をきっかけに3家族からは相談が寄せられ、2名の当事者は補助具や受験時の配慮を希望するようになった。成人した3名から、学生時代の不自由さや、就職の難しさ、仕事上での困難などを聞くことができた。 【考案】 通常学級に通う児童・生徒は眼科以外からロービジョンケアに関する情報が得られず、眼科は情報の窓口となる。折に触れての情報提供は本人からの訴えがなくても発信し続けることが必要と考える。   研-P-59. 過去30年の調査から得られた全国の施設等を利用している視覚障害者の実態 ○中西 勉、清水 朋美、林 知茂 国立障害者リハビリテーションセンター病院 【目的】 施設等を利用している視覚障害者の障害原因眼疾患と視機能程度の実態を明らかにするとともに、利用者対応に関する基礎資料を得ることを目的とする。 【方法】 当部では、1986年から5年毎に視覚障害者が利用する施設等に対し、利用者の障害原因眼疾患等についての調査を実施している。2016年12月から2017年2月に7回目の調査を実施した。対象は、機能訓練、重複障害者利用の各施設等(一般施設)、養護・特別養護老人ホーム(老人ホーム)であった。調査内容は、視覚障害原因眼疾患、矯正視力、調査時年齢等であった。得られたデータから平均や最多項目等を求めた。     【結果】 71施設・部署(一般施設:57、老人ホーム:14) から2,233人分の回答を得た。回答率は33.0%であった。視力が0.1以下は87.4%、そのうち視力0は34.6%であった。調査時年齢は一般施設52.9±15.8歳、老人ホーム80.9±8.5歳であった。一般施設の60歳以上の割合は上昇しており、今回は39.0%であった。眼疾患は、不明を除くと網膜色素変性症、緑内障、視神経萎縮、未熟児網膜症、糖尿病網膜症の順であった。一般施設では、第1回目から網膜色素変性症が連続して最多であり、糖尿病網膜症は第2~4回目は3位であったが、以降は低下し今回は6位であった。第1回目で4位のベーチェット病は、前回、今回とも10位以下であった。 【考察】 利用者は低視力および網膜色素変性症が多く、日本の人口構成図と同様に高齢化している。高齢利用者への訓練や対応法の再検討を要する可能性が高い。一般施設でベーチェット病が減少、糖尿病網膜症も減少傾向にあった。医療の進歩が考えられ、今後も順位に注目していく必要がある。 【結論】 施設等利用者は0.1以下の低視力が多く、高齢化が進んでいる。さらに、網膜色素変性症以外の障害原因眼疾患には順位の変動がある。   研-P-60. 視覚障害者が所有する資格、取得したい資格 ○北神 あきら、中川 文 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN) 【目的】 視覚障害者が現在所有する資格、今後取得したい資格を調査することにより、資格取得の現状を明らかにするとともに、資格取得の環境を改善するための指針とすることを目的とする。 【方法】 約100名の視覚障害者に対し、視覚障害者となってから取得した資格、それらの受験方法、また今後取得したい資格や、資格試験への要望についてWebとメールによるアンケートを実施し、その結果を集計した。 【結果】 現在所有する資格は、医療関係では、あんまマッサージ指圧師、鍼師、灸師、ICT関連では、日商PC検定3級、ITパスポートなどが多かった。また、秘書検定やファイナンシャルプランニング技能士などのビジネス関連の資格を有している人も見られた。受験方法は、点字や録音を使用しての受験が多かったほか、ICT関連では音声でPCを使用した受験も多く見られた。今後取得したい資格は多岐にわたっていたが、ICT関連では、MOSや日商PC検定1・2級が目立ったほか、社会福祉士や社会保険労務士などを希望する人も見られた。そして、資格取得への要望では、音声でPCを操作した受験を希望する人が多かった。 【考察】 資格取得の状況は、あんまマッサージ指圧師などのほか、ICT関係やビジネス関係などで新しい資格への広がりが見られた。受験方法も、点字や録音のほか、PCによる受験も少しずつ増えてきていることがわかった。取得したい資格は、ICTやビジネス関係を中心に多様な資格への関心が高まっていることが明らかとなった。そして、受験方法については、音声でPCを操作した受験への要望が高まっていることがはっきりした。 【結論】 視覚障害者の資格取得への意欲は高まっており、今後こうしたニーズに応えられる受験支援のための体制づくりが必要になると考えられる。また、音声でPCを使用した受験の希望が高まっていることから、試験実施機関や関係機関への働き掛けも積極的に進める必要がありそうである。   活-P-61. メールマガジン「色鉛筆」による当事者視点からの アイフォーン情報提供の試み ○藤原 健司、小寺 洋一、石川 佳子、和久田 篤信、久保 弘司 公益社団法人 京都府視覚障害者協会 【目的】 新しい情報機器のアイフォーンについて、視覚障害者にどのように紹介、説明をするのがよいかを探求する。 【方法】 京都府視覚障害者協会では、メールマガジン「色鉛筆」を定期的に発行している。現在の読者数はおよそ1400人で、視覚障害の当事者の読者が多い。色鉛筆は基本的に当事者の声をレポートにして配信している。その立場から、アイフォーンを使用している当事者の声を元に特集レポートを作成した。 【結果】 以下の特集レポート、8本を配信した。 タイトル/発行日 アイフォーンユーザーの実情に迫れ 2014年5月23日 アイフォーンはキー操作もあるよ 2014年7月25日 アイフォーン最新機種の誘惑 2015年1月30日 アイフォーン神アプリの一日物語 2015年5月29日 アイフォーン生活・出番の多いアプリはどれだ? 2015年12月18日 アイフォーンを持ってカラオケに行こう 2016年9月2日 アイフォーン経験値上昇中 使いこなしについて雑談 2017年6月16日 アイフォーン特集 番外編 パソコン、らくらくホンといざ対決 2018年1月12日 【考察】 アイフォーンについてほとんど知らない人、興味があり知りたいと思っている人、当事者のユーザーの人、これらどの人にも有益な情報提供の仕方、レポートを作成するいくつかの切り口を見つけることができた。操作方法の説明は工夫によりわかりやすくはできるが、文章での説明の限界があると思われる。 【結論】 情報を得ることに不自由のある視覚障害者にとって、メールマガジンという形式でのこの種の情報提供は、実際的であり、ある程度の有用性がある。当事者の声を元にすることが、情報の価値を高めている。視覚リハビリテーションにおいても、当事者の声を活用することが重要である。   研-P-62. 視覚障害者向け音声認識リモコンBOXの開発 ○角野 和也1)、原田 敦史2) 1)株式会社レイトロン、2)堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター 【目的】 家電製品の操作に困っている視覚障害の方が簡単、便利に使えるマルチリモコンの実現を目的とする。視覚障害の方が困っている操作としては、エアコンの温度変更など液晶画面の確認が必要な操作やテレビの入力切り替えなどループ処理になる操作がある。このことから視覚障害者向け音声認識リモコンBOXは、既存の赤外線リモコンではできないことをできるようにする、既存の赤外線リモコンでは不便なことを簡単にする、という2つの開発目標をもとに製品仕様を検討した。試作機は独自の高性能音声認識技術を搭載することで、音声による家電操作機能、音声ガイド機能、音声メモ機能を実現している。本開発は公益財団法人テクノエイド協会の平成28年度障害者自立支援機器等開発促進事業で実施した。 【方法】 視覚障害者向け音声認識リモコンBOXの有用性と実用化に向けた課題を確認するため、堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターの協力のもと実証試験を実施した。実証試験では、既存の赤外線リモコンと試作機の操作性に関する自己対照試験と実用化に向けた課題を明確化するため、操作性に関するSUS質問紙調査を行った。 【結果】 自己対照試験は、指定操作に要する時間および誤操作の回数をエンドポイントとしており、平均操作時間を約25%、誤操作率を約15%改善することができた。また、SUS質問紙調査の平均得点は77.95点であった。 【考察】 発話タイミングの問題を解決するため、タイミングを意識せずに使えるよう音声認識の性能向上を図る。また、質問紙において導入時に専門家の助けが要るという設問の得点が最も低く、導入ハードルを下げる工夫が必要であると考えている。 【結論】 実証試験の結果から既存の赤外線リモコンに対する有用性は確認できたため、視覚障害者向けマルチリモコンとしての更なる改良を行うとともに低コスト化、設定の容易化を行い、早期事業化をめざす。   研-P-63. 壮年層の自主サークル発足と課題 ○木村 仁美  世田谷区立総合福祉センター 【背景】 当施設の相談および訓練は個別対応が基本で、当事者同士が交流する機会はほぼ皆無である。一方、当事者の多くは交流の場を求めており、地域で活動する当事者団体や自主サークルの情報を提供し、参加を促している。しかし、各団体の構成員は例外なく高齢世代が中心で、壮年層は参加を躊躇してしまう。 【目的】 壮年層を中心に構成する自主サークルを発足し、地域で孤立しがちであった壮年層の視覚障害者も参加しやすい交流の場を作る。 【方法】 壮年層の交流希望者のうち、共通項のあるメンバー5~6名をまとめた。施設主催の懇談会を数回開催後、参加者全員の交流継続希望を確認し、自主化した。発足後の運営は当事者に任せ、施設側は求めに応じて助言、支援した。 【結果】 2つの自主サークルが発足。40~50代の女性4名、ボランティア2名の「点字学習サークル」と30~70代の男女7名の「情報アクセシビリティ関係の交流サークル」である。前者は1年以上経過し、外出などのイベントも企画。安定的に運営。後者は今年発足し、定例会の開催に向け、SNS上で交流開始。いずれのサークルも立場を共有できる仲間ができたことを喜ぶ声が大きい。 【考察】 交流範囲の拡大、お互いに刺激を受けるなど、一定の成果と順調な展開の一方、以下の課題が浮かび上がった。(1)構成員のマッチング:微妙な差異で居心地が悪くなり、疎外感が生じる。(2)多様な生活様式:年代的に就労、就学、子育て中など、都合が合わせにくい。(3)リーダーの負担:運営の面倒を嫌う方は多く、リーダーシップだけでは務まらない。(4)趣旨:一定のテーマを掲げると敬遠する人もいる。(5)ピア・サポート:成熟した構成員の存在により、ピア・サポート機能も期待できる。ただし、多様な対応が求められるため、自主活動では限界がある。次の段階として、施設が担うべき支援を整理し、実現したい。   活-P-64. 京都ロービジョンネットワーク設立とこれから ○鈴木 佳代子1)2)、中路 裕2)3)、沖田 友子2)4)、高間 恵子1)2) 1)公益社団法人 京都府視覚障害者協会、2)京都ロービジョンネットワーク、3)京都府眼科医会、4)京都ライトハウス 京都ロービジョンネットワーク設立とリーフレット『さくら』の紹介、今後を展望する。 見えにくくなった方が、少しでも早く「福祉」につながるためには、「福祉」は連携・紹介を望んでいることを医療機関に対して発信する必要があると考え、2007年より年1回医療関係者向け研修会を開催してきた。内容は、見えにくさ体験からどのような支援が必要なのかを体感できるように、また当事者の話から「福祉」への紹介が期待されていることがわかるよう工夫した。その結果、リピーターを含めた参加者数は増加し定員を超えてきている。  2016年、当事者団体から京都府眼科医会にロービジョンネットワーク設立に向けての申し入れが行われたことを契機に準備会が立ち上がり、2017年4月に京都府眼科医会、京都ライトハウスを含む9施設・団体により設立に至った。会の目的は、支援に関する情報提供を通じて、患者様が望む生活を実現することである。 これまでの活動は、ロービジョンケア紹介リーフレット『さくら』の作成、医療機関から福祉施設への支援依頼手順の文書化と依頼書ひな型を作成、連携する医療・福祉・教育機関のリスト化を行った。2018年度当初には、医療関係者への『さくら』周知とロービジョンケア啓発及び福祉への理解促進を目的とした研修会を予定している。 10年にわたる医療関係者向け研修会によって多くの医療関係者とつながり思いの共有が図れたことは、これからのロービジョンネットワーク活動において大きな基盤づくりになった。 今後は、システムとして確立された連携が必要である。それには、これまでできているようで不十分さを残していた福祉関係者同士の連携や個々のスキルの向上も求められる。ロービジョンネットワークの目的達成に向けて本格的に歩みたい。   活-P-65. 神奈川ロービジョンネットワーク(KLVN)の活動報告 ○久保 寛之1)、渡辺 文治1)、齋藤 奈緒子1)、渡辺 美希1)、末田 靖則2)、内野 大介2)、小野 正樹2)、鈴木 絵理2)、佐藤 伸行2) 1)神奈川リハビリテーション病院眼科、2)七沢自立支援ホーム 1.設立の経過 神奈川ロービジョンネットワーク(以下KLVNと表記)は、医療と教育・福祉の分野で、ロービジョン(以下LV)に関して必要な情報が十分に共有されていない現状を憂い、1999年に準備会が結成された。2000年に正式に活動を開始、すでに18年間経過し、機関誌も20号になった。設立時の理事の所属は、神奈川県内の医学部のある大学など医療関係、盲学校など教育関係、そして視覚障害リハビリテーションを提供している福祉施設等であった。 2.活動内容 (1)研修会 主催はKLVN、神奈川県眼科医会が後援している。眼科に関連する学会のない時期で、県眼科医会の行事と重ならない時期に年2回開催、10月前後と翌年1~3月が多い。また、大学病院などの医療関係施設、盲学校や国立特別支援教育総合研究所などの教育関連施設、視覚障害者の利用施設やリハビリテーションや福祉施設などで見学を兼ねて開催することもある。準備会を含めるとこれまで38回実施している。研修会の内容は、LV疑似体験、機器展示、盲学校や福祉施設等の紹介、講演である。講演内容は、医療が最も多く、30件、次に教育が19件、福祉が12件、其の他が4件である。 (2)勉強会 勉強会の内容は多岐にわたっており、医療24回、視覚3回、補助具12回、歴史4回、教育2回、福祉11回、体験・見学21回、LVケア10回、その他7回となっている。 (3)機関紙KLVN 2017年度までに20号を発行した。 (4)ホームページ 研修会や勉強会の案内、過去の記録等を掲載している。 3.参加者 多くの関係者に参加してほしいため、会員の要件等非常に緩やかな会にしている。会員数は100~120名程度である。参加者にはORTや眼科医などの医療関係者が多い。教育・福祉の参加は比較的少ない。 4.今後 18年経過して内容や運営がややマンネリ化し、参加者が固定化してきた。事務局をどこに置くかという問題もある。また、神奈川県内にスマートサイトを作りたいという要望等もあった。今後も他地域との連携を含め、時代に合った活動を続けていきたい。   活-P-66. 眼科クリニックにおける視覚リハビリテーション施設のアウトリーチ ○澤崎 弘美1)、久保 寛之2)、内野 大介3)、青山 しのぶ4) 1)いけがみ眼科整形外科、2)神奈川リハビリテーション病院、3)神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢自立支援ホーム、4)神奈川県ライトセンター 【目的】 中途視覚障害者は、情報不足や福祉施設への心理的抵抗感等から視覚リハビリテーション(以下、視覚リハ)へ迅速に結びつくことが難しい場合が少なくない。そこで、いけがみ眼科整形外科(以下、当クリニック)では視覚リハ施設と連携し、視覚障害支援のための相談会を実施してきた。本稿では、眼科クリニックにおける視覚リハ施設のアウトリーチについて、その効果を検討する。 【方法】 当クリニックにおいて、平成29年2月~平成30年2月に計4回、七沢自立支援ホーム及び神奈川県ライトセンターと連携して相談会を行った。対象となる視覚障害者は、当クリニックの患者の他、近隣の眼科クリニック等からの紹介であった。1枠1時間半で、問診とニーズ調査の後、希望する訓練や用具を体験してもらった。