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ポスター発表
P-R-38
エッジ検出と歩行の関係

○天本拓朗、川嶋英嗣
愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻

【目的】
ロービジョン者の歩行時には境界部(エッジ)の検出に困難を有している。先行研究ではピークコントラスト感度と歩行能力の高い相関を報告しており、エッジ検出と歩行の関連を示唆している。本研究ではiPad上で手軽にエッジコントラスト閾を測定できるアプリを自作し、エッジコントラスト閾と歩行時の問題のうち特に危険な階段下降との関係について検討する。

【方法】
被験者は眼疾患のない平均年齢21歳の15名。バンガーターフィルタを用いた5段階のフィルタ条件に各段階3名を割り当てた。コントラスト閾測定では、視角5.7°の円を半分に分け輝度を変化させたエッジ刺激(コントラスト1%~99%の19段階)をiPad2上に呈示し、エッジ方向(垂直or水平)をスワイプで反応させ、極限法下降系列の手続きでコントラスト閾を求めた。歩行測定では、段鼻と下段踏面のコントラスト8%の階段を用い、階段の1m前からスタートして最後の段を下りきり両足がつくまでを歩行時間(秒)として測定した。フィルタ非装用下での各被験者の歩行時間を基準速度とし、フィルタ装用下の歩行時間を歩行速度の変化率(PPWS)に換算し分析に用いた。

【結果】
全被験者のコントラスト閾は11%~45%、PPWSは96%~29%の範囲で変化し、コントラスト閾とPPWSの間には有意に相関が認められた。コントラスト閾が高くなるほどPPWSは低下することがわかった。

【考察】
全被験者中PPWSが最高の者でも96%であった理由はコントラスト閾が11%であり、8%コントラストの階段が見づらかったためであり、その他の被験者ではこれ以上にコントラスト閾は高くなるためPPWSはさらに低下する結果となったと考える。このことはアプリで測定されたコントラスト閾は階段のエッジ検出と対応しており、階段下降能力の予測に有用であることを示している。

【結論】
本研究で開発したアプリは階段下降能力の予測に有用である。

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