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ポスター活動
P-A-15
肢体不自由児の重複障害に対する視機能評価と学習援助

○有若由加理、島本史郎
島本眼科医院

肢体不自由を主な障害として受け入れている特別支援学校の児童生徒の中に、学習に支障をきたす視覚障害が重複していることも稀ではない。教師も主たる障害に対しては専門性を持って対処できるが、重複する視覚障害には十分な知識を有していないことが多い。
2010年ごろから学校現場において、外部専門家の活用による障害児の指導計画、実施、評価、改善という、いわゆるPDCAサイクルによるPT、OT、STなどの導入がなされているが、視能訓練士の報告は少ないようである。
福井県では、4年前から特別支援学校からの要請に応じて県立盲学校の教師が出向いて視力検査をおこなっているが、視機能全般については把握が困難である。そこで学校側の要請により視能訓練士が赴いて、保護者の同意を得た児童の視覚の状態(眼位、眼球運動、頭位異常、固視状態やおおまかな視野の推計など)を検査または観察し、それらを総合的に判定して学習の場における適切な視環境について助言をおこなってきた。
実施校は福井県立特別支援学校、小学部から高等部までで生徒総数は約80名。2012年から年1回、4年間で男6名、女9名のべ19名を対象とした。小学部低学年12名、高学年3名、中学部1名、高等部3名であった。障害状態は脳性まひによる両上下肢障害12名と多数を占めており、それ以外は腫瘍、外傷であった。そのうち全介助が必要なもの5名、車椅子使用者8名、歩行可能者は2名であった。
眼科的には、斜視11名、眼鏡装用者5名。視力測定困難または不能は9名で、測定可能であった者6名の良いほうの視力は矯正をふくめて0.1以上であった。
4年間の成果として視能訓練士による助言は、教師にとり非常に有益であり、障害児への情報伝達法についてより的確な指示を得られたとの評価であった。視能訓練士が、教育の場でその専門性を生かして重複障害児の視覚障害リハビリテーションに関わっていくことは、きわめて意義深いことと考える。

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