ポスター発表
P-R-42
学習障害児の学習にICTを活用した読み書き技術の導入支援
○篠野公二、寺島博美、小野田有華、杉山望、松岡悟、岩崎佳奈枝、松久充子
医療社団法人橘桜会さくら眼科
【目的】
学習障害児に読み書き方法の代替手段としてInformation and Communication Technology(以下ICT)を導入し、読み書きの手段で時間を費やすのではなく、内容を理解することに重点をおいた学習の有効性について検証した。
【方法】
学校や小児科からの紹介により、当院で学習障害と診断した児を対象に(1)音声読み上げ機能を利用して教科書や図書を読む練習、(2)タブレット端末での書字練習や文字や文章の入力練習、(3)アプリを使用した総合的な学習、(4)ICTを安全に使用する為の環境設定(保護者対象)を個別指導した。
【結果】
学習意欲の低下していた児がタブレットを利用した学習で内容を理解して読めるようになり、苦手な漢字テストの複数回の再試験が減少した。また、学校での理解が深まり、居残りでの板書や漢字練習から解放された。さらには不登校の児が楽しそうに学習に取り組むようになった。個別に発達特性、家庭環境、学習能力を把握しながら指導ができるので、保護者が児の発達特性を理解し配慮に繋がった。
【考察】
学習障害児は、知的障害はないが視覚・聴覚の認知・記憶や文字に言語(音)で意味付けする音韻処理に障害があるために、従来の読み書きの方法では学力低下をきたすが、ICTを活用することで知的能力に応じた学習が可能になる。教育現場ではその認知度が低く配慮が不足しているために、学習の遅れや不登校などの二次障害に至っている。読み書き等へのICTの活用は社会人になっても必要なことである。
【結論】
学習障害児はICTを活用した読み書き技術を習得することで、学習の困難を減少させることができる。医療から教育現場に様々な対応法を早期から具体的に指示する事で学校での配慮に繋がり、二次障害を防ぐことが可能である。斜視・屈折調節異常などの眼疾患への対処には眼科的検査、神経疾患の鑑別には小児精神科での検査が必須である。医療(眼科・小児科)と教育の連携は学習障害児の将来性に大いに貢献できる。
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