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ポスター活動
P-A-33
視覚障害者にブラインドメイクを指導した実践報告

○若槻裕子
日本ケアメイク協会

【はじめに】
視覚障害者の女性は「お化粧をしたい」という思いはあるが、目が見えない・見えにくいことから「お化粧はできないもの」と諦念感や否定感を持っている傾向が強い。
発表者は、2015年2月より「ブラインドメイク・プログラム」考案者の大石華法の指導のもと、視覚障害者に「ブラインドメイク・プログラム」に沿った化粧指導をした1年間の実践報告を行う。

【方法】
対象者は、中途失明の女性3名(30代、40代、70代)である。化粧品は市販の化粧品を対象者と共に選定した。「ブラインドメイク・プログラム」を用いて、1回2時間から3時間のレッスンを約10回(合計約20時間から30時間)マンツーマンの化粧指導を行った。(実施期間:2015年2月から2016年1月)

【結果】
「ブラインドメイク・プログラム」に沿った化粧指導により、対象者3人全員が化粧をすることができた。化粧できるまでにかかる指導時間は、これまでの化粧経験の有無、習得力の差異はあったが、3人全員がプログラム修了後には、自分自身で鏡を使用せずに20分以内で化粧ができた。

【考察】
「ブラインドメイク・プログラム」は、視覚障害者が自分自身で化粧できるプログラムであることが確認できた。また、対象者は自分自身で施した化粧を視覚認知することは困難であるが、化粧後には、自信を取り戻し、洋服や髪型、歩き方までをも気を使うようになり、自主性、積極性、社交性などが見られた。このことから、ブラインドメイクは視覚障害者に重要なロービジョンケアの役割を担っていることが確認できた。
対象者に化粧によりエンパワーメントを促せたことで、指導者側にもエンパワーメントに繋がることが確認できた。これらからは、ブラインドメイクの指導者と対象者の相互にエンパワーメント効果があるプログラムであることが考察できた。

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