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ポスター発表
P-R-16
遮光眼鏡装用による固視安定性への影響の検討

○長尾祥奈(1)、澤田園(2)、長篤志(1)
(1)山口大学大学院理工学研究科、(2)市立長浜病院眼科

【目的】
遮光眼鏡装用上で固視に影響を及ぼす要因について検討する。

【方法】
被験者は眼科的疾患のない矯正視力1.0以上の11名(平均年齢24.9±3.1歳)。遮光レンズ装用にて視距離60cmでモニター上の視標を固視させ、Tobii社製視線追跡装置TX300を用いて、300Hzの測定頻度で固視の変動と瞳孔径を15秒間記録した。視標サイズは0.275度でコントラストを100%、45%、30%、15%に設定し、遮光レンズは東海光学社製STGのAC、SP、YL、OY、NL、YG、RO、FRを用いた。固視変動は、記録された反射光の位置を座標で表し、記録中の平均座標と測定座標までの距離で評価した。目的変数を固視変動、説明変数を瞳孔径、視感透過率、視標コントラストとして単回帰分析と重回帰分析を実施し、さらに瞳孔径と視感透過率の相関を調べた。また各コントラスト条件での固視変動と瞳孔径についてFriedman検定を行った。

【結果】
今回の検討での固視変動の範囲は全体で0.11~0.77度、瞳孔径は2.25~5.45mmであった。
瞳孔径では単回帰分析、重回帰分析ともに正の関係性、視感透過率では負の関係性を認めた(p<0.001)。また瞳孔径と視感透過率の間に強い負の相関を認めた(r=-0.71、Speaman)。
視標コントラストでは回帰分析で有意性を認めないが負の関係性を示し(p=0.35)、500nm以下の短波長光の透過率が低いYLでコントラスト低下による固視変動の増大傾向を認めた(p=0.07)。視感透過率が近似のOYとNLに着目すると、短波長光を50%以上透過するNLでは大部分を遮断するOYと比較し、固視変動と瞳孔径が小さかった(p<0.05)。

【考察】
遮光レンズは、視感透過率が低く、短波長光遮断の比率が高くなるほど瞳孔を散大させ、固視の安定性に影響を及ぼす。固視の不安定な弱視眼ではこれらの影響をより受けやすい可能性が示唆された。

【結論】
遮光眼鏡の色選択には、瞳孔径に大きな変化を来すと固視の安定性に影響が及ぶ可能性がある点を考慮する必要がある。

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