ポスター発表
P-R-31
歩行軌跡の偏軌における近似曲線を用いた分析
○門脇弘樹、牟田口辰己
広島大学大学院教育学研究科
【目的】
歩行軌跡の偏軌について、線形近似と多項式近似を用いて適合度を分析し、歩行軌跡が示す偏軌の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
大学生2名(対象者A:男性、対象者B:女性)を対象にし、X大学体育館に設定した歩行路(縦16m×横幅10m)で歩行実験を行った。対象者は、3種類の歩行速度(m/分、「遅い」・「通常」・「速い」)で白杖歩行を行った。計測は、各歩行速度で3試行ずつ、計9試行を歩行速度ごとに無作為に行った。対象者はアイマスクを着用し、ウェアラブルカメラ(Panasonic製、HX-A500)を腰に装着した状態で白杖歩行を行った。得られた歩行軌跡は、線形近似および多項式近似の関数を最小二乗法によりそれぞれの適合度を求めた。
【結果】
対象者Aは左側に、対象者Bは右側に偏軌する歩行軌跡を示した。対象者Aの歩行軌跡に関して、「遅い」の場合の適合度は、線形近似0.8961±0.0639、多項式近似0.9919±0.0079、「通常」の場合の適合度は、線形近似0.9363±0.0038、多項式近似0.9974±0.0014であった。「速い」の場合の適合度は、線形近似0.9819±0.0083、多項式近似0.9988±0.0006であった。対象者Bの歩行軌跡に関して、「遅い」の場合の適合度は、線形近似0.9354±0.0034、多項式近似0.9981±0.0014であった。「通常」の場合の適合度は、線形近似0.9151±0.0191、多項式近似0.9977±0.0013であった。「速い」の場合の適合度は、線形近似0.7909±0.1015、多項式近似0.9853±0.0054であった。
【結論】
歩行軌跡の偏軌に関して、線形近似および多項式近似の適合度で比較した結果、歩行速度に関わらず、多項式近似の適合度が高い値を示した。このことから、偏軌の歩行軌跡は線形近似よりも多項式近似の説明率が高いことが示唆された。今後、対象者の数を増やして分析することで、歩行軌跡の偏軌予測や歩行支援機器の開発といった研究に応用することができる。
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