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ポスター発表
P-R-2
山梨県におけるロービジョンケア:山梨モデルの創生を目指して

○金山佐保(1)、田辺直彦(2)、田辺譲二(3)
(1)社会福祉法人山梨ライトハウス、(2)田辺眼科、(3)たなべ眼科

【目的】
山梨県眼科医会の59施設には約80名の眼科医が所属している。そのうちロービジョン外来は甲府共立診療所1ヶ所で10年前より行われていたが、4年前より田辺医師がロービジョンケアを開始した。田辺眼科の取り組みを中心に山梨県におけるロービジョンケアについて報告する。

【経過】
田辺直彦医師はかつて山梨県立中央病院(以下「県中」)に勤務していた際、ある患者より就労相談を受けたことをきっかけにロービジョンケアに取り組み始める。2012年7月に田辺眼科へ異動し開業医となった傍ら、隔週水・木曜の午前中に山梨大学医学部附属病院眼科(以下「医大」)の網膜外来の診療助手を務め、ロービジョン学会にも参加し、2013年5月に視覚障害者用補装具適合判定医師研修会に参加する。これにより田辺眼科は山梨県内で唯一(2016年1月現在)ロービジョン検査判断料が算定可能となった。田辺医師がロービジョンケアに取り組むきっかけとなった患者は、NPO法人タートルによる情報提供や地元民間企業での研修実施などの協力を得て、相談開始から半年間で再就職に至る。「何も治療をしていないが患者の希望が叶った」この事例から、たとえ治療が難しくても医者にはまだできることがあるのではないかと感じたり、医師の診断書の重要性や障害者手帳などの制度に関しても勉強する必要があると強く感じたという。

【考察】
山梨県は交通インフラが弱いがコンパクトにまとまっている。大きな眼科としては県中と医大の2つがあり、どちらも交通面で比較的通院しやすく、ほとんどの患者がどちらかに通院経験がある。両方の病院で月に1回ロービジョン外来を行えば、ほぼ漏れのない取り組みができると予想される。治らない疾患であっても患者がまず来るのは眼科医のところであり、視覚リハビリテーションの専門職同士の連携を基にしたワンストップの相談システム作りが必要である。その他の課題としては就労相談の充実などが挙げられる。

【結論】
山梨の良さを生かしたロービジョンケアにより山梨モデルの創生を目指していく。

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