事後にアンケートによる調査を行った。 【結果】 対象者は計12名(男性4、女性8)、平均年齢は73歳であった。障害手帳は1~2級6名、3~6級4名、手帳なし2名であった。原因疾患は緑内障7名、網膜色素変性症4名であった。主となるニーズは「歩行」6名、「読み書き」4名、「日常生活」1名、全体では男性は「読み書き」、女性は「日常生活」が多かった。白杖を紹介した10名のうち、4名が新規に購入し、1名が歩行訓練に繋がった。他に光学的補助具、ICT機器、点字、用具等を紹介した。障害手帳の等級変更により障害年金の申請に至った者もいた。事後のアンケートで相談会が役に立ったとした者が半数以上いた。 【考察】 眼科医が窓口になり、地域に埋もれている視覚障害者の発掘と支援を行うことができた。地域の眼科クリニックで開催することは当事者のみならず家族や支援者の参加も促し、視覚リハの啓発に繋がった。相談会がきっかけとなり、新たなニーズが出る者もいた。 【結論】 眼科クリニックにおける視覚リハビリテーション施設からのアウトリーチは有効であり、継続して行う意義がある。   活-P-67. 視覚障がい者ネットワークコトリナ ~見えにくくなってもやりたいことが見つかる場所~ ○久保田 絢女1)2)3)、塩田 直子1)4)、百田 陽介1)5)、内山 昌和1) 1)NPO法人 視覚障がい者ネットワークコトリナ、2)武蔵野市地域療育相談室ハビット、3)聖隷クリストファー大学大学院リハビリテーション科学研究科、4)東京都立多摩総合医療センター眼科、5)杏林大学眼科 【設立経緯】 2012年4月、東京多摩地区の中核病院である多摩総合医療センター眼科にて、ロービジョン外来の開設と同時にサロンがスタートした。当事者と眼科スタッフでサロンの活動を続ける中、「地域にロービジョンのネットワークを」との機運が高まった。2016年4月、半年の準備期間を経て、古民家に「視覚障がい者ネットワークコトリナ」を設立。同年10月NPO法人の認可を得た。当事者団体でも支援団体でもない、新しい形が誕生した。 【活動目的】 1. 当事者、地域、医療、福祉を繋げる 2. 当事者と地域の晴眼者が共に活動する 3. 誰もが安心して集える居心地の良い場所を提供する 4. 市町村の枠を超え、眼科・福祉の専門家とピアスタッフのいる情報の拠点となる 【活動内容】 A. サロン:当事者・家族・地域の晴眼者が集い、雑談や手作業を行う B. 英会話サロン:20~86歳が参加し、英会話を楽しむ C. 音声PCやiPhone 等の初歩を体験:高齢者も初心者も体験可。当事者が説明 D. 個別相談:眼科や福祉の専門家とピアサポーターが対応 E. 行事:サロン等で提案された「やりたい事」を行事として計画し実施する (リコーダアンサンブル、ロービジョンフェア、遠足、味噌仕込み会、ヨガ等) 【結果】 2018年3月末時点で、会員及び賛助会員53名、賛助団体8団体である。構成は、当事者・家族17名、医療20名、福祉5名、一般市民15名(重複あり)。賛助団体は、眼科クリニック5団体、その他2団体。2017年度のサロンや行事等の参加者および見学者は、延べ472名であった。ロービジョンフェア(2017年5月開催)では、来場者61名、スタッフ・ボランティア33名であった。 【課題及び展望】 経済的自立および当事者と繋がる方法、連携の促進、啓蒙活動などが今後の課題である。医療から次につなげるワンストップサービスの役目を担える団体をめざしたい。   研-P-68. 神戸アイセンター病院とロービジョンケアフロア「ビジョンパーク」 連携についての報告 ○山本 翠1)、別府 あかね2)、山田 千佳子2)3)、高木 誠二1)、平見 恭彦1)、仲泊 聡1)2)3) 、栗本 康夫1)2)、髙橋 政代1)2)3) 1)独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸アイセンター病院、2)公益社団法人NEXT VISION、3)理化学研究所 【目的】 神戸市立神戸アイセンターは、基礎研究から臨床応用・治療・リハビリまでをトータルでサポートする日本で初めての眼科専門施設として2017年12月に開設した。施設3階にある外来フロアと、2階のロービジョンケアフロア「ビジョンパーク」の連携の現状について検討、報告する。 【方法】 神戸アイセンター病院を受診しケアが必要と判断した患者に、疾患名・視力・おおまかな視野・身体障害者手帳の有無・等級・連絡事項を所定の連携カードに医師や視能訓練士が記入し、診察待ち時間や受診後にビジョンパークにカードを持参し相談にいくように案内した。実際に行くかどうかは本人の判断に委ねた。患者よりカードを受け取ったビジョンパークスタッフである情報コンシェルジュが、必要なケアの情報提供や関連団体の紹介を行った。また対応した概要を記録し、追跡調査を行った。 【結果】 外来より2階ビジョンパークへ紹介し、実際利用した患者数は、2017年12月から2018年2月までで143名であった(12月26件、1月60件、2月57件)。 疾患別だと網膜色素変性が52例(37.4%)、緑内障29例(20.8%)、加齢黄斑変性15例(10.7%)、その他43例(30.9%)、年齢は平均65.5歳(16歳~93歳)であった。紹介内容としては、読字書字(21%)、情報提供(16%)、歩行について(15%)、暗所視眼鏡やドライビングシュミレーターなどの機器体験(11%)不安で話を聞いてほしい(5%)であった。 【結論】 受診と同時に病院の待合空間でロービジョンケアの情報提供を受けて帰れる本取り組みは、ケア施設の少ない遠方の患者にも情報を提供することができる、他施設にない機器を体験できる、ケア施設に出向くことを躊躇している患者にも病院受診のついでに情報提供を行えるなど、有用であったといえる。   研-P-69. 地域での福祉、教育、医療の連携 ○横田 聡1)、原田 敦史2)  1)スタンフォード大学、2)堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター 【目的】 視覚障害の当事者支援において、福祉・教育と医療の連携が十分に取れているとは言えない。福祉・医療の相互の連携を促進するために、地域の担当者を集め情報交換の場を設け、その効果を検証した。 【方法】 2017年9月大阪にて、近畿地方の福祉・医療関係者が集まる場を設けた。会の終了後、参加者にアンケート調査を行った。 【結果】 福祉側11名、医療側11名が参加した。連携の必要性・重要性のレクチャー、福祉施設紹介、フリーディスカッションをおこなった。参加した22人のうち20人からアンケートの回答を得られた。会の満足度は55%が大変満足、45%が満足と全員より肯定的な評価を得た。また80%より今後の連携が増えそうと評価を得た。 【考察】 会の開催前は福祉関係者からは医療へ相談しても良いのかという不安、医療関係者からはどこの誰に紹介すれば良いかわからないという心配が聞かれた。それぞれが一堂に会しての話し合うことで、双方の紹介や連携を阻む心理的障壁が取り除かれたと考えられる。 【結論】 地域の福祉の担い手と医療の担い手が集まることで有意義な時間を過ごした。今後、このような会が実際の当事者支援に繋がったか効果の評価が必要である。   研-P-70. 眼科ロービジョンクリニックとの連携 ~七沢自立支援ホームの利用に繋がった患者の状況~ ○内野 大介1)、久保 寛之2)、斎藤 奈緒子2)、渡辺 美樹2)、小野 正樹1)、鈴木 絵里1)、佐藤 伸行1) 1)神奈川県総合リハビリテーションセンター 七沢自立支援ホーム、2)神奈川リハビリテーション病院 【目的】 七沢自立支援ホーム(以下、当施設)は、神奈川リハビリテーション病院眼科ロービジョンクリニック(以下、LVC)の患者に対して支援を行っている。数回の関わりで支援が終了することもあるが、当施設の利用に繋がる患者もいる。本報告では、LVCから当施設の利用に繋がった患者の状況と利用の効果について明らかにしたい。 【方法】 過去5年間(2012年度~2016年度)にLVCから当施設の利用に繋がった患者を対象に、眼科の診療録と当施設のケースファイルを調査した。調査内容は、プロフィール(年齢・疾患名等)、LVCの支援状況(受診回数等)、当施設の支援状況(利用形態、進路等)である。 【結果】 支援した患者総数95名のうち、当施設の利用に繋がったのは24名(25%)であった。平均年齢は56歳(最小20、最大82)、原因疾患は網膜色素変性8名(33%)、緑内障6名(25%)の順に多く、障害手帳は1~2級が19名(79%)、高次脳機能障害等を重複している患者が8名(33%)であった。LVCの受診回数は平均3.2回、利用形態は入所8名(33%)、通所12名(50%)、訪問4名(17%)であった。当施設の訓練で十分に技術を習得できない者もいた。進路は、在宅生活が多い他、復職や進学もあった。 【考察】 患者の潜在的なニーズを掘り起こして、視覚リハビリテーションに繋げるためには複数回の関わりが必要である。患者の中にはニーズが潜在したまま当施設の利用に至ることもある。訓練により得られる効果は、技術の習得だけでなく、自分の限界を知ることでもある。更に当事者と交流し、施設行事を体験することで、社会資源の活用や社会参加の意欲が促進される。 【結論】 視覚リハビリテーションの導入には、多職種との連携が効果的である。LVCと当施設での様々な関わりが患者に良い変化をもたらす。今後も積極的に多職種との連携を深めたい。   活-P-71. ロービジョン者の就労への取り組み ○浅野 紀美江1)3)4)、犬塚 裕子2)  1)半田眼科垂井診療所、2)いぬづか眼科、3)岐阜県立岐阜盲学校、4)JRPS岐阜協会 【目的】 ロービジョン者の就労支援に繋がった2例を報告する。 【症例1】 40歳台男性、特発性視神経炎で加療するも数か月で最終視力RV=0.01(n c)、LV=0.02(0.06)となった。希望する病院でセカンドオピニオンを受け、視覚障害を徐々に受容するようになった。 主訴:職場復帰の為の相談支援 経過:A市民病院のB医師が保有視覚を活用し、職場復帰に向けロービジョンケアを勧めた。依頼を受けC盲学校非常勤講師の発表者がiPad等を紹介した。休職期間を利用しICT機器の訓練を視覚障害者就労生涯学習センターで受けるよう勧め、同時にタートルの会も紹介した。相談後間もなく家族と共に東京事務所へ転勤が叶い、本格的なICT機器訓練を受けると共に白杖歩行も習得され単独歩行も可能となった。現在も大手保険会社である勤務先から、職場における合理的配慮を受け職場復帰を果たし活躍している。 【症例2】 30歳台男性、アトピー性皮膚炎に合併する両眼網膜剥離、白内障手術を受け術後、後期緑内障に至った 主訴:転職のためICT機器を訓練したい。 経過:視機能の悪化で就労の継続が困難となりD医師を通じて相談依頼を受けた。国立職業リハビリテーションセンター、タートルの会を紹介した。学校見学で希望のコンピューターを用いて設計をする仕事(CADシステム)の目標が見えた。 【結果】 4月より入学が決まり技術習得を目指す。 【考案】 治療を受けてもロービジョンとなる症例に遭遇する。眼科の役割は仕事を辞めないで、どのライフステージの視覚障害であっても、働けるとのメッセージを出せることである。患者に寄り添いながら背中を押してあげられるのも眼科である。医師と共に協業しタートルの会、歩行訓練、JRPS協会、盲学校、ハローワーク等多職種による相談支援と相互の連携は患者のQOLに寄与する。   活-P-72. 視覚障害をもつ医師の就労 第1報 ○守田 稔、生駒 芳久、下川 保夫  視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる 2001年、医師法、保健婦 助産婦 看護婦法など合計27の法律に改正が行われ、欠格条項が撤廃、あるいは絶対的なものから相対的なものへの緩和がなされた。 2008年、視覚障害をもつ医療関係資格保持者が情報交換できる場として、「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」(以下、当会と呼ぶ)が発足した。 身体障害者手帳を有する視覚障害者は現在約30万人であり、全人口の約0.2%と考えられる。医師は、現在約30万人おり、単純な統計から考えても、視覚障害をもつ医師は約600人程度と推測され、多い。しかし、視覚障害をもつ医師の現状について明らかにしている調査は限られており、視覚障害をもつ医師がどのように就労しているのか広くは知られていない。 欠格条項が改正されて17年。法律的には、視覚障害を有していてもそれら専門資格試験を受験でき、また資格修得後に視覚障害を負ったとしても、それを理由に資格を停止されることはなくなった。しかし、視覚障害をもちながら医師として就労する人の数は期待されるほど増えておらず、また中途視覚障害を負った人の中には離職を余儀なくされる者もいる。 当会が発足して10年。2018年3月現在、当会には15名の視覚障害をもつ医師が所属する。会員の事例報告を数例紹介すると共に、本発表を通じて視覚障害をもつ医師の就労についての課題を考察したい。また当会の活動内容についても紹介し、広く知っていただくことにより、医療資格を有する中途視覚障害者、および医療資格を目指す視覚障害者のさらなる情報ネットワークの構築をめざしたい。 予定事例 (1)「視覚障害をもつ高齢精神科医の再就職」 (2)「視覚障害をもつリハビリテーション科医」 (3)「視覚障害をもつペインクリニック所属の精神科医」   活-P-73. 就労座談会~当事者主催の新しい座談会の形~ ○並木 正1)、谷田 光一2)、松崎 勇樹2) 1)弱視者問題研究会、2)弱視者問題研究会青年グループ 【目的】 視覚障害当事者の就労体験を聞く機会は少ない。未就労者は就労への不安を抱き、また就労中の視覚障害者は、就労環境をどう向上させるか独り苦慮している。そこで、当事者が座談会を行うことで就労への不安を解消し、情報共有から職場環境の向上ができると考えた。 【方法】 (1)就労座談会を企画 職場での問題をスタッフで出し合い、最も声の多かった「職場のコミュニケーション」を課題とした。一方通行になりがちな「講演」ではなく体験型の「ロールプレイング」で自信をつけてもらおうと考えた。ロールプレイングの題材として「Yes、butの法則」を選定した。「Yes、butの法則」はビジネスマナーの一つで、簡単に言えば“できない”ではなく“こうすればできる”と返答し、相手との良好なコミュニケーションを図ろうというもので、視覚障害者の就労に応用できないかと考えた。2017年11月11日に行った就労座談会では、学生から40代までの参加者9名とスタッフ6名を含む15名が集まった。ロールプレイング以外にも情報共有の場を設けた。 (2)Web座談会 東京&福井 東京と福井盲学校をWeb中継し就労座談会を行った。都心と地方では就労状況に格差があり、都心の就労体験を学生に伝えることで、可能性を伸ばすことを目的とした。座談会では「どこでパソコンスキルを身につけたか」「一般大学ではどんな支援が受けられたか」など多くの質問がとびかった。 【結果】 ・「Yes、butの法則」で新しいコミュニケーションの形に気づいた。 ・職場での工夫を共有することで、職場環境を改善する意欲につながった。 ・ロールプレイングを通して自信がついた ・身体状況に合わせて転職したエピソードを聞いて、終身雇用だけじゃないと気づいた。 【展望】 ・他分野の知見を取り入れることは当事者に有益であり、今後も新しい形を模索していきたい。 ・各地で就労を取り巻く状況はさまざまであるため、今後もWebを用いた情報交換の機会を作っていきたい。   活-P-74. 視覚障害をもつ看護師の就労 第二報 ○藤原 奈津子、安部 恵子、中野 規公美 視覚障害をもつ医療従事者の会 ゆいまーる 2001年に保健婦助産婦看護婦法が改正され、視覚障害があっても看護師として就労することが可能となった。現在、身体障害者手帳を有する視覚障害者は約30万人であり、全人口の約0.2%である。看護師は現在約150万人おり、統計から考えても、視覚障害をもつ看護師は約3千人程度と推測され、多い。しかし、視覚障害をもつ看護師の現状についての調査は限られており、視覚障害をもつ看護師がどのように就労しているのか広くは知られていない。 欠格条項が改正されて17年、法律的には視覚障害を有していても看護師国家試験を受験でき、視覚障害を理由に看護師資格を停止されることはなくなった。