文字サイズ: 特大
文字と背景色: 白黒 白黒反転 黄色黒 黄色青 白青 青黒 緑黒
ポスター発表
P-R-30
七沢更生ライトホームにおける歩行訓練の効果(2)
~歩行訓練の到達度と視野狭窄~

○内野大介、末田靖則、矢部健三、渡辺文治
神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢更生ライトホーム

【目的】
内野ら(2015)は、七沢更生ライトホーム(以下、LH)の利用者に実施した歩行訓練の効果を歩行訓練の到達度(以下、到達度)として数値化し、年齢や視力等で比較して報告した。
本報告では、前回の調査結果を再分析し、視野狭窄と到達度の関連について明らかにしたい。

【方法】
過去20年間の入所利用者を対象に、視力、視野、到達度等について、各利用者のケースファイル等を調査した。到達度を示すため、訓練エリアと難易度をもとに以下の8つのstageに区分した。到達度は各stageの訓練エリアで単独歩行が可能であることを表す。
stage1:LH生活エリア stage2:LH訓練室エリア stage3:併設の病院エリア stage4:LH周辺エリア stage5:住宅街エリア stage6:繁華街エリア stage7:バス利用 stage8:電車利用

【結果】
20年間の利用者総数297名のうち、訓練対象者は292名であった。医学的意見書を参照して、視野状況を視野狭窄の有無に分類した。視野狭窄有り132名(45.2%)、視野狭窄無し148名(50.7%)、不明等12名(4.1%)であった。視力別に視野狭窄の有無で到達度の平均を比較した結果、大きな差は見られなかった。また視野狭窄の有無に関わらず、到達度の低い利用者には、重複障害の有ることが多かった。

【考察】
視野狭窄の有る場合、単独歩行は可能だが多くの困難を抱えていることが多い。訓練を受け白杖操作に慣れ、必要な視覚情報が活用できるようになったため、到達度が上がったと考えられる。

【結論】
到達度を指標とした前回の調査では、視力は到達度に関連していた。しかし、今回視野狭窄の有無による調査では、はっきりした関連は数値では出なかった。
今後も到達度に関連を及ぼす要因を分析し、歩行訓練の専門性を高めていきたい。

戻る