ポスター発表
P-R-28
川崎市視覚障害者情報文化センターにおける歩行訓練士の役割に関する一考察
○中村透
川崎市視覚障害者情報文化センター
【目的】
報告者は川崎市視覚障害者情報文化センター(以下情文と略す)に平成27年度から“歩行訓練士”として、利用者支援グループに所属している。本報告では報告者が27年度中に相談支援及び視覚リハ訓練に直接携わった40名の利用者について概括し、一地域の歩行訓練士に求められる役割について考察し、若干の知見を得たので報告する。
【対象】
利用者のプロフィールは、年齢は最高齢95歳、最低年齢は6歳で、60代以上が18名(45%)である。視機能は全盲(光覚以下)12名(30%)、LV(実際にはLV1は、概ね0.02以下、LV2は、0.03~0.04、視野3%以内、LV3はそれ以上に分けてアプローチをしている)は28名(70%)、現段階で終了者は17名(43%)である。
【結果と考察】
本人のモチベーションがないなど、思うように訓練ベースにのせられない者は16名(40%)、認知症や精神疾患、知的な障害などで、利用者個々の総合的な能力が、低いと判定した方が13名(33%)であり、アプローチの多様性が求められた。情文にアクセスしてくる利用者は、最初から“視覚リハ訓練を受けたい”と希望する人よりも“白杖を購入したい”“見えづらくなってきて困っている”“仕事をしたい”など様々な相談をしてくる。実際には実働時間中に、相手の状況に合わせて、支援機器についての相談及び解説、就労継続に関する相談支援、地域施設との連絡調整、家族へのアプローチ、余暇活動への参加の動機付けなど、歩行訓練以外のニーズにも積極的に関与している。
【結論】
一般的に「歩行訓練士」という立場は、必要な人に白杖による歩行訓練を提供する人と思われがちである。しかし、地域で活動する専門家は、ニーズへの対応を狭めると、利用者は少なく、期待をされなくなる可能性が高い。個々の利用者の状況を正確に把握するとともに利用者本人のニーズを浮き彫りにし、可能な限り対応する必要がある。
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