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ポスター発表
P-R-22
浜松視覚特別支援学校専攻科生を対象としたロービジョン支援
-視機能とニーズの分析-

○田中恵津子(1)、渡辺淳(2)
(1)浜松視覚特別支援学校、愛知淑徳大学、杏林大、(2)浜松視覚特別支援学校

【目的】
2010年より浜松視覚特別支援学校では、担当教員、自立活動教員、非常勤視能訓練士による生徒の視機能評価と学習環境整備の支援活動を行っている。ここでは、専攻科生徒の記録をもとに、視機能の実態と支援の特徴を分析する。

【方法】
2010年~2015年に、主に専攻科1年在籍の中で参加を希望した生徒の支援のべ43事例(33人=在籍者総数の約3割)、のべ63回の記録より、視機能(視力、視野、コントラスト感度、眼球運動、MNREADによる読書評価など)、本人の訴え(現状の補助具、困難や不安の内容)の実態と両者の関連性について分析をした。対象者の年齢は、18歳~60歳、平均38.0±12.9歳で、67.4%が中途視覚障害者であった。

【結果と考察】
主な視機能結果の平均(最低値~最高値)は、小数視力は0.29±0.29(0.01未満~1.2)、最大読書速度(MRS)は229.2±92.9文字/分(67~411)、臨界文字サイズ(CPS)は0.97±0.39logMAR(0.21~1.9)であった。周辺視野狭窄は対象の60.5%に、中心10度以内の視野障害は70.0%にみられた。訴えに「学習の方法がわからず不安」が多くあった(39%)。不安ありとなしのグループを比べると、視力やCPSに違いはなかったが、不安群は、MRSが有意に遅く(173.2vs.266.8文字/分)、中心視野障害の割合が有意に高かった(88%vs.55%)。また不安群は、必要な拡大環境が未整備な人が有意に多いこと(63%vs.17%)と、書字(メモ)困難を訴える人が多い(75%vs.0%)という特徴があった。

【結論】
専攻科学生の学習支援には、読書速度、中心視野の視機能に着目し困難の存在を見逃さないことと、書字課題や適切な拡大補助具の選択を支援する必要がある。医療機関からの屈折や視野の情報をもとに現場で学習環境をみなおす支援は有効である。

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