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ポスター発表
P-R-11
東日本大震災時の視覚障害者の避難行動

○内田まり子(1)、原田敦史(2)、加藤俊和(2)、笹山夕美絵(3)、菅原美保(3)、堀江智子(3)、畑野容子(4)、安山周平(4)
(1)神奈川県ライトセンター、(2)元日本盲人福祉委員会東日本大震災視覚障害者支援対策本部、(3)公益財団法人日本盲導犬協会、(4)堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター

【はじめに】
東日本大震災から5年、災害発生後の支援体制づくりは進んでいるが、災害発生直後(概ね3日間)における障害者ヘの対応は地域内での支援が重要となる。今回、東日本大震災発生直後の視覚障害者の避難行動と状況についてまとめたので報告する。

【方法】
電話による聞き取りを実施した。電話が通じなかった者は自宅および避難所を訪問した際に直接聞き取った。実施期間は震災発生の数日後から約1ヶ月間。日本盲人福祉委員会現地支援対策本部の立ち上げに合わせて、宮城県在住の視覚障害者で、訓練・相談、図書館等の福祉サービスを利用していた者を対象とした。
聞き取り内容は1.震災発生時にいた場所、2.避難所利用の有無、3.医療情報の必要性等。震災直後ということもあり、対象者の負担とならないようできるだけ簡素な内容とし、安否確認、支援物資の希望を聞く際に併せて行った。

【結果】
190名から回答を得た。震災発生時120名(63%)が自宅におり、70名が仕事や買い物等で外出中であった。震災後、避難所に行った人は45名(24%)、知人・親戚宅・職場等に避難した者は21名で、合計35%が自宅以外へ避難をしていた。なお52名は避難の必要がなかった、4名は避難所に行きたくなかったと回答した。68名は未回答。
避難所に行った時期については、45名のうち30名(68%)が震災発生当日、1名が翌日、1名が3日後に行ったと回答。避難所に滞在した日数は聞いていない。

【考察】
対策本部は4月から現地活動を開始し、宮城県内のすべての避難所を訪問したが、視覚障害者と会うことは多くはなかった。聞き取りでは避難所の滞在日数を尋ねてはいないが、対策本部が訪問支援の開始前、震災発生から数日間で避難所から自宅等へ戻ったケースが多かったためと考えられる。
大災害であっても長期間避難するよりも、短期間避難するケースが多いと思われ、専門家がいなくても支援が受けられるような体制作りが必要である。

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