第30回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 抄録集 会期:2022年7月15日(金)〜17日(日) 会場:名古屋国際会議場 主催:視覚障害リハビリテーション協会 主管:第30回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会 目次 0 大会テーマ 1 大会長挨拶 2 会場アクセス 3 参加者へのご案内 4 抄録作成支援について 5 発表者へのご案内(ボイスサインカードについて) 6 大会日程表 7 大会プログラム 8 SDGs企画@:視覚リハ協会30年の歩みと未来 9 SDGs企画A:医療・福祉・教育・児童分野における30年間のマイルストーン 10 SDGs企画B:視覚リハ自分ごとプロジェクト 11 分科会企画 (1) 情報アクセス分科会 (2) O&M分科会 (3) ロービジョン分科会 (4) 高齢視覚リハ分科会 (5) 余暇支援分科会 12 口頭発表 13 ポスター発表 14 機器展示 15 論文募集要綱 16 後援・共催・協力 17 第31回大会案内 18 実行委員一覧 19 広告 0 <大会テーマ> 未来を語ろう!〜誰一人取り残さない!視覚リハのSDGs〜 1 大会長挨拶 第30回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 大会長  和田 浩一 視覚障害リハビリテーション協会は、1992年に設立し、30年余り医療・福祉・教育・労働等の視覚障害リハビリテーションに関わる多職種の専門家が活動し、研究や実践を積み重ねてきました。本研究大会は、これまでの30年の歴史を踏まえ、未来の視覚リハのあり方を考える節目の大会と位置づけて、理事が運営する形式で開催することとしました。地球規模で人類の課題解決を目指す国連の持続可能な開発目標であるSDGsをテーマに取り上げ、「誰一人取り残さない視覚リハ」を目指して、未来の視覚リハにつなげる大会にしたいと思っています。  新型コロナウイルスのオミクロン株による感染拡大で現地開催の見通しがつかない中で準備を進めてまいりました。開催形式も現地開催を願いつつ、発表者には、オンデマンド配信用に動画の提出もお願いすることとなり、ご負担をおかけしました。皆様のご協力で、実りある研究大会が開催できますことに心より感謝申し上げます。おかげさまで3年ぶりに名古屋市での現地開催ができますことに喜びを感じております。  これまで30年にわたり視覚障害リハビリテーションに関わる多職種の専門家が連携し、研究や実践を積み重ねてきました。これらの素晴らしい成果が視覚障害者のQOLの向上に寄与しています。また、医療から視覚リハにつなぐスマートサイトも全国に広がり、各地域における多職種間のネットワークも充実してきました。しかしながら、視覚リハに関わる人員の数、サービスの内容や連携の仕組みは地域によって大きく差があります。地域格差を無くし、全国どこでも質の高い視覚リハサービスが受けられるようにする必要を感じています。また、社会における視覚障害リハビリテーションの認知度はまだまだ低く、知られていないのが現状です。そのため、見え方で困難があっても視覚リハにつながらず、何もできないままの状態の方々も多くいらっしゃいます。必要な情報が確実に届くようにし、誰一人取り残さない視覚リハが実現できるように取り組まなければなりません。  特に、デジタル変革、地球規模の環境問題、超高齢社会の問題に対応しなければなりません。新しく経験した新型コロナウイルスによるパンデミック、地球温暖化による異常気象での豪雨や台風の災害、南海トラフ地震対策など、非常変災時における命や生活を守り、全ての人が平和で安全・安心に生活できる社会の実現のために専門家として視覚リハのSDGsに取り組みます。これまでの30年の歩みを振り返りつつ、視覚リハの未来をじっくりと語り合うことで未来につなぎたいと考えています。 〔写真〕〔大会長 和田氏です。写真終わり〕 2 会場アクセス] 1.空港や主要駅から地下鉄駅へ (1)中部国際空港セントレアから名鉄線で「金山」駅へ(830円)。 (2)名古屋空港から空港バスで「栄」駅へ(600円) (3)「名古屋」駅から「金山」駅へ、名鉄線(190円)・JR東海道線(170円)・JR中央線(170円)。 (4)「名古屋」駅から地下鉄東山線、「栄」駅、地下鉄乗り換え。 2.地下鉄「金山」駅、「栄」駅から、会場最寄り駅へ 次の2系統があり、どちらでも会場に行けます。 *名城線(めいじょうせん)の左回り(新瑞橋駅 あらたまばしえき 方面行き)で「西高蔵」駅(にしたかくらえき)下車、2番出口から西方向へ、旗屋橋を渡り、南へ、徒歩5分です。 *名港線(めいこうせん)の名古屋港行きで「日比野」駅下車、1番出口から東方向へ、信号を南へ、そして東へ、徒歩5分です。 *地下鉄の料金は、どちらの駅へも、「名古屋」駅から240円、「栄」駅から240円、「金山」駅から210円です。 3.会場の概要 会場の玄関は北側(2階)にあります。 その南に1号館、その南の中央に騎馬像があり、さらにその南には、時計回りに、2号館(東側)、3号館(南側)、4号館(西側)が連なって、騎馬像に戻ります。 3 参加者へのご案内 3−1. 感染症対策  新型コロナウイルスをはじめとする感染症の予防および拡散防止のため、大会の実施に際して下記の対応を行います。 (1)視覚障害リハビリテーション協会の対応 @「名古屋国際会議場における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」及び国が示す「催物の開催制限」を順守した運営を行います。 A運営スタッフは日常における体調管理に努め、うがい、手洗い、マスクの着用等の感染予防を励行します。 B会場は、定員数を減らし、座席の間隔をあけます。また、発表者と参加者の間は十分に距離を取った会場設営を行います。 C会場内や各会場入り口に消毒設備を設置します。机、椅子、ドアノブ等の会場内機材は定期的に消毒を実施します。 D感染者による施設の利用が明らかになった場合は、速やかに保健センター、施設管理者等に連絡をとり感染追跡調査等の実施に協力します。 E大会期間中、全体での懇親会を中止します。 (2)大会参加者へのお願い @厚生労働省新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)による、感染者発生時の追跡対策。厚生労働省のHPをご確認いただき、各自ダウンロードいただけますようご協力お願いいたします。 〔ホームページアドレス:〕 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html) A研修当日の体調をご確認の上、お越しいただきますようお願いいたします。以下[いか→以下に変更しました。]に該当する方は、来場をお控えくださるようお願いします。 A) 37.5 度以上の発熱がある人 B) 咳・咽頭痛等の症状が認められる人 C) 過去14日以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域等への渡航並びに当該国・地域の在住者と濃厚接触がある人 D) 過去2週間以内に発熱や感冒症状で受診や服薬等をした人及び過去2週間以内に同様の症状にある人との接触歴がある人 E) その他、感染の疑いの不安がある人 B研修会参加時には、うがい、手洗い、マスク着用、ソーシャルディスタンスの確保など、ご自身での感染予防にお勤めください。イベント前後や休憩時間においても三密(密集、密接、密閉)の環境を避けるほか、食事等での感染防止を徹底してください。 C大会中に体調の変化を感じられた場合は、無理をなさらずに早めにお申し出ください。 D期間中、毎日会場入り口で、消毒液で手指消毒及び、非接触による体温測定を実施します。体温が37.5度以上の場合は原則大会への参加をお断りさせていただきます。 E参加者に感染が疑われる症状が出た場合の対応のために、受付時のお名前と連絡先電話番号の収集にご協力ください。 F個人情報については感染者発生時の連絡に使用し、名古屋市、保健所、帰国者・接触者相談センターへ提供します。 G大会参加後にご参加者様及びご家族(当日のご見学者・同居者様含む)に新型コロナウイルス感染が発覚した場合は速やかに事務局に報告してください。保健センター等の感染追跡調査等の実施に協力をお願いします。(濃厚接触者となった場合も同様) 3−2. 受付時間と場所 ・7月15日(金) 13時から17時  4号館3階 会議室431・432付近 ・7月16日(土) 9時から16時  白鳥ホール前 ・7月17日(日) 8時30分から13時(ホール開場は9時より) ※受付時に、会場前で検温と連絡先等の確認を実施します。開館時間は混雑が予想されますので、受付に時間がかかることが予想されます。 ※密を避けるため、連絡先確認用紙(事前配布、HPダウンロード可能)をあらかじめご記入いただき、早めの来場のご協力をお願いします。 3−3. 大会参加費 (1)当日参加登録料 視覚障害リハビリテーション協会 会員 6,000円 非会員 8,000円 学生 2,000円 (2)当日登録をされる学生の方は、受付の際に学生証をご提示ください。 ※日本ライトハウスが実施する「視覚障害生活訓練等指導者養成課程」を受講中の方は学生証の代わりに「養成課程在籍証明書」をご提示ください。 (3)視覚障害などがある参加者の介助者として同行する方の参加費は無料です。大会期間中に会場の総合受付で配布する「介助者」の名札をご着用ください。 4 抄録集 抄録集(PDF、テキスト形式、音声データ、点字データ)は、ダウンロードデータを大会ホームページに事前に掲載します。冊子版の抄録集の配布は行いません。必要な方はご自分でプリントアウトしてください。 5 会場内での撮影・録画・録音について (1)会場内では、視覚障害の見え方を補償する拡大等の目的の利用以外の撮影・録画・録音を禁止します。 (2)大会事務局スタッフは、大会報告書作成用に撮影をおこなう場合がありますので、あらかじめご了承ください。 6 生涯学習事業 (1)日本眼科学会専門医制度生涯教育事業(認定番号28231)に認定されています。以下のプログラム参加について1単位ずつ取得できます。 7月16日(土) シンポジウム、ロービジョン分科会企画 7月17日(日) 視覚リハ自分ごとプロジェクト 専門医制度登録カードをご持参の上、受付にお越しください。 (2)日本視能訓練士協会生涯教育制度に認定されています。 大会参加により3単位の取得が可能です。ネームカードについている参加証明書と領収書を日本視能訓練士協会事務局へご送付ください。 7 視覚障害者向け生活用具・機器展示会 大会参加登録の有無にかかわらず、どなたでも無料で入場できます。 (1)日時 7月16日(土) 10時から17時 7月17日(日) 10時から15時 2)会場 名古屋国際会議場 4号館3階431・432会議室 ※詳細については、「視覚障害者向け生活用具・機器展示会(現地開催)」のぺージをご参照ください。 8 食事について ・プログラムの都合上、昼食時間が1時間15分しかありません。 ・会場周辺には徒歩5分程度にコンビエンスストアがあります。会場内含め、近隣に飲食店はなく、最寄り駅「日比野駅」「西高蔵駅」の周辺には、お弁当が購入できるお店がありません。また、当日は同会場で他イベント開催もあり、混雑が予想されます。事前にご用意して持参することをお勧めいたします。 ・会場内で食事が出来るスペースは白鳥ホール内または中庭となります。 ・周囲の人との距離をとり、黙食にご協力ください。 ・ゴミはすべてお持ち帰りいただくようお願いいたします。 9 懇親会 感染防止の観点から、大会期間中の懇親会の開催を見送ることとなりました。以下の内容でオンラインにて開催する予定です。 ・日時:令和4年8月5日(金) 20時〜22時 ・開催方法:ZOOMによるオンライン開催 ・参加申込:大会申込者のみへZOOM URLを告知しますので、懇親会申し込みは不要です。 ・内容:前半は全体会で、後半はブレイクアウトルームに分かれる予定です。30回記念大会らしく、会長はじめ理事の皆さんと楽しく過ごす懇親会を企画しています。奮ってご参加ください。 4 抄録作成支援について  本大会でも、抄録の形式や書き方について支援をしあう事業を取り入れました。  発表の内容が他者から見て分かりやすいものになれば、貴重な個人の経験が、より多くの視覚リハに携わる人々の知識として広く長く共有され、より有用な知的財産として蓄積されていくはずです。この事業は発表する会員の相互支援と学習の機会というだけでなく、そのような未来への投資という視点も含めて10年ほど前、 第21回大会に始められました。  方法は年によって、また内容によっても違うことがあります。選抜された少人数が支援のコメントをつける場合と、ピアレビューといって発表者同士が意見を伝え合う場合があります。ピアレビューの良さは、発表者相互のフラットなコミュニケーションを基本にした高めあいで、当協会が理想とするコミュニケーションの姿でもあります。今年は研究発表の抄録についてはこの方式をとりました。活動報告の抄録は、本年度の支援委員会メンバーが、個人情報、著作権、差別表現の取扱に問題はないか等の基本的な項目についてのみ確認してフィードバックしました。  抄録作成支援は査読とは異なりますので、コメントに従って修正するかどうかは任意ですが、多くの発表者に形式や書き方を改善する機会としていただけたことと思います。ご協力いただきました発表者の皆様にも心よりお礼申し上げます。 視覚障害リハビリテーション協会 論文誌編集委員会 5 発表者へのご案内 5−1. 口頭発表 (1)口頭発表のプログラム 今回の研究発表大会では、以下の2つのセッションを予定しています。 【口頭発表1】 7月16日(土) 11時10分〜12時10分 【口頭発表2】 7月17日(日)  9時30分〜10時45分 (2)発表時間 発表:7 分/ 質疑応答:5 分 ※発表開始後5分経過したところでベルを1回、7分経過したところでベルを2回鳴らします。円滑な進行のため時間厳守でお願いします。 (3)発表会場 名古屋国際会議場 白鳥ホール (4)進行 発表者は発表開始の15分前までに白鳥ホール内(舞台に向かって左側前方の「次演者席」に着き、座長の進行に従って登壇し、発表を行ってください。 (5)発表時の配慮  1)視覚障害者が言葉のみで理解できるように、具体的な説明を心がけてください。  2)指示語(あれ、これなど)の多用は避け、図や写真も言葉で説明してください。 (6)プレゼンテーション  1)全ての発表は PC によるプレゼンテーションとなります。  2)PC は事務局で用意します。条件は下記のとおりです。   OS:Windows 10   基本ソフト:Microsoft Power Point 2019   画面解像度:1366 × 768   フォント:Windowsで標準に装備されているフォントをご使用ください。   動画・音声:Windows Media Player で再生できるフォーマット  【ハードウェアに関する注意】 ・上記の条件以外では誤動作や誤表示、文字化けなど動作保証ができませんのでご了承ください。 ・動画・音声を使用する場合、事務局で用意した PC では再生できない場合がありますので、発表者ご自身の PC をご持参ください。 ・マックユーザーの方は、発表者ご自身の PC と出力コネクタをご持参ください。Apple製品は、会場の備品との相性が良くない場合があるようなので、必ず事前に動作確認をお願いします。 ・PC 本体をお持ち込みの場合、AC アダプタも各自ご持参ください。 【作成ファイルに関する注意】 ・発表データファイル名を「演題番号」と「筆頭発表者の氏名」をスペースなしで記入して保存してください。  例:O-01名古屋鯱男 ・PC 本体を持ち込む場合は、PC 本体のトラブルやデータの破損などに備えてバックアップ用データとして発表データを保存した USB メモリも必ずお持ちください。(CDは不可) ・発表データは終了後、大会事務局にて責任を持って消去します。 【スライドデザインへの配慮】 ・背景と文字に色の差異に加えて、明るさのコントラストをつけてください。 ・行間を充分とり、字づまりにならないようにしてください。 ・スライドに掲載されている内容を把握するのに充分な提示時間を確保できるスライド枚数としてください。 ・背景色と文字色に、以下の組み合わせはなるべく避けてください。 ※ 2 色:赤と緑、オレンジと黄緑、緑と茶、青と紫、赤と黒、ピンクと明るい青 ※ 3 色:ピンクと白と灰色、緑と灰色と黒 (7)データ受付と動作確認 以下の時間に白鳥ホール前受付まで持参ください。 ・7月16日(土)に発表の方  9時〜10時 ・7月17日(日)に発表の方 13時〜14時30分 ・データは USB メモリに保存してお持ち込みください(CD は不可) (8)当日現地にご来場いただけない発表者への対応  事前収録した動画を事務局が会場で公開する方法を原則とします。質疑応答はオンデマンド配信にてお願いいたします。 5−2. ポスター発表 (1)発表会場 名古屋国際会議場 白鳥ホール(南) (2)ポスター発表のスケジュール 【7月16日(土)】 9時30分〜12時10分 ポスター掲出作業 13時25分〜14時25分 ポスター討論@ 演題番号:奇数 【7月17日(日)】 11時00分〜12時00分 ポスター討論A 演題番号:偶数 12時00分〜14時30分 ポスター撤去作業 この時間内でポスターをご自身で撤去してください。 (3)ポスター作成時の注意事項 1)ポスターボードの寸法は横 90cm × 縦 210cm です 2)ポスターボードの左上部に演題番号を貼り付けます。なお、演題番号はあらかじめ事務局で貼り付けますので、ポスター内に記述する必要はありません。 3)ポスターボード上部右側の横 70cm × 縦20cm に、「演題名」「所属名」「氏名」を入れてください。 4)ポスターボードは、見やすさを考慮して、床面から 30cm 程度の高さまでのスペースにポスター本文を貼り付けてください。 5)A3用紙ですと、10枚分になります。 6)文字サイズ、行間などを適宜調整して、視認性に配慮してください。 (4)ポスター掲出作業について  7月16日(土)の午前中までに演題番号で指定されたパネルに各自でお貼りください。画鋲などは各パネルごとに用意しておきます。画鋲の不足や貼付にお手伝いが必要な方は受付までお越しください。 (5)ポスター討論に関して  指定のポスター討論時間になりましたら筆頭発表者は参加者への説明や質問への対応、ディスカッションをおこなってください。 (6)当日現地にご来場いただけない発表者への対応    以下のいずれかの方法で対応します。    ・ポスターをご送付いただいた場合には事務局でパネルに貼付いたします。    ・ご送付いただかない場合は、オンデマンドのみの発表となります。 ボイスサインカードについて  目が見えない方見えにくい方で必要な方が、会場内の情報について十分に情報提供を受けることができるようにするためのカードです。  2016年6月に開催された『第25回視覚障害リハビリテーション研究発表大会in静岡』で活用され、機器展やポスター発表会場で利用者に大変好評でした。白杖は視覚障害であることを示すシンボルとしての意味がありますが、このカードは、もっと情報提供を積極的に受けたいという意思表示として活用できます。病院・会議など様々なシーンで活用していただけるよう、静視協HPから、自由にダウンロードすることができます。  