ポスター発表
P-R-27
駅プラットホームからの転落事例
-視覚あるいは触覚標示に対する誤解-
○大倉元宏(1)、高部友樹(1)、山﨑陽一(1)、豊田航(1)、田中雅之(2)、竹下亘(3)、堀内恭子(3)、清水美知子(4)、田内雅規(5)、村上琢磨(6)
(1)成蹊大学、(2)名古屋市総合リハビリテーションセンター、(3)日本ライトハウス、(4)モビリティ研究会、(5)岡山県立大学、(6)NPO法人しろがめ
【目的】
ロービジョンと全盲の駅プラットホームからの転落事例について報告する。未然防止に役立てるのが目的である。
【方法】
調査票に基づき当事者に転落の概要を聴取するとともに、当該駅に同行してもらい、歩行軌跡等を実地検分した。
【結果】
事例1:転落者は51歳のロービジョンの女性で、転落は阪神梅田駅で発生した。転落者はコントラストが高ければ大きな文字は読める程度の保有視覚を有していた。当該駅はターミナル駅でホームの形状は櫛形であった。不案内な駅であったが、利用する特急電車は1番線から発車することはあらかじめ知っていた。改札を入って1番線のある右の方に向かっていると点字ブロックを検知し、さらに天井から吊り下がっている「2」という標示が確認できた。しかし、1番線を示すであろう「1」という標示は見つけられなかった。「2」の裏面に「1」があるのではないか想定し、裏側に回り込んで見上げたが何もみえなかった。そこで見える範囲を拡げるためにそのままの体勢で後ずさりしたところ転落した。後ずさりしていたので、白杖による路面の探索は行っておらず、ホーム縁端の点字ブロックにも気づかなかった。
事例2:転落者は22歳の全盲の男性で、転落が発生したのは桜通線今池駅であった。通学に利用している駅で、いつもの時間にホームに到着した。人の流れに乗りながら中央部の階段に誘導している線状点字ブロックを探していたところ、それが左側にみつかったので、階段に向かうブロックと判断した。それに沿って進むと点状の警告ブロックが出てきたため、階段手前のブロックだと思い、左足を出したところ、そのまま左足から転落した。それは実際にはホーム縁端の警告ブロックであった。
【考察】
2つの事例とも白杖でドロップポイントを検知しなかったことが直接的原因であるが、視覚や触覚標示に対する誤解も転落の一因と考えられる。
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