ポスター発表
P-R-24
白杖の長さ、振り幅、歩幅による死角部分の面積の変化
○田邉正明
日本ライトハウス養成部
【目的】
視覚障害者の白杖は左右に振って障害物を探知するために、障害物に白杖が当たらない死角に当たる部分が生じる。白杖の長さ、振り幅、歩幅によって死角に当たる部分の面積がどのように変化するのかを、白杖の石突の軌跡の方程式を利用してシミュレーションすることにより調査する。
【方法】
視覚障害者の白杖は体の正中線に回旋中心を置き、障害物の探知を行うために左右に振子のように振って歩き(スライド法(constant contact cane technique)やタッチテクニック(two-point-touch cane technique))、その軌跡は振子の単振動の軌跡と同様であるが、振子の単振動がcosカーブで表せられるのに対し、白杖の石突の軌跡は地面への射影が描く円弧のsag(⊿x)の長さだけcosカーブより進行方向へ移動する。白杖の長さをRとしたときの地面への射影をr、振り幅をy、振り幅の最大値/2をA、距離をx、2歩幅をλ、2歩幅の周期をT、振り始めの位置を変えるために左端から振ったと仮定したときの経過時間をtとした白杖の石突の軌跡を波動方程式で表しグラフ化することにより死角に当たる部分の面積を求め、白杖の長さ、振り幅、歩幅と死角の面積を比較した。
【結果】
杖の長さと振り幅を一定にした場合、死角部分の面積は歩幅に対して正の相関があった。振り幅と歩幅を一定にした場合、死角部分の面積は杖の長さに対して負の相関があった。白杖の長さと歩幅を一定にした場合、死角部分の面積は振り幅に正の相関があった。
【考察】
白杖を振った範囲内で障害物を探知できない場所を比較した場合、探知できない面積を少なくするには、歩幅を小さくするか、振り幅を狭くするか、白杖の長さを長くすればよいことが分かった。ただし、振り幅を狭くすると左右の大雑把な障害物探知はできなくなってしまうことは否めない。
戻る