視覚障害リハビリテーション協会では、こうしたカードがなかったとしても、必要な方が安心して声を出すことができ、周りの方は自然に配慮するような社会になることを目指しています。そうした社会に向けて、説明する側も、説明される側も最初の一歩を踏み出す勇気につながるように、本大会でもこのカードを活用します。 視覚障害者福祉推進協議会(静視協)〔ホームページアドレス:〕 http://seishikyo.net/ 視覚障害リハビリテーション協会 〔ホームページアドレス:〕 http://www.jarvi.org/ 〔ボイスサインカード〕 〔説明〕 オレンジ色の半円の中に白色で、withvoiceのアルファベット文字と、声を出している顔の絵。 〔説明終わり〕 6 大会日程表 7月15日(金曜日)【4号館 3階 431・432会議室】 13:00〜 検温・受付開始 14:00〜16:00 情報アクセス 分科会企画 最新機器体験会「あなたのお眼鏡にかなう!? メガネ型視覚支援機器大集合」 16:00 移動・休憩 16:30〜17:30 研究トラの巻 「現場から発信! 実験的研究のツボ」講師:高戸 仁郎 7月16日(土曜日) 【4号館 1階 白鳥ホール 第1・第2会場】 9:00〜 検温・受付開始 「第1会場」 10:00〜 開会式 10:15〜11:00  SDGs企画@  「視覚リハ協会30年の歩みと未来」座長:和田浩一 11:10〜12:10 口頭発表@  座長:田中 恵津子 武田 貴子 12:10〜13:25 昼休憩 14:30 移動・休憩 14:40〜16:10 DGs企画A シンポジウム「医療・福祉・教育・児童各分野における30年間のマイルストーン」 座長:新井 千賀子 堀江 智子 16:30〜17:30  Orientation& Mobility分科会企画 「歩行訓練士養成の経緯と現状」 講師:清水 美知子 17:40〜19:10 余暇活動分科会企画 「レク、やりたいをできるにユニバーサルレク、持 続可能なレクについて考えよう」 講師:石川 佳子  「第2会場」 9:30〜 ポスター展示 13:25〜14:25 ポスター 発表@ 奇数番号 【4号館 3階 436会議室、431・432会議室】 「436会議室」 16:30〜17:30 ロービジョン分科会企画 「ロービジョンを支えるお仕事いろいろ」講師:奈良 里紗他 17:40〜19:10 高齢視覚障害者リハ ビリテーション事例 研究分科会企画 「のぞいてみませんか 高齢視覚リハの現場を」話題提供:関谷 香織他 「431・432会議室」 10:00〜 17:00 機器展示会 共催:名古屋 ライトハウス情報文化センター 7月17日(日曜日) 【4号館 1階 白鳥ホール 第1・第2会場】 8:30〜検温・受付開始 「第1会場」9:30〜10:45 口頭発表A 座長:原田 敦史 座長:奈良 里紗 10:45〜 移動・休憩 12:00〜13:15 昼休憩 13:15〜15:15  SDGs企画B 視覚リハ自分ごとプロ ジェクト「未来を語ろう!〜誰一人取り残さない!視覚リハの SDGs〜」宿題報告者:澤崎 弘美他 15:15〜15:30閉会式 「第2会場」 9:00〜 ポスター展示 11:00〜 12:00 ポスター発表A 偶数番号 12:00 ポスター 撤去 【4号館 3階 431・432会議室】 10:00〜 15:00 機器展示会 共催:名古屋ライトハウス情報 文化センター 〔表終わり〕 16ページ 7 大会プログラム 7月15日(金) 14時〜16時 現地のみ    情報アクセス分科会企画    「あなたのお眼鏡にかなう!?メガネ型視覚支援機器大集合」 16時30分〜17時30分 現地+後日[0711 オンライン+オンデマンドを修正]オンデマンド配信    研究トラの巻 現場から発信!実験的研究のツボ    講師:高戸 仁郎(岡山県立大学保健福祉学部) 7月16日(土) 10時〜10時15分 現地のみ    開会式 10時15分〜11時 現地+後日オンデマンド配信    視覚リハSDGs企画@ 「視覚リハ協会30年の歩みと未来」    演者:坂本 洋一(公益財団法人 日本盲導犬協会評議員)    座長:和田 浩一(視覚リハ協会会長) 11時10分〜12時10分 現地+後日オンデマンド配信    口頭発表@    座長:田中 恵津子(浜松視覚特別支援学校・愛知淑徳大学)       武田 貴子(北九州市立介護実習・普及センター)    視覚障がい者の駅ホームからの転落防止:長軸中央部における触覚マーカーの効果    ○大倉 元宏(成蹊大学・大原記念労働科学研究所)     鈴木 誠一(成蹊大学)     清水 美知子(モビリティ研究会)     田内 雅規(岡山県立大学)     村上 琢磨(NPO法人しろがめ)    駅や電車を安全に利用しようとする意欲の向上を目指して    〜公共交通事業者との連携〜    ○青木 隆一(千葉県立千葉盲学校)     高田 拓輝(千葉県立千葉盲学校)    教科書以外の図書のアクセシビリティの提供実態と読書バリアフリー制度の周知状況    〇中野 泰志(慶應義塾大学)    弱視児童生徒の読み評価ツール開発のための横断的読み速度調査    −発達段階に着目して−    〇氏間 和仁(広島大学)     西本 月那(広島大学)     今津 麻衣(広島大学)     永井 伸幸(宮城教育大学)     大島 研介(横浜商科大学)     奥村 智人(大阪医科薬科大学) 12時10分〜13時25分 昼休憩 13時25分〜14時25分 現地+後日オンデマンド配信    ポスター発表@(奇数番号) 14時40分〜16時10分 現地+後日オンデマンド配信    視覚リハSDGs企画A    シンポジウム「医療・福祉・教育・児童各分野における30年間のマイルストーン」    座長:新井 千賀子(杏林大学病院アイセンター)       堀江 智子(公益財団法人日本盲導犬協会)    医療分野:安藤 伸朗(長岡眼科医院)    福祉分野:小林 章(社会福祉法人日本点字図書館)    教育分野:青木 隆一(千葉県立千葉盲学校)    児童分野:中野 泰志(慶應義塾大学) 16時30分〜19時10分 分科会によるパラレル企画   @Orientation & Mobility分科会企画 現地+オンライン    16時30分〜17時30分     講演会:「歩行訓練士」養成の経緯と現状 −日英仏米の比較−     講師:清水 美知子(モビリティ研究会)   Aロービジョン分科会企画 現地のみ    16時30分〜17時30分     テーマ:ロービジョンを支えるお仕事いろいろ         −ミニミニレクチャー for ビギナーズ−     講師:新井 千賀子(杏林大学病院アイセンター)        田中 恵津子(浜松視覚特別支援学校・愛知淑徳大学)        渡邊 純代(福島県障がい者総合福祉センター)        堀江 智子(公益財団法人日本盲導犬協会)        多田 大介(株式会社トラストメディカル)        奈良 里紗(東京大学先端科学技術研究センター)        小田 浩一(東京女子大学)   B高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会企画 現地のみ    17時40分〜19時10分     テーマ:のぞいてみませんか高齢視覚リハの現場を         〜世話人4人のショートスピーチと参加者との交流〜     話題提供:関谷 香織(相談支援センターあらかわ)           古橋 友則(NPO法人六星 ウイズ蜆塚)           良久 万里子(鹿児島県視聴覚障害者情報センター)           吉野 由美子(視覚障害リハビリテーション協会)   C余暇活動分科会企画 現地のみ    17時40分〜19時10分     テーマ:「レク、やりたいをできるに           ユニバーサルレク、持続可能なレクについて考えよう」     講師:石川 佳子(京都ライトハウス鳥居寮) 機器展示会 10時〜17時 共催:名古屋ライトハウス情報文化センター 7月17日(日) 9時30分〜10時45分 現地+後日オンデマンド配信    口頭発表A    座長:原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター)       奈良 里紗(東京大学先端科学技術研究センター)    数字を用いた臨界文字サイズ測定ゲームの試作    〇古久根 瑛子(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻)     川嶋 英嗣(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻)    美術館における触図提供の実態と課題    〇石川 恵理(筑波技術大学大学院技術科学研究科情報アクセシビリティ専攻)     小林 ゆきの(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)     宮城 愛美(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)       『防災への取り組み事例報告 』〜誰もが取り残されず、安心して避難できるように〜    ○山田 大(公益財団法人日本盲導犬協会)     多和田 悟(公益財団法人日本盲導犬協会)    継続的な連携支援を経て時間延長1.5倍とUDブラウザを使い高校受験した弱視の1例    ○稲葉 純子(いなば眼科クリニック・京都ロービジョンネットワーク)    当事者の求める視覚支援学校卒業後のキャリアアップを目指す支援のあり方    ○刀禰 豊(岡山東支援学校) 11時〜12時    ポスター発表A(偶数番号) 現地+後日オンデマンド配信 12時〜13時15分 昼休憩 13時15分〜15時15分 現地+オンライン    視覚リハSDGs企画B 視覚リハ自分ごとプロジェクト    「未来を語ろう! 〜誰一人取り残さない!視覚リハのSDGs〜」    宿題報告者:    高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会:     澤崎 弘美(いけがみ眼科整形外科)    Orientation & Mobility分科会:神田 信(株式会社パリミキ)    情報アクセス分科会:押野 まゆ(公益財団法人 日本盲導犬協会) 15時15分〜15時30分 閉会式 現地のみ 機器展示会 10時〜15時 共催:名古屋ライトハウス情報文化センター 8 視覚リハSDGs企画@   視覚リハ協会30年の歩みと未来   坂本 洋一(日本盲導犬協会評議員) 〔写真〕 〔坂本洋一氏です。写真終わり〕  日本盲導犬協会の評議員をしています坂本と申します。今日は、「視覚リハ協会30年の歩みと未来」という大きなテーマでお話と対談を依頼され、非常に責任を感じています。私に登場を依頼されたのは、恐らく私が協会設立当時関わっていたことによると思います。これからお話しするのは私自身が感じたことでありまして、当時いっしょに設立に携わっていた人たちの全ての考えを反映できるものではありません。その点を了承していただきたいと思います。 ○視覚障害リハビリテーションの草創期  もう皆さんは、視覚リハはいつごろから始まったのかご存じだと思いますが、視覚リハ協会の話をするにあたり、私自身が視覚リハに携わりはじめて私自身がどのように関わってきたかということと密接に関係しているので、流れとして視覚リハが日本でいつごろから開始されてきたかということは大変重要なことだと思います。  1939年にドイツから4頭のシェパードが導入され、戦争で失明した兵士の社会復帰のために盲導犬が活躍したことは歴史上いわれていますが、リハビリテーションという具体的な思想的背景はありませんでした。  わが国に視覚リハが思想的導入されたのは、岩橋英行氏の1964(昭和39)年の世界盲人福祉協議会のニューヨーク総会に出席した帰朝報告に見ることができます。この帰朝報告の翌年1965(昭和40)年、日本ライトハウスに職業・生活訓練センターを設立し、生活訓練を行う基礎課程と職業訓練を行う職業訓練課程を設けました。ここに初めて日本における視覚障害リハビリテーションの基本が示され、生活訓練が本格的に実施されるようになりました。 〇生活訓練の実施要領の作成  1965(昭和40)年以降、生活訓練に関する文献が世の中に出されるようになり、生活訓練の実施要領が作成されるようになりました。具体的には、1967(昭和42)年に国立東京視力障害センターで「失明者歩行訓練実施要領」、1968(昭和43)年に大槻守氏の「視力障害者歩行訓練指導案」、同年には「歩行訓練Orientation and Foot Travel Training」、1969(昭和44)年に「視覚障害者のための指導の手引き」(中島章。湖崎克、赤松恒彦、松井新二郎、渡辺冴子著)、1972(昭和47)年に国立東京視力障害センターの「身辺管理訓練案」などの訓練マニュアルが示されました。 〇歩行訓練指導員の養成の開始  このような背景から、視覚障害に対する専門的な知識をもつ専門家の必要性が認識されはじめ、1970(昭和45)年8月、日本ライトハウスはアメリカ海外盲人援護協会(American Foundation for Oversea for the Blind ; AFOB)より講師を招き歩行訓練指導員講習会を開催し、歩行訓練の普及をはかりました。  1972年以降、この講習会は厚生省の委託事業として実施されるようになり、現在も継続しています。この講習会は、当時、盲学校の教諭、視覚障害者更生施設の生活指導員、盲児施設の職員など幅広い機関から受講者を受け入れましたので、歩行訓練の手法が急速に全国的普及しました。   1979(昭和45)年、所沢に国立身体障害者リハビリテーションセンターが設置され、国立機関としてはじめて生活訓練課程が設けられました。岩橋先生が社会福祉法人として生活訓練課程を設けてから14年経過してはじめて国立機関に生活訓練課程ができ、この間視覚障害のリハビリテーション・サービスの中核である生活訓練は、歩行訓練だけでなく、日常生活訓練、コミュニケーション訓練と幅広く実施できるように変化してきました。 ○歩行訓練士の国家資格制度への動き  他方、生活訓練の発展に伴って、日本ライトハウスの歩行指導員講習会を修了した人たちが、1972(昭和47)年に歩行訓練士研究会を結成し、その後、この研究会は視覚障害福祉研究会、歩行訓練士協会発起人会、日本視覚障害歩行訓練士協会へと発展していきました。日本視覚障害歩行訓練士協会は、1977(昭和52)年11月26日に設立され、第1回視覚障害歩行研究会を11月26・27日に開催し、情報交換の場が広まりました。この協会は、視覚障害歩行訓練士を国家資格にすることを大きな目的として掲げて運動を展開していきました。このように、リハビリテーションに携わる専門職が、社会的な地位を確保するために国家資格制度の導入を発信するところまで関心が高まってきていました。しかしながら、視覚障害者の生活訓練に従事している専門職は、歩行訓練だけでなく、コミュニケーション、日常生活訓練等広範囲であり、歩行訓練士だけの国家資格制度を求める運動は、なかなか進展しませんでした。 〇歩行訓練以外の専門職の動き  1972(昭和47)年頃から関東地域を中心として、日常生活技術訓練に従事している人たちが定期的に勉強会を開催し、リハビリテーション技術の研鑽に励んでいました。その後、視覚障害調理研究会、視覚障害日常生活訓練研究会への発展していきました。 〇関西地区やその他の動き  1987(昭和62)年には、関西地区において、日本ライトハウスを中心として日本視覚障害リハビリテーション協会が結成され、専門職だけでなくボランティアも含めて研究会を開催しました。1988(昭和63)年2月には、ロービジョンに関心をもっている人たちがロービジョン研究会を発足させました。視覚障害リハビリテーションは、ともすれば全盲あるいは全盲に近い人たちの生活訓練を言われがちでしたが、実際にはロービジョンの人たちへの訓練・指導も訓練施設で行われており、この研究会をとおしてロービジョンの人たちへのサービスの重要性が認識され始めました。 〇社会適応訓練の体系化への関心  このような状況のなかで、視覚障害リハビリテーション・サービスの中核をなす生活訓練は、歩行訓練だけでなく、ADL訓練、コミュニケーション訓練、ロービジョン訓練、レクリエーション・スポーツ訓練等視覚障害者の人生の質を向上させるリハビリテーション・プログラムを体系的に構築し、視覚障害者の生活ニーズに合ったサービスを提供することが求められてきました。 〇教育機関の必要性の動き  歩行訓練に関する教育は、日本ライトハウスが長年の研修・教育のノウハウを蓄積し大きな発展に寄与してきましたが、他の訓練に関しては教育機関がなく、視覚障害者更生施設や盲学校などで経験的に習得するだけで、専門的な知識の習得や研鑽は、研究会等での情報交換に頼らざるを得ない状況にありました。そのために、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院に1990(平成2)年に視覚障害生活訓練専門職員養成課程が設置され、歩行訓練だけでなく多様な生活訓練を担当する専門職員の養成が開始されました。その後、日本ライトハウスも同じように広く生活訓練を担当する職員の講習会を開催するようになりました。これに対応して、それまでは領域別に研究会を開催していましたが、これらの研究会や協会を統合する必要が生じました。 ○視覚障害リハビリテーション協会の発足  1990(平成2)年2月23日に、日本視覚障害歩行訓練士協会、ロービジョン研究会、日本視覚障害リハビリテーション協会、視覚障害日常生活訓練研究会の代表から構成された「視覚障害研究会等連絡会」が発足し、合同の研究発表大会を開催するとともに、既存の協会や研究会を統合して、1992(平成4)年2月15日に視覚障害リハビリテーション協会が設立されました。この協会は、研究発表、情報交換、研修会の開催等を主な活動として出発しました。 〇今後の協会に期待すること  現在、視覚障害者を取り巻く制度は、障害者総合支援法によって構築されています。この法律は、視覚障害に特化した法律ではありません。視覚リハの現場感覚からすると少し物足りない点が多々あります。この法律は、特徴的なことはケアマネージャーの重要性があります。視覚障害者の生活ニーズを掘り起こし、個別支援計画を作成し、それに基づいてサービスを提供することにあります。そこで、ケアマネージャーが視覚障害者の生活ニーズを掘り起こせるか否かかがポイントになってくると思われます。現在のケアマネージャーが果たして視覚障害者の生活ニーズを理解しているとはとても思えないです。ケアマネージャーに視覚障害者をよく知ってもらうことがこの法律がうまく機能するかカギを握っています。  もう一つ言えることは、地域の視覚障害リハのサービス向上が重要だと思われます。地域の視覚リハへの関心が高まることが重要で、地域リハビリテーションが発展する方向性を強く意識することが大切です。 