しかし、視覚障害をもちながら看護師として就労する人の数は期待されるほど増えておらず、中途視覚障害者の中には離職を余儀なくされる人もいる。実際、「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」に所属する看護師の現状を見ても、就労を継続した看護師は半数程度である。そこで今回、視覚障害をもつ看護師の実際の就労について事例報告をし、視覚障害をもつ看護師の就労についての課題を考察したい。 【事例報告】 事例1 民間病院勤務。リスクマネージャー業務や相談支援業務に従事。 事例2 福祉機関勤務。相談支援業務に従事。 事例3 公立病院勤務。病棟勤務に復職するも、就労継続困難となり離職。 【まとめ】 看護師の仕事は安全性を強く求められる仕事であるため、視覚障害は業務を行ううえで大きな障害となり、就労継続が困難なことも多かった。一方で、業務内容を工夫し就労を継続できる事例もあった。視覚障害をもつことで全ての業務が困難となるわけではなく、視覚障害をもったからこそ行える業務もあった。今後、視覚障害を理由に離職を余儀なくされる看護師が減少するよう、また、視覚障害を理由に看護師となる夢をあきらめる人がいなくなるよう、引き続き調査していきたい。   活-P-75. 京都における「目の見えない人・見えにくい人の仕事サロン」の活動の意義と展望 ○野々村 好三、石川 佳子、吉川 典雄、久保 弘司 公益社団法人 京都府視覚障害者協会 【目的】 「仕事サロン」の活動の概要を紹介し、視覚障害者・支援者が一体となった就労環境改善に向けた取り組みの意義を提示することを目的とする。 【活動の概要】 (1)目的 視覚障害者の就労について情報交換できる場が京都にも必要であるとの認識に立ち、日々働く中で、あるいは仕事を探す中で、困っていることや工夫していることなどについて安心して共有できる場を作り出すことを目的に立ち上げた。 (2)運営体制 主催:公益社団法人 京都府視覚障害者協会 職業部 共催:視覚障害者ネットワーク きららの会、京都ライトハウス鳥居寮訓練修了者の会「フェニックス会」 (3)実績 2012年8月より、3か月に1度開催(2018年3月時点で、通算24回)。 毎回20名前後が参加。実施形態:前半はゲストによる講演、後半は分科会形式で話し合うことが多い。 開催テーマの例:就職活動、中途視覚障害者の就労継続、転職、機器活用、ビジネスマナー、ストレスケア、子育てとの両立、歩行訓練士による白杖体験 ※2016年度には、アビリンピック京都大会と同時開催された、企業向けの「障害者雇用セミナー」にて、本サロンの活動を紹介するとともに、視覚障害者の働く事例を報告した。 【考察】 ◇各種就労支援機関との良好な関係が成立している。 ◇複数の団体が共に運営することにより、相談機関からの紹介を含め、参加者が多様化しており、参加者同士のつながりを重視している。 ◇毎回様々なテーマを取り上げることにより、参加者が拡大している。 【結論】 中途視覚障害者が視覚リハや相談機関、当事者団体とつながることなく退職に至っている現実を踏まえ、もっと多くの人・機関に情報が行き届くようにする必要がある。ハローワーク等との連携を深め、企業への働きかけも含め、1人でも多くの方が働き続けられる環境を作っていくことが重要である。   活-P-76. 視覚障害者に対する遠隔サポートによる就労移行支援について ○石川 充英1)、江崎 修央2)、川邊 有紗2)、伊藤 和幸3)、山崎 智章1)、稲垣 吉彦1)、河原 佐和子1) 1)東京視覚障害者生活支援センター、2)鳥羽商船高等専門学校、3)国立障害者リハビリテーションセンター研究所 【はじめに】 当センターは視覚障害者に対し、画面読み上げソフトによるパソコン操作訓練等の就労移行支援を行っている。しかし、このような事業者は全国的には少ない。そこで居住地にかかわらず、視覚障害者が就労するために必要であるパソコン操作訓練(以下、PC操作)、保有視覚評価と支援機器活用訓練(以下、LV活用)について、以前から遠隔サポートによる就労移行支援の実施に向けた取り組みを行っている。その結果について報告する。 【遠隔サポートを行うシステムの概要について】 PC操作では、Office365(以下、365)を使用し、(1)教材の配布はOneDriveを利用、(2)サポートは音声会話やメッセージ、画面共有と遠隔操作など365の機能を利用(3)サポート用機能ボタンをデスクトップ等に配置、(4)対象者の進捗状況把握のため365内に学習支援サイトを設定した。また、これらを設定したパソコンを予め用意した。LV活用では、スマートフォン2台と会議システムのアプリを使い、(1)MNREAD-J等の保有視覚評価、(2)据え置き型拡大読書器の使用法指導を行う。その際に支援者が対象者の目元情報と見ているものの全体像を把握できるよう、また支援者の指示が介助者に伝わるようスマートフォンを配置した。 【結果と考察】 センター内において、模擬的な環境を設定し検証を行った。PC操作ではサポート用機能ボタンからメッセージを書き込んだ際、確認のための全文読み上げができない、LV活用ではスマートフォンの設定位置などの初期設定に問題が見つかった。一方、被験者からは遠隔サポートでも十分訓練として受けることができるとの評価があった。今後は回線やサポートで使用するソフトウェアの不具合が生じた際の対応方法等を検討していく必要がある。また、センター以外の場所との実証実験を行い、検証を重ねていきたい。   研-P-77. 眼科外来における視覚障害者の就労支援について ○村上 美紀、落合 信寿、永田 竜朗、近藤 寛之 産業医科大学眼科学教室 【目的】 視覚障害者の就労支援において眼科医療機関がどのような役割を果たしているかを調べる目的でインタビュー調査を行った。 【方法】 福岡県眼科医会会員勤務施設に対し事前アンケートを行い、調査への協力ができると回答のあった中から4件、ロービジョン学会HPにて就労支援を行っていると記載のあった中から3件、日本眼科医会HPのロービジョンケア対応医療機関のうちインタビューへの協力が得られた中から3件に対し、ロービジョンケアと他施設との連携、就労支援について半構造化した調査票を使用しインタビューを行った。 【結果】 ロービジョンケアを行っている施設が8ヶ所、行っていない施設は2カ所であった。本人や周囲の人への見え方の説明と移動や福祉制度についての情報提供は、すべての眼科で、就労支援施設に関する情報提供は7カ所で行われていた。ケース会議への出席も2カ所あった。主治医が関心を持ち積極的に介入しないと就労支援はできない、視覚障害者がどのように働いているかを眼科主治医が知る機会がない、地域のリソースが医療従事者に知られていない、介入したいがどうしたらいいかわからないなどの回答があった。 【考察】 眼科医は、患者さんの保有視機能を評価し、利用できる就労支援リソースの情報提供を行い、職業上で視機能低下を補う方法も考えて提示することができる。会社側が就労に協力的であれば、会社側に環境整備の助言を行う、健康情報を提供することも大変有効である。眼科医が積極的に介入しても、その結果については、地理的な問題や地域の支援リソースの状況、勤務先の状況によってさまざまであると思われた。 【結論】 眼科医が就労支援リソースや視覚障害者の就労の具体例を知らないと介入が困難となるため、啓発が必要である。支援マニュアルの作成などの対策も考えられる。 【謝辞】 本研究は日本医療研究開発機構(AMED)の支援によって行われた。   研-P-78. 盲ろう者の就労に関する研究-盲学校、養成施設のアンケート調査から- ○高橋 忠庸、浮田 正貴 国立障害者リハビリテーションセンター 【目的】 盲ろう者の就労は極めて難しいことが指摘されているなか、全国盲ろう者協会の調査において、理療での就労に可能性があることが報告されている。しかし、その実態は明らかとなっていない。そこで、本研究では盲ろう者の理療免許取得から理療就労するための実態を調査し、今後の支援に役立てることを目的とした。 【方法】 全国の理療教育課程を設置している盲学校、養成施設65校を対象に自記式質問紙法を実施した。調査内容は、盲ろう者の入学実態、授業での支援、免許取得状況など5項目とした。期間は2016年6月から8月であった。調査対象校65校中57校から回答が得られた。 【結果】 盲ろう者が入学した学校は27校であり、卒業した盲ろう者は21年間に76名であった。有効回答60名の性別は男性44名、女性16名で、年代は30代、20代の順に多かった。理療に関する免許取得は、あマ指師で85%、はり師で68%、きゅう師で58%であり、免許取得者のうち理療就労したのは88%と高率であった。授業の支援では、席の配置や個別の資料配布、パソコンの使用などが多かった。一方、実技では理療の特性である手で触れるという触覚の手段により、障害程度に関わらず習得できていた。 【考察】 本調査で約半数の学校が盲ろう者を受け入れ76名が卒業していた。そのうち、理療に関する免許取得者はあマ指師で高率であり、就労にも結びついていたことから、理療が盲ろう者の職業として重要であることが示唆された。また、授業の支援においては、席の配置やパソコンの使用など個別に見合った支援が行われていたことなどが免許取得に結びついたと考えられた。一方、実技では、特別な支援を行っていないことから、理療は人体に手で触れる触覚を活かした業であることがその要因と推察された。 【結論】 盲ろう者が理療を目指すことは就労するために重要であり、特にあマ指免許取得は就労に結びつく大きな要因と考える。   研-P-79. 視覚障害者の就職活動におけるウェブ活用とアクセシビリティ ○新美 知枝子1)、飯塚 潤一2)  1)社会福祉法人 日本盲人職能開発センター、2)国立大学法人筑波技術大学 【目的】 現在、就職活動において、ウェブでの情報収集は必須である。しかし、先行研究によると「閲覧や手続きなどの利用をあきらめた経験のある全盲者は9割以上」と報告されている。本研究では視覚障害者の就職活動でのアクセシビリティの現状を調査し、課題抽出と改善提案を行う。 【方法】 (1)東証一部上場企業2002 社、障害者雇用率トップ100社、視覚障害者訓練施設の就職先企業の3分類に対して、「障がい者採用」ページ開設状況を調査。 (2)訓練施設の就職先企業の業種を調査。 (3)上場企業32社(無作為抽出)のトップページ・一般採用ページ・障がい者採用ページをmiCheckerで知覚スコアの調査。 (4)視覚障害当事者に、就活でのウェブページの利用状況をアンケート調査。 (5)情報通信業の採用担当者と一般社員(全盲)にインタビュー調査。 【結果】 「障がい者採用」ページ開設率は、訓練施設の就職先企業が46%と最も高かった。28年度の就職先では、情報通信業が全体の22%を占め、順調に伸びている。ウェブ・アクセシビリティ評価では、「障がい者採用」ページの知覚スコアが他ページより高く、アンケートでも、同ページが「利用しやすい」は6割であった(ウェブ全体では2割)。インタビューでは、現在「ウェブから障害者の問合せはほとんどない」が、採用側としては「ウェブによる情報収集は業務とのマッチングに重要で、志望度合いも高いとみなす」とされ、今後は「ウェブ・アクセシビリティ向上にはウェブ更新者への講習が効果的」などの意見があった。 【考察および結論】 「障がい者採用」ページは利用しやすく、開設率は訓練施設の就職先企業が高いことがわかった。情報通信業をはじめ、企業側はウェブ・アクセシビリティに取り組んでいるが、視覚障害当事者のアクセスはいまだ低く、企業側だけでなく、当事者の利用拡大の支援プログラムも必要と考える。   研-P-80. 視覚障害者の就労に関する意識調査 ○山田 千佳子1)2)3)、別府 あかね1)、和田 浩一1)、仲泊 聡1)2)、高橋 政代1)2)、 香西 豊子3)  1)公益社団法人NEXT VISION、2)理化学研究所、3佛教大学大学院 【目的】 視覚障害者の就労の実態把握を目指して、視覚障害や就労に対する意識調査を行い、どうすれば視覚障害者の就労につながるか人々が持つ視覚障害に対するイメージを検討した。 【方法】 対象は神戸市内の計400名で、ホームページや支援機関等のメーリングリストで募集し、視覚障害・医療関係・行政関係・企業・一般の各100名の4グループで集計した。期間は2017年9月~10月で回答方法はウェブサイト、質問紙の郵送、FAX、メール、電話での聞き取りを行った。質問内容は年齢・性別・職業・視機能・視覚障害に対する知識・就労に対するイメージなど6項目31問であった。 【結果】 就労に関する一般的なイメージの質問ではロービジョンであっても「就労できる」と回答した人が332人(83%)で、その内訳は視覚障害89人、医療関係79人、行政関係84人、企業・一般80人であった。また、自分がロービジョンになった場合に「就労できる」と回答した人は202人(約51%)で、その内訳は視覚障害66人(約26%減)、医療関係47人(約40%減)、行政関係51人(約39%減)、企業・一般38人(約52%減)であった。 【考察】 視覚障害者群とそれ以外を比べると「就労できる」と回答する割合は視覚障害者が高く、一般的なイメージと自分が視覚障害者になった場合では、平均すると後者が約39%減少した。これはロービジョンだけでなく、全盲の場合も同様の結果であった。 【結論】 視覚障害者は就労できると一般的に考えられているが、自分にはできないと考える傾向があることが明らかになった。その要因として視覚障害者の場合は自分の能力を過小評価し、その他は就労に関する情報不足が考えられることから、障害があっても就労が可能だという「体験」につながる正しい知識や情報の必要性が示された。   活-P-81. 院内連携によるロービジョン対応食器の導入 ○澤田 園、新田 朋美、小江 夏央里、北川 由貴 市立長浜病院 【目的】 市立長浜病院では2016年より職員対象のロービジョン(以下、LV)啓発活動を実施している。この活動を契機に栄養科と眼科が連携し、2017年より病院食でLV対応食器を導入した。その導入までの経緯と使用者のアンケート調査結果を報告する。 【方法】 栄養科よりLV対応食器導入の提案を受け、眼科から視能訓練士が協力した。上肢機能障害での食事動作訓練で用いる自助食器の要望もあったことから、「色付きの自助食器」として、関連する医師、調理師、作業療法士、視能訓練士で食器を選定した。配膳トレイは白色であったため、飯椀は焦げ茶色を採用し、総菜用の食器は形状が同じもので濃い青と黄の2色を中身の色調により使い分けることとした。また食器の運用案を視能訓練士が関連職種と協議のうえ作成し、2017年7月より、まずは眼科入院患者を対象に導入を開始した。食器の数が限られることから、対象を「非術眼視力が0.5以下あるいは高度の視野障害を有する患者」としたが、対象外の患者が希望した場合にも対応した。導入開始から2018年1月までのLV対応食器使用者に対し、使用感(食器の配置や中身の見やすさ、色の印象、食べやすさ)について5段階評価のアンケート調査を実施し、上位2段階の回答を高評価として集計を行った。 【結果】 アンケート調査期間内の入院患者は231名で、うち107名がLV対応食器を使用した。調査に協力を得られたのは対象者40名、非対象者65名の計105名であった。アンケート回答での高評価の割合は「食器の配置の見やすさ」87%、「中身の見やすさ」88%、「色の印象」77%、「食べやすさ」82%であり、特にコントラストに関する項目で評価が高かった。このほか滑り止めなどの自助食器の形状を高く評価する意見が多くみられた。 【考察】 食器のコントラスト改善が病院食の満足度向上に繋がった。また、食器に関する多職種連携の取り組みにより、院内職員のLVに対する認知を広めることができた。   活-P-82. 視角拡大眼鏡WIDEiⓇの試作と検討 ○谷生 えり1)、森 泰伸2)、山田 信也3)、上野 絵理香4)、小谷 真弘5)、嶋田 恵6)、野口 英樹7)、安里 倫子8) 1)大津赤十字病院、2)リットーメガネ、3)福岡視力障害センター、4)平島病院 、 5)北野病院、6) 蘇生会総合病院 、7)市立福知山市民病院 、8)堺温心会病院 【目的】 網膜色素変性症や緑内障などが進行した求心性視野狭窄患者に対して、中心視野を拡大する眼鏡として135度超広角魚眼レンズ(フィット社製、GyoromeganeⓇ)が2012年に発売された。