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ポスター発表
P-R-40
視覚障害者における電子投票システムを用いた選挙方法の有効性と改善指針

○北神あきら(1)、藤縄泰彦(2)、三浦貴大(3)、名児耶剛(4)
(1)NPO法人視覚障害者パソコンアシストネットワーク、視覚障害リハビリテーション協会選挙管理委員会、(2)社会福祉法人日本盲人職能開発センター、視覚障害リハビリテーション協会選挙管理委員会、(3)東京大学高齢社会総合研究機構、視覚障害リハビリテーション協会選挙管理委員会、(4)公益財団法人日本盲導犬協会、視覚障害リハビリテーション協会事務局

【目的】
視覚障害リハビリテーション協会では、3年に一度理事選挙を実施している。従来の理事選挙では、郵送での投票形式を採っていた。ただ、視覚障害のある会員は支援者の代筆を求める必要があった他、選挙管理委員会での事務処理などの費用や手間に課題があった。この改善のため、2015年度の理事選挙ではインターネット経由で投票できる電子投票システムを導入した。本発表では、電子投票の結果などを通じて、視覚障害者の利用可否や選挙手法の有効性を分析し、視覚障害者に必要な配慮なども指針化することを目的とする。

【方法】
視覚障害者も使用可能である投票システムとして、株式会社グラントのe投票を導入した。導入前には、開発者にアクセシビリティ改善を更に要望の上、スクリーンリーダ下での操作性向上を図った。また、事前に会員内でテスト投票を実施し、音声によるシステム操作手順を作成して会員に周知した。電子投票できない会員には、郵送投票もできるよう配慮した。
電子投票システムの検討段階から選挙実施までの記録事項や、選挙後に実施したアンケートの内容を分析する。また、電子投票システムの視覚障害者の使い勝手についても検討する。本稿では投票率および投票の仕組み上の課題を挙げる。

【結果】
前回の投票率(46.5%)に対し、本投票では54.2%に増加した。さらに、コスト面や事務処理の効率化の他、視覚障害者が代筆なしに投票できたため、システム導入に伴う効果があったと言える。

【考察・結論】
電子投票システムはスクリーンリーダ下でも操作できるが、ボタンの位置などの分かりにくさなどの改善点が未だに散見される。このため、弱視者やICTの操作に習熟しない者への対応も今後の課題になると思われる。
また、有権者の理解が十分に得られていない点もあるので、運用面での改善を図りながら関係者の理解を得ることも重要と言える。

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