【略歴】  1949年3月 鹿児島市に生まれる  1976年3月 立教大学社会学研究科大学院修士課程修了  1976年4月 立教大学社会福祉研究所研究員  1976年7月 国立東京視力障害センター生活指導専門職  1979年7月 国立身体障害者リハビリテーションセンター生活訓練専門職  1990年1月 国立身体障害者リハビリテーションセンター学院主任教官  1998年1月 厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課障害福祉専門官  2001年1月 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課障害福祉専門官  2003年4月 和洋女子大学生活環境学科教授、日本盲導犬協評議員  2005年4月 同上学科長  2008年4月 和洋女子大学生活科学系教授  2013年3月 同上退職  現在に至る 9 視覚リハSDGs企画A 医療・福祉・教育・児童分野における 30 年間のマイルストーン 9−1 医療分野における視覚障害リハビリテーション30年間のマイルストーン   安藤 伸朗(長岡眼科)   〔写真〕   〔安藤 伸朗氏です。写真終わり〕  わが国の視覚リハビリテーション(視覚リハ)は、平安時代に始まった当道座を起源とする長い歴史と独特の経緯を有する。一方、我が国最古の眼科医療施設と言われるのは南北朝時代の明眼院(馬嶋清眼)である。共に長い歴史を持つ視覚リハと眼科はそれぞれに発達してきた。 1)点の時代  視覚リハビリテーションに眼科医が登場したのは、Vogt-小柳型ぶどう膜炎で有名な小柳美三東北大学眼科(初代)教授である。日本眼科学会百周年記念誌に、本邦初の弱視学級開設(1929年;昭和4年)に寄与したロービジョンケア先駆者として紹介されている。それ以降、この分野における活躍した眼科医は数年・数十年おきに出現している。 2)線の時代  1964年(昭和39年)、順天堂大学眼科がわが国初のロービジョン外来(眼科臨床更生相談所)を開設した(紺山和一、赤松恒彦、中島 章)。  1965年(昭和40年)、東北大学教育学部視覚欠陥学教室の初代教授に原田政美が就任し、視覚支援について本格的に研究を開始した。  1983年(昭和58年)、国立身体障害者リハビリテーションセンター病院が設立した。視覚障害を担当する歴代部長は、簗島謙次氏である。  2000年(平成12年)4月に日本ロービジョン学会が創設された。歴代理事長は、田淵昭雄氏である。 3)面の時代  この数年で眼科医と視覚リハには大きな変化が起こった。眼科医の多くが所属する日本眼科医会と日本眼科学会の中に大きなムーブメントが起こったのである。  2018年、日本眼科医会の会長に白根雅子氏が就任した。以来、眼科医会は大きく方向転換し、クイックロービジョンケアの普及などロービジョンケアに力を入れ始めた。  一方、学術団体である日本眼科学会は、人生100年時代を念頭に、2021年から「アイフレイル」運動を精力的に展開している。 4)今後  これまで眼科医と視覚リハの接点は、点あるいは線であったが、今や組織ぐるみの取り組みとなった。今後は、科学的な「知」の充実と、毎日の「実践」を行う、患者さんに寄り添った「4次元的な視覚リハ」を完成させる時代となった。  前途洋々としたこの分野に多くの熱気あふれた人たちが結集して、大きな仕事を成し遂げることを願うばかりである。 【略歴】  1977年3月 新潟大学医学部卒業      5月 新潟大学眼科学教室入局  1979年1月 浜松聖隷病院(1.5年)  1980年7月 新潟大学眼科復職  1982年5月 新潟大学医学部助手  1987年2月 新潟大学医学部講師  1991年7月 米国Duke大学留学(1年)  1996年2月 済生会新潟第二病院 眼科部長  2018年4月 立川綜合病院 眼科主任医長 2022年4月 医療法人信眼会理事  (長岡眼科医院 勤務)  新潟大学非常勤講師(1996年4月〜2018年3月)  「日本の眼科」編集委員(2004年4月〜2022年6月)  日本眼科医会学術委員(2012年4月〜2022年6月)  杏林大学非常勤講師(2014年4月〜)  東京女子医大客員教授(2017年11月〜2019年3月)  兵庫医科大学非常勤講師(2018年3月〜) 9−2 福祉分野における30年間のマイルストーン〜国内の視覚リハ訓練をめぐる背景を中心に〜   小林 章(社会福祉法人日本点字図書館) 〔写真〕〔小林章氏です。写真終わり〕  日本の福祉サービスとしての視覚リハ訓練には国の法律に基づくサービスと、自治体単独の事業の2つの流れがある。ここでは国の法律に基づくサービスを中心に話を進めるが、自治体単独事業も福祉サービスの潮流によって影響を受けていることが見てとれる。  日本の公的な障害福祉サービスは1950年4月1日に施行された身体障害者福祉法により開始され、2003年4月1日の支援費制度の施行に至るまで53年の間、措置委託という利用者に選択権のない方法で提供されてきた。利用者が施設を選び、利用費は国と自治体が負担するという素晴らしい制度は2年で財政破綻を来たし、すべての利用者に利用料の1割負担を求めた障害者自立支援法は施行直後から暗礁に乗り上げ、2013年に至って現行法である障害者総合支援法の施行に至っている。  障害福祉サービスを身近な地域で提供するという総合支援法の理念は整いつつあるが、運用のしやすさ、サービス提供事業者の整備はまだまだ追い付いていない。この発表ではこの30年間で視覚リハサービスにどれだけ手が届きやすくなったのか、その現状について根拠になる法律の歴史的背景をもとに考察したい。 【略歴】  1981年3月 青山学院大学文学部英米文学科卒業  1983年3月 日本社会事業大学社会福祉学部社会事業学科卒業  1983年4月 国立身体障害者リハビリテーションセンター入職  1990年4月 国立塩原視力障害センター  1994年4月 国立神戸視力障害センター  1996年4月 国立身体障害者リハビリテーションセンター生活訓練課  1998年4月 国立障害者リハビリテーションセンター学院教官  2001年4月 国立障害者リハビリテーションセンター学院主任教官  2017年3月 国立障害者リハビリテーションセンター学院主任教官定年により退官  2017年4月 社会福祉法人日本点字図書館入職  現在に至る 9−3 視覚障害教育における30年間〜二つのキーワードから探る〜   千葉県立千葉盲学校 青木隆一 〔写真〕〔青木隆一氏です。写真終わり〕  本シンポジウムでは、視覚障害教育における30年間〜二つのキーワードから探る〜と題し、今後の盲学校の在り方について考察したい。  今から30年前の1992年(平成4年)は、「通級による指導」制度化の前年にあたる。通常の学級で教科等の大半の授業を受け、障害に応じて特別の指導を受けるという指導形態が、ついに正式に認められたと当時の関係者は沸き立ったものである。  以降特別支援教育における30年間を振り返ると、国際的にも国内においても新たな制度改革や法令整備など数多の出来事があった。障害者権利条約の批准や障害者差別解消法施行などは記憶に新しいところである。教育分野において特に大きな出来事は、特別支援教育元年とも称される2007年(平成19年)、特殊教育から特別支援教育への転換であるといえよう。これが一つ目のキーワードである。特別支援教育への転換とともに、視覚障害教育の中核を担ってきた盲学校は法令上姿を消し、視覚障害特別支援学校となった。  二つ目のキーワードは、全国67校の盲学校共通の課題である「盲学校の在籍者数の減少」である。在籍者数ピーク時の昭和34年は10,264人の児童生徒が在籍していた。1校当たりに換算すると約135人である。それが令和4年は2,288人にまで減少してしまった。1校当たり35人にも満たない。この状況は学校経営上多くの困難さをもたらしている。さらにこの二つのキーワードは、盲学校の在り方そのものを変えてきている。  今後の視覚障害教育をどう捉え、どうしていくべきなのであろうか。 【略歴】  昭和62年 千葉県立仁戸名養護学校教諭  平成 9年 千葉県立千葉盲学校教諭  平成12年 社会福祉法人日本ライトハウス養成部研修生  平成19年 千葉県教育庁教育振興部 教職員課人事室管理主事  平成21年 同           特別支援教育課指導主事  平成23年 八街市立実住小学校教頭  平成25年 千葉県教育庁教育振興部 教職員課人事室管理主事  平成26年 文部科学省初等中等教育局 特別支援教育課 特別支援教育調査官  平成30年 文部科学省初等中等教育局 視学官  令和 2年 千葉県教育庁教育振興部 特別支援教育課長  令和 4年 千葉県立千葉盲学校長 9−4 視覚障害のある児童の早期発見、早期介入、生活支援   中野 泰志(慶應義塾大学) 〔写真〕〔中野泰志氏です。写真終わり〕 【発表要旨】  児童福祉法等の法令では、児童を18歳未満の者と定義している。本シンポジウムでは、児童にとって必要だと考えられる教育以外の取り組みについて、以下の3つのキーワードに基づいて紹介する。 (1) 早期発見:児童に限ったことではないが、視覚障害を早期に発見することは極めて重要である。しかし、児童、特に、乳幼児の場合、標準的な視力や視野等の眼科検査が実施出来ないため、成人と比較すると、早期発見が困難である。本報告では、主として視覚障害乳幼児の早期発見のために開発・活用されてきた他覚的な視機能検査や行動を用いた視機能評価の手法等について紹介する。また、各自治体で実施されるようになった健康診断におけるスクリーニングへの期待について報告する。 (2) ファミリーサポートを含めた早期介入:視覚障害であることがわかった場合、保有視機能の活用だけでなく、心身機能の全体的な発達を支援するために、教育や福祉の専門家の早期介入による発達支援が必要不可欠である。本報告では、教育や福祉において行われてきた視機能の代替方法、効果的に視覚を活用するための環境整備、心身の発達に必要な各種の経験・体験の確保等の取り組みについて紹介する。また、近年、注目されているファミリーサポートへの期待について報告する。 (3) 生活支援:視覚障害のある児童の生活の場は、家庭や学校(寄宿舎を含む)だけではない。また、豊かな日常生活を送るためには日常生活用具、外出の際には同行援護等の福祉制度の活用が必要不可欠である。本報告では、日常生活用具、福祉型障害児入所施設(旧盲児施設)、放課後等デイサービス、同行援護等の児童が利用できる福祉制度の現状と課題について紹介する。また、児童福祉法改正への期待について報告する。 【略歴】  1984年 東京国際大学 教養学部卒業  1988年 慶應義塾大学大学院 社会学研究科 修士課程修了  1988年 国立特殊教育総合研究所 研究員  1997年 慶應義塾大学 経済学部 助教授  2003年 東京大学先端科学技術研究センター 特任教授  2006年 慶應義塾大学 経済学部 教授  現在に至る 10 視覚リハSDGs企画B 視覚リハ自分ごとプロジェクト 視覚障害リハビリテーション協会主催企画「視覚リハ未来への挑戦Part6」 岡島 喜謙(大会連携委員会 委員長)  今回の名古屋大会における協会主催プログラムは、例年と趣向を変え、大会初日に「研究トラの巻」、大会の最終プログラムに視覚リハSDGs企画3として「視覚リハ自分ごとプロジェクト」を行います。  「研究トラの巻」では、過去3年間で、代表的な研究法である「事例研究」、「調査研究」、「実験的研究」をテーマに開催してきました。今年度は、「実験的研究」をテーマに講義形式で行います。未来への挑戦の武器として、日々の仕事を振り返り、かつ様々な現場で役立つ臨床研究手法を学ぶ場としたいと考えています。  視覚リハSDGs企画3では、名古屋大会のテーマである「未来を語ろう!〜誰一人取り残さない!視覚リハのSDGs〜」と同じテーマを設定しました。まず視覚リハで活動している分科会メンバーから、今後見え方に困難を抱える方を誰一人取り残さず、また視覚リハ活動を持続していくために今何が必要で、どのような課題が存在しているのかを発表していただきます。その発表を通して、それぞれの課題を自分ごととして参加者の方々と一緒に考えていきます。  SDGsは世界中でその取組がすすめられていますが、規模が大きいため何から始めてよいか分からないという声も聞かれます。しかし、まずは今私たちが現場で日々の活動の中から感じている課題を持ち寄り、それらを一つ一つ解決していくことによって、持続可能で誰一人取り残さない社会を実現できるのではないでしょうか。  また当日現地にお越しいただけない方にもご参加いただけるよう、現地会場とあわせてZoomでの配信も行います。ふるってご参加ください。 「研究トラの巻」 其の6 現場から発信!実験的研究のツボ   日時 : 2022年7月15日(金)16時30分から17時30分   会場 : 名古屋国際会議場 4号館 会議室431・432   定員 : 120名   講師 : 高戸 仁郎[0711 朗から修正](岡山県立大学保健福祉学部 教授) 『視覚リハ自分ごとプロジェクト』視覚リハの今日的課題   日時 : 2022年7月17日(日)13時から15時   会場 : 名古屋国際会議場 白鳥ホール、Zoomによるオンライン   定員 : 希望者   内容 : 宿題講演        【発表者】         ・高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会            澤崎 弘美 氏(いけがみ眼科整形外科)         ・Orientation & Mobility分科会            神田 信 氏(株式会社 三城)         ・情報アクセス分科会            押野 まゆ 氏(公益財団法人 日本盲導犬協会)        参加者によるグループワーク        まとめ 11 分科会企画 (1) 情報アクセス分科会主催 最新機器体験会 あなたのお眼鏡にかなう!?メガネ型視覚支援機器大集合 【目的】  近年、メガネ型の視覚支援機器が数多く発売されているが、それらを実際に体験して比較ができる機会はなかなかないと思われる。この企画でいくつかの機器を比較した上で意見交換することで、よりそれぞれの機器のメリット・デメリットを発見し支援につなげることを目的とする。 【プログラムの概要】  1 各支援機器のプレゼンテーション  @ オーカムマイアイ2:株式会社システムギアビジョン  メガネに装着し、指差しなどのジェスチャーで、目の前の文章を撮影し、音声で読み上げます。また、人の顔認識、紙幣や色の識別、バーコードによる商品情報の確認も可能です。   A エンジェルアイスマートリーダー:株式会社システムギアビジョン  メガネに装着し電源を入れると、目の前の文章を撮影し、音声で読み上げます。原稿の位置をガイドする音声ガイド機能付き。  B エンビジョングラス:有限会社エクストラ  視覚障害者支援アプリ「Envision AI」と連携して使用する視覚障害者向け高性能ウェアラブル端末です。本体部分にはカメラと小型ディスプレイ、スピーカーが搭載されており、エンビジョングラスを掛けた状態で、カメラに映る文字や物、人の名前を読み上げたり説明したりすることが可能です。また、通話機能があり、遠隔の人のサポートを受けることもできます。  C SYN+:株式会社Raise the Flag.  視覚に頼らず「正確に」「感覚的に」周囲の環境を認知できる機能をコアに、生活における全てのシーンにおいて単独で対処できる機能を搭載している次世代型デバイスです。  2 参加者による機器体験&感想(情報アクセス分科会登録者から公募予定)  3 参加者からのご意見・ご感想 【開催概要】  実 施 日:7月15日(金)14:00〜16:00  参加資格:大会参加者限定  実施方法:対面のみ (2) Orientation and Mobility分科会主催 講演会 「歩行訓練士」養成の経緯と現状−日英仏米の比較 清水 美知子(フリーランスのO&M専門家) 【講演の概要】  第ニ次大戦後まもなく、それ以前より長い「ロングケイン」と呼ばれる杖と体系的な訓練プログラムを組み合わせた失明傷痍軍人の歩行訓練法が米国の軍人病院において開発された。その訓練法は、以降、民間の訓練施設に普及し、1960年代には訓練法に関する講習会が世界各地で開催された。我が国では、1970年に米国から歩行訓練士を講師として迎え、最初の歩行訓練講習会が開催された。その講習会は今年で52回目の開催となる。  歩行(オリエンテーションとモビリティ、以下O&M)は今も視覚障害リハビリテーション訓練の主要項目であるが、誕生から半世紀以上を経て、日本の歩行訓練士はO&M以外の訓練項目や相談活動にも関わるようになっている。  今回のO&M分科会では、英国、仏国及び米国の訓練士養成の経緯及び現状と比較しながら、我が国のこれからの歩行訓練士の養成について考えたい。 【講師プロフィール】   1976 Boston College Graduate School of Arts and Sciences         Division of Special Education and Rehabilitation 修了   1979- 施設/地域で視覚障害がある人の歩行訓練に携わる   1982-2002 視覚障害者更生施設江南施設施設長   1988-2020 信楽園病院視覚障害リハビリテーション外来担当   2003-2012 耳原老松診療所・鳳クリニック視覚障害外来担当 【開催概要】   実 施 日:7月16日(土)16:30〜17:30   参加資格:大会参加者限定   実施方法:対面とオンラインのハイブリッド開催   募集定員:会場の規定による (3) ロービジョン分科会主催 講義 ロービジョンを支えるお仕事いろいろ−ミニミニレクチャー for ビギナーズ−            新井千賀子(杏林大学病院アイセンター)            田中恵津子(浜松視覚特別支援学校・愛知淑徳大学)            渡邊純代(福島県障がい者総合福祉センター)            堀江智子(公益財団法人日本盲導犬協会)            多田大介(株式会社トラストメディカル)            奈良里紗(東京大学先端科学技術研究センター)            小田浩一(東京女子大学) 【目的】  ロービジョン児・者を支える仕事は、医療・福祉・教育等多岐にわたる。しかし、それぞれの職種の人が一人のロービジョン児・者にどのように関わり支援へとつながるのかはわかりづらく、連携の阻害要因ともなりえる。そこで、本レクチャーではロービジョンに携わる仕事に就き始めたビギナー向けに多職種協働の実際を視能訓練士、歩行訓練士、教育、販売店、盲導犬協会、当事者団体、研究者といった様々な視点から情報提供することを目的とする。 【講師と講義題目】  新井千賀子「ロービジョン外来に勤務する視能訓練士のお仕事」  田中恵津子「視覚障害特別支援学校や訪問によるロービジョン児・者を支える        視能訓練士のお仕事」   渡邊純代「福島県でロービジョン児・者を支える歩行訓練士のお仕事」   堀江智子「盲導犬協会で働く歩行訓練士としてのお仕事」   多田大介「東北地方で補装具や日常生活用具の販売店としてのお仕事」   奈良里紗「ロービジョン当事者としてロービジョン児・者をサポートするお仕事」   小田浩一「ロービジョンとユニバーサルデザインと視覚の研究教育のお仕事」 【開催概要】  実 施 日:7月16日(土)16:30〜17:30  参加資格:大会参加者限定  実施方法:現地開催  募集定員:会場の規定による (4) 高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会主催 講演と交流 「のぞいてみませんか高齢視覚リハの現場を」        関谷香織(相談支援センターあらかわ)        古橋友則(NPO法人六星 ウイズ蜆塚)        良久万里子(鹿児島県視聴覚障害者情報センター)        吉野由美子(視覚障害リハビリテーション協会) 【目的】  高齢視覚障害者リハビリテーション(支援)の実際について参加者に知っていただくこと。