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ポスター発表
P-R-43
弱視者向け音声触図学習iPadアプリの開発

○肌野喜一(1)、細川陽一(2)、森川慧一(3)
(1)名古屋工業大学工学部都市社会工学科、(2)愛知県立名古屋盲学校、(3)名古屋工業大学大学院工学研究科社会工学専攻

【はじめに】
本研究室では触図学習の問題点を解決すべく、タッチパネルとPCを組み合わせた音声触図学習システムの開発とその普及を行ってきた。このシステムで使用する触図の画像データは、対象の輪廓を強調し、不要な情報を削除し、触認識が効果的にできるものとなっている。この図の特徴は、弱視者にも見やすく、図の理解にも有用だと考えられる。また弱視者が図を学習する場合、触れることよりも拡大できることのほうが重要である。そこで本研究では弱視者が図を拡大しながら学習できるiPadアプリを開発したので、その概要を報告する。

【開発したアプリ】
iPadで触図画像を表示し、ユーザーの見やすいように画像の拡大や画面の回転を行った後、タップをするとその点に関する音声情報を得られるようにした。音声触図学習システムで作成した、人体の経脈と経穴の図や日本地図などのデータを使用できるようにした。

【結果】
このアプリにより音声触図学習システムで使用する触図とデータを用いて、図を拡大しながら音声で学習することが可能となった。本アプリを弱視者の方4名に試用して頂いたところ、画像の拡大をしながら音声案内を聞けることを高く評価して頂いた。これはVoiceOver起動時に画像の拡大が出来ない事に由来する。また、アプリ操作のユーザビリティに関しては、向上が必要であると分かった。

【結論】
改善点は存在するが、弱視者が図を拡大しながら学習できるiPadアプリを開発できた。本アプリと音声触図学習システムにより、視覚障害者全般を対象とした図の学習システムとなり、使用対象者が広がったため本システムの導入が期待される。そのため今後はこれらのシステムで使用できるコンテンツを充実させることが重要である。また本アプリは触図に限らず、iPadで撮影した写真や絵画の内容の把握にも効果的であると推測され、学習以外での活用法も期待できる。

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