ポスター発表
P-R-7
医療面接から施術録作成を学ぶ
中途視覚障害者のための実践と調査
○伊藤和之
国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局
【目的】
鍼灸マッサージ師(理療師)は、患者の迎え入れ、医療面接、身体診察、施術、患者の送り出し、施術録の作成を行う。この一連の行動を中途視覚障害者が円滑に行うには、知識と技能の習得に加え、種々の患者情報を記録、記憶しなくてはならない。そこで、本研究では、中途視覚障害者が医療面接と施術録作成のための効果的な学習・訓練プログラムを構築するために、実践と調査を行うことを目的とした。
【方法】
(1)医療面接関連単元の実践と評価:2003、2005、2006、2007、2008年度理療教育専門課程1、2年生119名を対象として授業評価を得た。評価は1点から5点までの5件法とした。
(2)漢字力判定調査:2013、2014、2015年度理療教育専門課程1年生40名を対象として漢字検定2~10級の漢字40問の書き取りを行った。
【結果】
(1)授業アンケート:109名の回答のうち、5点が26名(23.9%)、4点が63名(57.8%)で、授業単元としての評価を得た。自由筆記からは、ロールプレイの充実、取扱い時数の増量についての意見が特徴的であった。
漢字力判定調査:平均23.1±7.8点、中央値23.5点であった。理療の学習を成立させると仮定している3級レベルに届いていないケースも確認された。
【考察】
授業評価から、知識の習得と体験型学習の組合せがコミュニケーション技能の修練に効果的であると考えられる。課題は、模擬患者の確保である。また、患者から得た情報を的確に記録し、要約する技能は必須であるが、そのための記録の方法を確立することが学習効果を高める上で欠かせないことがわかった。
【結論】
視覚障害リハビリテーションの一局面である就労移行支援(養成施設)において、医療面接と施術録作成技能の習得と、それを支える記録方法の確立は、資格取得後の臨床を支える礎石としての機能を果たす重要なコンテンツと言える。
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