今回、我々はレンズ3枚を組み合わせ、逆ガリレオ式の原理をもとに視角拡大眼鏡(リット-メガネ社製、WIDEiⓇ)を試作しGyoromeganeⓇとの比較なども行い、有用性を検討した。 【対象と方法】 対象は正常眼15名(男性4名8眼、女性11名22眼)、平均年齢(38.3±10.0歳)を対象にWIDEiⓇ装用前後の遠見・近見視力、コントラスト感度、立体視を測定し比較した。 視野はWIDEiⓇ装用の上に視野狭窄シミュレーションゴーグルの3度、5度、10度(高田メガネ社製、シミュレーションレンズトライアルⓇ)の3種類を用いハンフリー30-2で測定し解析ソフトで面積を比較した。また、これらを使用して歩行速度や階段昇降時間の変化や卓上の物を見つけて手にとるまでの探索時間、後方から近づく物体の察知時間なども測定した。 【結果】 遠見視力は1.2から0.9、近見視力は1.0から0.8に、コントラスト感度も低下し、立体視も9/9から5/9と低下した。視野は、3度で約2倍、5度で約2.2倍、10度で約3倍と拡大した。平坦な場所での歩行速度は変わらなかったが、圧縮感があり階段昇降速度は低下し、特に降りで顕著であった。卓上の探索時間と後方からの物体を察知する時間は短縮した。 【考察】 視角拡大眼鏡 WIDEiⓇは軽量で、両手での作業、屈折矯正が可能であり、視力への影響も少なく視野拡大効果が認められた。しかし、PD調節ができないため輻湊への対応が不十分であり今後、さらなる検討が必要と考えられた。   活-P-83. 児童生徒の拡大教科書作成の取り組み ○山本 潔、髙栁 泰世、福田 法子、坂部 司  特定非営利活動法人 愛知視覚障害者援護促進協議会 【背景】 愛知視覚障害者援護促進協議会(以下当会)では、眼科医を窓口として、拡大教科書の作り方を学習したボランティアが、児童生徒の使い易い「拡大教科書」作成の取り組みを継続中である。しかし、近年、いわゆる「教科書バリアフリー法」によって教科書出版社が「標準拡大教科書」を作成することが義務付けられて、全国の拡大教科書制作ボランティアの皆さんは、原則、18ポイント以下および26ポイント以上の拡大教科書の作成が中心である。当会では、発足当初より「拡大コピー」による18ポイント以下の「拡大教科書」を作成している。 【現在の活動状況】 拡大コピーによる作成する理由は状況によって異なりますが、主に3つの理由があげられる。第1に、「他の児童生徒と同じような教科書がいい」という要望に応え、取りあえず拡大文字を経験してもらいたい場合。第2に教科書の内容(音楽の楽譜等)の専門性が高く、ボランティアの能力を超えているが拡大教科書を使って欲しい場合。最後に、視覚補助具(ルーペ・弱視眼鏡・CCTVなど)を活用する場合があげられるであろう。また、年1回、本人と家族・担当教諭・愛知県教育委員会・名古屋市教育委員会・教科書製作会社の方々に集まっていただき、当会からも眼科医・役員・作成ボランティアが一堂に会する「拡大写本のつどい」(本年で24回)を開催し、使用する指導生徒にあったオーダーメイドの拡大教科書を作成中である。 【今後の取り組み】 今回は、拡大教科書製作をしている皆さんがあまり作成していない「拡大コピー」による拡大教科書作成の状況と、当会が最終目標としている拡大文字だけに頼らず様々な視覚補助具を活用した文字の読みができるような教科書の提供を考え日々活動していることの報告である。   活-P-84. 普通小に通うロービジョン児に視覚補助具の選定を試みた一例 ○太田 春恵、松山 明子 千葉県千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション療法部 視能矯正科 【はじめに】 今回普通小学校に通うロービジョン児に視覚補助具の選定をする機会を得たのでその概要を報告する。 【内容】 7歳女児。先天眼振で経過観察を行っていたが、就学し、学習時の見づらさを訴えたため、ロービジョンケアを開始した。近見用補助具としてスタンプルーペ(4倍)、ライト付ルーペ(4倍)、遠見用補助具として単眼鏡(4倍)を貸し出し、再来時に使用状況と視力の確認を行った。近見は不自由がないため貸出の補助具は未使用だったが、遠見時に単眼鏡をよく使用していた、とのことだった。単眼鏡使用での視力を測定したところ4倍の単眼鏡で0.6の視力が得られたが、ピント合わせが甘いため練習が必要である。 【課題】 何度か単眼鏡のピント合わせの練習を試みたが、眼振があり、穴から覗くことが困難のようである。現在小さな穴から覗く練習を行っているが、低学年であるため、万華鏡等を用いて楽しみながら飽きさせないように行っている。また今後学年と学習内容が進むにつれ新たな困難さが出てくると思われるため、その都度対応を試みたい。   研-P-85. iPad MNREAD-Jの開発における実用上の課題 ○小田 浩一  東京女子大学 心理・コミュニケーション学科 【目的】 iPad版の読書視力チャートMNREADの日本語版(以下iPad MNREAD-J)プロトタイプを開発した。このプロトタイプを用いて測定した結果が、印刷版と同等であることは確認された(小田ら、2017)が、英語のオリジナル版の読書材料を日本語に入れ替えただけであったため、読書評価を実施する上での課題が残っていた。読書評価の経験の多いユーザを対象に実用上の課題をインタビュー調査したので報告する。 【方法】 日本語版MNREAD-Jを10年以上使用しているユーザ5名にiPad MNREAD-Jのプロトタイプを使って実際の読書評価を複数回体験させた後、思いつくままに課題を報告させた。報告された課題を、以下の6つのカテゴリ:(1). 読書刺激の表示、(2). iPad操作、(3). 誤答入力、(4). 結果の表示、(5). 表示言語、(6). その他の各項目について (a). 変更しなければ実用にならない、(b). できれば改善すべき、(c). 改善すればより良い、とレベル分けして整理した。 【結果と考察】 5名が報告した実用上の課題は全部で37件であった。カテゴリ別には、(1). 刺激表示から順に10、7、5、8、2、9件で、レベルは(a).変更必須から順に16、6、5件であった。変更必須のものとしては、プロトタイプのプログラムにあるバグが複数報告された。バグ以外の必須項目としては、刺激表示時のビープ音のタイミング、誤答入力時の単語数入力、結果表示のword/minなどが報告された。いくつかは英語版と日本語版のMNREADの相違点に起因するもので、言語体系が異なることによっている。したがって解決に困難が予想されるが、iPad MNREAD-Jをロービジョン・サービスの現場に届けるためには解決する必要がある。 【結論】 英語と日本語の言語的習慣に起因する課題があきらかになった。   研-P-86. 小学校における弱視児の困難と解決に関する研究 -困難数と解決数からの分析- ○氏間 和仁1)、林崎 恵2)、中野 泰志3)、永井 伸幸4)  1)広島大学、2)広島大学教育学部、3)慶應義塾大学、4)宮城教育大学 【目的】 弱視児が困難に遭遇した際の解決は、個人的な経験であると同時に、人間関係や偶然等に左右されることが多くエピソードでしか語ることができない。個人のエピソードを質問紙法や面接法を用いて分析すると、記憶や印象や直感に左右されてしまう可能性が高い。そこで、本研究では、現在、弱視の大学生が小学校の時代に担任教師と保護者の間で綴られた連絡帳をグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)で分析した過程で得られた切片化された記述(以下、切片)に基づき、教科別に解決率を分析した。 【方法】 分析の対象は現在、弱視の大学生(両眼先天性緑内障、当時の視力:右眼0.1~0.25,左眼0)の小学校時代の連絡帳であった。GTAに基づき、テキスト化した文章を細かく分断して切片化し、教科等のラベル化を行った。困難のラベルが付された切片数を数え、それが解決に至った割合を教科別に算出した。 【結果】 国語の切片数は382(37/22/4)(切片数中の、困難/支援/解決の切片の数)、社会は68(4/4/3)、算数は144(13/11/3)、理科は120(8/12/4)、生活は9(0/0/0)、音楽は38(3/7/1)、図工は62(5/0/0)、家庭科は50(2/2/0)、体育は188(7/18/3)であった。国語の解決率(解決数/困難数)は、0.11、社会は0.11、算数は0.23、理科は0.5、体育は0.43であった。音楽・図工・家庭科は0.00であった。 【考察】 実技系の教科で困難が解決につながった記述は0%であった。実技系教科は、見て・操作することが中心になるため、解決に繋がりにくいことが考えられる。国語(11%)・算数(23%)の解決率は低く、漢字の定着や作図、単位などの読み書きなどの困難は抜本的な解決につながりにくいと考えられる。弱視児は似た文字の見間違いが多いことが指摘されており、視知覚の困難が一つの原因と考えられる。 【結論】 小学校に通う弱視児にとって、困難が解決に至ることは多くはないことが示唆され、特に実技や国語・算数での支援が重要であると考えられる。   研-P-87. 健常被験者を対象とした両眼用眼鏡式拡大鏡の瞳孔間距離の基礎的な検討 ○金澤 正継、相澤 学、小野 充、近藤 明宏、吉田 明弘、山中 幸宏  株式会社 朝倉メガネ ロービジョン・ケア推進室 【目的】 両眼用眼鏡式拡大鏡は、レンズ光学中心の決定が使いやすさに影響しやすいと考えられるが、その研究は充分に検討されていない。そこで本検討では、健常被験者を対象に両眼用眼鏡式拡大鏡の瞳孔間距離の基礎的な検討を行った。 【方法】 健常被験者20名(平均年齢44.0 ± 10.8歳)を対象に瞳孔間距離を測定した。瞳孔間距離は眼鏡未装用の状態で明室にてそれぞれ、5 mおよび30、20、15、10 cmの視距離にある目標を固視させ、このときの角膜反射を参照して三田式万能計測器(はんだや)を用いて測定した。また、三角法による計算上の瞳孔間距離(以下、予測値)は、遠方瞳孔間距離をPD、眼球回旋点をZ、角膜頂点間距離をK、視距離をFとした場合、「PD-(PD×(Z+K)÷(F+Z+K))」から算出した。その上で、各視距離での瞳孔間距離の測定値(以下、測定値)と予測値との関係を検討するため、回帰直線にて相関係数を求めた。また、30、20、15、10 cmの視距離での測定値と予測値との差分をとり、反復測定分散分析を行った。 【結果】 回帰直線にて解析を行った結果、各視距離での測定値と予測値の間に強い相関を認めた(r ≧ 0.85、p < 0.01)。一方、測定値と予測値との差分は30、20、15、10 cmの間にそれぞれ有意差を認めた(ANOVA、Scheffé、p < 0.01)。 【考察】 回帰直線の解析結果が強い相関を認めたため、遠方瞳孔間距離から計算上の数値で近方の予測が立つ可能性が示された。一方、反復測定分散分析の解析結果が30、20、15、10 cmの間に有意差を認めたため、予測値は視距離が近づくとともに誤差が生じやすいことが明らかになった。本検討において、10 cmの視距離まで輻湊ができない被験者は含まれていないが、特に予測値から誤差が大きい場合、疲労の影響なども考えられるため、注意を要する。 【結論】 両眼用眼鏡式拡大鏡の瞳孔間距離を決定する場合、予測値を踏まえ、視距離が近づいた場合は注意を要することが示唆された。   研-P-88. 虚像距離及び等価視屈折力測定装置の開発 ○田邉 正明1)、萩原 博2) 1)日本ライトハウス養成部、2)株式会社ナイツ 【目的】 卓上式拡大鏡のレンズと虚像間距離の測定と、ロービジョン者の拡大に必要な等価視屈折力(EVP)の状態を体験できる機器の開発。 【方法】 2枚の凸レンズのレンズ間距離を変化させることにより、焦点距離を変化させることができる。単眼鏡は対物レンズの屈折力をFo(D)、接眼レンズと対物レンズの合成屈折力をFe(D)、対物レンズと書面間距離をa(m)、角倍率をm(倍)とすると、a=1/Fo+m/Feで表わされる。そこで単眼鏡を用いて2枚の合成レンズの焦点距離を特定できるように鏡筒に目盛を印刷し、虚像までの距離を測定できるようにした。また、その距離に応じた等価屈折力が決定されるため、同時に等価視屈折力を測定できるようにした。 【結果】 NEITZポケビューPK-4を卓上式拡大鏡のレンズ上に置き、鏡筒を徐々に伸ばしていくようにして明視できるポイントを特定し、レンズと虚像間距離が105cm~20cmの範囲で測定可能となった。また、ロービジョン者が拡大に必要な屈折力を度数の違う単レンズを試行錯誤して見る要領で、4D~26Dの範囲で自覚的に適切なレンズを体験することが可能となった。 【結論】 卓上式拡大鏡の製品カタログには倍率のみが表記されているが、処方するためにはレンズと虚像間距離を知る必要があり、NEITZポケビューPK-4で簡易に測定できた。また、ロービジョン者に必要な弱視レンズには多くの種類があり、レンズ度数もさまざまなものを用意すると高額になるが、NEITZポケビューPK-4は4D~26Dの範囲で等価屈折力が可変になるため、高屈折力レンズを使った処方の状態を簡易に体験できるようになった。   研-P-89. 介護を受ける患者の視機能調査と自立度の調査 ○加茂 純子1)、原田 亮2)、廣瀬 春子2)、藤田 大輔3) 1)甲府共立病院、2)甲府共立診療所、3)共立介護支援センター、4)健康科学大学 【目的】 高齢化に伴い視機能が落ちる率も増加する。ケアマネや介護士が介護する患者の中にも視覚障害者が存在する可能性がある。Nazareth& Louis-Braille(NL)研究所の視覚障害スクリーニング質問票(以下NLVSQ)を用い、スコアが6/15点以上となった患者の率と眼科受診できた人のFunctional Vision Score(FVS)分布を調査した。介護自立度とNLVSQスコアとの関連を調べた。 【方法】 2016年9月から11月に共立介護支援センターの利用者206名(女性117、男89)平均年齢83.4歳に同意の得られる人にNLVSQを用い、スコアが6/15点以上となった患者の率と眼科受診を勧めた。介護度、障害高齢者の日常自立度、認知症高齢者の日常生活自立度とNLスコアとの関連をχ二乗検定で調べた。 【結果】 NLVSQに同意を得て回答可能であった症例78名(男33、女45)平均年齢82.8±9.5歳 スコア6以上で視覚障害が疑われる人15名(78名中)19.2% そのうち、眼科に紹介できた者2名で症例1はFVS7、症例2はFVS40ですでに当院眼科受診をしていた。残りの13名は紹介しても動かなかった。NLVSQスコアと介護度、自立度の間には相関はなかった。 【考察】 同意をとる段階で面倒と思われ、調査に答えてくれない高齢者が多かった。たとえ、視機能低下が疑われるスコアであって、眼科受診を促しても、眼科に連れていく余裕のない家族が多かった。 【結論】 介護が必要になる前の段階で眼科受診する必要がある。1mのロービジョン視力表と対面視野にてもっと直接的に視機能評価を試みたほうが実際的である可能性もある。眼科医または視能訓練士の訪問診療の必要性が考えられた。   研-P-90. XYテーブル付き据置型拡大読書器の比較 ○田中 恵津子1)、渡邉 淳1)、小田 浩一2)、馬場 俊一1)、秋本 啓子1) 1)浜松視覚特別支援学校、2)東京女子大学 【目的】 据置型拡大読書器(以下CCTV)は機種により性能が異なるが、用途や利用者の視機能に適した機種を選択する必要があることはあまり話題にされない。本研究は、視覚特別支援学校で体験型のCCTV展示会を開催し、最新の4種のCCTVの性能を生徒と教職員で比較しながら用途や視機能の特徴ごとに重要視すべき機能について探索しながら整理することを目的とした。さらに生徒のCCTVの性能に対する既存知識にも着目した。 【方法】 15項目(モニタ可動域、XYテーブル可動域と安定性、倍率、重さ、ロック、ライト制御、find機能、など)を設定し評価した。次に、用途(長文読み、雑誌読み、書字、教科書とノート同時使い、手芸)やユーザの視機能の特徴(臨界文字サイズ、視野狭窄、中心暗点、まぶしさ)によりどの機能が重要かを検討した。事前に視機能評価を終えた13名(小1、中1、 高5、 専6名)のロービジョンの生徒はCCTVの機能の説明を受けた上で体験した。 