高齢視覚リハに様々な立場で関わって得られた経験値を共有し、今後の活動や研究に生かすことを狙いとする。 【プログラムの内容】   (1) 講演者と講演テーマ     関谷香織「障害福祉サービスから介護保険への移行」     古橋友則「福祉的就労を通して社会参加をする意義について」     良久万里子「鹿児島県視聴覚障害者情報センターにおける視覚リハの現状」     吉野由美子「困難事例に対するアプローチから見えてきたこと」   (2) 参加者によるショートスピーチ 【開催概要】   実 施 日:7月16日(土)17:40〜19:10   参加資格:大会参加者限定   実施方法:現地開催   募集定員:20名(先着順) (5) 余暇活動分科会主催 講演と交流 レク、やりたいをできるにユニバーサルレク、持続可能なレクについて考えよう 石川佳子(京都ライトハウス鳥居寮) 【目的】  さまざまな取り組みや工夫、アイデアを共有することで、それぞれの地域でのレクの充実につなげる。多職種がクロスオーバーし交流することで、当事者とサポーターのニーズや困りごとを掘り起こし、支援の方法を模索する。 【プログラムの内容】 (1) 講演「視覚リハにおけるレクリエーションの試み」京都ライトハウス鳥居寮石川佳子 (2) エピソード発表福島県いわき市「兔渡路の家」での実践報告木村眼科クリニック木村恵子 (3) ワークショップ  ワークショップ「困りごとはおたがいさま持続可能なレクについて考えようインドアレク体験〜やりたいをできる・楽しいに〜」レクにおいて当事者もサポートする人も得意、苦手はさまざま、困るポイントもそれぞれである。多様な状況の方が交じりあいながら、ユニバーサルなレクについて考える。できる方法を見つけるだけでなく、誰もが楽しめるための方法を探索する。グループごとでレクを体験し、まとめを全体で共有する。 体験レク:アナログゲーム クイズ ウクレレ 椅子ヨガ 大喜利 【開催概要】   実 施 日:7月16日(土)17:40〜19:10   参加資格:大会参加者限定   実施方法:現地開催   募集定員:会場の規定による 12<口頭発表> 【日時】 @ O-01 〜 O-04 7月16日 (土) 11:10 〜 12:10 A O-05 〜 O-09 7月17日 (日) 9:30 〜 10:45 O-01 視覚障がい者の駅ホームからの転落防止:長軸中央部における触覚マーカーの効果 大倉 元宏(成蹊大学/大原記念労働科学研究所)、鈴木 誠一(成蹊大学)、清水 美知子(モビリティ研究会)、田内 雅規(岡山県立大学)、村上 琢磨(NPO法人しろがめ) 【目的】  転落事例の分析から、ホームドア未設置の島式ホームにおける転落防止策の一つとして、長軸方向(線路と平行)のオリエンテーションにかかわる手がかりの設置を提案してきた。その効果を確かめる実験を始めたので一部を報告する。 【方法】  学内に島式模擬プラットホーム(長さ15×幅6×高さ0.1m)を設営した。手がかりは触覚マーカーで誘導ブロックを使用した。ホーム中程に模擬売店(1.8m四方)を置いた「長距離シナリオ」と、売店を置かずにホーム中程に降車後多くの乗客を避けて移動する「混雑シナリオ」を設定し、それぞれ10と12人の視覚障がい者に触覚マーカーの「有」と「無」条件で単独歩行を求め、歩行軌跡を計測した。実験場のセッティングは触図と実地探査で知らせた。  長距離シナリオの「有」では、一端の出発点から13m離れた他端の目標(0.6m四方の警告ブロック)まで中央部に敷設されたマーカーに沿って移動し、売店部では壁を利用して向こう側に回り込むよう指示した。混雑シナリオの「有」では、降車後、短軸方向(線路と垂直)にマーカーまで進み、その後はそれに沿って一端の目標(幅1.5×奥行0.6mの警告ブロック)に向うよう指示した。試行は両シナリオとも「有」→「無」の順で、「無」では、「有」と同じ経路をとることを求め、長距離シナリオでは売店の左/右回避それぞれ2回ずつ、混雑シナリオでは両番線への降車を2回ずつ行った。 【結果と考察】  両シナリオとも触覚マーカー「有」では全試行において安定した歩行軌跡で目標に到達した。一方、「無」では到達率は長距離、混雑シナリオ、それぞれ67.5、62.5%で、経路から大きく外れる軌跡もみられた。また、参加者全員から、マーカーについて、「安心感が高まる」等の肯定的な印象が述べられた。  以上より、ホーム長軸中央部の触覚マーカーは島式ホームにおける長軸方向と降車後の短軸方向移動時のオリエンテーションの維持に役立ち、転落防止に寄与すると考えられた。 O-02 駅や電車を安全に利用しようとする意欲の向上を目指して〜公共交通事業者との連携〜 青木 隆一(千葉県立千葉盲学校)、高田 拓輝(千葉県立千葉盲学校) 【目的】  経験が不十分となりがちな視覚障害児にとって、「本物」に触れる生きた知識を得て、自ら考え判断できるような経験や体験を積み重ねることが重要である。まして通学で日常的に使用する駅や電車等の公共交通機関に関する体験は、ホームからの転落防止も含む安全への意識を高める観点からも重視されなければならない。そこで、千葉盲学校では、JR東日本千葉支社等の協力のもと、子どもたちが現在から将来にわたって駅や電車を安全に利用しようとする気持ちを育てることを目的に体験学習を実施した。 【方法】  2021年12月15日、幼稚部から高等部まで全42名が駅体験に参加した。歩行訓練士が立案した指導計画の下、発達段階に応じて、車両探検、電車乗降の練習、車内SOSボタン探し、自動改札機や自動券売機の触察、駅員との交流や質問などの体験を実施した。幼稚部については保護者も参加した。一日の乗降客数4万人超の四街道駅で、自動改札機などをゆっくり触ったり、運行中の車両探検や乗降練習を繰り返したりすることは不可能であるが、四街道駅スタッフの全面協力により、ニーズに合わせた学習を体験することができた。 【結果】  ある児童は、車両内の非常ボタンを触り「初めて触った。でもこれは使われない方がいいんだよね」とつぶやいた。「つり革は何キロまで耐えられますか」と駅員さんに質問し、ぶらさがってみた生徒もいた。感じ方は様々であったが、多くの児童生徒が、単に楽しかったというだけでなく、公共交通機関利用時のマナー、そこで働いている方々の配慮に対する感謝の気持ち、なにより安全を意識して利用することの大切さを学んだ。 【考察】  公共交通事業者の協力なくしては成しえなかったが、本物に触れる体験は子どもたちの心に響き、教育成果や社会的影響は大きかった。引き続きより良い連携の在り方を模索していくことが大切である。また、教師にはこの貴重な経験を子供たちの日々の学習や生活にどうつなげていくかが求められる。 O-03 教科書以外の図書のアクセシビリティの提供実態と読書バリアフリー制度の周知状況 中野 泰志(慶應義塾大学) 【目的】  教科書バリアフリー法によって、教科書のアクセシビリティは向上したが、副教材等の教科書以外の図書のアクセシビリティは長年、大きな課題とされてきた。「著作権法の一部を改正する法律」によって、学校図書館が、著作権者に許諾を得ることなく、視覚障害者等のために利用しやすい図書等へ複製したり、公衆送信したりすることができるようになり、読書バリアフリー法の成立によって読書環境の整備が推進されつつある。しかし、学校におけるアクセシブルな図書の作成実態や制度の周知状況は明らかになっていない。そこで、本研究では、小中高等学校を対象に、アクセシブルな図書の提供実態等を調査した。 【方法】  2021年度にアクセシブルな教科書の一種である「PDF版拡大図書」を利用した小中高等学校394校(小142校、中134校、高118校)に対して、アクセシブルな図書の作成状況と読書バリアフリーに関する法制度の周知状況について調査を実施した。なお、本研究は、慶應義塾研究倫理審査委員会の審査を受け、インフォームドコンセントを得た上で実施した。 【結果】  小中高等学校305校から有効回答があった(回収率77.4%)。学校で自作されたアクセシブルな図書は、プリント教材(22.5%)、副教材(17.6%)、ワークシート(17.6%)、ドリル(8.2%)等の授業の際に活用するものが多かった。一方、絵本・漫画(2.6%)、一般図書(1.3%)、課題図書(0.7%)等はほとんど作成されていなかった。著作権法等の制度を知っていた学校は41.8%と少なかったが、教科書以外の副教材等の図書をテキスト化・PDF化して利用したいと思っている学校は85.0%、アクセシブルな図書を学校図書館間で共通利用するシステムがあれば利用したいと思う学校は86.3%と多いことがわかった。 【考察】  教科書以外の図書へのアクセシビリティのニーズは高いにもかかわらず、提供実態は低く、制度についての周知状況も十分ではないことがわかった。 O-04 弱視児童生徒の読み評価ツール開発のための横断的読み速度調査−発達段階に着目して− 氏間 和仁(広島大学)、西本 月那(広島大学)、今津 麻衣(広島大学)、永井 伸幸(宮城教育大学)、大島 研介(横浜商科大学)、奥村 智人(大阪医科薬科大学) 【目的】  弱視の児童生徒の読み評価ツールを開発するために,横断的な読み速度調査を実施した。 【方法】  小学1年64名,2年97名,3年113名,4年118名,5年89名,6年116名,中学1年151名,大学生101名を対象に短文(30文字)50文と長文(200文字前後)10文の1分間当たりの読み速度(cpm: characters per minute)を測定した。小学生は1学年下の配当漢字,小学1年生はひらがな,中学生以上は小学6年生配当漢字の文章を読んだ。広島大学倫理審査を受けた(2021037)。 【結果】  各学年の読み速度の平均値±標準偏差を示した。短文は小学1年から順に293±123cpm[読み対応済み],205±56cpm,246±62cpm,288±68cpm,291±64cpm,341±78cpm,334±72cpm,433±48cpmであった。長文は211±86cpm,210±63cpm,257±60cpm,274±60cpm,299±66cpm,313±66cpm,326±63cpm,405±48cpmであった。シャピロ・ウィルク検定の結果,小学1年生のみで正規性は有意でなかった(短文:W = 0.947, p = 0.008; 長文:W = 0.943, p = 0.005)。度数分布図を描いたところ,小学1年生では,短文は150cpm以上200cpm未満及び350cpm以上400未満の階級,長文は100cpm以上150cpm未満及び350cpm以上400未満の階級にピークのある二峰性が確認された。 【考察】  読み速度は発達段階に伴って速くなっており,横断的な先行研究と一貫していた。小学1年生においては,読み速度に二峰性が確認でき,長文と短文の平均の差が大きかった。このことから,小学1年生の読み速度の評価は平均値では表せない特性を内包している可能性があり,1年生の個人内評価は可能であるが,個人間評価は難しい点を考慮しておく必要がある。 O-05 数字を用いた臨界文字サイズ測定ゲームの試作 古久根 瑛子(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻)、川嶋 英嗣(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) 【目的】  臨界文字サイズは読みに必要な文字サイズに関する重要な値であるが、MNREAD-J《エムエヌリードJ》では漢字仮名混じり文の音読を課題としているため、対象者によっては上手く測定できない可能性がある。そこで本研究では、音読を行わずiPadを操作して数字を獲得するゲームで臨界文字サイズを測定するアプリを試作し、数字獲得ゲームとMNREAD-Jで測定される臨界文字サイズについて比較することを目的とした。 【方法】  矯正視力1.0以上で母国語を日本語とする34名(平均年齢21歳)を対象とした。人工的に低視力とするためにバンガーターフィルタを用いた。数字獲得ゲームはPythonista3でプログラミングして作成した。ゲームでは、画面の上部から下部に向かって移動する10種類の数字の中から、指定された1種類の数字を画面上のマークを操作して獲得することを課題とした。指定された数字を30文字獲得した時点で1ゲーム終了とし、30文字獲得に要した時間と誤って獲得した文字数に基づいて獲得速度(1分間に正しく獲得できた文字数)を算出した。ゲームは大きいサイズから始め、ゲーム毎に文字サイズを小さくし、数字を認識できなくなった時点で測定を終了した。文字サイズ別に獲得速度をプロットし、臨界文字サイズの推定を行った。MNREAD-JはiPadアプリのMNREADを用いた。測定は全てiPad Pro 12.9インチ(Apple製)で行った。 【結果】  臨界文字サイズの差の平均は0.03 logMAR(95%一致限界=±0.35 logMAR)であった。対応のあるt検定の結果、数字獲得ゲームとMNREAD-Jで測定された臨界文字サイズについて有意差は認められなかった。 【考察】  本研究で試作した数字獲得ゲームでも、iPad版MNREAD-Jで得られるような臨界文字サイズを推定できると考えられる。数字獲得ゲームを用いることで、音読が難しい対象者でも臨界文字サイズを測定できることが期待される。 O-06 美術館における触図提供の実態と課題 石川 恵理(筑波技術大学大学院技術科学研究科情報アクセシビリティ専攻)、小林 ゆきの(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)、宮城 愛美(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター) 【目的】  視覚障害者の美術鑑賞の普及を目的に、触図に焦点を当て、国内の美術館における触図提供の実態を調査すること。触図鑑賞についての視覚障害者側と美術館側の意見を収集し、触図の可能性を探求し、美術館における触図提供の課題を明らかにすること。 【方法】 (1)アンケート調査を全国美術館会議の正会員美術館並びに、触図を収蔵する施設404館に対して実施し、視覚障害者の美術鑑賞の状況を確認した。(2)視覚障害者4名が参加して触察鑑賞を行い、意見を収集した。(3)視覚障害者、美術館関係者、研究者が参加し、美術鑑賞の問題点と取り組むべき課題についてグループディスカッションを行った。 【結果】 (1)211館が回答。各館で障害者に対する移動支援等の配慮の意識は高くなりつつあるものの、実際に視覚障害者の美術鑑賞、更には、触図を用いた鑑賞が可能となっている美術館は、未だ1割に過ぎなかった。また、それらの多くが立体コピーを使用していた。(2)触図の提示方法の順番については、個人差はあるものの、まず始めに「絵画の解説」を行い、その後、「原図に最も近づけた触図」「簡略化した触図」「分割された触図」「原図に最も近づけた触図」の順で示すと分かりやすいという意見に集約された。また、触図の表現に工夫があると視覚障害者自身がメージを膨らませ楽しめることが示された。(3)視覚障害者への鑑賞の工夫に「触れるもの」が大きな魅力であることが判明した。また、現状では、美術館同士の情報共有や、特別支援学校との連携ができていないことが分かった。 【考察】  コスト面、技術面から、立体コピーが導入しやすく、今後、美術館への立体コピーの普及が触図普及につながると考えられる。また、触図提供のマニュアル等が制作され、美術館と共有することで、美術館も積極的に触図を導入しやすくなることが期待される。今後、美術館と特別支援学校の連携を全国的に広めることで、視覚障害者の美術鑑賞を普及し、触図に対するリテラシーを向上させていくことが考えられる。 O-07 『防災への取り組み事例報告 』〜誰もが取り残されず、安心して避難できるように〜 山田 大(公益財団法人日本盲導犬協会)、多和田 悟(公益財団法人日本盲導犬協会) 【背景】  令和元年西日本豪雨災害で盲導犬ユーザーが被災し、盲導犬の救助に携わる。その後、日本盲導犬協会(以下、協会)は広島市消防航空隊より視覚障害者と盲導犬救助の相談を受けた。また、協会は島根県在住の盲導犬ユーザーより、盲導犬を伴う避難所の利用に不安があると相談を受けた。 【目的】  視覚障害者と盲導犬の災害時のヘリコプター救助及び避難所利用について、中国地方で始めた航空隊及び防災機関と連携した取り組みを紹介する。 【方法】  広島市消防航空隊に協力し、ヘリコプターによる視覚障害者と盲導犬の救助方法を検討・確立。救助隊員向けに視覚障害者に対する接し方・盲導犬の扱い方等の勉強会の実施。これらは視覚障害者・他のリハビリ施設職員にも参加いただき意見交換を行った。ヘリコプター救助に関する動画を広島市消防航空隊等と共同制作しYouTubeで公開した。  島根県の防災危機管理課に対して避難所への盲導犬(他の補助犬含む)同伴避難について盲導犬ユーザーと協会で要望書を提出した。また、島根県主催の防災訓練へ盲導犬ユーザーと資料等展示による啓発活動、避難所訓練に参加した。 これらの活動は、各航空隊及び防災危機管理課と連盟でメディアリリースを行った。 【結果】  ヘリコプターによる視覚障害者と盲導犬の救助方法について重要な点として@救助隊員が視覚障害者への誘導方法・説明の仕方を知る事A盲導犬救助の工夫と練習B安全な救助器具を確保した。この救助方法は防災航空隊のネットワークを通じて、中四国・新潟県・静岡県へも広がった。救助訓練についてはテレビ・新聞(点字毎日含む)等マスコミでも取り上げられた。  島根県は、県HPへ「避難所への補助犬同伴」についての記載、避難所運営マニュアルの見直し、避難所用の補助犬同伴ステッカーを制作を行った。 【考察】  活動の成果を広報する事で、視覚障害者に対して公的機関である防災航空隊や県防災担当の取り組みを広く知っていただき、中四国での取り組みが活動を通して全国への広がりを感じる。 O-08 継続的な連携支援を経て時間延長1.5倍とUDブラウザを使い高校受験した弱視の1例 稲葉 純子(いなば眼科クリニック、京都ロービジョンネットワーク) 【緒言】  京都府の高校入学試験の合理的配慮(特例措置)は中学と高校の校長間で申請・決定されるが明文化された基準はなく、弱視生徒の府立高校入学試験で時間延長1.5倍やタブレット端末使用例は過去になかった。継続的な連携支援を経て2022年度京都府立高校、京都府内私立高校の普通科入学試験に時間延長1.5倍、iPadでUDブラウザ(以下、UDB)を使用した弱視生徒の1例を報告する。 【症例提示】  公立の普通中学普通学級に在籍する両眼先天無虹彩の生徒。遠見視力は右(0.02)、左(0.05)、最小可読視標は視距離10pで0.2、読書速度は190文字/分。京都府視覚支援センター(以下、センター)と眼科医が本人と在籍校を継続的に支援し、校内試験では眼科医の情報提供とセンターの提案をもとに在籍校が合理的配慮を模索してきた。2021年夏に受験予定高校(公立、私立各1校)との受験相談時に眼科医より情報提供し、規定の10-11月に中学より特例措置申請書を各高校に提出し眼科医の情報提供書を添付した。申請した配慮内容は、実績と根拠に基づき@別室受験、A時間延長(国社1.5倍と数理英1.3倍)、B休憩時間の確保、CUDBによる問題閲覧とPDFでの書き出しデータの提供、D紙の拡大問題2部配付、E拡大問題の問題文傍線部と対応する設問への複数色によるマーキング、F拡大読書器と拡大鏡の持込」等である。