ポスター活動
P-A-13
米国視覚障害児教育プログラムを経験して
-米国留学を通して-
○野呂美遥(1)、野呂林太郎(2)、Susan Kramek(3)、Gina J Schmidt(3)、羅錦營(4)
(1)都立葛飾盲学校、(2)日本医科大学、(3)Montgomery public school、(4)羅眼科
【体験報告】
11歳の視覚障害児が二年三ヶ月の、米国視覚障害児教育プログラムを経験したので報告する。アメリカの障害者教育の支援は、1990年に施行されたADA法(障害を理由にしたあらゆる差別を禁止する)が根底にある。特に視覚障害者支援は非常に進んでいて、初等、中等および高等教育は州ごとにシステムの相違はあるものの、countyに一つずつ機関が設けられている。その役割のほとんどが自立支援および学習支援がほとんどである。そして我々はメリーランド州のMontgomery county Vision programによる支援を受けた。
長女は渡米後、Montgomery public schoolの教育委員会で、基礎的な英語力のテスト(ESOLの能力別クラス分け)に加えMontgomery county Vision programのスタッフの面談を受け、どのような援助や教育が必要なのかを相談した。
そして学期ごとに自立行動面および学習面において目標を掲示したプログラムが組まれた。学習面ではtechnology specialists、paraeducators、a Braillist、また自立行動面ではOrientation and Mobility Instructors、またプログラムの進行の評価のために Program Support teacherに係わって頂けた。現地校である5、6、7年生(日本での小学校5、6年生、中学1年生相当)のクラスでは健常者と学習を共にし、コミュニケーションを取ることができた。クラス担任のほかにbraillistがパーキンス、私物のブレイルセンスおよび点訳ソフト搭載のコンピュータを用いて授業が進行した。自立行動面では、白杖歩行、家庭訪問での日常生活の指導を行って頂いた。学期ごとに会議が開かれ、プログラムの達成度を評価し、次学期のプログラムが作られた。また多数のボランティアの協力のもと定期的な校外学習に家族で参加できた。
この二年の経験、様々な方々との出会いや係わりは、本人にとって非常に大きな自信となった。日本での視覚障害児は、その視力の程度にもよるが、盲学校や視覚特別支援学校でしか専門教育を受けることができない。健常人と係わりを持つことができる公立学校でも同様な教育を受けるシステムを作って頂きたいと願っている。
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