ポスター活動
P-A-19
理療教育を学ぶ盲ろう者が実技を習得するための支援-第2報
○浮田正貴、伊東和之、高橋忠庸
国立障害者リハビリテーションセンター
【目的】
盲ろう重複障害を有する学習者に対する効果的な理療の学習支援技術の構築を目的として、教育を実践している。本報では、あん摩マッサージ指圧実技において、より就労を意識した支援を行った結果、安定してきた点と課題が見出されたので、その内容を報告する。
【方法】
対象者:A氏50代女性
期間:1年
支援計画の方法:毎回の授業終了後、A氏から手技及び医療面接の内容確認を行い、関係する教官間で情報共有し、患者へのコミュニケーション方法の内容について、A氏と共に検討することとした。医療面接では、問診を補助的に用いるカードを2種類作成することとした。A氏が使いやすい、「肩こり」などの症状を記入した5つのカードを使用することとした。また、施術中の力度などの患者の訴えについては、予め用意した振動機を用いた。患者からの振動数は、1回が「良い」、4回が「不快」とした。支援終了後、A氏及び患者役の教官から評価を得ることとした。
【結果】
A氏は、医療面接では2回に1回程度、患者の状態を把握することができた。また、振動機の使用によって、患者の訴えに対応し、施術をスムーズに行えるようになった。支援終了後、A氏の評価から、「主訴が把握しやすくなった」「自信を持って施術できるようになった」とあったが、教官からの評価は「患者とのコミュニケーションは不安定」とあり、差異がみられた。
【考察】
これまでの実践から、A氏の就労に値する施術力は安定した。一方で、医療面接、身体診察時の患者とのコミュニケーション面の強化が必要であると考えられる。
【結論】
盲ろうの方の理療就労を目指す理療教育において、支援によって施術面での安定感が増す一方、コミュニケーション面での課題が明確化した。今後、使いやすいカードの作成や身体での合図など、非言語的な媒体で患者からの情報が把握できる力を養うための支援技術を構築する。
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