【結果と考察】 4種のCCTVは、軽量だがモニタやテーブルが不安定、テーブルは安定するが可動域が狭い、テーブル可動域は広い(書類をずらさずモニタに端まで映る)がfind機能はない、低倍率表示できるがボタン操作に難あり、等、個々長短の特徴があった。ロック機能やライトの反射の状況など、体験でのみ確認できる特徴も抽出できた。また、XYテーブルのロックの特徴や可動範囲は臨界文字サイズが大きい場合や長文読み課題で、find機能は視野狭窄や雑誌読み課題で、など用途や視機能によって重要な機能が異なる可能性が指摘された。生徒の既知の知識は少なく、ロック機能の特性、ライト調整、モニタやテーブル可動域に対する知識はなかった。 【結論】 主要な機能項目に注目した体験的なCCTVの機種比較から有用な知見が得られた。用途や視機能により着目すべき機能が異なる可能性を検討していく必要がある。   研-P-91. 視覚障害学生の臨床実習施設への情報提供ツール 「私の見え方シート」の改良 ○大澤 富士子、石塚 和重、木下 裕光、井口 正樹、飯塚 潤一  国立大学法人 筑波技術大学 【目的】 「私の見え方シート」は、本学で理学療法士を目指す視覚障害学生が、臨床実習先の病院関係者から視覚障害理解と適切な障害補償や指導を受けられるように開発されたツールである。シートに記載する視力や読書速度などの情報は数値だけでは認識しづらい面があり、簡便で平易な表現が求められていた。シートのわかりやすい表現の改良により視覚障害について詳しく知らない実習指導者のへの負担を軽減する。 【方法】 次の手順で改良を行った。 (1)以前「私の見え方シート」を利用した臨床実習先の指導担当者からの意見をまとめる。 (2)シートの内容は学内で検討するとともに実習先の体験を反映し平易な表記に改良する。 (3)臨床実習現場で使用していただく。 (4)使用後、実習先の13施設の実習指導者にアンケートを行い意見を聴取する。 【結果】 『障害理解』に関しては、「見え方がイメージしやすい」「視覚障害について理解が深まった」などの意見があった。『実習内容の検討・指導』に関しては、「どのようなことが苦手なのか、できることとできないことが明確にわかったのでこのシートがないと困る」、「実習内容を検討したり、具体的な指導に役立った」などの意見があった。 【考察】 改良したことで、初見の指導者にも説明が短縮できたのはよかった。MN-Read検査を年1回程度定期的に実施することにより、学生自身の障害の認識が深くなった。シートを改良する過程で、積極的に利用しようとする学生がいる反面、「もっと見えていると思った」と衝撃を受ける学生もいることがわかり、検査後の心理的ケアの必要性が課題となることがわかった。 【結論】 シートの使用によって『障害理解』と『実習内容の検討・指導』の2点について有用であることがわかった。改良版「私の見え方シート」は、実習指導者に非常に好評であった。今後、進行性眼疾患の視覚障害学生に関して、進路など担任教員等との連携を行っていく。  研-P-92. カラー版触図で使用する色の補正方法の検討 ○市川 あゆみ1)、加藤 一夫1)、安田 輝男1)、安田 孝子2)、飯塚 潤一1)  1)筑波技術大学、2)触覚伝達デザイン研究会 【目的】 我々はこれまで、弱視者と全盲者双方にわかりやすいカラー版触図を制作してきた。カラー版触図では、カラーデザインを維持するため、できるだけ原図の色を再現することが望ましいが、実際には印刷する立体コピー用紙やプリンタ・複写機の特性により発色が異なる場合がある。そこで今回、使用する色の補正方法を検討した。 【方法】 評価対象として、原図と比較して立体コピー用紙上で色差の大きくなる赤色系の色(オレンジと明るいピンク)と,空色を選択した。赤色系ではマゼンタ、空色ではシアンの割合を5~15%ずつ増減したものを塗った4cmの正方形を普通紙に印刷し、それを立体コピー用紙へカラーコピーした。各色について、目視により普通紙と立体コピー用紙の色を比較した。 【結果】 明るいピンクでは、マゼンタを10%多くしたものが普通紙に印刷した色(C:0%、M:25%、Y:15%、K:0%、参考マンセル値:5R 8/6)と近い発色となった。オレンジと空色では明度が下がるが、ほとんど差は見られなかった。 【考察】 これまで作成してきたカラー版触図は色相や明度が原図と異なっていたが、パソコン上でCMYK値を補正することで、より原図に近い色を再現することができた。印刷時の用紙やプリンタ・複写機の特性により用紙上の発色は異なったとしても、主要な色(赤色系の色ならばマゼンタ)の割合を少しずつ変化させて比較することで、簡便に補正することができる。しかし、明度が下がったのは、用紙の表面が滑らかではなかったためと考えられる。 【結論】 カラー版触図で原図の色をできるだけ再現するため、原図と立体コピー用紙の発色を比較した結果、特に赤色系については補正が必要であることがわかった。教育現場で使用するプリンタや複写機が本実験と同じ機種でなくても、今回の方法で色の補正を手軽に行うことができる。   研-P-93. 日常生活やリハビリの現場に適合した視覚テストキットの開発 ○細川 研知1)、丸谷 和史1)、西田 眞也1)、仲泊 聡2) 1)NTTコミュニケーション科学基礎研究所、2) 神戸アイセンター病院 【目的】 これまでの視野検査やコントラスト感度測定は、医療機関を訪れた人を対象に、暗室や高価な機器を用いて測定する方法が多かった。本研究では、市販のタブレット型端末やPCなど持ち出しやすい簡易的な装置を用いて、複雑な刺激を用いた視機能の測定を行うことを目指し、ブラウザ上で高精度の視覚刺激を提示できるテストキットを試作した。 【方法】 試作したテストキットには視力検査、簡易的な視野測定、時間・空間周波数ごとのコントラスト感度などの基本的な視機能を計測するテストが複数含まれていた。利用者の負担を減らすため、すべての測定項目で実施時間の目安を3分以内とした。このテストキットを延べ36名の健常者を対象に試用してもらい、テストにかかる時間と難易度の調整を行った。テストにはiPad Air 2およびそれと同じ解像度のAndroid機を使用した。また、利用者が自発的に使用することを考慮し、口頭教示なしでテストキット中の説明文だけで実施可能か否かについても検証した。 【結果】 例えばコントラスト感度についてはVISTECH社製チャートと同様の曲線と誤差範囲を得るなど、いずれのテストにおいても既存の測定法と同様の傾向を持つ結果が得られた。また、視野測定では平均103秒、コントラスト感度測定では平均91秒など、すべてのテストで実際に3分以内にテストが完了した。口頭教示なしの場合1回目は課題を完了できなかった参加者が24%いたが、2回目では全員が完了できた。2回目以降は成績の変動も見られなくなった。 【考察】 試用の結果から、試作したテストキットでは、汎用機器で短時間に簡便なデータ測定が実現できていたと考えられる。今後は、スクリーニングやリハビリでの実用的使用に向け、テスト結果の評価基準の作成や、利用者のモチベーションを高める工夫の導入など、現場への適合性をより高める必要がある。   研-P-94. 臨界顔サイズに適した推定方法の再検討 ○乙訓 輝実、小田 浩一 東京女子大学 【目的】 ロービジョンでは表情認知の困難がある。この困難は顔を視覚補助具で拡大して観察することで改善できるが、視機能の個人差により適した大きさを求める必要がある。個人に適した大きさを、読書の臨界文字サイズと同じように、臨界顔サイズ(CFS)として求める先行研究がある。川嶋ら(2003)は閾値表情強度を維持できる最小の顔サイズをCFS(以下、CFSk)として推定した。宮崎・小田(2007)は最高の表情認知の成績を維持できる最小の顔サイズ をCFS(以下、CFSm)として定義・推定した。同じCFSが別の方法で推定されているが、CFSは一致するか。2つの推定方法のうちどちらが適切か。本研究では、制御した変数やデータ数の多い宮崎・小田(2007)の生データを二次分析し、CFSの推定方法を比較検討した。 【方法】 表情強度ごとに顔の表情が高い精度(95%)で認識できる最小の顔サイズを求め、その表情強度のCFSmとした。顔サイズごとに表情がぎりぎり認識できる最小の表情強度(閾値表情強度)を求めた後、同じ閾値表情強度が維持できる最小の顔サイズをCFSkとした。2種類の方法で求めたCFSに違いがあるかをt検定で比較した。 【結果】 表情強度の比較的弱い20-40%については、CFSmとCFSkに差があった(ts(6)>3.17、 ps<.05)が、13-16%と50%以上でCFSmとCFSkに差はなかった(ts(6)>-1.82、 ps>.53)。 【考察】 表情強度20-40%で差があったのは、表情強度が弱いときには、より拡大が必要だということを示している。このことは先行研究と一致する。表情強度50%以上では2種類の推定方法は一致していたことは、CFSがどのように推定しても安定している測度たりえることを示している。値が変わらないならば、推定のためのデータ点の少ないCFSmの方が有利であると言える。   研-P-95. 小児のロービジョンケアのニーズ ○新井 千賀子1)、鈴木 由美2)、浜 由起子2)3)、満川 忠宏2)、尾形 真樹1)、 小田 浩一4)、平形 明人2)  1)杏林アイセンター、2)杏林大学、3)日本橋はま眼科クリニック、4)東京女子大学 【目的】 小児のロービジョンケア(以下、LVC)のニーズを検討しケアの提供方針に役立てる。 【方法】 2012年9月から2017年8月LVCを受けたのべ3541名(実数869名)のうち、18歳以下の85名(女37男48名)について、疾患、年齢、視力、ニーズ(期間内初回のLVC時)を調べ横断的分析を行った。ニーズの分類にはKJ法を使用した。 【結果】 疾患は先天異常19%、皮質性視覚障害16.5%、未熟児網膜症14.1% 、視神経疾患9.4% 網膜色素変性症・類縁疾患8.24%であった。他障害の合併率は全体で54.1%であった。年齢は、就学前群(0-6歳)28名、小学生群(7-12歳)43名、中学・高校生群(13-18歳)14名であった。視力は0.06以上0.1以下が24%、0.2以上0.3以下が24%、0.4以上が16% であった。ニーズの総数は147件で全年齢群で就学・進路のニーズが高かった(30%)。就学前群では、見え方・視機能(42%)、小学生群では見え方・視機能(22%)と学習(14.6%)が多く、高校生群では、補助具(32%)が多かった。また、他障害の合併有り群は無い群に比べてコミュニケーションと発達のニーズが上位にあることが特徴であった。 【考察と結論】 上位3疾患は他障害の合併が高い疾患であり50%以上に他障害の合併があったことから、小児のLVCには障害が重複した場合のニーズ(コミュニケーションや発達)があると考えられた。他障害の合併の有無に関係なくどの年齢群でも就学・進路は高いニーズであり、就学前段階から学校教育との連携が必要であることがわかった。年齢群別の特徴は年齢が上がるに従い視機能の評価よりもその具体的活用にニーズが変化しているとも考えられる。この変化は個別の症例の成長にともなった変化であることも予測でき小児LVCでは年齢・発達に応じた継続的支援が必要であると考えられた。   研-P-96. ピークコントラスト感度を測定するコントラスト感度検査装置の評価 ○川嶋 英嗣、小出 愛恵 愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻 【目的】 ピークコントラスト感度とはコントラスト感度関数で最も高い感度値のことであり、ロービジョンを有する人の移動能力と強い関連がある重要な値である。本研究ではピークコントラスト感度について、基礎研究での手法である(1) Gabor刺激を用いたコントラスト感度関数から得られる値と、臨床用検査装置である(2) ペリ・ロブソンチャートと(3) CSV-1000Eで得られる値について比較した。 【方法】 視覚に異常のない18名(平均年齢21歳)を被験者として、バンガーターフィルタを用いて設定した6つの視覚条件それぞれに3名ずつ割り当てた。ピークコントラスト感度は、(1)Gabor刺激を用いた方法ではPython言語で作成したGabor刺激で空間周波数別に測定したコントラスト感度の中で最高の感度値 (2) ペリ・ロブソンチャートでは文字刺激を読ませる課題で測定したコントラスト感度値 (3) CSV-1000Eでは空間周波数別に測定したコントラスト感度の中で最高の感度値とした。 【結果と考察】 CSV-1000Eで測定不能であった視覚条件を除外して一元配置反復測定分散分析を行った結果は有意であったが、ボンフェローニ法による多重比較では三つの測定値間で有意差は認められなかった。ペリ・ロブソンチャートとGabor刺激には有意に強い正の相関関係が認められ(r=0.93, p<0.0001)、CSV-1000EとGabor刺激には有意に中程度の正の相関関係が認められた(r=0.61, p<0.05)。CSV-1000Eで測定不能となった条件が認められたのは、感度の低いフィルタ条件では視力も低くなり一番低い空間周波数条件(3cpd)が見えなかったためである可能性がある。 【結論】 ペリ・ロブソンチャートはCSV-1000Eよりも広範囲のピークコントラスト感度を測定できる検査装置として有用である。   研-P-97. 中心暗点サイズと読刺激文字数の関係 ○高橋 あおい1)、仲泊 聡2)、高橋 政代2)、小田 浩一1)  1)東京女子大学大学院、2)国立研究開発法人 理化学研究所 【目的】 中心視野が欠損した見えは、一般に読書を困難にするが、その程度は個人差が大きい。各自に適した読書支援ツールを処方するためにも、個人ごとの読書能力を測定する必要がある。MNREAD-J(小田・西村、2002)により、文字サイズと読み速度の関数である読書曲線を推定することで、個人の読書能力を定義することができる。一般に普及するMNREAD-Jの読刺激は30文字であるが、本研究はより短い読刺激を使用し、中心暗点サイズと読書関数、特に臨界文字サイズ(CPS)との関係を心理物理実験によって明らかにする。 【方法】 被験者は、視力・視野に異常のない12名であった。被験者の視線を計測し、視線方向を中心に任意の範囲を非表示(中心暗点マスク)にした。暗点マスクサイズは半径2-16度の4条件、刺激文字数は4、8、16、30文字の4条件設定した。MNREAD-Jと同様の方法で、被験者は画面に提示された文章をできるだけ速く正確に音読した。得られた個人別の読書関数をNLMEモデル(Cheungら、2008)を用いてweibull曲線に当てはめCPSを推定した。ここでCPSは、最大読書速度の95%になる大きさと定義した。 【結果】 一貫して刺激文字数が多いほど最大読書速度は速くなり、視覚正常の被験者で実験した先行研究(小田ら、2015)に一致した。推定した読書曲線は、暗点マスクが大きくなるほど形状パラメーターが大きくなった。CPSは、同じ中心暗点マスク条件下であっても、刺激文字数によって50分~100分の差が生じ、文字数が少ないほど大きくなる傾向が見られた。 【考察】 同じ暗点サイズでも、刺激文字数が多いほどCPSが小さくなる結果は、視野内に表示される文字数の多さが影響した可能性がある。 【結論】 中心暗点がある場合の短文MNREAD-JのCPSの推定について今後検討を重ねる。   研-P-98. レーザ網膜投影技術の医療福祉応用:ロービジョンエイドと 視機能検査装置 ○菅原 充、鈴木 誠、宮内 洋宜、中村 勉  株式会社QDレーザ 【背景と目的】 レーザ網膜投影は、観察者の瞳孔中心にRGBレーザ光を入射させ、観察者の網膜上で点像の集合体として2次元画像を描く技術である。我々はこの技術を医療福祉機器に展開し、ロービジョンエイドとして視覚障害者の生活を支援し、高信頼で簡便な小型視機能検査機として眼疾患の早期発見・高度診断・遠隔医療・リハビリテーションに貢献し、医療・福祉機関やメガネ店等と連携した新しい社会インフラの構築をめざしている。本講演では、レーザ網膜投影技術の医療福祉応用の進展を紹介する。 【方法】 医療福祉分野において、レーザ網膜投影は 1.前眼部の調節力・屈折異常・軽度混濁によらない視力の向上、 2.任意領域に低収差で画像処理し投影することによる網膜症の見え方の向上、 3.