私立高校からは12月に「申請内容を認める」旨の回答を得た。公立高校からは12月以後にABCEは不許可の速報が順次出ため、在籍校、センター、眼科医が三者で確認しつつ複数回の追加の申請書と情報提供書を提出して配慮を要望した。さらに眼科医が京都府教育庁および受験先高校の管理職と面談し、生徒の見え方の困難さや配慮の合理性を説明した。翌3月の公立高校中期選抜ではほぼ全ての配慮が認められた。 【考察】  在籍校、センター、眼科医の連携支援の継続を基盤とした配慮申請、府教育庁への詳細な説明と意見交換が配慮の実現に有効であった。 O-09 当事者の求める視覚支援学校卒業後のキャリアアップを目指す支援のあり方 刀禰 豊(岡山東支援学校) 【はじめに】  視覚障害を持つ児童生徒の社会のへの足がかりとしての視覚障害教育は例えば理療科のあり方を考えた場合、個々の学力に応じた国家試験への円滑なアプローチははかられることが学びの場としてその場所を選択した生徒にとっては、本人の学びの姿勢や努力は必要であるが、少なくともあはきの分野で国家試験をパスする部分までは何らかの支援が必要である。 【方法】  視覚支援学校を卒業した2名の生徒の在学中ならびに卒業後のキャリアアップ(国家試験に向けた)今までの状況や思いを聞き取り、分析することで、彼らの思いを実現するためのあるべき支援の方向性を探る。 【結果】  2名ともに20代の男性。中学校の段階より視覚障害学校へ進学、理療科に進学した。「あんま」のみの資格取得を目的とした学科に入学した。中学部から高等部普通科を進学後のことであった。一名は理療科在学の期間中にあんまの視覚を取ったが、他方は卒業中に資格取得にいたらなかった。その後在住地域外の教育機関に一年学んだがそこでも資格はとれなかった。あんま免許を取得した方ははり、きゅうの免許を目指し4月に地域外の機関で学ぶ予定である。他方の生徒はアルバイトをしつつ現在地元で次の国家試験を目指している。  彼らが指摘した意見の中で、在学中の学習支援がより希望に沿ったものであればという意見があった。また、卒業後も地域に戻っての学習支援の資源の不十分さを指摘していた。そのため十分な学習が進めにくいという意見であった。 【結論】  視覚障害学校に長期に在学し理療の資格を取っていた先輩たちは自分たちの目標でもあり、モデルであった。その意味で、個々の生徒に見え方に差があり、学習デバイスは異なっても彼らが社会に巣立っていくために長期の視点での学習支援や必要なツールの開発、整備が必要である。 13<ポスター発表> 【日時】 @ 奇数番号 7月16日 (土) 13:25 〜 14:25 A 偶数番号 7月17日 (日) 11:00 〜 12:00 P-01 視覚障害者へのジョブコーチ支援、その現状と課題 北神 あきら(特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN))、高西 透江(特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN)) 【目的】  SPANが2019年から実施している職場適応援助者による支援(以下ジョブコーチ支援)の内容を明らかにするとともに、その課題を提起することにより、より効果的な視覚障害者への就労支援を行うための指針とすることを目的とする。なお、ジョブコーチには、訪問型、企業在籍型、配置型があり、SPANが実施しているのは訪問型である。 【方法】  実施したジョブコーチ支援の内容(支援先の地域、業種、視覚障害の程度、支援内容など)について分析した。 【結果】  地域的には東京都、埼玉県など首都圏であった。業種は、製造業、金融業、サービス業、福祉施設や医療機関など様々であった。また、視覚障害別は、弱視78%、全盲22%、PCの使用方法は、目視あり61%、音声のみ39%だった。  支援内容は、支援機器・アプリの使い方等に対するサポート。ご本人にあった環境の構築、社内システム(例:勤怠・予定管理)、業務アプリ(例:介護系)の操作指導や助言、テンプレートや手順の作成のほか、職場内の環境調整、動線確認、業務切り出しの際の相談対応、業務実施の方法についての検討と職場との調整など、職場やご本人のニーズに沿って行っている。さらに、雇用管理サポーター制度により、地域を超えた支援、またスポット的な支援も行っている。 【考察】  支援先の職場やご本人からは高い評価をいただいているが、一方で、ジョブコーチ支援を通して以下のような課題が見えてきた。 ・制度を知らない、制度の理解が不十分 ・視覚障害者の支援ができるジョブコーチの不足 ・職場の協力が必ずしも十分でない ・オンラインでの支援が限定されている→テレワーカーや遠隔地への支援が不十分 ・技術の進歩が速く、支援しても短期間で再支援が必要になる 上記の課題を解決するためには、以下のような対策が必要だと考える。 ・ジョブコーチ支援制度のPR・啓発・視覚障害者に対応できるジョブコーチの養成 ・オンラインで支援できる条件の緩和・雇用管理サポーター制度の拡充 P-02 視覚障害者が細胞について学ぶワークショップの試行−二人で作ろう!細胞模型− 見沢 智子(筑波技術大学大学院)、宮城 愛美(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)、小林 ゆきの(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)、生田目 美紀(筑波技術大学産業技術学部) 【目的】  生命の基本単位である細胞を学習することは、生物の共通性と多様性を学ぶ貴重な機会である。視覚障害者と晴眼者がワークショップ形式で細胞模型を作製することで、細胞についての学習を深めることができると考える。本研究では、視覚障害者の主体的な学びの実現を目指して、視覚障害者と晴眼者が協力して細胞模型を作製する学習方法の開発を目的とする。 【方法】  学習内容、時間、模型の素材、調査項目等を検討するため、筑波技術大学研究倫理委員会の承認を得て、ワークショップを試行した。全盲の視覚障害者(大学生)と晴眼者(大学院生)が参加し、3回(各2時間、計6時間)実施した。1回目はアイスブレイク、事前テスト、細胞と素材の説明の後、作製について話し合った。2回目は細胞模型を作製し、3回目は作製した模型の説明の後、事後テストとアンケートを実施した。10日後に遅延テストを実施した。 【結果】  予定時間内に細胞模型を作製できた。アイスブレイクで、アイマスクを着けた晴眼者に視覚障害者がゲームの遊び方を教える様子が見られた。模型の作製は、触覚及び視覚情報を取り入れて素材を選定していた。視覚障害者は、事前テストで細胞小器官を全く知らなかったが、事後・遅延テストでは6/7問正解した。アンケートの結果では、両者ともに作製過程及び作製した模型に対して概ね満足しており、特に視覚障害者は素材の選定結果に対して、晴眼者は2人で作製したことに対して満足度が高かった。 【考察】  参加者が負担を感じることなく時間内に実施できたことより、時間配分は適切であったと考えられる。アイスブレイクによって相手を気遣いながらも自由に発言できる関係ができたため、作製が円滑に進んだと推測される。テスト結果より、視覚障害者にとって一定の学習効果があることが確認され、アンケート結果より、視覚障害者、晴眼者のそれぞれの満足度が確認された。今後は、参加者のイメージをより正確に反映するため、触覚や視覚の異なる素材を数多く提示することを検討していきたい。 P-03 盲学校における指導者養成課程修了者の実態及び歩行指導担当者について 堀内 恭子(日本ライトハウス養成部) 【目的】  日本ライトハウス養成部では、文部科学省後援及び厚生労働省委託による指導者の養成を実施している。本論では、盲学校における、指導者養成課程修了者(以下修了者)の在籍状況、歩行指導担当者の実態について明らかにする。  尚、修了生とは日本ライトハウス、国立障害者リハビリテーション学院、海外等の修了者とする。 【方法】  アンケート調査を実施した  期間:2022年2月7日(月)〜3月16日(水)  対象:全国の盲学校(特別支援学校)67校  調査方法:郵送およびFAXにてアンケート用紙を送付し、FAXにて回答を求めた。  回収率:100% 【結果】  67校全校で歩行指導を実施しており、修了者が在籍している学校は40校(59.7%)修了者が在籍していない学校は27校(40.3%)であった。各校に在籍している修了者数については、1名が20校で全体の50%を占め、2名が5校(12.5%)3名が6校(15%)4名が4校(20%)、5名、6名が各2校(5%)、8名が1校(2.5%)であった。修了者の総数は94名で、その内歩行指導を実施していると回答があったのは77名であった。修了生が歩行指導を実施していない場合、誰が歩行指導を担当しているかとの問いには、学校外の修了生17校、学内の修了生ではない教員33校、学外の修了生ではない者1校であった。 【考察】  盲学校67校の内、40校(59.7%)にしか修了生が在籍しておらず、在籍している修了者94名すべてが歩行指導を担当しているわけではないことが調査によりわかった。学外の修了生が歩行指導を担当している学校が17校有り、福祉機関等との連稀を図っていることがうかがえた。修了生が学内に1名しかいない学校が全体の半数を占め、修了生は在籍しているものの、学内の修了生ではない教員の関わりも示唆された。  歩行指導の専門性を継承し、児童、生徒に専門的な歩行指導を提供していくための仕組みづくりを検討する必要性があると思われた。 P-04 健康老人調査における国連の国際障害統計ワシントン・グループの指標の選択状況 北村 弥生(長野保健医療大学) 【目的】  本稿では、WGの指標が介護保険サービスを利用していない高齢者(健康老人)を、どの程度「障害がある」と判別したかを明らかにすることを目的とした。また、「眼鏡をかけても見ることに苦労する」と回答した健康老人の比率(以下、視覚障害率)と年齢階層別に性差があるか否かを明らかにする。WGの指標では障害福祉サービスの対象だけでなく、高齢者も含めた幅広い対象を「障害」として判別するため、WGの指標で判別された「障害者」から「健康老人」を減じて解釈すべき場合もあると考えられるためである。 【方法】  長野県飯山市が介護保険サービスを使用していない65歳以上の高齢者6251名を対象に毎年行っている基本チェックリスト調査に、WGの指標のうちWG-SS(短い質問群)6項目とWG-SSEnhancedから上肢2項目を追加して質問紙法による調査を実施した。返信のうち基本チェックリスト(KCL)25項目にひとつでも回答した5683件を有効回答とした(回収率90.9%)。 【結果】  @WG-SS6項目のうちひとつでも「はい」と回答した者の比率(障害発生率)は、全体で42.4%であり、年齢の上昇に伴い増加した。A視覚障害率は、全体で14.4%であり、64-89歳では視覚に関する障害率の変化は少なかった。C視覚障害率について、64-79歳群では男性が有意に多く、80-89歳群では女性が有意に多かった。 【考察】  これらの結果から、以下が示唆された。@障害の有無による余暇活動などを比較する場合には、WGの指標による「障害者」の中には、高齢群においては健康老人も含まれることに留意する必要がある。一方、教育については25歳以下、就労については65歳未満を対象にすれば、WG-SSによる「障害者」に加齢による機能制限がある者が入る可能性は低いと考えられる。A視覚障害率が高かった80歳未満男性と80歳以上女性への支援方法についての検討が期待される。 P-05 Amblyopiaによる誤知覚 格子と線分を視覚刺激とした一事例研究 斎藤 仁子(東京女子大学現代教養学部)、小田 浩一(東京女子大学現代教養学部) 【目的】  片眼性のamblyopia(医学的弱視)は、非amblyopia眼の視機能が正常な場合は日常生活に支障は少ない。しかし中途で非amblyopia眼が眼疾患等で視機能が低下するとamblyopia眼の見えにくさが顕在化することがある (Vereecken et al.,1984)。このamblyopiaの見えにくさは視力ではわかりにくく、滲みや歪み等が生じる (Pugh., 1958)。Barrettら(2003)はamblyopia眼に格子を見せてスケッチさせ、5種類 (波形、ズレ、方位の誤り、断片化、暗点)の誤知覚が起こると報告した。さらに大脳の一次視覚野にある方位選択性細胞の関与を示唆した。本研究は片眼性のamblyopiaで、非amblyopia眼の緑内障発症から視覚困難を示した事例が経験している線分の見えにくさをBarrettらの格子の研究と比較して関連を調べることを目的とする。 【方法】  事例は62歳女性、右眼内斜視による片眼性のamblyopiaで幼少期から右眼の視力が左眼より低かった。しかし20年程前より左眼に緑内障を発症し、現在の視力は右眼=(0.5)、左眼=(0.09)でamblyopia眼の方が高い状態である。  Amblyopiaの右眼単眼視で、PCに提示した方位と線幅の異なる格子と線分を観察させ、見えたものを両眼視により記録用紙に描かせた。結果は、Barrettらの5種類の誤知覚と比較した。 【結果】  事例の描いた格子はBarrettらの5種類の誤知覚とよく一致した。線分においても5種類の誤知覚全てが知覚された。また誤知覚は格子と線分の両方で線幅及び方位により変化した。 【考察】  事例が経験する日常の線分の見えにくさはamblyopia由来の誤知覚によると考えられた。さらに、Barrettらの主張するように大脳の一次視覚野にある方位選択性細胞の関与が考えられる。 P-06 透析室での1m視力表と眼科での視力について 加茂 純子(甲府共立病院)、中土居 祐太(甲府共立病院) 【目的】  透析を受ける患者の中には糖尿病患者が約半数を占め、視機能が落ちる率が多い。透析患者は時間的、体力的に眼科に受診ができないことあり、透析室で他職種でもできるColenbrander/Leaの1mのピンホール視力が眼科受診で得た矯正視力と一致するのか調べた。 【方法】  対象は2021年3月に甲府共立病院透析室で視力スクリーニングへの説明と同意を書面で得た患者35名(平均年齢 67.0±11.4歳 男25名 女10名)であった。このうち眼科受診があり矯正視力測定できたのは20名 (平均年齢 66.6±11.6歳、男12名、女8名)であった。透析室において500ルクスの視標面の照度となるように調整し、LeaまたはColenbranderの1mの視力表で裸眼とピンホールでの視力(眼科外来では矯正視力)を記録した。眼科受診を1年以内にしたものはカルテで矯正視力を調べた。分類はAMA(American Medical Association) とICO(International Council of Ophthalmology)が認めたFunctional Acuity Scoreを用いた。総合視力スコア=(右眼視力スコア+ 左眼視力スコア+ 3× 両眼視力スコア)/5 ピンホール視力と眼科での矯正視力の相関をPearsonの相関係数で調べた。 【結果】  全体ではxをピンホールで測定した1m視力表で得たFAS、yを眼科で測定した矯正視力からのFASとするとy = 1.1027x、R2 = 0.973と強い正の相関を示した。 【考察】  ピンホール視力のほうが悪い傾向ある。しかし、眼科に来る体力、時間的余裕のない透析患者に年1のスクリーニングにはさしつかえないと考えられた。 P-07 種々の情報獲得方略がロービジョン者の昇段動作に与える影響 宇野 直士(山陽小野田市立山口東京理科大学) 【目的】  触覚や聴覚は視覚情報の欠如を補填するが、それらの感覚器官から得られた情報がロービジョン者の昇降動作に与える影響は分かっていない。本研究は情報提示方法の違いがロービジョン者の昇段動作に与える影響を明らかにすることを目的とした。 【方法】  網膜色素変性症を原因疾患とする視覚障害者12名(43.2 ± 6.3 歳)を対象とした。被験者は段差高(段差高:4 cm, 10 cm, 20cm)の情報を3種類の異なる方略(条件A:足元から20 cmの距離に位置する段差を保有視覚により確認、条件B:足元から20cmの距離に位置する障害物を白杖と保有視覚により確認、条件C:ガイドの肘を把持し、白杖と保有視覚により確認)から得た。その後、足元に位置した各段差を昇る動作(各条件5回ずつ)をおこなった。そして、6台の高速度撮影機能付カメラを使用して各条件の下肢運動を記録した。解析により得られた3次元座標値をもとに運動パラメータを取得した。 【結果】  条件Aは条件B、Cと比較して、踏み込み足および対側の引き込み足ともに有意に高い足部軌跡を示した。また、条件Cの昇段動作時の踏み込み足変動係数は他の条件と比較して低値を示した。 【考察】  情報獲得方略の違いが昇段動作中の足部軌跡に影響を与えることが示唆された。特に、白杖を利用することで段差高をより正確に知覚することが可能となり、また、ガイドを利用することで昇段動作のばらつきが軽減され、ふらつきなどのリスクを抑制することが示唆された。 P-08 眼鏡型デバイスと類縁機器の性能比較 堀 寛爾(国立障害者リハビリテーションセンター病院)、谷 映志(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局)、水村 慎也(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局)、中村 隆(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)、清水 朋美(国立障害者リハビリテーションセンター病院) 【目的】  2022年2月現在上市されている眼鏡型デバイスと類縁機器の商品性能を比較し、現況と課題を整理すること。 【方法】  暗所視支援眼鏡であるHOYA MW-10 HiKARI(以下HiKARI)、網膜走査型ディスプレイであるRETISSA Display II(以下RETISSA)、フルカラー暗視カメラであるSIONYX BLACK(以下SIONYX)につき、カタログ記載情報を元に性能比較を行った。 【結果】  HiKARIとSIONYXは高感度カメラであり、RETISSAは単にディスプレイであるのでカメラ感度はスマートフォン等(タブレットを含む、以下スマホ)のカメラに依存する。重量はHiKARIがヘッドマウントセット185g+コントローラー350g、RETISSAがプロジェクタ40g+コントロールボックス500g+スマホ、SIONYXが274g+スマホであった。連続稼働時間はHiKARIが4時間、RETISSAが3時間、SIONYXが2時間程度であった。希望小売価格はHiKARIが40万円超、RETISSAが30万円程度、SIONYXが10万円程度であった。 【考察】  機器の性能は高い方が良いが価格に直結する。視覚障害者、特に夜盲のある者にとっての暗所視とは、晴眼者にとっての薄暮視であり、高感度カメラは過剰性能の可能性がある。またディスプレイの画素数も低視力者にとって優先順位は下がる。視覚補助具はいつでもどこでも使えることが重要であり、電子機器ではすなわち電源の問題に帰結する。昨今の携行型電子機器の重量は主に電池の重量に依存しており、重量と稼働時間はトレードオフの関係である。HiKARIもRETISSAもコントロール部に充電池を備え眼鏡部は軽量である。