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ポスター発表
P-R-15
拡大鏡と目の距離における収差について

○山中幸宏、小野充、相沢学
株式会社朝倉メガネ

【目的】
拡大鏡は、収差が少なく見える「目と拡大鏡の距離のレンジ」が、メーカーや倍率によって異なる。拡大鏡の選定・使用方法の指導にあたっては、収差が少なく見える距離を認知していることが大切と考える。そこで、アサクラメガネで販売数の多いエッシェンバッハ・シュバイツアー・コイル3社の拡大鏡に付、収差の少ないレンジを調べたので報告する。

【方法】
3社の拡大鏡を表面が検者の眼の方にするようにしてその焦点距離に固定し、上部から覗き込む形でアムスラーチャートを確認し、アムスラーの周辺部が歪まなくなるレンジの距離を、拡大鏡から目を離したときと、離れたところから拡大鏡に近づけたときの2方向各10回ずつ行い測定した。
測定する拡大鏡のディオプターは、10D~40Dまでの7種類とした。なお、検者眼はー1.25Dの近視を完全矯正して測定した。

【結果】
調査に使用した一番弱度の10Dの拡大鏡では、各社の収差が少ないレンジは、エッシェンバッハ社約11~20cm、シュバイツアー社は0cm、コイル社は0~26cmであった。逆に調査した拡大鏡のうち一番強い40Dのレンジは、各社ともに0~約7cmであった。各社ともに共通して言えるのは、ディオプター(倍率)が強くなるにしたがい、収差が少ないレンジは狭くなりかつ目に近づけた方が良いという結果であった。COIL社の拡大鏡は他の2つのメーカーと比べて、どの度数でも目に比較的近づけた方が収差は少ない結果となった。

【考察】
使用方法の指導をしないで拡大鏡を使用させた場合、まず見たい物を手に持ち、そこに拡大鏡の焦点を合わせるため、多くのケースで目と拡大鏡の距離が30cm程度離れる。比較的弱度の10Dであっても、30cmでは歪んで見えるため使いづらい拡大鏡となってしまう。拡大鏡の選定にあたっては、収差が少ない目と拡大鏡の距離などに関する情報を認知し、正しい使用方法の説明をすることが大切と考える。

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