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ポスター発表
P-R-37
新たな歩行訓練用触地図の開発に向けた設計要件の抽出

○豊田航(1)、須藤友輝(1)、大内進(2)、尾形真樹(3)、清水美知子(4)、大倉元宏(1)
(1)成蹊大学、(2)国立特別支援教育総合研究所、(3)杏林大学医学部付属病院アイセンター、(4)モビリティ研究会

【目的】
触地図は歩行訓練の補助具として有効だが(豊田ら、2016)、視覚障害者の個別ニーズに応じた触地図の作製は時間的・経済的コストがかかり、訓練では必ずしも使用されない。本研究では、歩行訓練士が触地図を簡便に作製可能な歩行訓練用触地図の開発に向けて、歩行訓練での使用に適した触地図の設計要件を明らかにすることを目的とした。

【方法】
触地図の使用経験がある歩行訓練士8名から協力を得た。8名が様々な素材での自作、5名が立体コピー、3名がレーズライター、1名がサーモフォームによる触地図の作製経験があった。参加者には、これまでに作製した触地図の現物や写真を可能な限り持参させ、それらの使用経験から歩行訓練で有効な触地図の作製方法を、半構造化面接により聴取した。得られた逐語録から内容のまとまりを一行程度の文章に要約した項目群を抽出し、意味が共通するものを集めて概念化した。

【結果】
参加者が作製した触地図は物理的設計の類似性と訓練用途から3つに分類された。(1)ルート地図(主に歩行ルートとランドマークを示した触地図)、(2)環境地図(主に環境全体の形状や位置関係を示した触地図)、(3)概念地図(特定の環境の形状を抽象化して示した触地図)。
概念化した情報により、歩行訓練士は訓練の進行状況、視覚障害者の属性等に応じて触地図を容易に修正できることを望み、さらに触地図に高い触知性、携帯性、耐久性を求めていることが明らかとなった。また、触地図の物理的設計に関しては、ランドマークの形状、まとまり感、識別性、見つけやすさ、触感等の具体的条件が抽出された。

【考察】
歩行訓練士が望む多様な条件を満たす新たな歩行訓練用触地図として、歩行訓練士が視覚障害者のニーズに応じて現場で簡便に作製・修正可能な触地図作製キットが有効である。

【結論】
歩行訓練士に対する調査から、新たな歩行訓練用触地図の設計要件が明らかとなった。

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