口頭発表Ⅱ
O-2-1
突起の小さな屋内用点字ブロックの開発
○桑波田謙
株式会社クワハタデザインオフィス
【目的】
視覚障害者誘導用ブロック(以下点字ブロック)は、屋外の多様な路面状況でも足裏で検知できるように、突起高さが5㎜となっている。この突起高さが、高齢者の躓きやベビーカー・車いす利用者らに負担を与える為、屋内で規定以外の場所に設置されることは少なく、屋内は視覚障害者の移動が困難な状況が続いている。そこで、他の利用者の影響が少ないと考えられる低突起型の点字ブロックを開発した。
【方法】
突起高さや形状、配列の異なる警告ブロック12種と誘導ブロック18種を作成し、視覚障害者10名以上に白杖による検知実験を実施した。方法は、静止状態での検知実験1、歩行状態での検知実験2、警告ブロックと誘導ブロックの識別実験とした。更に突起形状の影響を確認するため、高齢者・片麻痺患者による歩行実験と、車いす・ベビーカーによる移動実験を実施した。
【結果】
検知実験1及び2より、警告ブロックは千鳥格子配列、誘導ブロックは突起本数が2本の組み合わせが最も分かりやすかった。また、突起高さは高い方が分かりやすいが、歩行実験や移動実験から、突起高さは低いほうが他者への影響が少ないことが確認された。
【考察】
突起の形状や配列方法を工夫することで、突起高さがわずか1㎜であっても、検知率は100%となることが確認された。低突起でも分かりやすくするためには、床面が平滑である必要がある。
屋外は困難だが、比較的床面環境が平滑な屋内では、低突起型の点字ブロックは有用だと考えられる。
【結論】
本実験により、1㎜、2㎜という小さな突起形状で視覚障害者を誘導できることが確認された。この突起は、視覚障害者以外の利用者の移動に影響が少ないことから、屋内空間をよりユニバーサルに活用するうえで有効であろう。特に、これまでよりも視覚障害者を誘導できる範囲が格段に広がり、視覚障害者のQOLを大きく高めるだろう。
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