ポスター発表
P-R-6
視覚障害者の就労移行支援に関する活動報告
○石川充英、山崎智章、小原美沙子、宮之原滋、稲垣吉彦、長岡雄一
東京都視覚障害者生活支援センター
【はじめに】
当センターにおいて、あん摩マッサージ指圧師の資格を有し、ヘルスキーパー等への就労を希望して就労移行支援を利用した視覚障害者に対して実施したプログラム内容の評価について活動報告をする。
【方法】
対象者:2010年4月から2015年12月までに当センターの就労移行支援を利用し、ヘルスキーパー等で就労した視覚障害者
分析方法:カルテや予約の管理などに必要なパソコン操作(以下、PC)、マッサージ技術の維持向上のための臨床実習(以下、実習)の2評価項目について、対象者から寄せられた意見より、内容分析を行った。
倫理的配慮:個人情報保護の視点を十分留意し、倫理的配慮を実施した。
【結果・考察】
対象者の総数は22名で、就労先はヘルスキーパー12名、高齢者施設のマッサージ師・機能訓練指導員8名、その他2名であった。利用開始時平均年齢は40.1歳、マッサージ業務への就労経験は未経験者10名、経験者12名、就労までの平均利用期間は約10.5ヶ月であった。
PCは、エクセル、ブラウザ等の習得は全員が役立ったと回答があった。一方、グループウェア導入企業に就労した対象者全員から、就労後の短期間での操作習得に苦労したと回答があった。このことから、実践に近いPC項目の再検討の必要性とフォローアップの重要性が示唆される。
実習は、未経験者全員が技術向上と自信に繋がり、経験者全員も定期的な施術で維持向上に繋がったとの回答があった。また、継続した実習は面接試験時のアピールに繋がったとの回答もあった。一方、未経験者は就労後の施術で苦労した経験があったと回答があった。このことは、就労現場の現状を踏まえた実習の設定やフォローアップの重要性が示唆される。
【結論】
就労移行支援プログラムのPC、実習の評価をした結果、プログラム内容は有用であると考える。今後は就労後の現状を踏まえたプログラムの精度をさらに高めていく必要がある。
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