ポスター発表
P-R-4
視覚障害者の医療・健康情報入手についての質問紙調査の報告
○原田敦史(1)、八巻知香子(2)
(1)堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター、(2)国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
【目的】
欧米諸国においては、障害のある人が障害のない人に比べて健康状態が悪いこと、健康サービスの利用が阻害されていることについて、実態の把握と改善に向けた検討が行われている。しかし、日本においては実態の把握は遅れている。本研究では、視覚障害者に質問紙調査を行なうことで、障害者の健康情報の入手と健康サービス利用の一端を明らかにし、調査結果から関係機関や医療機関が取り組むべき課題を明らかにすることを目的とする。
【方法】
堺市在住の視覚障害者のうち、視覚・聴覚障害者センターの利用登録者および堺市視覚障害者福祉協会の会員のうち重複して登録している人を除く計311名を対象とし、質問紙調査を実施した。質問紙は拡大文字・デイジー・点字の3種類を用意し、回答は墨字・点字・電話での中から選択し回答を得た。
【結果】
分析対象者は150名(回収率48.2%)であった。回答者は、健康診断・人間ドックの受診率、がん検診の受診率においては一般住民と大きな差は見られなかった。しかし、健康診断・人間ドックや、がん検診の未受診の理由に「ガイドヘルパーや付き添いの手配が大変だから」「医療者が障害に対して適切な対応をしてくれないと思うから」「医療機関が障害に対応してくれないと思うから」と答えた人が回答者の約1割に達した。
【考察】
回答者が、郵送調査に回答できた集団であることを考慮する必要がある。そうして結果をみると、家族の支援やスキルを駆使できる人であっても、障害特有と思われる阻害理由をあげる人が1割に達することは、支援・サービスを利用しにくい状態である障害者にとって、情報の入手がより困難であると考えられる。また、紙媒体以外に医療情報を得られる手段が限られていることを考えると、代替手段による提供についても関係機関が積極的に担っていく必要性が考えられた。
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