ポスター発表
P-R-32
白杖のシンボルとしての有効性に関する予備実験
○木村仁美
世田谷区立総合福祉センター
【目的】
白杖の携行は自身が視覚障害であることを周知するために必要とされ、法律においても「目の見えない者」は携行が求められている。しかし、白杖を携行しているにも関わらず、周囲の無理解に困惑する当事者も少なくない。
先行研究では、杖の構成要素のうち「形状」のみに着目し「直杖は視覚障害者の杖としての認識が高いが、近年増加傾向にある身体支持杖は視覚障害者の杖としての認識は低い」との知見を得た(第22回視覚リハ研究発表大会にて報告)。本研究では、さらに色彩の要素を加え、人々の認識がどのように異なるかを検証する。
【方法】
「白い杖であっても、直杖以外の形状では視覚障害者であることを認識しにくい」という仮説に基づき、実験を計画した。
予備実験では、ノートパソコンの画面上に16枚(4形状×モノクロ4色)の杖の画像を1枚ずつランダムに繰り返し提示し、「視覚障害者の杖だと思うか」の回答を求めた。実験参加者は10代から70代まで5名である。画像の提示から回答までの時間と回答を記録し、分析した。
【結果】
直杖は色に関わらず、視覚障害者の杖としての認識が高く、身体支持杖は白色であっても視覚障害者の杖としては認識されにくいことがわかった。
【考察】
実験参加者数やその属性、画像の提示方法など課題は多い。しかし、仮説を支持する結果が得られたことは、白杖が社会に深く浸透していることを裏付ける一方、直杖以外では認識されにくいことを客観的に示している。
【結論】
今後も実験計画を見直しながら予備実験を繰り返し、本実験へと進める。
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