ポスター発表
P-R-12
頭部や体幹の肢位と姿勢のしづらさとの関係について
○中村直子(1)、柳久子(2)
(1)筑波技術大学、(2)筑波大学医学医療系
【目的】
本研究では視覚障害者の机上動作の特徴を頭部や体幹の肢位に着目して調べ、障害のタイプ別にその傾向を比較し、傷害予防や個々にあった視覚保障機器を検討するための基礎資料としたいと考えている。今回は様々な机上動作時の頭部~胸部の傾斜角や、目と文字の距離を測定し、主観的な尺度としての姿勢のしづらさとの関連性を比較した。
【対象】
20~40代の成人男女で、1)弱視者15人(良眼矯正視力0.3未満。軽度の視野障害を含む。)および、2)視野障害者16人(両眼とも50%以上視野欠損あり。視力障害を含む。)である。(以下、弱視群、視野群と記載する。)
【方法】
様々な条件下で書字・読字などの机上動作を行い、動作中の頭部~胸部の傾斜角および対象物と外眼角の距離をデジタル傾斜計にて計測した。設定した条件は、(1)視覚保障機器なし(コンタクト・眼鏡のみ使用)、(2)拡大読書器使用、(3)ノートPC使用、(4)デスクトップPC使用、(5)タブレット端末使用、(6)携帯電話使用、である。また主観的な姿勢のしづらさの尺度として、姿勢継続可能時間を調査した。これらの関係についてSpearmanの順位相関係数にて比較した。
【結果】
両群とも視覚保障機器を用いない作業やノートPC操作について多少の関連が認められたが、その他の課題では傾斜角と姿勢のしづらさとの間にあまり関連は認められなかった。
【考察】
今回関連が認められた2つの作業は、他の作業と比較し頭部体幹の前傾が必要とされる作業であったため、主観的な姿勢のしづらさとの間に関連が認められやすかったのではないかと予想された。
【結論】
様々な机上動作時の頭部・胸椎の傾斜角と姿勢のしづらさとの間の関係を調べた結果、より前傾の強い作業においては、傾斜角が大きいほどつらい姿勢であることが示唆された。
【謝辞】
本研究はJSPS科研費24700586、および筑波技術大学教育研究等高度化推進事業の助成を受けたものです。
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