SIONYXはバッテリーパックを輪番で充電、使用することで長時間稼働も可能である。一部の自治体では日常生活用具として認められている眼鏡型デバイス等の、スマホカメラの単独使用と比較した特長がより明確になることが望まれる。 P-09 紙の本の読書を希望したレーベル病によるロービジョン者への拡大読書器による訓練事例 小林 章(社会福祉法人 日本点字図書館) 【緒言】  拡大読書器は低視力の人には使いやすい機器であるが、重篤な視野障害を持つ人が使いこなすためには視線や読書器のテーブルの使い方等に習熟することが必要である。この研究では下方に10度以上の傍中心暗点を持つレーベル病の女性を対象に行った、印刷本の読書を目標にした訓練事例を提示する。なお本研究の発表に際しては本人の同意を得た。 【症例提示】  研究の対象は上述の視野障害及び視力左右共に0.02の50代女性である。PC版MNRead-J(ポラリティB/W)で読書評価を行った結果、RA(reading acuity)1.09logMAR(minimum angle of resolution)、CPS(critical print size)1.13logMAR、MRS(maximum reading speed)58.41字/分と示されたが、結果のグラフ上では文字サイズ1.43logMARの時の読書速度が122.5字/分と示されていたため、読みの訓練は30cmの距離で1.43logMAR相当の文字を提示することにした。訓練は漢字、熟語、1行の文章、文庫本の形式でプリントした読み物の順で行った。読み物以外の教材は教育漢字1027文字から作成し、読み物は随筆や短編小説などから作成した。訓練時間は毎回90分で、適宜休憩を入れた。課題ごとの訓練回数は漢字1.5回、熟語1.5回、文章2回、読み物11回、合計16回で、最終回に文庫本を読んでもらった。読み物の初回は読書速度が100文字/分であり内容理解も十分ではなかったが、最終回までには平均で150文字/分で読み、内容を楽しむことができるようになった。 【考察】  漢字1文字提示の課題では読み誤りの傾向や混同しやすい文字が明らかになり、繰り返し学習により読み誤りが減少した。提示する文字の大きさは20mmで行っていたが、画面と目の距離が20cmになっていたので9回目の訓練から25mmに拡大したところ、読書速度が向上し安定した。 P-10 見え方が外見から判断できない弱視疑似体験用具の試作 永井 伸幸(宮城教育大学) 【目的】  視覚障害疑似体験のうち、弱視の体験では、ゴーグル型のものが用いられることが多い。この方法は、視野狭窄や混濁などの異なった条件を、キットを取り替えることで簡単に体験できるが、周囲の人間は装着しているキットを見ることでどのような見え方なのかを判断できてしまう。もし装着しているキットが見えなければ、「どのような見え方か」を探るための疑似体験も可能となる。そこで、見え方が外見から判断できない弱視疑似体験用具を試作し検討した。 【方法】  弱視疑似体験ゴーグル(高田眼鏡)とミラー断熱フィルム(リンテックコマース, HGS651S)を使用した。ゴーグルの両眼部分を覆うように、厚紙で幅130mm×高さ57mm×奥行き45mmの枠を作成し、その上面にフィルムを貼り付け、ゴーグルカバーを作成した。それを用いて、発表者自身を対象として明室で疑似体験を行い、印象を評価した。 【結果】  ゴーグルカバーをはめた状態の顔写真を撮影し、その画像を白黒二値化するなどしたが、どのような弱視体験をしているかを抽出できなかった。体験する立場としては、フィルムを通すと暗く見える(メーカー公表実測値で透過率12%)ため、カバー装着の時点で見えにくさが生じることとなった。 【考察】  今回試作したゴーグルカバーを使うことで、何を体験しているか外見からは判断できないことと、それ自体が見えにくさを生じさせていることが示された。それゆえ、見えづらさの体験としては、キットが意図している見えづらさ以外の要素を加えてしまうことになり、注意が必要である。一方、外見から体験の状態を知ることができないため、視覚障害者に関わる側の立場として「どのような見え方か」を探るための疑似体験としては、一定の効果があるのではないかと考えられた。今後は、実際の使用による評価をとおして、弱視疑似体験用具としての可能性と限界を検討する必要がある。 P-11 視覚障害者における国家試験受験 ゆいまーる会員弱視者の受験の工夫と配慮(1報) 佐藤 由希恵(視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる))、山脇 かおり(視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる))、守田 稔(視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる))  視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)は、視覚障害がある医療関係者の会で、総会員数は101名である。今回は、弱視の会員が国家試験受験時に受けた配慮と申請の流れやその時の気持ち等についてアンケートを行い、4名の会員より回答を得たので報告する。 <A>理学療法士試験受験 問題は拡大文字で読み、回答用紙に直接記入をした。弱視受験者の別室受験(時間延長は無し)試験時間や受験会場は通常どおりに行われた。学校で事前に必要な配慮の確認と申請を行ってくれていた。追加で申請出来ると良かった配慮は悪天候の時に使用できる電気スタンドを挙げていた。また時間延長も必要だったことも挙げられた。 <B>公認心理師試験 仕事について考え受験。長時間の試験受験が不安で、ネットや有資格者からの情報収集を行った。当日は、調光式卓上ライト、遮光メガネなどを持ち込み、環境調整がされた部屋で受験をした。配慮には満足し、内容は妥当だったと感じる。 <C>公認心理師試験 墨字を読むことや、勉強方法について悩んでいた。心理研修センターのHPを確認し、前年度手引きも参照して情報を得た。配慮に抵抗はなく、安心感を得ていた。音声受験を希望したが、時間延長や問題用紙の拡大、環境調整、自助具の持ち込みが認められた。配慮は肯定的に捉え、配慮内容は妥当だったが、音声読み上げか電子媒体で自由度が高い拡大などができると良いと感じていた。 <D>言語聴覚士試験(2013年)事前の勉強は、学校で行う模擬試験の他アプリで言語聴覚士の問題を解くことも行った。配慮申請は、専門学校の教員発信提案があり、提案された当初は配慮申請について強い抵抗感があった。配慮申請は、数か月前より行い、配慮申請書の作成、自光式ルーペや単眼鏡、定規など持ち込む物の写真を申請した。当日は、別室にて1人で受験をし、面接官が2名つく中で試験を受けた。時間延長はせずに試験に臨んだ。結果的に配慮申請をして良かったと感じている。当事者の視力の状況に合わせた試験受験が望まれる。 P-12 日常生活動作の獲得と定着を目指した先天視覚障害者支援における視覚リハの役割 鈴木 小有里(名古屋市総合リハビリテーションセンター)、福山 幸子(名古屋ライトハウス 光和障害者相談センター) 【目的】  訓練した日常生活動作を生活内で定着させることが難しいとされる先天視覚障害者に、家族の協力のみに頼るのではなく、家事援助のヘルパーがその役割を担うことでよい結果を出しつつある事例を通して、その効果的な方法と視覚リハの役割について検証する。 【症例】  先天全盲、女性、20歳。盲学校出身。日常生活動作のほとんどは家族の介助や見守りにより行われている。訓練開始時の本人の主訴は「一人で歩きたい」、家族は「人に訓練を勧められたが、何をどうしたらいいかわからない」であった。 【方法】  訓練の様子をその都度撮影し、注意点やポイントなどを記したファイルを作成。家でも実践できるようマニュアル化し家族に渡した。また訓練の見学や話し合い、情報交換を行い理解を促した。その結果、しばらくは家庭内で実践されたが、まもなく行われなくなってしまった。担当の相談員により日常生活動作を一緒に行う家事援助ヘルパーを導入。ヘルパーがマニュアルに沿って支援を行った。リハビリセンターの支援員は、半年に一度の担当者会に出席。ヘルパーの実践や計画を検証し、質問や困りごとに対し助言を行った。支援は現在も継続中。 【結果】  ヘルパー導入から1年以上経過し、今のところ良い結果をもたらしている。理由として@本人の家庭内での役割が復活し、動作が定着しつつある。A一部の動作は訓練で行った以上にステップアップできている。B本人の認識や意欲、家族の意識に変化が見られる。ことがあげられる。 【考察】  この事例を通して、次のように検証できる。@このようなケースが動作を習得するには、年単位の取り組みが必要であること。A家族は支援の専門家ではない。問題点や訓練の必要性を理解しても、生活内で継続して取り組むのは難しいこと。B有期限の福祉サービスは長期の支援を行えないが、アフターフォローとして専門家の視点でヘルパーを支えることで質の高い支援を本人に継続できること。そしてこのBは視覚リハの新たな取組み方の一つと言えないだろうか。 P-13 偏心視の読み速度向上に向けたトレーニング研究−参加者の内省に注目して− 今津 麻衣(広島大学)、氏間 和仁(広島大学) 【目的】  弱視者の中でも特に透光体混濁や中心暗点の有無が読み速度に大きく影響することが知られている。偏心視のある弱視者を対象に実施した読書トレーニングが読み速度に与える影響を検討することを目的とした。 【方法】  偏心視の弱視者2名を対象に正答率80%を超えると単語及び文の提示時間を短くする読書トレーニングを行ない、その前後でRSVPおよびPassage readingでの読み速度を測定し、トレーニング直後および1ヶ月後に内省を調査した。RSVPとは文を文節で区切りディスプレイの同位置に瞬間提示する方法であり、Passage readingとは200文字程度の印刷された文章を拡大読書器で音読する方法であった。トレーニングは4+4日間であり、1日あたり2時間程度であった。トレーニング間は1週間のインターバルがあった。本学倫理審査承認済み。 【結果】  RSVP読み速度は約2倍向上し、Passage readingは不変であり、先行研究と同様であった。参加者の内省からは、漢字の認識するのが難しいことが挙げられた。認識するのが速くなったことや、拡大読書器を用いた読みが速く感じるようだった。一人の参加者からは、左眼も使う方が読める文字数が多いことに気づき、意識的に左眼の使用を心がけるようになったという感想が寄せられた。全参加者から、トレーニング時間および日数は負担ではなく適切だったという意見が得られた。 【考察】  読書トレーニングにより、読み速度は限定的に向上した。日常生活の読みに近いPassage readingでの読み速度向上は眼球運動を含むトレーニングを取り入れることが必要であると考える。参加者自身が目の使い方に気づき、文字が捉えやすくなったという喜びが見えたことは大きな成果である。今後、読み速度だけでなく以前より速く読めるという自覚を持てることも重要視しながら、眼球運動を含む読み速度向上を目指し読書トレーニング研究の研究を進めていきたい。 【謝辞】  日本教育公務員弘済会の助成を得た。 P-14 コロナ禍における視覚障害者情報提供施設の対応についてのアンケート調査の報告 原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター)、竹下 亘(全国視覚障害者情報提供施設協会)、川崎 弘(全国視覚障害者情報提供施設協会) 【目的】  新型コロナの感染拡大に伴い、全国の視覚障害者情報提供施設では活動に制約や支障が発生した地域もあった。感染状況により全国での対応は異なるが、この期間の全国視覚障害者情報提供施設協会(以下全視情協)加盟館での様子や取り組みについて記録として残すことを目的として、アンケート調査を行ったので報告する。 【方法】  全視情協に加盟している全国の施設101施設に対して、メールでアンケート送信を行い、Googleフォームで回答を得た。調査の対象時期は1度目の緊急事態宣言(2020.4.1〜5.31)と2度目の緊急事態宣言(2021.1.1〜2.28)とした。調査期間は2021年3月6日〜31日であった。 【結果】  有効回答は65施設で回答率は64.4%であった。調査項目は、臨時休館利用制限等・サービスについて・製作について・職員の働き方について・経営についての5つに分けて実施した。利用制限では、1度目の緊急事態宣言では、34%が休館・閉館をしたが、2度目では5%であった。貸館については1度目は58%、2度目は46%が中止をしていた。オンラインによるサービス提供は1度目の宣言で28%が導入し、2度目の時には62%が導入をしていた。主に研修やIT支援事業を実施したようである。在宅勤務は1度目の時は49%が実施し、2度目は25%が実施していた。予算的な措置については、自治体からの補助があったと回答をしたのは18%であった。 【考察】  緊急事態宣言は全国一律で発令されたわけではないので単純な比較はできないが、都市部を中心に宣言期間中は開館・利用制限がでていたことがわかった。また貸館の制限によりボランティア講習等にも中止、延期等の影響があったことがわかった。一方でコロナ禍の期間が長くなるとオンラインの活用を進めて研修等の事業を継続していることもうかがえた。 P-15 堺市立健康福祉プラザでのオンラインによる視覚障害者リハビリテーション訓練 安山 周平(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター)、原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター)、山本 友里瑛(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター) 【目的】  堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター(以下、センター)では、コロナ禍でも継続した相談・訓練サービスを提供できるよう、2020年4月からZoomを利用したオンラインでの対応を開始した。本発表では、当センターのオンライン訓練の現状と今後の課題について報告する。 【結果】  2020年4月以降のオンライン訓練実施件数は187回で、2020年度が75回、2021年度は112回(2022年2月末時点)であった。緊急事態宣言等により堺市からの要請で2020年度は約2か月間、2021年度は約4か月間対面訓練を実施できなかった。2020年度は3回から13回と各月の利用回数にばらつきがあったが、2021年度には月10回前後と継続的な利用があった。オンライン訓練の実利用者数は15名で、2020年度が9名、2021年度は12名であった。訓練開始当初からオンラインという方は1名のみで、残りは対面訓練経験のある方であった。年齢層はいずれの年度も40代半ばから70代前半で、訓練科目は各年度とも多い順に、点字、iPhone・iPad操作、パソコンとなっている。iPhone・iPad操作については2020年度の8回から2021年度は44回と大きく増加し、各種アプリ操作や設定、iPhone・iPad本体設定が多くなっている。 【まとめ】  コロナ禍で対面訓練が実施できない場合に備えてオンラインでの対応を始めたが、対面訓練が可能になって以降も通所や訪問で片道40分以上かかる5名を中心に毎月一定数の訓練希望があり、オンラインが一つの訓練形態として受け入れられ始めたと考える。また、オンラインを活用することで利用者と指導員の双方にとって移動時間の節約になり、特に同行援護を利用してセンターを訪れる利用者にとってはサービス時間を他の機会に回せるというメリットがある。一方で、調理訓練や歩行訓練等ではオンライン訓練を実施できておらず、今後検討していく必要がある。 P-16 コロナ禍における「訓練受講者のつどい」の取り組み 武田 貴子(北九州市立介護実習・普及センター)、佐藤 寛子(北九州市立介護実習・普及センター)、纉c《クワタ》 康弘(北九州市立介護実習・普及センター) 【目的】  中途視覚障害者緊急生活訓練の中で、一対一による個別訓練以外に、当事者間の交流を目的とした「訓練受講者のつどい(以下、「つどい」という。)」を平成12年度より実施してきた。コロナ禍の中でも受講者の開催のニーズは大きく、感染予防を第一に考えた継続実施が求められた。新たな開催方法と結果を明らかにし、今後の「つどい」の課題を整理する。 【方法】  これまで、月に1回定員なしの1グループを対象として、開催時間120分、開催場所は当施設のみで実施していたが、対象を5名以内のグループとし、開催時間は60分に半減し、開催場所は移動距離に配慮して3か所に分散した。プログラムの内容も飛沫感染に配慮したものとした。 【結果】  メリットとしては、1.少人数グループにした事で、1人1人の発言がしやすい。2.大人数が苦手な人が参加出来る。3.開催場所を分散した事で、遠方だった方の参加が増加した。デメリットとしては、1.グループが固定されてしまう事で、参加者の顔ぶれに変化が少なく、盛り上がりに欠ける。2.プログラムの外部講師を依頼する事が困難。3.少人数に限定されるため、当事者間の情報交換も限定されてしまう。 【考察】  今後は、グループに変化を持たせ、少人数でも楽しめる内容の充実が求められる。また、コロナ禍だからこその孤立感を軽減するためのコミュニケーションや仲間つくり場として、気軽に参加出来る場所の一つとしたい。また、現地での開催が困難な際の方法として、オンラインでの開催も検討していきたい。 P-17 広島大学病院で実施した「視覚リハ連携支援プロジェクト」について 藤田 利恵(広島大学 大学院医系科学研究科)、田中 武志(広島大学病院 医療情報部)、益田 俊(広島大学病院眼科)、徳毛 花菜(広島大学病院眼科)、奈良井 章人(奈良井眼科・広島大学病院眼科) 【目的】  医療を尽くしても視覚の回復が期待できない患者を医療から福祉へ繋ぐことが急務であるが、その体制が整っていない。この状況を改善するために広島県でも眼科医会がスマートサイトを整備したが、福祉へ辿り着くまでに時間を要している。  そこで切れ目のない医療福祉連携を目指すために既存の施設を利用し且つ安価に実現できる方法を試みた。 【方法】  広島市視覚障害者情報センターの業務拡張という形で広島大学病院にて月2回、歩行訓練士と事務職員の派遣による院内福祉相談業務を行うこととした。  病院側は相談事業を担当する中堅の眼科医師2名と視能訓練士1名が、ロービジョン担当医と連携して福祉相談へつなげるべき受け持ちの患者を選定し積極的な福祉相談を該当患者に促した。更に医局内で相談事業を広報し相談への紹介も促した。  相談を利用する患者については、福祉相談員が第三者機関の職員であることを大学職員が説明し同意を得たうえで相談へ繋げることとした。 【福祉相談事業の概要】  2021年7月から広島大学病院内の眼科に隣接した部屋を利用して院内で医療と福祉の連携サービスを実現した。  相談件数は2022年2月までに外来患者の23件あり、そのうちの半数以上が手帳の取得についての相談であった。中には障害者手帳2級相当のケースも数件あった。  院外での福祉相談は未経験であるが、必要と考えられる入院患者の利用が新型コロナウィルス感染対策のため現時点では実現できていない。 【おわりに】  この事業により医療から福祉への切れ目のない連携の一歩を踏みだすことができ、順調な滑りだしと考える。しかし、障害歴の長い当事者でも福祉制度について認識がなく医療と福祉がつながっていないことを改めて認識した。  