ポスター活動
P-A-20
視覚障害理学療法士を対象とした実態調査実施の検討
-卒前教育の向上を目指して-
○薄葉眞理子(1)、中川義嗣(2)、飯塚潤一(3)
(1)筑波技術大学保健科学部保健学科理学療法学専攻、(2)水戸協同病院、(3)筑波技術大学
【背景と目的】
高齢社会では、医療・介護領域における理学療法士の活躍が求められている。特に、視覚障害を有する理学療法士の活躍は、障害の壁を超え健常者と共に就労できる職域を広げるにとどまらず、共感的立場で患者に関われる質の高い理学療法士の育成に重要と思われる。そこで、本活動は、視覚障害を有する現職理学療法士に対し、書面等による実態調査を行い、障害補償の現状と就労環境の課題及び、就業前に協調的な学習を要する事項等を明らかにし、より良い卒前教育の実現に示唆を与えることを目的に実施する。
【方法】
調査の対象は、視覚障害を有する理学療法士を養成している筑波技術大学(短期大学含む)を卒業し、現在理学療法士として勤務している者とする。質問紙は、実務年数等の基本項目や雇用の待遇、行動範囲に基づく就労前後の視覚障害程度を問う18項目と、職場における視覚障害補償の現状及び困難に対する工夫についての9項目、更に、就労経験に基づく卒前教育の提案を問う3項目の計30設問により構成した。
【結果と考察】
実務経験年数の増加に伴い、職場の適応や困難に対する工夫により、視覚障害補償の満足度が高まった。しかしながら、勤務形態など待遇面における障害支援は、社会情勢や運営面の影響により、実務年数に関係なく明らかな差を示さなかった。視覚障害補償に関する卒前教育については、良好なコミュニケーションスキルや起業論や推論的な臨床思考の指導が要望された。本調査により得られる示唆は、理学療法士を目指す視覚障害学生の就労に際して有益な知見を与えるものと思われる。
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