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ポスター発表
P-R-17
読材料の文字数がMNREAD-J読書評価に与える影響

○大西まどか(1)、小田浩一(1)、山上精次(2)
(1)東京女子大学大学院、(2)専修大学

【目的】
読材料の違いは読書評価の結果に大きく影響する。MNREAD-Jの読材料は、教育漢字とひらがなで構成され、難易度の均質性を保証している。1文の長さは10字×3行の30字で、1回の評価に19文を要するため、およそ5分程度の時間を要する。臨床的には評価時間の短縮が求められており、本研究では、1材料あたりの文字数を減らしてその影響を検討した。

【方法】
呈示刺激は使用頻度の高い常用漢字と平仮名の助詞で構成された2,4,10文字の簡単な日本語文節であった。大きさは視角2.15~21.47分で、0.1log単位で変化した。日本語母語話者の大学生47名(平均年齢19.74±0.85歳、小数視力平均1.19±0.29)が実験に参加した。
pcMNREAD-J(小田・西村,2002)と同様の手続きで読書評価を行い、読書視力(RA)、臨界文字サイズ(CPS)、最大読書速度(MRS)を算出した。参加者一人につき、練習1セッション、呈示文字数ごとに3セッションの計4セッションが実施された。視距離は240cmであった。

【結果・考察】
RA,CPS,MRSを従属変数、実験参加者の視力(最小分離角)と文字数を説明変数にした重回帰分析を行った。RAには参加者の視力が有意に影響しており、文字数と関係がなく、近見視力とほぼ同じ値が得られるという先行研究(小田ら,2002)を支持した。CPSは文字数、視力の両方の影響を受けていた。MRSには視力も有意に影響したが、文字数が大きく影響しており、文字数が多いほど速度が上がるはっきりした傾向がみられた。
読時間=読み始め潜時+1文字あたりの読時間×文字数という線形モデルを仮定して、MRSを読時間(msec)に変換したのち、個人差の変動要因を組み込んだ階層線形モデルの回帰分析を行ったところ、非常に高い精度(r>.99)で予測できた。

【結論】
読材料の文字数を変えて読書評価を行ったところ、RAやMRSは少ない文字数で実施した際の評価値から推定できることがわかった。CPSへの文字数の影響や、改行をモデルに組み込んだ読時間の検討が今後の課題である。

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