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ポスター発表
P-R-21
拡大補助具使用時の読書特性Ⅱ
―テキストレイアウトが最大文字サイズに及ぼす影響―

○川嶋英嗣、大森都
愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻

【目的】
拡大補助具使用時の読書関数では読書速度の低下は小さい文字サイズ側だけでなく大きい側でも起こる。文字サイズが大きい側での臨界サイズは最大文字サイズと呼ばれており、読材料のテキストレイアウトの広さによって変わる可能性が指摘されている(川嶋・若山、2014)。本研究では拡大補助具使用時の読書関数を広さが異なる3種類のテキストレイアウトで測定して、テキストレイアウト条件間の最大文字サイズを比較した。

【方法】
被験者は眼疾患がなく矯正視力1.0以上の5名(平均年齢21歳)であった。刺激文章の読材料は中学1年国語教科書から抜粋して、テキストレイアウト条件(縦x横)として3x10、6x20、9x30文字を横書きで設定した。iPadAir2(Apple製)のカメラ機能で紙に印刷された刺激を映してアプリ「明るく大きく」を用いて、画面文字サイズを視距離20cmで0.4~1.8logMARの範囲で変化させた。被験者は画面上に文章刺激全てが一度に画面に表示されない場合、紙を動かしながらできるだけ速くかつ正確に音読した。刺激文章を読み終えるまでの時間から読書速度(文字数/分)を算出した。

【結果】
文字サイズ別の読書速度にフィッティングした2直線の交点のX座標値を最大文字サイズとした。一元配置反復測定分散分析の結果、テキストレイアウトによる最大文字サイズの違いは有意であり、レイアウトが広いほど最大文字サイズは小さくなった。また最大文字サイズのときの画面に表示される横文字数を算出すると、各テキストレイアウト条件の横文字数とほぼ一致した。

【考察】
本研究の結果から最大文字サイズとは拡大補助具の操作を必要としない最も大きい文字サイズであることが示唆された。テキストレイアウトが広い場合、拡大補助具の操作なしで読むためには、文字サイズを小さくしないと文章全体を一度に表示させることはできない。このことが最大文字サイズの減少と関係している可能性がある。

【結論】
拡大の上限である最大文字サイズは読材料のテキストレイアウトが広いほど小さくなる。

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