院内に相談室を開設したことで当事者も医師も福祉に対する心理的な敷居は下がったが、眼科医のロービジョンケアの認識を深めることが重要であると感じている。今後はこの事業が眼科医の負担軽減につながるかどうかを検証する。 P-18 富士宮市役所をコーディネーターとした見えにくい人の相談をつなげる地域づくり 堀江 智子(公益財団法人日本盲導犬協会富士ハーネス)、薬師子 知美(静岡県富士宮市障がい療育支援課障がい支援係) 【目的】  目の見えにくい人のワンストップ相談の仕組みとして、富士宮市役所障がい療育支援課を中心とした相談支援体制について活動を報告する。 【方法】  富士宮市役所には、昭和60年頃から手話通訳者とともに点訳者の職員配置がされ、現在は、視覚障害の担当者が、窓口で困りごとを聞いて相談に応じている。課をまたぐ相談ケースは市役所内で連携。白杖の選定や歩行等の相談は、当センターの歩行訓練士と連携。広く市内に周知することを目的として、市役所内で2020年3月から市主催の「目のみえにくい人のための生活相談会」を毎月開催し、市の広報や眼科にも周知した。当日、共催の富士宮市身体障害者福祉会から派遣された視覚障害当事者の相談員と、当協会の歩行訓練士、障がい療育支援課の担当職員の3名体制で対応。会場には拡大読書機器類や日常生活用具、便利グッズなどを展示した。 【結果】  合計12回開催し、本人家族、手帳有無にかかわらず参加人数は16人。相談内容は、サービスの利用方法、生活の工夫、用具の紹介、白杖選定など様々。来場のきっかけは別の申請で来庁、通りがかりや新聞、手帳交付時の案内など。 【考察】  富士宮市は、人口約13万1千人、身体障害者手帳の所持者数は、4,665 人(令和2年4月1日)、障害の種別では視覚障害が 291 人(6%)で、2級以下が191人である。また、新規で身体障害者手帳を取得する人のうち、視覚障害を理由に交付される数は、年間約20人ほどである。人口の多い地域とは違い対象者を把握しやすいイメージかもしれない。しかし、少人数だからこそ取り残されやすいことに視点を持ちたい。特にLV者は、数年経過してから相談が必要になることも多い。その時、誰一人取り残さないで相談につながる持続可能な地域を作っておく必要がある。眼科から福祉へのつなぎももちろん重要であるが、その中心が役所であることは最も理想であると考える。住み慣れた地域でワンストップの支援体制をどのように持続可能にしていくのか考えていきたい。 P-19 高知家のロービジョンケア?高知家ロービジョンケアネットワークの活動報告? 堤 理子(ごめん林眼科・高知家ロービジョンケアネットワーク)、濱田 佳世(すぎもと眼科・高知家ロービジョンケアネットワーク)、別府 あかね(高知家ロービジョンケアネットワーク)、金平 景介(公益社団法人 高知県身体障害者連合会 ルミエールサロン・高知家ロービジョンケアネットワーク)、坂本 康久(オーテピア高知声と点字の図書館・高知家ロービジョンケアネットワーク)、西岡 和美(オーテピア高知声と点字の図書館・高知家ロービジョンケアネットワーク)、上光 陽子(高知県立盲学校・高知家ロービジョンケアネットワーク 【目的】  高知県におけるロービジョンケア(以後、LVC)の向上を目的とした有志の集まりである高知家LVCネットワーク(以後、当会)が発足から3年が経過した。LVC紹介リーフレット「高知家のいっぽ」の作成をきっかけに活動を開始したが、活動内容と運営方法の変遷を経た3年間の活動を報告する。 【方法】  当会の活動内容を運営方法の変更前後の2期に分け、2018年8月から2020年8月までをファーストステージ、2020年9月から2022年3月までをセカンドステージとし、(1)活動目的、(2)運営方法、(3)会員構成、(4)勉強会活動、(5)活動資金、(6)会員間の情報共有、の6項目に関して比較検討した。 【結果】  (1)活動の目的は「高知家のいっぽ」の作成と導入から、運用と協力機関連携の維持に緩やかにシフトした。(2)当初は有志4名で会を立ち上げ、現在は各専門分野から人選された世話人10名で運営している。(3)会員数は34名から55名に増加した。(4)勉強会は年間6回から3回へ減った。(5)会費は徴収せず、2021年4月からは高知県眼科医会の補助金を活動資金としている。(6)会員はメーリングリスト(以後、ML)に登録することで入会とし、ML上で情報共有する形は現在まで継続している。 【考察】  「高知家のいっぽ」作成にあたり、医療・福祉・教育の専門機関が一堂に集結し、導入に際しての話し合いと協力により連携が形になった。現在はより広く運用していくために眼科医療機関・相談窓口機関双方へのアンケート調査を実施するとともに協力体制を継続するための模索をしている。定期的な勉強会は会員同士の「顔の見える関係」を作るために大きく役立つが、活動基盤が個人の有志であるため、開催期間を2か月毎から4か月毎に切り替えることで無理なく活動を維持している。   今後は更なる会員の増加、活動の工夫、予算配分、会員間の密な情報共有を発展させ、当会を維持継続することが高知県のLVCのサードステージにつながると考える。 P-20 誰一人取り残さない高知の視覚リハをめざして〜ルミエールサロンの20年活動報告〜 金平 景介(公益財団法人 高知県身体障害者連合会)、中川 理沙(公益財団法人 高知県身体障害者連合会)、日浦 胡桃(公益財団法人 高知県身体障害者連合会)、吉野 由美子(視覚障害リハビリテーション協会)、別府 あかね(町田病院) 【はじめに】  高知県立盲学校内に開設されている視覚障害者向け機器展示室ルミエールサロンは令和3年に20周年を迎えた。令和3年10月には、20周年記念式典を開催した。 【目的】  開設した平成13年から令和3年度までのルミエールサロンの来場者数、出張機器展示の回数などの実績と高知県の事業で実施している生活相談・訓練事業の実績などを報告し、誰一人取り残さない高知県の視覚障害リハビリテーションを実現するために、20年の実績を振り返り、今後の活動のために必要なことを検討する。また、大会参加者からご意見をうかがい、参考にしたいと考えている。 【ルミエールサロンの実績】  開設したH13年とコロナ禍のH31年度~R3年度を除き、年間約300名(当事者は約50名)以上来場している。出張機器展示は年間10回以上実施している。 【高知県生活相談訓練事業の実績】  生活相談訓練事業を実施する歩行訓練士の増減に伴い、多少の変動はあるものの、概ね相談訓練を実施した人数、回数は増加傾向にある。さらに近年では、高知県版スマートサイトの啓発の効果もあり眼科医療機関との連携が深まり、医療機関からつながるケースの割合も増加している。 【まとめ】  相談訓練事業のニーズが枯渇せず、新たな相談が増えていることは、様々な機関と連携協力しながら啓発活動を実施してきたからだと思われる。ニーズを掘り起こすための啓発活動は、永続的に実施していかなければならない。また、新たな機関との連携を探ることが啓発活動となり、新たなニーズの掘り起こしにつながると思われる。  誰一人取り残さない高知の視覚障害リハビリテーションを実現するために、相談訓練事業と啓発活動を両輪として活動していきたい。 P-21 ロービジョンの高齢利用者へのデイサービス施設での配慮の進化と職員の意識について 吉野 由美子(視覚障害リハビリテーション協会)、舟越 智之(通所介護(歩行訓練特化型)デイサービスエバーウォーク両国店) 【目的】  第29回大会で報告した介護保険制度で運営されているデイサービス施設「エバーウォーク」でのロービジョンのある高齢者が見えやすくなるための配慮(工夫)が、この1年ほど、さらに進化している点に着目し、(1)進化している工夫の詳細について工夫を必要としている個別の利用者の状態も加味しながら報告する。(2)工夫をリードしている職員(看護師)の方への聞き取りを元に、工夫の提案をし実行する原動力となっている考え方について報告する。 1 「進化した工夫について」発表の中で画像を含め詳しく説明する。 2 「工夫を積極的に行う職員の方への聞き取り内容」 1)様々な不自由さを持った高齢の利用者が安全に移動でき、周りの出来事が分かりやすいように環境を整えるという視点で物を考えるのは当たり前に身についた考え方。そのような視点に沿って見れば、配慮の仕方は見えてくる。 2)看護師として眼の病気のこと、様々な見え方のことについての知識は少し持っていた。また前のデイサービス施設では全盲の方を受け入れていたので、その方の誘導法、物の位置を変えないことなどの知識は得ていた。 3)見えにくさについて訴えてくれる利用者の言葉は環境改善に大変参考になる。また利用者の病歴と一人一人の動きに注意して、見えにくそうだと思った時は、こちらから声をかけて困りごとを引き出すようにして、できる範囲で問題を解決するようにしている等。 【活動を通して伝わってきたこと】  見えにくさのある利用者の一人一人の見え方についての知識があったら、もっと早く環境改善ができたのに、知識がなかった。もっと知識があったらという職員の思いが伝わってきた。高齢者の介護に携わる全ての職種の方達に、「様々な見え方があること、その原因、環境改善」の知識が持てるように、養成教育や現任者の研修の中で、ロービジョンケアについて学べる機会を作ることがサービス向上の鍵である。 P-22 視覚障害者が当たり前に働けるICT環境の実現を目指す活動 山田 尚文(認定NPO法人タートル)、伊藤 裕美(認定NPO法人タートル)、大橋 正彦(認定NPO法人タートル)、亀山 洋(認定NPO法人タートル)、神田 信(認定NPO法人タートル)、熊懐 敬(認定NPO法人タートル)、高原 健(認定NPO法人タートル)、松坂 治男(認定NPO法人タートル)、吉泉 豊春(認定NPO法人タートル) 【目的】  視覚障害者の就労におけるICT環境の様々な課題を解決し、視覚に障害があっても、当たり前に働けるICT環境の実現を目指す。 【経緯】  昨今のICT技術の進化は、私たち働く視覚障害者の就労機会を大きく広げる可能性がある反面、アクセシビリティに配慮されていない環境が就労機会の妨げになったり、新たな環境に対応するための訓練や情報収集が必要になるなど従来以上に視覚障害当事者に負荷がかかる等、新たな課題が出てきている。認定NPO法人タートルでは、こうした課題を解決すべくICTサポートプロジェクトを立ち上げ、2020年11月より活動を開始した。 【活動内容】  活動開始にあたり、2020年12月から約1ヶ月間をかけてアンケートを実施し、実態調査を行った。その結果、84.6%の視覚障害者が何らかのICT分野での困りごとを抱えており、特にコロナの影響によってテレワークが増加したことで、仮想デスクトップやシンクライアント、業務システムへのリモート接続など、新たな環境に戸惑う場面が増えてきているという実態が見えてきた。  こうした課題の解決を目指して、本プロジェクトでは、主に下記の3つの活動を行っている。 @ICTポータルサイトによる情報提供  視覚障害当事者だけでなく、ICT環境のアクセシビリティやバリアフリーに関心のある方に向けた情報提供。 AICTグループメールによるメンバー間での情報共有  就労におけるICTの話題や課題解決、ノウハウ共有の場。 BICTサロンによるリアルなコミュニケーションの場の提供(奇数月の第1日曜日)  ゲストによる講演やパネルディスカッション、参加者間での情報交換等 【まとめ】  本プロジェクトは、就労におけるICT分野での情報ハブとして、視覚障害当事者はもちろん、関係団体や企業、開発者などとも連携を深める事で、全ての視覚障害当事者のICTスキルの向上とよりよい就労環境の構築に寄与していきたいと考え活動している。 P-23 職場復帰に向けた視覚リハ訓練とジョブコーチ支援の一例 松枝 孝志(名古屋市総合リハビリテーションセンター 視覚支援課) 【目的】  就労中の方が中途の視覚障害となると見えづらさにより就業能力が低下することで、仕事の継続が難しくなる場合が多い。就業能力だけではなく、生活面においても不自由を感じることが増え、生活面や就業面など多面的なアプローチが必要となる。今回は就業中の方が中途視覚障害となり休職期間に視覚リハ訓練と復職後にジョブコーチ支援を続けて実施した事例について報告する。 【症例】  脳疾患による視覚障害があり視力は右光覚なし、左0.02。視野は全体的に欠損している。 【方法】  本人や家族の希望をもとに、障害福祉サービスの機能訓練(視覚障害)による視覚リハ訓練を開始した。開始当初は通所にて音声パソコン操作、歩行訓練を週2日実施していたが、集中的に訓練を行いたいという希望があり、施設入所支援を受け週5日間の訓練を8か月実施。その後、通所にて週3~4日間の訓練を7か月実施した。復職に向けて、職場との調整を繰り返し実施した。訓練を経た復職後にはジョブコーチ支援を6か月間実施し復職後の社内環境の調整や本人に対する支援を実施した。 【結果】  視覚リハ訓練により、白杖歩行技術を習得し通勤や社内の移動が可能となった。iPhone、音声パソコン操作を習得し就業に必要なパソコン操作が可能となった。復職にむけての調整を実施し、業務設定など会社と本人のすり合わせができ復帰後のイメージが作成できた。ジョブコーチ支援により本人の社内ネットワークでのパソコン操作が可能となり、職場環境の改善により社内での移動の安全性が向上した。就労を継続できる環境・体制を整えた。 【考察】  今回の事例では、入所・通所による視覚リハ訓練とジョブコーチ支援をシームレスに連動させることで視覚障害者の復職と就労の継続につなげることができた。視覚リハ訓練、復職調整やジョブコーチ支援の全体を一つの事業所が統一感を持って実施したことでスムーズな職場復帰につながったと思われる。 P-24 短期視覚障害リハビリテーションでの遠隔ロービジョンケア 笹山 夕美絵((公益財団法人)日本盲導犬協会 仙台訓練センター)、大谷 孝典((公益財団法人)日本盲導犬協会 仙台訓練センター)、菅原 美保((公益財団法人)日本盲導犬協会 仙台訓練センター)、佐渡 一成(かまいしベイ眼科クリニック)、今野 瑛之(ひでゆき眼科クリニック) 【はじめに】  当協会では、視覚障害リハビリテーション(以下視覚リハ)受講のきっかけとした1週間程度の入所型訓練として、短期視覚障害リハビリテーション(以下短期リハ)を行っている。そのプログラムの一つとして、仙台市内の眼科医(佐渡)の面談を取り入れたロービジョンケア(以下LVケア)を実施してきた。方法は、当協会と同市内にあったさど眼科(当時)で短期リハ利用者が眼科的な検査を受けた上で、検査結果を元にした短期リハ内でのLVケア実施である。2020年に佐渡が同市内から約230km離れた岩手県釜石市に転院したのをきっかけに短期リハでのLVケアをいかに続けていく事を検討した結果、検査を仙台市内のひでゆき眼科クリニック(今野)で行い、釜石の佐渡が検査結果をもとにオンラインで面談を行う遠隔LVケアという形で継続することができた。今回は従来の対面LVケアと遠隔LVケアを比較して今後について検討する。 【短期リハでのLVケア】  佐渡との対面LVケアは2004年から2020年で、2021年から遠隔LVケアに切り替えた。対面は参加者275名中57名(21%)で、遠隔は2022年3月現在で11名中6名(57%)だった。遠隔LVケアのデータは少ないが、短期リハ後の参加者アンケートからも、じっくり眼科医に話を聞いてもらえたことは、とても良かったという感想が得られている。 【考察と今後について】  対面と遠隔の比較をしてみても、遠隔の実施回数はまだ少ないが参加者の感想から推測できる事は、遠隔LVは対面と遜色ない満足度が得られている。遠隔でのLV支援は施設(専門家)間での連携があれば、物理的距離の問題がなく、さまざまな効用が得られる可能性を示唆している。視覚リハ導入期にいる参加者にとっては、対面、遠隔のどちらかというよりは早期に的確なケアに繋がることが重要であると考えられる。  今後は物理的距離の関係で諦めていた出張短期リハもオンラインの活用を考慮しながら、視覚リハの可能性を広げていければと思う。 P-25 愛知県下の自治体と業務委託で実施した視覚障害者歩行訓練事業 坂部 司(特定非営利活動法人愛知視覚障害者援護協議会)、山本 潔(特定非営利活動法人愛知視覚障害者援護協議会)、川部 幹子(コスモス眼科、特定非営利活動法人愛知視覚障害者援護協議会)、北川 周一(北川眼科) 【活動目的・方法】  愛知視覚障害者援護促進協議会(以下、本会)は、視覚障害者歩行訓練事業(訪問型)を委託契約で実施した。この地域の眼科医や視覚障害当事者団体が、自治体に働き掛けて眼科医療機関・福祉行政・歩行訓練士(以下、視覚障害リハワーカー)との連携により中間型アウトリーチ支援活動が有効であったので報告する。  委託先自治体は、愛知県北部の1市2町である。視覚障害当事者及び家族のニーズに応じた情報提供(福祉制度・用具・訓練施設紹介等)、歩行訓練、家族への指導を目的とした。訓練開始までの手続きは(1)眼科医、福祉職員が自治体の事業を紹介。(2)視覚障害当事者は自治体窓口に事業申請書を提出。(2)自治体は本会に申請者の訓練決定通知を連絡。(3)第1回目の面談場所は原則通院先眼科医療機関とし、視覚障害当事者(家族含む)・福祉行政担当者・眼科医または視能訓練士・視覚障害リハワーカーで面談を行い今後の計画を決定する。第2回目以降は視覚障害リハワーカーが当事者宅に訪問して訓練を実施する。その成果と問題点を報告し、今後の事業運営の充実に向けて検討する。 【考察】  訓練内容は白杖の入手方法と訓練、手引き誘導歩行、電車乗降訓練、拡大読書器、福祉サービスの紹介、家族への手引き誘導方法の指導、他施設の紹介等である。音声時計、自治体発行「声の広報誌」等の活用も紹介している。歩行訓練の他に買い物の仕方等が視覚障害当事者及び家族にはQOLの向上に繋がった。眼科医は視覚障害リハビリテーションの窓口となり、福祉行政・眼科スタッフ・視覚障害リハワーカーは当事者及び家族のニーズ等の情報収集することが可能となった。この事業から各専門職が訓練開始時から情報を共有することの必要性を再認識することができた。今後の課題としては、当事者同士の情報交換の場が行われると、更なる効果が得られると考える。 P-26 書籍『見えない地球の暮らし方』による情報提供の試み 石川 佳子(京都府視覚障害者協会)、小寺 洋一(京都府視覚障害者協会) 【目的】  見えない・見えにくい状況でITが活用できない方、または軽度のロービジョン(LV)者は制度やサービスの外側であることから相談機関につながりにくく、日常生活の不自由さを抱えているケースがある。情報入手困難な見えない・見えにくい人に対し書籍によるQOL向上のヒントの提供を試みた。 【方法】  視覚障害者の日常レポートと見え方見えにくさ体験ページを収録した書籍を制作し、情報を直接当事者、関係者に無料配布する。製作方法:製作費確保のための募金活動。視覚障害当事者がレポートするメルマガ色鉛筆(当会発行)にて読者アンケート(眼科で教えてほしかった情報についての調査)を実施し、疾患発症段階からのLVケアのニーズを収集、バックナンバーより視覚リハビリテーションのヒントとなるレポートを選択。「見えない見えにくいあるある川柳」を募集。LV者による見え方体験ページ(フォント・イラスト)の視認モニタリング。 【結果】  寄付金総額286万円、寄付金件数280件。2021年5月2000部制作、翌月1000部重版、テキストデータCD版と電子書籍を作成。全国の医療・福祉・教育・当事者・ボランティアなど370件2899部を配布。