文字サイズ: 特大
文字と背景色: 白黒 白黒反転 黄色黒 黄色青 白青 青黒 緑黒
ポスター発表
P-R-9
視覚障害者の障害告知後における心理状況と支援体制についての実態調査

○大槻剛康(1)、永徳一輝(1)、田中雅之(2)、松枝孝志(2)
(1)人間サポート研究会、(2)名古屋市総合リハビリテーションセンター

【目的】
当会は視覚障害者(以下当事者)が属する豊田市認定ボランティア団体である。会所属の当事者の悲痛な体験から、障害告知後の支援体制がルール化されていないことに気づき、他の多くの当事者も心理的に追い込まれているのではないかと考えた。また近年、障害者に関する法制度が目まぐるしく変わる状況において、当事者が益々「情報障害」に陥ることが懸念される。そこで今回、当事者自ら医療・福祉両分野での障害告知後の心理状況と支援体制について、実態把握を目的に愛知県下の3支援機関の協力を得て調査を実施した。

【方法】
回答方法は直接聴き取り、メール、アンケート用紙に記入からの選択で当事者86名から回答を得た。主な質問項目は、性別、年齢、家族構成、見え方、障害告知時期、障害告知後の希死念慮を含む心理的変化、医療関係者や福祉窓口から他機関への紹介状況、医療・福祉などの関係機関に望むことなどとした。

【結果】
今回のアンケートでは、7割以上の当事者が希死念慮の経験がある、または心理的に追い込まれたと回答した。さらに、全体の6割が障害告知後に医療関係者から福祉窓口などの関係機関を紹介されなかったと回答した。

【考察】
これらの結果は当事者の多くが心理的に追い込まれているにも拘らず、適切な支援機関につながることが出来ない現状を示唆している。中でも未遂経験及び現在希死念慮者7名の大半が、支援機関を紹介されなかったのに加えて、福祉窓口で適切な相談窓口を紹介してもらえなかったと回答した。更にこの内の4名が、未遂及び念慮要因の一つに「医療関係者又は福祉窓口の支援なし」をあげていた。当事者が求める情報をさらに分析し、適切な情報提供を受けられる体制を整えることで、障害告知後の当事者にとっての有効な支援につながると考えられる。本結果がリハ中核施設を擁する地域であることを考慮すると、他の地域でも広く調査が望まれる。

戻る