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ポスター発表
P-R-46
カメラ画像の色認識を用いた音声触図システムの開発

○小澤裕太郎(1)、細川陽一(2)
(1)名古屋工業大学工学部都市社会工学科、(2)愛知県立名古屋盲学校

【目的】
本研究室では触図学習の問題点を解決するためタッチパネルとPC、AR(拡張現実)とPCを組み合わせた二通りの方法で音声触図学習システムの開発とその普及を行ってきた。本研究ではまた別のアプローチとしてカメラ画像の色認識を用いたシステムの開発に取り組んでおり、先行研究で問題であったタッチパネル制作の材料費と手間、ARの指認識の精度改善と座標一致の誤差の解決が期待できる。

【方法】
カメラに歪んで映った触図を元の形状に戻すために、PCカメラで映した触図の四隅の画像の座標を取得し、射影変換を行い触図上の座標と一致させる。指の位置を検出するために指先にラベルを張り、その色を認識して指の位置が登録点で一定時間静止する事で音声案内する。

【結果】
本研究によりカメラとPCで音声触図学習が可能となり、座標の誤差も少なくなった。しかし音声案内のトリガーが指の静止なので、タッチパネルのようにタップの回数によって音声案内の内容を変更して一カ所に複数の情報を織り込む事ができない。また光の当たり方によってはラベル認識できない、触察中ラベルが取れてしまうといった問題がある。

【考察】
一カ所で複数の音声案内をするために、指を静止させ続けて一定の時間間隔ごとに音声案内の内容を切り替える事で解決できる。ラベル認識の問題は光の加減によってラベルの色の明度が変化し、パソコンに取り込んであるラベルの色と一致しない事が原因である。これを解決するためにHSV色空間で色を認識し、色相は狭い閾値で、彩度と明度は広い閾値をもたせて色の一致判定を行う。

【結論】
改善点は多く存在するが、本研究である色認識を用いた音声触図システムの開発によって先行研究の主要な問題は解決できた。将来的に本システムは視覚障害者が独力で扱えるものにしたい。そのためにはカメラで触図を映した際、触図全体を捉えているか使用者に教える仕組み、カメラに映る触図を変えるとそれに応じて音声案内も切り替わる仕組み等が必要となる。

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