コンパクトで簡便な検眼装置(視機能、病変)の実現、 の可能性を有している。これに基づき、我々はRGBの三原色半導体レーザとMEMSミラーを組み合わせ、小型のプロジェクタを眼鏡フレームに内蔵した網膜走査型レーザアイウェア、及び、視野角40度以上の広角で網膜上にデジタル画像を投影するテーブルトップ型のSRID(Super Retinal Imaging Display)を試作し、評価を行っている。 【結果】 網膜走査型レーザアイウェアは機器の各種前臨床試験を完了し、国内(18年3月)、および欧州(18年4月)での臨床試験申請を済ませた。対象疾患は、国内は前眼部屈折異常、欧州では角膜混濁である。また、非医療機器としての試験販売を予定している(18年7月から)。さらに、SRIDを用いて、子供・老人・前眼部疾患の方への簡便で高信頼な視野検査をめざす臨床研究を進めている(18年4月より)。 【結論】 レーザ網膜投影技術の臨床試験と臨床研究、製品化が進展している。講演では、その時点での達成状況に加えて、機器のアクセシビリティ向上への技術進展についても述べる。   研-P-99. 視覚障害者の学習における手書き行動の有効性と脳メカニズム ○伊藤 和之、幕内 充、水落 智美、加藤 麦、池田 和久、中村 仁洋  国立障害者リハビリテーションセンター 【目的】 中途視覚障害者の手書き行動が学習に有効な影響を与えるかの実証を目的とした。 【方法】 アイヌ語とフィンランド語各10語からなる課題を2つ用意し、予備実験では、晴眼者22名を、各単語を3回聴いて記憶、3回聴いて3回手書きの2群に分け、想起テスト3試行中、誤答分のみ繰り返し評価した。1週間後、全20問を評価した。行動・MRI実験では、理療教育課程16名、晴眼者11名を対象に、1回目は、読みと和訳を3回聴かせ、和訳の口答を評価した。4試行中、正答率50%超でMRIスキャナに移り、和訳の口答と撮像を行った。1週間後、全20問を評価した。2回目は1ヶ月後とした。手書きは空書とし、条件は、記憶時に日常行う行動を1回目とした。 【結果】 予備実験では、手書き条件群の1試行目の成績が有意に高かった(p<0.05)。正答率95%達成のための平均試行数は、手書き条件群で有意傾向がみられた(p=0.07)。行動実験では、学習直後の手書きの有無による差は認められなかったが、1週間後の評価で、MRI内での成績を100とした時、視覚障害者群のみ、普段の学習方法での成績が有意に高かった(p<0.05)。MRI画像解析からは、視覚障害者群で、両側の運動野を含む前頭頭頂葉から後頭葉に亘る広い領域で、晴眼者に比して強い神経活動が見られ、特に、左前楔状回を中心とする視覚領域では、手書き条件で、非手書き条件より強い神経活動が観察された。 【考察】 中途視覚障害者が短期に課題を解決するには、視覚障害を有してからの学習方法に依存するが、長期的な知識の定着には、手書き行動が効果を示すと考えられる。脳画像解析からは、手書きによる言語学習の促進効果が、視覚心像に関わる視覚連合野を中心とする神経活動を介して起こることが示された。 【結論】 中途視覚障害者の言語学習、記憶課題において、手書き行動が有効な影響を与える可能性を見出した。   研-P-100. 異なる情報獲得方略がロービジョン者の足部位置感覚と 障害物回避動作に与える影響 ○宇野 直士1)、Ping yeap loh2) 、村木 里志2)  1)徳山工業高等専門学校、2)九州大学 【目的】 触覚や聴覚は視覚情報の欠如を補填するが、それらの感覚器官から得られた情報がロービジョン者の位置感覚や動作に与える影響はわかっていない。本研究は情報提示方法の違いがロービジョン者の足部位置感覚と障害物またぎ動作に与える影響を明らかにすることを目的とした。 【方法】 網膜色素変性症を原因疾患とする視覚障害者10名(障害者手帳2級所持者)を対象とした。被験者は障害物の情報(障害物高:4cmおよび15cm)を3種類の異なる方略(条件A:眼前で障害物を見る、条件B:足元から20cmの距離に位置する障害物を見る、条件C:アイマスクを着用し、眼前に位置する障害物を手部で触れる)から得た。その後、タスク1:障害物を3種類の方略でそれぞれ認識した後、その場で認識した高さを足部挙上高として再現(左右脚10回ずつ)する課題、タスク2:条件BおよびCの後、足元に位置する高さ4cmと15cmの障害物をまたぐ動作(各条件5回ずつ)を行なった。そして、6台の高速度撮影機能付カメラを使用して各条件の下肢運動を記録した。解析により得られた3次元座標値をもとに、足部挙上高や変動係数、またぎ動作時のステップ幅、足部軌跡、努力係数(最高点-障害物高)÷障害物高)、下肢関節角度等を算出した。 【結果】 タスク1において、条件Bは条件A、Cと比較して有意に高い足部挙上高および変動係数を示した(p <0.05)。また、タスク2では、障害物またぎ動作時の踏み込み足と引き込み足の最高点が、条件Cと比較して条件Bにおいて有意に高値を示した(p <0.05)。さらに条件Bの努力係数は有意に高値を示した(p <0.05)。 【考察】 これらの結果より、情報獲得方略の違いが障害物またぎ動作中の足部軌跡に影響を与えることが示唆された。特に、手部から得られた障害物情報により、ロービジョン者の障害またぎ動作における足部軌跡がより安定することが示唆された。  活-P-101. レーベル病患者の会の実態報告と課題 ○渡辺 至俊1)、茂木 伸明1)、古庄 正一郎1)、桶田 敬之2)、長谷川 万希子2)、荒川 和子3)、若倉 雅登4) 1)レーベル病の会、2)高千穂大学、3)NPO法人目と心の健康相談室、 4)医療法人社団井上眼科病院 【背景】 レーベル遺伝性視神経症は、それまで正常な視力を持っていた比較的若い男性に(女性も少数発症)、両眼の急激な視力低下が生じ、視神経が次第に萎縮してしまう疾患である。この疾患は、指定難病となり、未だに有効な治療法がない。患者たちは、社会活動が真っ盛りの時期に視力を失うため、途方に暮れる。我々はA医師の働きかけで2011年5月に患者会を立ち上げた。 【患者会の設立の趣旨】 1) 補装具などに関する情報の共有 2) この病気が発症して間もない人の支えになること 3) 同じ病気ならではの悩みの共有、意見交換および懇親 【活動経過】 悩みの共有こそ、この会でしかできないことである。症状の重い人、軽い人それぞれの心の置き方などを共有し、皆の悩みの軽減を図りたいと、これまでホームページで呼びかけてきた。また、患者会を年に2~3回開催し、病気との向き合い方や、治療などの体験談を語ったり、社会福祉に関する情報を共有したりしてきた。さらに、毎回、著名なゲストを迎え、講演をお願いし、最新の医療情報やロービジョンケア、残存視力の活用と補助具などについて勉強した。ここでの参加者の質問は活発で、活気ある意見交換が行われている。その結果、発足から7年が経過し、5人の発起人からスタートした本患者会は東京で会を開催しているが参加者は付き添い者を含めて全国から40人以上が集まる会となった。そして、患者会ホームページでは、会に参加できない人から情報を求める声が絶えない。 【結論】 レーベル病のような難治性疾患において、患者の社会参加と心理支援のために患者会の存在意義は大きく、患者会存続維持のために医療者の支援も重要と考える。 17 スマートサイトサミット <事前募集企画> 座長:田中 桂子(神戸アイセンター病院/橋村メンタルクリニック) 各地で取り組みが始まっている「連携・協働」。そのようなネットワークに関わっている皆さんに集結していただき、より良いものにしていくため、現状での課題や今後の展望などを出し合います。「連携・協働」の未来に向けて、大きな力にしていきたいと思います。スマートサイトに造詣の深い講師による講話・助言も予定しています。志を同じくする者同士の交流の場として是非ご参加ください。講師および助言者は、以下の通りです(敬称略) 講 話:山縣 祥隆(山縣眼科医院) ※ 助言もお願いしています 助言者:永井 春彦(勤医協札幌病院) 平塚 義宗(順天堂大学) 岡島 喜謙(福井県立盲学校) 仲泊 聡(理化学研究所) 原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者情報センター)   18 得する寺子屋 <一般参加企画> 座長:岡田 弥(日本ライトハウス 情報文化センター) 研究発表大会にご来場いただいた方々に、ちょっとした知識を仕入れて、得して帰ってもらう企画を考えました。視覚障害者に関わる知識をその道の専門家に語ってもらいます。豆知識を1つでも2つでも仕入れて、ちょっと得してお帰りください。お題は以下の4題です。 (1)「障害年金を知ろう」 辰巳周平先生(社会保険労務士) 障害年金って皆さんどんなイメージをお持ちですか?働けてるうちはまだもらえないのでは? 障害者手帳2級になってからもらえるんでしょ? 障害年金をもらうと将来自分の年金が減ってしまうのでは?いえいえ全て間違いです。意外と知らない障害年金。意外と身近な障害年金。正しく知って情報の輪を広げましょう。 (2)「ショーワリの達人~鉄と空をお得に楽しむために~」 永井春彦先生(総合旅行業務取扱管理者) 身障手帳をお持ちの方が汽車・電車や飛行機に乗るときに受けられる身体障害者割引のしくみをおさらいします。他の格安運賃やLCCとの使い分けのコツや、今年7月の身障認定基準改定との関わりについても解説します。同行援護の担当者や、身障診断書を書く医療関係者にも知っておいてほしい知識です。 (3)「実践!身体を守る予防衛生」 橋本伸子先生(看護師) こんな場面を思い浮かべて下さい。手を当ててハックション!その手がドアノブや手すりを触る。次の人が同じ手すりを触る。その手でポテトを食べる。アウトです。手で触って確認する機会が多いからこそ、正しい手洗いを知って感染を予防しましょう。手洗いのタイミング、方法、意外な洗い残し部位、災害時の手洗いについてもお話します。 (4)「目の病気の遺伝」 𠮷田晶子先生(認定遺伝カウンセラー)  眼の疾患の中には、発症に遺伝子が関係しているものがあります。ただ、遺伝子が関連しているからといって、絶対に遺伝するものでもありません。「そもそも遺伝子とは何?」「どんな遺伝の仕方をするの?」といった基本的な知識をご説明し、皆様の疑問に答えたいと考えております。  19 機器展示 アイスマップ有限会社 HPアドレス http://www.ismap.co.jp 展示内容 触感時計『タック・タッチ』 腕時計とストラップ型、7カラー、振動の数による時刻提示、アラーム、タイマー(2種類)付、電池はコンビニで購入、取替可能。 販売品 触感時計『タック・タッチ』、腕時計型 オリジナル 7カラー、ストラップ型 オリジナル7カラー、腕時計型 myタック・タッチdeco アイネット株式会社 HPアドレス http://www.ainet-jp.net/ 展示内容 よみあげ拡大読書器「よみあげ名人」を展示します。紙に書かれた文字を音声でよみあげて、拡大表示する読書器です。 販売品 ― アイネットワーク有限会社 HPアドレス ― 展示内容 活字文書読上げ装置アイビジョンスピーチオ99,800円 拡大読書器アイビジョンデジタル書見台型(高性能タブレット搭載)、ノート型、しゃべるテレビ型など数モデル 販売品 ― 株式会社朝倉メガネ HPアドレス http://www.asakuramegane.co.jp/ 展示内容 ルーペ・単眼鏡・弱視眼鏡・遮光眼鏡・暗所視支援眼鏡 ホヤ MW10 販売品 ルーペ・単眼鏡・弱視眼鏡・遮光眼鏡・暗所視支援眼鏡 ホヤ MW10 株式会社尼崎眼鏡院 HPアドレス https://www.amagan.jp/senka1.html 展示内容 各種拡大鏡・音声腕時計・便利グッズ・視覚障碍者用シュミレーションレンズトライアル 販売品 ルーペ、音声時計、便利グッズ 株式会社アメディア HPアドレス http://www.amedia.co.jp/ 展示内容 快速よむべえ、エキスプロ5、エキスプロ8、ハンドズーム、テレルーペ、電子白杖 販売品 ハンドズーム、テレルーペ 株式会社19 HPアドレス http://trdiary.archalle.co.jp 展示内容 オシャレで見やすい白黒反転文具や、可愛い・かっこいいノートKIMINOTEなど、ロービジョンの方でもお使いいただける文房具をご用意しております。 販売品 白黒反転手帳・ノート、可愛い・かっこいいノート「KIMINOTE」、白ペン等 株式会社インサイト HPアドレス http://www.s-insight.jp 展示内容 拡大読書器各種展示致します。・トパーズHDアドバンス・トパーズPHD・オニキスデスクセットHD・ルビーHD5インチ・ルビーHD7インチ 販売品 ― 株式会社インパム HPアドレス http://www.impam.co.jp 展示内容 化粧品や調味料に貼る点字シールを販売しております。点字だけでなく、コントラストをつけた文字を一緒に印刷しているため、弱視の方でもお使いいただけます。 販売品 点字シール(調味料用、化粧品用、エレベータ用、重要書類、大切なお知らせ) 社会福祉法人桜雲会 HPアドレス http://ounkai.jp/ 展示内容 ― 販売品 バリアフリー図書とてんじ手作り絵本、王様シリーズ「つたえちゃ王」、伝記絵本「闇を照らした白い花~斎藤百合の生涯とヘレン~」、点字キューブ・マスコットブレイル カシオ計算機株式会社 HPアドレス https://web.casio.jp/bookturner/ 展示内容 電子書籍化支援システムブックターナー。本などを裁断せずに電子化。面倒なページめくりをアシストします。テキストデイジー・点字図書製作の際のスキャニング工程が効率化出来ます。 販売品 ― 企業組合カトレア・サービス HPアドレス http://www.2949n.jp 展示内容 点字点図プリンタ・アーチBP、触読自習カード・よめるじゃん、ラミネート不要耐水紙・てらみん、薄強透明シール・エコタック、CD点字盤・てんじのわ、8点点字器・漢点 販売品 触読自習カード・よめるじゃん=2,160円、ラミネート不要耐水紙・てらみん=1,000円、薄強透明シール・エコタック=515円、CD点字盤・てんじのわ=価格会場発表 国立東京工業高等専門学校 HPアドレス https://www.tokyo-ct.ac.jp 展示内容 バッテリー交換不要のBLEビーコンを設置した点字銘板の試作機と,ビーコンを読み取って音声で案内するためのスマートフォンアプリケーションの展示を行います。 販売品 ― 株式会社QDレーザ HPアドレス https://www.qdlaser.com/ 展示内容 網膜走査型レーザアイウェア。主として前眼部に起因するロービジョンの方への視覚をサポートするアイウェアの展示。この技術を応用した卓上型の開発機器の展示。 販売品 ― 株式会社高知システム開発 HPアドレス http://www.aok-net.com 展示内容 Windowsの操作を肉声に迫る音質で楽しめる、PC-Talker10を始め、視覚障がい者の方がパソコンを利用しやすいように開発したソフトを紹介しています。 販売品 ― 河野医科器械株式会社 HPアドレス http://www.kohno-ika.com 展示内容 メガネ式文字読み上げ機 「オトングラス」、視力補正用ヘッドセットカメラ 「eSight マイグラス」、2機種を提示しております。是非一度お試し下さい。 販売品 ― 特定非営利活動法人神戸アイライト協会 HPアドレス http://eyelight.eek.jp/ 展示内容 見えない、見えにくい方のサポートをする地域センターをめざすNPO法人です。ご本人、ご家族、医療福祉関係者等からのさまざまな相談に対応しています。 販売品 音声時計、音声体温計、硬貨を仕分けて収納する小銭入れ、白黒まな板など、見えない、見えにくい方に役立つ生活便利グッズを実際に試していただけます(一部販売) 株式会社KOSUGE HPアドレス https://www.my-cane.com/ 展示内容 軽量で、耐衝撃性のある白杖 MyCaneⅡ 各種グリップ、石突き 白杖各種備品、電子白杖、レーザーライン NEDO 開発品 みちびき歩行支援アプリ、信号機カメラアプリの紹介 販売品 ― 有限会社ジオム社 HPアドレス http://www.gandom-aids.co.jp 展示内容 よりよきものをもとめて、人にやさしい商品開発、白杖のジオム社 販売品 ロック・ドット、バンボン・ドット、タッチ・ドット、サインガイド 他 シナノケンシ株式会社 HPアドレス http://www.plextalk.com 展示内容 見えない方・見えにくい方向けに貸し出されるデイジー形式の音訳小説などを音声で楽しむことができる、各種プレクストーク製品をご紹介いたします。 ◆プレクストークポータブルレコーダーPTR3 ◆プレクストークリンクポケット ◆プレクストークPTN3 ◆プレクストークポケットPTP1 販売品 ― JBS日本福祉放送 HPアドレス http://www.jbs.or.jp 展示内容 ①音声対応のリモコンを操作し、JBSのラジオ番組を試し聴きできる。②着脱式車いすの緊急避難装置。今お使いの車いすに装着するだけ。災害等の緊急避難に抜群の起動職を発揮! 販売品 ①JBSのラジオを聴く際の音声対応リモコン。②着脱式車いすの緊急避難装置JINRIKI。 錦城護謨株式会社 HPアドレス http://guideway.jp/ 展示内容 「視覚障害者歩行誘導ソフトマット 歩導くん」(誘導マット)は、障が いの有無に関わらず、みんなが安心・安全に利用できる空間を実現 する誘導路です。 販売品 視覚障害者歩行誘導ソフトマット「歩導くん ガイドウェイ」「歩導くん Plus(ぷらす)」 篠原電機株式会社 HPアドレス http://www.shinohara-elec.co.jp 展示内容 「高齢者・視覚障害者・盲ろう者用LED付音響装置」は交通弱者が横断歩道を安心・安全に横断するための歩行者信号機の補助装置です。横断手前で信号灯、音声、振動が確認できます。 販売品 安心・安全の標示灯「ピカナイト」、車のライトで反射、振動で発光、ボタンを押すと懐中電灯になります。カバン、リュック、ズボンのベルトにフックで取り付けられます。価格500円。 一般社団法人日本ケアメイク協会 HPアドレス https://caremake.or.jp 展示内容 ― 販売品 化粧品、書籍、DVD 株式会社TAT HPアドレス https://www.nailtat.com/ 展示内容 ネイルケア・ハンドケアの施術体験して頂けます。 また、爪のお手入れに関してもレクチャーさせて頂きます。 販売品 メイル・ハンドケア商品 株式会社タイムズコーポレーション HPアドレス http://www.times.ne.jp/ 展示内容 ウェアラブルAI視覚支援装置「オーカムマイアイ2.0」を始め、読み上げ読書器、拡大読書器、電子ルーペ、光学ルーペなど、様々な視覚支援機器を展示します。 販売品 当日の商品販売はありませんが、予約などは受付いたします。 SINKA株式会社 HPアドレス http://www.sinka.co.jp 展示内容 点字・立体イメージプリンター、EasyTactix イージータクティクス 販売品 ― 東海光学株式会社 HPアドレス http://www.tokaiopt.jp/ (眼鏡レンズオフィシャルサイト) http://www.eyelifemegane.jp/ (遮光眼鏡専用サイト) 展示内容 販売品 ― 有限会社読書工房 HPアドレス https://www.d-kobo.jp/ 展示内容 視覚障害関連書籍、凸面点字器「トツテンくん」、大きな文字の青い鳥文庫などを展示いたします。また、マルチメディアDAISY図書「わいわい文庫」のデモもあわせて実施いたします。 販売品 『見えにくい子どもへのサポートQ&A』『盲ろう者への通訳・介助』『指点字ハンドブック』などの書籍や、凸面点字器「トツテンくん」(5色)、凸面点字一覧表など 株式会社ナイツ HPアドレス http://www.neitz.co.jp 展示内容 ロービジョンの方の為の拡大読書器 NVS-X1・単眼鏡 PKシリーズ、および、ドクターの為の検査機器を展示致します。 販売品 拡大読書器NVS-X1、単眼鏡PKシリーズ、弱視等検査機器BXα-Plus・レッドフィルターラダー、アノマロスコープOT-Ⅱ、他 日本信号株式会社 HPアドレス http://www.signal.co.jp/ 展示内容 交通制約者の安全・安心かつ円滑な移動支援を行うための「PICS」を高度化し、スマホで、歩行者信号の状態を通知、横断時の青時間延長を可能とするシステム 販売品 ― 株式会社日本テレソフト HPアドレス http://www.nippontelesoft.com/ 展示内容 携帯型・据置型拡大読書器をお持ちします。また、OCR機能付き拡大読書器も合わせて展示します。 販売品 ― 兵庫県網膜色素変性症協会 HPアドレス http://www.jrps.org/hyogo/local/ 展示内容 日本網膜色素変性症協会・兵庫県網膜色素変性症協会の活動内容の説明と紹介。網膜色素変性症という病気や生活についての不安や悩み、障害年金の相談等に対応。 販売品 ― 株式会社ファンケル HPアドレス https://www.fancl.co.jp 展示内容 ポイントメイクの似合う色とメイク方法をアドバイスし、ご紹介した商品を販売します 販売品 使いやすい口紅、アイカラー(目もと)、チーク(ほほ)、アイブロウペンシル(眉)、日やけ止め、スキンケアなど 富士ゼロックス株式会社 HPアドレス ― 展示内容 文部科学省の事業として提供している教科書デジタルデータを利用 し、非営利団体等が弱視及び発達障害の児童・生徒のために作成し た拡大教科書と音声教科書の紹介をします。 販売品 ― HOYA株式会社メディカル事業部 HPアドレス https://hmwpj.com/ 展示内容 夜盲の方のQOL向上を目指した暗所視支援眼鏡HOYA MW10HiKARIが体験できます。MW10コールセンター:0570-003-487 販売品 ― 眼の会 HPアドレス ― 展示内容 視覚障害者がより暮らしやすい環境創りを目指し、自由な発想で、行政・医療・教育・福祉関係者等様々な方々と連携し活動しています。情報交換の場としてお立ち寄り下さい。 販売品 ― 有限会社安久工機 HPアドレス http://mitsuroupen.jp 展示内容 視覚障がい者用筆記具「Lapico」(ラピコ)はインクにヒータで溶けたみつろうを使い、紙やプラスチック等に描けます。描線は盛り上がって固まるので指で触れることができます。 販売品 ― 株式会社リモートアシスト HPアドレス http://remote-assist.jp 展示内容 視覚障がい者がウェアラブルカメラを装着し「専用アプリ」でサポートセンターをワンタッチで呼び出し。モニターを見ている遠隔サポーターが、お困りごとの解決をお手伝いします。 販売品 ― TOA株式会社 HPアドレス https://www.toa.co.jp/ 展示内容 カメラで撮影した画像から白杖を認識し、自動的に音声案内放送を流す「白杖使用者向け音声誘導システム」と、聴き取りやすい音を届けるための音づくりの紹介を行います。 販売品 ― 三菱電機株式会社 HPアドレス https://www.mitsubishielectric.co.jp/sq/assist/rakuraku/ 展示内容 音声付きのTV・IHクッキングヒーター・IHジャー炊飯器・レンジグリルと、小型軽量で使いやすいクリーナーを展示いたします。試食をご用意しますので、ぜひ使いやすさとおいしさをお確かめください。 販売品 ― 三笠産業株式会社 HPアドレス http://www.mikasasangyou.co.jp/ 展示内容 弱視の方に見え易い様に黒紙に白色で印刷出来る白黒反転コピ-機を展示。黒文字の印刷物を簡単に白文字に反転コピ-出来ます。又、光り遊びの蛍光グッズも展示販売します。 販売品 ・白黒反転コピ-機、白色トナ-・光り遊びの蛍光グッズ 1)ひかるクレヨン 2)ひかる紙 3)ひかる紙粘土 4)ひかる砂時計 5)ひかる風車 6)ひかるトランプカ-ド他 カタログ展示のみ 株式会社エッシェンバッハ光学ジャパン HPアドレス http://www.eschenbach-optik.co.jp/ 展示内容 ルーペ、拡大読書器、遮光眼鏡、単眼鏡、合わせて200種類を超える視覚補助具をご紹介します。 有限会社 尚学社 HPアドレス ― 展示内容 日本で初めて?!新しいキーボード。視覚障害者の方がタッチタイピングを楽に習得できる為のpc用キーボードです。キートップに工夫あり。 一部の品目特許庁意匠登録取得済み。特許出願中のものもあります。 株式会社毎日新聞社 HPアドレス https://www.mainichi.co.jp/co-act/tenji.html 展示内容 毎日新聞社が、視覚障害者の文化と福祉を支援することを目的に1922(大正11)年に創刊した点字週刊新聞と同活字版のご案内。 株式会社三城 HPアドレス http://www.paris-miki.co.jp 展示内容 メガネの三城でできる「ロービジョンエイド」についてご案内させていただきます。また、神戸三宮店(JR三ノ宮駅から南へ徒歩3分)にロービジョンルームを開設いたしましたので是非、お立ち寄りください。 MDSiサポート HPアドレス https://youtu.be/syReFBlAk14 展示内容 MDSiサポート 全盲の講師が教えるiPhone・iPad出張教室です。個人教室以外にもグループやセミナーワークなどにも対応いたします。アイアイサポーター 弱視の人が開発した究極のiPadスタンド。読書や筆記を強力にサポートします! みんなで勝ち取る眼球困難フロンティアの会 HPアドレス https://tattoogankyu.wordpress.com 20 「視覚リハビリテーション研究」論文募集要項  視覚障害リハビリテーション協会では、2010年度の第1回理事会で議題3として研究紀要の復刊が承認されたことを受け、編集委員会を設置しました。編集委員会では、研究紀要の復刊に伴い、これまで通り大会発表論文とともに新たに原著論文を募集すること、そして年2回発行することなど、これまでの大会論文集を一新し、新たに「視覚リハビリテーション研究」を発行することとしました。それに伴い、新しく募集する原著論文に関する執筆の手引きの案を作り、その執筆の手引きは同12月21日の第9回理事会で認められました。 原著論文とは、英語ではオリジナル・ペーパーとかオリジナル・アーティクルとか呼ばれます。内容は研究について記載した論文ですが、研究内容が他の雑誌などに出版されていないオリジナルなものとして認められるものです。また、通常、仮説に基づいて実証的な研究を行い、結果として得られた根拠に基づいて考察している形式であることも求められます。オリジナル・ペーパーとして掲載するのに妥当かどうかは、通常、専門を同じくする複数の人が匿名で査読(ピアレビュー)ということをして決めます。 査読は掲載の可否を決めるプロセスですが、同時に、投稿されてきた原著論文に注文をつけて、より良い論文として掲載できるよう修正を手伝うという側面を持っています。論文の著者と意見が一致しないとか気に入らないというのは査読者にとっては掲載を拒否する理由になりません。専門を同じくする人が、掲載に値するものかどうか、値するようにするにはどういう修正をすべきか意見を述べることで、交換されようとしている専門知識の内容(原著論文の中身)をより高めていくプロセスが査読です。この専門家の査読のプロセスを得て刊行される原著論文だからこそ、一定の信頼と価値が生まれるとも言えます。 研究発表大会で発表した内容についても、これまで通りの査読のない発表論文としてか、あるいは査読のある原著論文としてか、どちらか選んで投稿いただくことができます。査読が終わって採択されたものから、もっとも刊行の近い号に順次掲載していきます。(以前の大会論文集に既に掲載されたり、「視覚リハビリテーション研究」に発表論文として刊行されたりしたものは、同じ内容の再掲になるためいずれの論文としても掲載できません)。 2012年度の第6回理事会では、発表論文と原著論文の他に掲載するカテゴリとして、特定のテーマについて解説・レビューする「総説」と、原著ではないが掲載にふさわしい有用な内容をまとめた「報告」というカテゴリの2つを新設することが認められました。この2つのカテゴリについては上述したような厳密な意味での査読は行われませんが、掲載にふさわしいかどうかについては編集委員会で評価をし、修正をお願いすることがあります。また、原著論文の査読結果、不採択となった場合、「報告」に切り替えて掲載できる可能性もあります。  2015年の編集委員会にて、これらの4つのカテゴリについては一部不文律であったページ数の制約を明記することが決まりました。また、これまで書式の統一性が低かった発表論文や報告について対策を講じる検討がなされ、刊行から5年を経過していることに鑑み、「視覚リハビリテーション研究」における形式を原著論文の形式に一本化することが決まりました。総説・発表論文・報告の執筆についても、原著論文の書式に従ってください。  原著論文等執筆要綱 (2010年12月21日第9回理事会承認、2016年2月1日編集委員会にて微修正) 1.原稿の仕様 1.1.原稿は電子データを以下の1.2に述べる書類と共に提出する。要約や図表を本文に配置した完成形 (以下、レイアウト原稿とする)での提出を原則とする。 1)原稿の構成は原則として次の通りとする。 2)連絡票(電子ファイルで提出ください。) 3)レイアウト原稿(視覚リハビリテーション研究のレイアウトに従ってレイアウトをしたもの。Wordファイルの例については以下のJJVRのWebページからダウンロードして用いて下さい。http://www.odalab.org/JJVR/) 4)写真・図表説明原稿(通常の図表の説明以外に、視覚的な表現では分からない読者のためにテキストだけで説明した内容を別途用意してください。別ファイルでなくても、本文の最後に追加した形で構いません。) 5)レイアウト原稿の印刷物(印刷確認用ですので、紙に印刷したものを提出ください。) 6)著作権譲渡同意書(著者全員が押印したもの、紙に印刷したものを提出ください。) 2.原稿の提出 2.1.連絡票、レイアウト原稿、写真・図表説明原稿を電子メールで編集委員会へ投稿する。編集委員会のメールアドレスは jjvr-editors@freeml.com である。 2.2.レイアウト原稿の印刷物1部(印刷所校正用)、著作権譲渡同意書1部を郵送で編集委員会へ送付する。編集委員会の住所は以下である。 〒167-8585杉並区善福寺2-6-1 東京女子大学現代教養学部人間科学科小田研究室気付「視覚障害リハビリテーション協会論文編集委員会」 2.3.電子媒体やレイアウト原稿の提出が難しい場合は、編集委員会まで電子メールあるいは郵便にてあらかじめ相談し、提出方法について検討する。 2.4.提出期限 すべての原稿は、査読や編集委員会での判断・修正作業が終わり次第、近い号に掲載するため、とくに期限を定めない。発表論文については、1号については9月末ごろ、2号については12月末頃におおまかな締め切りを設けているが、掲載論文の数などによって変動する。 3.著者校正 査読終了後、印刷前に1回著者校正を行う。査読終了後の大幅な内容の訂正は認めない。 4.レイアウト原稿 レイアウト原稿には、タイトル(和文論文題名)、英文論文題名、著者名、著者所属、著者名英語表記、所属英語表記、和文要約、キーワード、英文要約、英語キーワード、本文、文献、図表及び写真が含まれる。ただし、原著論文以外のカテゴリについては、英文論文題名、著者名英語表記、所属英語表記、英文要約と英語キーワードがなくても良い。 レイアウト原稿のフォーマットをJJVRウェブサイト(http://www.odalab.org/JJVR/)からダウンロードして使用する。掲載する論文カテゴリごとの長さは、レイアウト後の枚数で以下の通りとする。 ・原著論文・総説 最小6ページ~最大10ページ ・発表論文・報告 最小2ページ~最大6ページ 4.1.連絡票 連絡票には、下記の1)から8)までの事項を記載する。 1) 論文の種類:原著論文と明記する。 2) 表題:論文内容に即したものとし、一連の研究の場合は類似した表題は避ける。 例:「△△△△におよぼす××××の効果」 3) 著者名:著者が複数の場合は[・]で区切る。 例:視覚太郎・山田里葉子 4) 所属機関名:大学の場合は、学部名等も記す。 