口頭発表Ⅱ
O-2-2
視野狭窄患者に対する訓練効果の判定
○林知茂、仲泊聡、清水朋美、三輪まり枝、西脇友紀、山田明子、中西勉
国立障害者リハビリテーションセンター病院
【目的】
視野狭窄患者に眼球運動訓練などの訓練を施行し、日常生活動作への影響と我々の開発したアクティブ視野計や既存の視野計で測定した結果からその効果を判定すること。
【方法】
対象は、視野狭窄患者18名(同名半盲9名、網膜色素変性8名、緑内障1名、良い方の眼が0.6以上、平均年齢50.4歳)であった。訓練前後にアクティブ視野、ハンフリー視野(10-2プログラム)、エスターマン両眼視野、読書速度測定、視覚関連QOL評価表(VFQ11)、視覚関連ADL評価表(DLTV)を計測した。訓練は視覚探索訓練、視覚走査訓練、眼球運動訓練の3種のうち2種をランダムに選択した。被検者に各訓練を1日5分間ずつ、1週間行うことを課した。訓練前後での検査結果を、対のあるt検定(片側)で比較し、訓練効果を検討した。
【結果】
訓練前に比較し訓練後では、VFQ11のスコアが上がり、アクティブ視野で視標出現時にサッケードの生じない回数が減り(p=0.024)、平均視標捕獲誤差が小さくなり(p=0.045)、エスターマン視野計で見えた点数が多くなる(p=0.029)という訓練効果を期待できる結果が得られた。
【考察】
少数例の検討で、なおかつ短時間の訓練プログラムであったが、日常生活に比較的近い状態での見え方が改善している可能性がある。平均視標捕獲誤差は小さくなる傾向、すなわち視線変換の精度が向上する傾向にあり、視標出現時にサッケードの生じない回数の減少は、訓練により眼球運動が促されていることが考えられる。一方、ハンフリー視野と読書速度については、今回の条件では有意な訓練効果は得られなかったが、少数例での解析であるため、結論を出すには、症例数を重ねるとともに長期観察における判定が必要と考えられる。
【結論】
短期間・短時間の訓練であっても、視野狭窄患者においては、効果が期待できることがわかった。
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