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ポスター発表
P-R-36
ステレオカメラを有するハイテク歩行器

○森英雄(1)、丹沢勉(2)
(1)NPO法人歩行ガイドロボット、(2)山梨大学

【目的】
歩行器にステレオカメラを搭載し、道路環境を認識して視覚障害者を音声で道案内するハイテク歩行器の開発

【方法】
ハイテク歩行器は、山梨大学が開発したPCベースのステレオカメラと、距離計(キャスターにつけた回転計)、超音波センサー、磁気方位計を搭載する。
ステレオカメラが検出するのは、1mから20m先の道路境界データ(塀や生垣など)と障害物データ(人や車など)と路面データ(側溝や穴を除く路面)である。視覚障害者が歩行器につかまって歩くと、イヤホーンを通してオリエンテーションとモビリティの指示をする。

【結果】
たとえば、左側の道路境界に沿って歩くときは、“左側に塀がある”さらに進むと“塀の切れ目”、“交差点”などと発話する。真っ直ぐ進んで良いときは、“ピンポン”と鳴らし、道路境界に近寄りすぎると“左左”と離れ過ぎると“右右”と発話する。前方に障害物があるときは、“2m先、注意”、さらに近づくと“止まれ、止まれ”と発話する。また、遠方で道路が左に曲がっているときは“10m先で左にカーブ”などと発話する。ステレオ画像処理に要する時間は70msecと短いが、音声発話の周期は発話の内容によって異なり“右右”で1.2秒、“左に塀がある”で1.9秒である。
ステレオカメラが検出できないのは、雪道の道路環境と一定間隔の縞模様がある壁やフェンスである。

【考察】
ハイテク歩行器は、安価で使い方が簡単である。バスや電車に携行でき、折り畳んで車に載せることができる。白杖との併用ができ道路交通法に抵触しない。
視覚障害者の利用には訓練が必要である。たとえば、交差点を横断するときは、自動車の走行音を聞いて、渡るタイミングを決めて白杖などを挙げて意志を表示するなどである。

【結論】
ハイテク歩行器は、白杖や盲導犬を用いて単独歩行できない視覚障害者に、有用と思われる。

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