例:点字大学教育学部 、白杖リハビリテーション医院 5) 表題の英訳: 例:The effects of ×××× for △△△△ 6) 著者名のローマ字表記:原則としてヘボン式を用いる。 例:Taro SHIKAKU and Rihako YAMADA 7) 所属機関名の英訳: 例:Faculty of Education, University of Tenji, Hakujyo Rehabilitation Hospital 8) 所属機関所在地のローマ字表記:市名、郵便番号 (7桁)のみとする 例:Yamahana-shi, 000-0000 4.2.要約とキーワード 和文については300字以上400字以内の要約と3~5項目のキーワードをつける。それぞれのキーワードの間は半角スペースで区切る。 英文要約をつける場合(原著論文では必須)、ネイティブチェックを受けた200語以上300語以内の英文要約、3~5項目の英語のKeywordsをつける。 和文と英文の要約は内容的に一致している必要がある。ただし一語一句一致している必要はない。 4.3.本文 本文は、「目的」「方法」「結果」「考察」の4章、あるいは事例・症例について報告する論文の場合には「目的」「症例」「結果」「考察」の4章に分け、章ごとに内容を分けて記載する。ただし、総説については、これに従う必要はなく、記載する内容に合わせて適切に章立てを行うこと。 4.3.1. 論文構成に用いる記号 論文構成に用いる記号は半角数字を半角ピリオドでつないだものを用い(例:1. はじめに、2.1. 実験参加者、3.2. 主観的評価の結果)、見出しの数字で階層が分かるようにする。階層が深くなりすぎないよう、論文構成に配慮する。 1) 大見出し:算用数字1字を用い、上に1行をあける。数字の後ろにピリオドをつけ、全角1マス空けて見出しを書く (例:1. はじめに)。本文は改行して始める。 2) 中見出し:算用数字2字をピリオドでつないだものを用い、上に行をあけない。左端から1字あけて書く。全角1マス空けて見出しを書く (例:2.3. 手続き)。本文は改行して始める。 3) 小見出し:算用数字3字をピリオドでつないだものを用い、上に行をあけない。左端から2字あけて書く。全角1マス空けて見出しを書く (例:4.1.2. 先行刺激の効果が無かった原因の検討)、コロン (:)で区切って本文を書き始める。 4) これ以下の小見出しについては、必要な数の算用数字をピリオドでつないで用いる。表記法は小見出しに準じる。 5) リストの表記:算用数字に閉じ括弧 )をつけたものを用いる。 4.3.2. 表記について 1) 文体:原則として「である」調とする。 2) 句読点:「、」「。」とする。 3) 年号:原則として西暦使用とする。 (例:「2004年」) 4) 記号:以下の記号をその使用例のように用いることができる。 ・中点 (・) 並列する同種の語を列挙する場合。 ・ハイフン (−) 外国語の対語・対句の連結の場合。 ・引用符 (" "または「 」) 引用文に用いる。 ・括弧 ( )または[ ]を用いる。 ・コロン (:) 例、説明などを導く場合などに用いる。 ・セミコロン (;) 引用文献を列挙する場合、あるいは検定結果を列挙する場合に用いる。 ・省略符 (・・・) 引用文の一部あるいは前後を省略する場合に用いる。 5) カタカナ:本文中の外国語の使用はできるだけ避け、原則として日本語化した外国語を記述する時にのみ用いる。 6) 英数記号:原則として半角英数記号を用いる。 7) 略語:一般に用いられているものに限る。ただし、必要な場合には、初出の時にその旨を明記する。 8) 検定結果の表記:各種統計的検定の結果を示すときには、以下のように検定統計量、自由度ならびに有意水準等を明記する。 (F(1, 50) = 7.05,p< .05)、(χ2(5) = 1.54,p< .05)など F, t, pなどは斜体 (イタリック)とすること 4.4. 文献 4.4.1. 引用文献:本文において引用されたすべての文献を、著者名のアルファベット順に論文の後に「文献」として一括リストして記載する。同一著者の複数の文献は発行年順とする。同一著者による同一年の文献が含まれる場合は、発行年の後に小文字のアルファベットを付けて区別する。また、引用文献においては、題目・雑誌名・巻号の区切り文字の「.」「,」 は半角に統一する。 4.4.2. 文献リストの書式 1) 雑誌:著者名 (西暦年) 題目.雑誌名,巻数 (必要な場合は号数) ,開始頁-終了頁. 2) 著書:著者名 (西暦年) 書名.出版社,出版地,開始頁-終了頁 (必要な場合). 3) 分担執筆:著者名 (西暦年) 章題.編者名 (編),書名.出版社,出版地,開始頁-終了頁. 4) 訳書:原著者名 (西暦年) 原書名.出版社,出版地,訳者名 (西暦年) 書名.出版社,開始頁-終了頁 (必要な場合). 欧文の書名 (原書名)および雑誌名は斜体 (イタリック)とする。 和文著書の場合、出版地は省略する。 5) Webページ:著者名 (西暦年) 題目.Webサイト名,URL,(アクセス年月日). 例: 1) 雑誌(和) 同一著者・年はa、bで区別。 鈴木太郎・田中花子(2010a)視覚障害幼児への早期リハビリテーションに関する調査研究. 早期研究, 2, 12‐17. 鈴木太郎・田中花子 (2010b)視覚障害幼児への早期リハビリテーションの一事例. 実践早期研究, 3, 47-51. 2) 雑誌 (欧): 著者3名以上では&の前に (,)を必ず入 れる。雑誌名は斜体。 Leg, E. G., Bail, A., & Pel, E.(2007)Effects of early intervention for blind children. International Journal of Videology, 48, 611-618. 3) 著書 (和): 田中花子(1995)視覚障害の基礎.拡大社. 4) 著書 (欧):書名は斜体。 Kooman, A. (1997) Visual field. The Sample Press, Amsterdam. 5) 分担執筆 (和) 田中花子 (1988)視覚障害者のリハビリテーション.鈴木太郎 (編),障害者リハビリテーション.山花出版,9‐41. 6) 分担執筆 (欧):編者1名:(Ed.) 、編者複数:(Eds.) 、編者3名以上は& の前に (,)を挿入。 書名は斜体。 Keller, A., Miller, B., Dodd, C., & Brian, A. (2001) Vision care. In W. M. Taylor & D. Reynolds (Eds.), The world of vision rehabilitation. Tsunami Press, London, 35‐72. 7) 訳書 :原書名は斜体。 Barry, F. & Allen, G. (1999) Rehabilitation and education for low vision. Long Cane Press, New York. 鈴木太郎・山田次郎監訳 (2009)ロービジョンのリハビリテーションと教育.白杖学術出版社,39‐74. 8) Webページ 田中花子(2015)視覚障害幼児への早期リハビリテーションの新しい提案. 幼児教育フォーラム, http://www.earlyintervention.org/tanaka/2015/article.html, (2015/12/29). 4.4.3.本文中の引用の仕方 著者名の省略は避け、全員の名前を明記する。ただし,著者が3名以上である場合は「 (筆頭著者名)ら」 (欧文の場合は「 (筆頭著者名)et al.」)と記す。著者名の連記は以下の例に従うこととする。 1) 文中の場合 例:鈴木・田中 (1995)および山田 (1987)は・・・ 。佐藤ら (1990)が・・・。 Ryan and Nelson (1984) は・・・。 (&記号は用いない) ・・・Cameron et al. (1991)によると・・・。 2) 文末などの( )内の場合 例:・・・と指摘されている (鈴木・田中,1981;山田, 1980)。 ・・・と指摘されている (Ryan and Nelson, 1984; ・・・)。 引用文献が複数の場合はセミコロン (;)で連ねる。 カッコ内の引用順は、論文末にあげる文献リストの順に準ずる。 4.5.図表及び写真 4.5.1.図表は本文中の適切な位置に割り付け、引用順に図1、 表1のようにする。 写真も図に含める。それぞれに簡潔で適切な見出しをつける(例:図1 訓練前後での歩行速度の比較) 。掲載する図や表について、必ず本文中でその内容についての触れ、十分な説明をすること。 4.5.2.写真を掲載する場合には、内容が理解できる程度の解像度を確保するとともに、過度に高い解像度のためにファイル容量が増大することの無いよう留意すること。また個人情報保護に特に注意をはらうこと。 4.5.3.図表、写真にカラーの原稿を用いても構わないが、仕上がりはモノクロとなるので、モノクロでも鮮明な画像となるよう留意すること。 5.註釈 注釈が必要である場合は、本文中にその箇所を明示したうえで、1), 2)のように上付きで通し番号をつけて註を付す。また、本文、あるいは謝辞がある場合には謝辞と引用文献リストの間に、すべての註を1)、2)のように番号順に記載する。 本文例:(前略)ABC共和国における眼鏡の価格はおよそ500円で平均年収のおよそ10%に相当する1)。(後略) 注欄例:  註 1) 2005年当時の為替レートで計算した。なお、本稿掲載時には調査時、執筆時とは状況が大きく異なっている可能性がある。 2) (後略) 6.写真・図表説明原稿 本誌を点字版やデータ版で読んでいる会員が、図や写真を理解しやすいよう、説明原稿を用意する。図と写真は文章化し、表はテキストデータを提出する。図表の作成に使用した基本ソフトとアプリケーションソフトを明記する。 7.研究倫理の遵守 投稿者は所属機関等の倫理規定に従い、投稿する論文の内容について充分に人権及び研究倫理上の配慮をしなければならない。また、研究実施の際に配慮した研究倫理に係る事項があれば、論文中に記載すること。なお、二重投稿や著作権・肖像権の侵害などの倫理的問題を避けること。倫理上の問題のある論文は掲載できない。 8.著作権譲渡同意書 論文を投稿する場合には、著者全員が押印した著作権譲渡同意書を1部提出すること。JJVRウェブサイト(http://www.odalab.org/JJVR/)からダウンロードした著作権譲渡の書式を用いること。この譲渡によって、視覚障害リハビリテーション協会は、視覚リハビリテーション研究に刊行された原著論文やその電子的形態による利用を含めた包括的な著作権を有する。しかし、これは著者自身が自著の原著論文を複製,翻訳,翻案等の形で利用することを禁止するものではない。ただし、その全部あるいは大部分を他の著作物に利用する場合には,その旨を協会(事務局)に申し出るとともに,出典を明記すること。また一部分を利用する場合にも,文献あるいは図説の下に出典を明記すること。このことは、原著論文にのみ適用される。 9.投稿の資格 投稿時に筆頭著者が視覚障害リハビリテーション協会の会員であり、年度会費を納入済みであること。   21 後援・協賛・協力一覧 後援(50音順) (特非) 神戸アイライト協会、神戸市、神戸市教育委員会、(一社) 神戸市視覚障害者福祉協会、(社福) 神戸市社会福祉協議会、(国立) 神戸視力障害センター、視覚支援機器用具事業者協議会、(社福) 視覚障害者文化振興協会、(特非) 全国視覚障害者情報提供施設協会、全国盲学校長会、(公財) 中山視覚障害者福祉財団、(一社) 日本作業療法士会、(公社) 日本視能訓練士協会、日本歩行訓練士会、(社福) 日本盲人社会福祉施設協議会、(公社) 日本網膜色素変性症協会、(社福) 日本ライトハウス、日本ロービジョン学会、(公社) NEXT VISION、兵庫県、兵庫県眼科医会、(社福) 兵庫県視覚障害者福祉協会、(一社) 兵庫県薬剤師会、(国研) 理化学研究所 特別協賛(敬称略 50音順)(株) ビジョンケア  協賛(敬称略 50音順)HOYA (株) 協力(敬称略 50音順)アルコンファーマ(株)、(一財) 神戸観光局・神戸コンベンションビューロー、参天製薬 (株)、千寿製薬 (株) ボランティア協力(敬称略 50音順)(特非) 神戸アイライト協会、神戸市立点字図書館、神戸市立盲学校、 (医) 慈恵会 神戸総合医療専門学校、参天製薬 (株)、(株) 阪急電鉄、(社福) 兵庫県視覚障害者福祉協会 22 第28回大会案内 第28回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 期日 2019年7月26日(金)~28日(日) 会場 盛岡市民文化ホール ・ マリオス(盛岡地域交流センター)※いずれもJR盛岡駅西口より徒歩3分 大会テーマ 視覚リハの最先端と最前線 演題登録受付期間(口頭・ポスター発表)2018年12月10日(月)~2019年2月12日(火) 事前参加登録受付期間 2019年3月1日(金)~5月31日(金) ◆最新の情報は大会ホームページからご確認ください。 7月27日(土)の夜は懇親会!! 旧交を温めるも良し、新しい仲間と語らうも良し!岩手の郷土料理や地酒はもちろん、わんこそば大会などもあるかも……? お楽しみに!! お問い合わせ先  第28回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 事務局  〒980-0021 宮城県仙台市青葉区中央2-4-11 水晶堂ビル2階 さど眼科内 メール taikai.morioka@jarvi.org ※事務局スタッフはいずれも本務のかたわらボランティアで開催準備に取り組んでおり、専門の職員はおりません。そのため、電話でのお問い合わせに応じることが難しい状況です。ご理解・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。 大会長:佐渡 一成(視覚障害リハビリテーション協会 理事、さど眼科 院長) 副大会長:森 敏郎(岩手県眼科医会 会長)及川 清隆(社会福祉法人岩手県視覚障害者福祉協会 理事長) 23 実行委員一覧 第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会 大 会 長:高橋 政代(理化学研究所 多細胞システム形成センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー) 副大会長:田中 環(兵庫県視覚障害者福祉協会 会長)山縣 祥隆(山縣眼科医院 院長) 実行委員:岡田 弥(日本ライトハウス 情報文化センター)奥谷 由貴子(神戸市障害者支援課)倉本 志朗(兵庫県視覚障害者福祉協会)住吉 葉月(神戸アイライト協会)田中 桂子(神戸アイセンター病院/橋村メンタルクリニック)土井 敏(神戸市立点字図書館 館長)古川 民夫(神戸市立盲学校)三浦 久美子(長田区保健福祉部)山口 成志(株式会社タイムズコーポレーション)和田 眞由美(神戸アイライト協会) 委員補助:畑野 容子(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター)花田 潤子(日本ライトハウス 情報文化センター)安山 周平(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター)山口 恵(日本ライトハウス 盲導犬訓練所) 事務局:仲泊 聡(理化学研究所 網膜再生医療研究開発プロジェクト)原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター)別府 あかね(NEXT VISION)山田 千佳子(NEXT VISION/理化学研究所)和田 浩一(NEXT VISION) 奥付 第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 抄録集 発行日:2018年8月 編集・発行:第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 実行委員会 事 務 局:神戸市中央区港島南町2-2-3 理化学研究所(BDR)網膜再生プロジェクト内