ポスター発表
P-R-3
医療者への8年間の発信で分かったこと
―視覚障害者に情報を届けるために―
○鈴木佳代子(1)、高間恵子(1)、薩摩彩美(1)、牧和義(2)、京極裕子(2)、新居平康(2)
(1)公益社団法人京都府視覚障害者協会、(2)社会福祉法人京都ライトハウス
【目的】
視覚障害を負っても、自力で相談機関やリハビリテーションにたどり着くことは難しい。多くの方が有効な情報を知らないまま不安を抱え、眼科にだけは必死に受診し続けている。早期に必要な支援を届けるためには、医療者からの情報提供が不可欠であると考え、医療関係者向け研修会を開催し始めた。8年が経過した今、医療からの紹介件数は増加し、日常的な連携関係が生まれつつある。この取り組みから分かったことを報告する。
【方法・経過】
2008年から年に1度、「医療関係者向け研修会」を京都ライトハウスと京都府視覚障害者協会の共催で開催する。始めた頃は、手引きの指導や施設紹介などを通して「福祉へ繋いで欲しい」と一方的に呼びかける内容だった。参加者も多く感想も良好だが、患者紹介はあまり増えなかった。
参加者の声から、「どんな状態の患者に声をかけたらよいかわからない」「紹介した後の対応がイメージできず心配」「多忙で聞き取る時間がない」等、進まない原因が見えてきた。その後、研修会の企画や講師として医療者にも参加してもらい、医療現場の困難さを共感したうえでの発信や双方向での意見交換ができる研修会となってきている。
患者紹介や日常的な連携も年々増え、新規相談の約2割が医療からの紹介である。病院を訪問して入院患者の相談を受けることも多く、そこで医療者に間近で対応の様子を感じてもらうことも、信頼を得るきっかけとなっている。
患者への声かけや福祉紹介のシステム化を模索した大学病院では、昨年度から月1回定例の患者相談会が始まり、患者への早期情報提供の場が実現している。
【まとめ】
患者へ早期に情報を届けるためには、医療と福祉双方が現状を理解し合い、紹介や相談のシステムを工夫することが不可欠である。今後、さらに発展させるため、京都府内の医療・福祉・教育等関係者で成るネットワークの構築を目指す。
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