サピエ図書館より音声デイジー・テキストデイジー利用が可能。点字データを製作中。電子書籍キンドルにて無料公開。当会HPにてテキストデータ公開。配布先は医療90件1345部・教育21件155部・福祉47件705部・当事者170件623部・ボランティア33件58部・不明9件13部(2022年2月末時点)眼科医・視能訓練士からLVケアの活用希望があった。あきらめていた読書への意欲につながった当事者もいた。見え方見えにくさ体験ページについて「ここに伝えたいことのヒントがある」の声が寄せられた。 【考察】  読書に困難を抱える当事者からの寄付、希望が多数あった。医療から直接書籍を配架することで早期のLV者やITが活用できない方に情報を届けることができた。このことから書籍による情報提供は有益だと考える。 P-27 視覚障害職員のICTアクセシビリティ向上の取り組み 押野 まゆ(日本盲導犬協会 日本盲導犬総合センター)、郷 明博(日本盲導犬協会 神奈川訓練センター)、山岸 尉泰(日本盲導犬協会 神奈川訓練センター) 【目的】  視覚障害者が一般就労する際、社内システム利用等に課題を感じるという意見がある(参考:認定NPO法人 タートルの会 ICTサポートプロジェクト アンケート)。日本盲導犬協会には3名の視覚障害者職員が在席しており、社内システムのアクセシビリティ対応とグループウェアをスクリーンリーダーで操作する上での課題と、スマートフォン活用の有効性を検証した。 【方法】  使用しているスクリーンリーダーはPCトーカー2名、ジョーズ3名、NVDA1名 1・社内システムの改修 ・ICT担当部署・システム提供企業を交え、当事者がスクリーンリーダー利用で自力で操作できる環境を整えた。 2・グループウェアのPC/スマートフォンアプリの操作検証 使用しているツール:会議・チャットツール 勤怠管理ツール 掲示板ツール スケジュール管理ツール ・業務内で必要とする機能の洗い出しと重要度をそれぞれ4段階で評価。必要とする機能の操作が「可能」「簡単ではないが可能」「不可能(方法がわからない)」の3段階で評価 【結果】  社内システムは腫瘍項目ごとにジャンプ機能を設定し、タブキーで項目移動できるよう内部プログラムを改修することで必要な操作がほぼ可能となった  グループウェアのスクリーンリーダーの違いによる操作性の違いは見られなかった。また、提供されているスマフォアプリ版を使用することで業務上重要度が高くPC操作が困難であった機能のほとんどが操作可能であった。一方で、共有ファイルの閲覧等に課題が残った。  3名分のデータをまとめ、課題の根本が個人のスキルとシステムどちらにあるかを明確化できた。現在残った課題解決に向けてICT担当と連携し取り組んでいる。 【提言】  個別性が高い社内システムの操作指導、システム提供者や企業の意識向上など多くの課題があるが、当事者とICT担当双方が知識を持ち連携することで課題解決がある程度可能である。就労分野での合理的配慮の広がりを期待する。 P-28 コロナ禍における交流サロン 山本 友里瑛(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター)、原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター)、安山 周平(堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター) 【目的】  堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センターでは、月に一度視覚障害者向けの交流サロン(以下サロン)を実施している。サロンは人が集まるため、新型コロナの感染拡大により企画の中止や振替え、変更といった影響を受けた。今回はコロナ禍の2020年度、2021年度に実施したサロンにあたっての取り組みについて報告する。 【サロン概要】  見えない・見えにくい方、ご家族、ボランティアの方が対象。毎月第2土曜日の開催を基本とし、月に2度開催する場合もある。1回の開催時間は1時間程度。参加費は無料で、堺市外の方も参加可能。内容はICT機器体験・講習会、意見交換会等。 【実施状況】  堺市の要請により、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の期間中は対面形式でサロンを実施できなかった。2020年度の対象期間は中止、それ以外の期間も3密を避け、人数を制限しての開催となり、コロナ禍以前と比べ参加者数が大幅に減少した(約7.5割減)。2021年度からZoom及びYouTubeライブを利用したオンライン形式のサロンに取り組み始めた結果、2019年度と比べ家族やボランティアを含む全体参加者数の減少はあったが(約5割減)、視覚障害者の参加人数は大きく変わらない状況となった(2022年2月末時点)。  年間実施回数・参加人数は、2020年度が18回(うちオンライン0回)、計81名(うち視覚障害者49名)、2021年度が13回(うちオンライン11回)、計157名(うち視覚障害者138名)だった。(参考)2019年度は14回、計334名(うち視覚障害者120名)。 【まとめ】  オンライン形式のサロンを開始したことで、多くの視覚障害者に参加いただくことができた。普段来館が難しい遠方の方の参加も増えており、今後も継続して開催していきたい。一方でオンライン形式になることで参加が難しくなった方や対面形式の希望もあるため、オンラインと対面のハイブリッド形式での開催等、より多くの方が参加出来る工夫や企画が必要であると考える。 P-29 視覚障がい者向けオンライン美容セミナーに関する報告−参加後の心理的変化を中心に− 中川 亜衣子(株式会社ファンケル SDGs推進室)、高橋 市子(株式会社ファンケル SDGs推進室)、奈良 里紗(東京大学先端科学技術研究センター特別研究員PD)、山本 紗未(視覚障がい者ライフサポート機構“Viwa”)、城谷 直人(やまネット) 【はじめに】  ファンケルは、「すべての方にいつまでも美しく健やかに過ごしていただきたい」という想いから、1988年から社会貢献活動の一環として全国各地で様々なセミナー・教育活動を開催している。2013年、盲学校からの依頼があったことをきっかけに、視覚障がい者向けメイクセミナーを開始した。コロナ禍により対面でのセミナーが難しくなり、2020年10月からは、視覚障がい者ライフサポート機構“Viwa”との協働で視覚障がい者向けオンラインセミナーを開催するようになり、現在は“viwa”だけでなく、やまネットや他団体と年間30件程度のオンラインセミナーを開催している。 【目的】  本報告では視覚障がい者向けオンライン美容セミナー(以下、セミナーと示す)が参加者に及ぼす心理的変化を明らかにすることを目的とした。 【方法】  2021年4月〜2022年1月に開催した26回のセミナーに参加した視覚障がい者148名(女性140名、男性8名)を対象とした。開催方法はいずれもオンライン形式(zoom)を用いた。  参加者の募集、使用する商品の送付、参加者への連絡にあたっては、視覚障がい当事者団体に協力を要請した。セミナー内容はスキンケア、メイク、ヘアケア、サプリメント等であり、終了後に得られた参加者からの内省報告を分析に用いた。 【結果】  セミナー終了後の内省報告を分析した結果、@外出意欲向上、A自身の見た目への関心が生まれる、Bコミュニケーションスキルとしての身だしなみへの気づき等が見られた。 【考察】  セミナーに参加することでコロナ禍でふさぎがちになっていた心理的状態が向上し、その結果、外出意欲や人とのコミュニケーション意欲へとつながっていた。  こうしたセミナーを持続可能な活動としていく上では、視覚障がい当事者団体等との連携が必要不可欠であると考えられる。当事者同士の集まりであることから、参加者が心理的安全性を感じながら失敗を不安に感じることなく前向きな結果へとつながったものと推察できる。 P-30 チャリティを活用した弱視児に見やすい定規セット製作の経緯 岡島 喜謙(羽二重ねっと・福井県立盲学校)、和多田 秀一(和多田デザイン)、久保 律子(羽二重ねっと・福井県立盲学校) 【目的】  視覚に障がいを有する児童の学ぶ環境を整えるため、使いやすい文具の存在はかかせない。しかし、それらを必要とする児童は年々減少傾向にあり、市場は縮小傾向にある。そのため弱視児や保護者が探しても使いやすい文具がなかなか見つからなかったり、商品化されても販売が継続されなかったりする。 今回羽二重ねっとでは、福井県が生産量全国一を誇るメガネのデザイナー和多田氏と協力し、弱視児用定規セットを一から製作し、必要な児童に配布した。その経緯を報告する。 【経緯】  和多田氏はランニングを趣味とし、その様子を匿名でinstagramに投稿している。ある日、所用で走れなかったため、自ら使用しているシューズのイラストを投稿した。そのイラストがフォロワー間で話題となり、それをプリントしたTシャツを制作し販売することとなった。それらは40枚近く売れ、収益金を羽二重ねっとに寄贈いただいた。  フォロワーからはこの企画の継続を望む声があがり、再度Tシャツをデザインし販売した。最終的に前回の10倍の400枚が売れ、それらの収益で何か視覚障がい者の役に立つものを送りたいという希望から、今回の弱視児用定規セットの製作へとつながった。  弱視児がより使いやすく見やすくするため、製作の過程で何度も打ち合わせを行った。また、また製作にかかる費用を極力抑えるため、国内外の業者に見積もりを取り、最終的に福井市内の業者に製造を依頼することができた。  今回は、これらの経緯について報告する。 P-31 第四回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール開催報告 神田 信(株式会社パリミキ)、今富 昭二(株式会社パリミキ)、中村 成美(株式会社パリミキホールディングス)、北村 紀子(株式会社パリミキ)、影山 正樹(株式会社パリミキ)、青山 ゆう子(株式会社パリミキホールディングス)、焦 然(株式会社パリミキ)、佐藤 仁彦(株式会社パリミキ) 【開催目的】  視覚障害当事者だけでなく、それぞれの立場から、川柳を通して視覚障害を表現し、互いの理解と愉(たのしみ)の提供。また、広く一般に視覚障害についての理解を促し、啓発する。 【開催概要】 募集期間:2021年12月1日〜2022年1月31日 募集部門:(1)見えにくさを感じている方部門:ロービジョン・ブラインド・色覚障害・盲ろう等の当事者      (2)メディカル・トレーナー部門:医療関係者、訓練施設職員等      (3)サポーター部門:家族、友人、職場関係者、ヘルパー、一般等 募集方法:視覚障害関係を中心に多くの団体、個人を通じて告知し、特設サイトを通じて募集した。 【結果・まとめ】  応募総数2,954句。過去最多となった。  特に、サポーター部門が増え、メディカルトレーナー部門も数を伸ばしたが、残念ながら見えにくさを感じている方部門は僅かに前回を下回った。  サポーター部門の増加は、本コンクールが社会に少しづつ浸透し、視覚障害の啓発に繋がってきている傾向と考える。また、メディカル・トレーナー部門の応募数増についても本協会員の協力に感謝したい。  選考結果は次の通り。最優秀賞は「消毒液声を出してよどこにいる」、後援のNEXT VISION賞は「できぬこと認めて観えるできること」に決定し、それぞれ視覚障害当事者が受賞した。併せて各部門賞、入選100句も発表した。  今回は、心の表現をはじめ、鉄道ホームや信号機、外出先でのトイレについての定番の困りごとに加え、前回に続き、コロナ禍における生活を風刺した句が多数集まった。また、テレビドラマ「ヤンキー君と白杖ガール」に因んだ作品も多く寄せられたことも特筆したい。  今回も、新聞、ラジオに取り上げてもらい、その際、コンクールHPに、ご協力いただいた各団体のリンクを貼っているので、視覚のことでお困りの方に活用いただきたいと訴えた。また、医療専門学校からの申し出があり、過去の作品を教材として活用していただくことにもなった。 P-32 若者や障害者の多様性理解向上を目指したクライミング活動実践報告 小林 幸一郎(NPO法人モンキーマジック)、白井 唯(NPO法人モンキーマジック)、木本 多美子(NPO法人モンキーマジック) 【緒言】  NPO法人モンキーマジック(以下、モンキーマジック)では、全国で視覚障害者を始めとする人々にクライミングの普及活動を行っている。2021年度は英国のスポーツを通じた社会貢献を行う財団からの助成を受け、若者や障害者の多様性理解向上を目的とした事業を行ったことについて報告する。 【活動提示】  モンキーマジックでは、障害の多様性理解を深めることを目的として、障害の有無に関わらず参加できる交流型クライミングイベント(以下、イベント)という事業を展開している。この事業は2012年に東京での立ち上げを皮切りに、全国16箇所で、地域に根ざした形でイベントが開催されている。2021年はCOVID?19の影響により、イベントを開催できた地域は13箇所であったが、参加者数は延べ615名でうち障害者は278名、内訳として健常者337名、視覚障害217名、その他の障害61名となっている。その他にも若者の多様性理解向上とイベントへの若者参加を促す目的として、インターンプログラム事業を展開した。24歳以下の女性3名、男性1名、うち視覚障害2名がインターン生としてイベントに参加し、多様性と出会う機会を創出した。 【考察】  イベントは参加者のうち約半数が障害者であり、障害者の活動機会の場として、また多様性理解を深める場としても需要性があると考える。また、視覚に障害のあるインターン生がクライミングを継続するために人生初めてのアルバイトを始めるなど社会性の向上が認められた。しかし、若者参加については全体の14%に留まり、想定していた結果にはならなかった。今回の助成元からは全世界のスポーツを通じた社会貢献活動団体への表彰候補5団体の一つとして弊会がノミネートされるなど、この活動への世界からの期待が寄せられたことは、2022年度以降改めてこの活動を展開して行くべきと、確認できた大きな成果であると言える。 P-33 視覚障害者の国家試験受験・音声を用いた受験〜ゆいまーる会員の事例(第二報) 前北 奈津子(視覚障害を持つ医療従事者の会(ゆいまーる))、石倉 正徳(視覚障害を持つ医療従事者の会(ゆいまーる))、守田 稔(視覚障害を持つ医療従事者の会(ゆいまーる))  視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)は、見えない、見えにくいというハンディをもちながら、医療関係職に従事する者が集まり、2008年に発足した会である。当会には視覚障害をもって国家試験を受けた者が多数在籍しており、就労の可能性を広げるために新たに挑戦する会員も多い。現在、結核条項の見直しや合理的配慮の提供により、視覚障害があっても様々な試験に挑戦できるようになってきた。しかし、どのような配慮を受けられるのか、どのような準備が必要なのかなどの情報を得ることが困難である。そのため、試験を受けたいが、どうしてよいかわからないという声があり、これは、ゆいまーる会員だけの問題ではないと思う。そこで今回、ゆいまーる会員の体験をまとめ、現状と課題について考えた。 【事例1】  見え方:盲、試験:社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理士、目的:職業上のスキルアップ、勉強:テキストデータ化した問題集など、受験準備:2年前から試験委員会に電話等で相談、実際の配慮:デイジーCDでの受験、個室受験、代筆による回答、時間延長(1.5)、会場内の誘導、コメント:本来は、パソコンのスクリーンリーダーでの受験を希望していたが、それはかなえられなかった。しかし、相談を重ねていく中で、試験委員会の誠意を感じることができ、配慮については概ね満足している。一方的な要求ではなく、理解を求める相談であり、コミュニケーションを円滑に進めていくことが大切だと思った。 【事例2】  見え方:盲、試験:社会福祉士、精神保健福祉士、目的:新たな就労に向けての資格取得、勉強:テキストデータ化した問題集など、受験準備:事前に各機関からの意見書や嘆願書を提出、実際の配慮:PCのスクリーンリーダーでの受験、個室受験、代筆による回答、時間延長(1.5)、会場内の誘導等、コメント:多くの視覚障碍者が、自分の慣れたスタイルで、しっかりと実力を発揮して試験を受けられるようになっていくことを願っている。 P-34 視覚障害者信号機プロジェクト〜安心安全に横断できる社会づくり・課題と取り組み〜 代表 谷田 妙子(視覚障害者・信号機プロジェクト)、神田 信 佐藤 一人 田中 陽介(視覚障害者信号機プロジェクト実行委員会)、上濱 直樹(株式会社メジャメンツ)、高橋 和哉(NPO法人 GPW)、中村 毅( 株式会社 Raise the Flag)、友枝 敦(株式会社袖縁) 【目的】  信号横断に不安を感じている当事者は多く、特に音響式信号機のない交差点や音の止められている夜間早朝は、命がけで、死亡事故に至るケースもある。このような事故を起こさないために当事者から意見や要望を集約し、警察や行政に届け、社会全体を巻き込みながら安心安全に横断できる社会を目指したい。 【方法】 (1)毎月オンラインサロン開催 移動や歩行、信号横断について当事者・支援者同士のコミュニティサロン。情報共有の場を設け最新テクノロジーを用いた歩行支援ツールの紹介、参加者同士のディスカッションを行った。 (2)国会議員へのロビー活動 信号機設置に係る全容を解明し、社会課題として議員への周知活動。 (3)意見交換会 警察、信号機メーカー等外部要因である他者を巻き込み相互理解とコミュニケーションを目的とし未来の都市交通にも取り残されないようにする。 (4)その他 信号に係るアンケート調査実施・音響式信号機設置場所(東京都)の電子マップを作製中。 【結果】 ・オンラインサロン この問題を全国の当事者へ周知できた。アンケート調査により、全国の当事者からの意見や要望を収集できた。各地域の情報や活動報告を共有することで、参加者自身がアクティビストとして活動するきっかけとなった。 ・ロビー活動 社会課題として意識付け、アプローチできた。 ・意見交換会 直接対話で正しい情報を得てオンラインサロンでフィードバックを行った。 ・電子マップ化 歩行訓練士と連携して、今後歩行訓練に利用いただく。 【考察】  各地で信号設置を取り巻く状況は様々で、地域に合った取り組みを行うために、正しい情報を得られる場としてオンラインサロンは非常に重要だと認識した。今後も外部との意見交換を継続し、信号機の在り方や今後の改善要望など関連機関へ最適化を提案したい。自動運転技術が進む中、今後普及の予想されるスマートポールの活用も視野に入れ当事者として意見を伝え、未来都市交通に向けての安心安全も同時に確保する P-35 「サンキューカード」の活用方法と配布実績 和多田 万里子(公益社団法人NEXT VISION)、神田 信(株式会社パリミキ)、山田 千佳子(公益社団法人NEXT VISION)、和田 浩一(公益社団法人NEXT VISION)、三宅 琢(公益社団法人NEXT VISION、株式会社Studio Gift Hands)、仲泊 聡(公益社団法人NEXT VISION、神戸アイセンター病院)、高橋 政代(公益社団法人NEXT VISION、神戸アイセンター病院)、三宅 養三(公益社団法人NEXT VISION、神戸アイセンター病院) 【目的】  近年、インターネット等の普及により一般的に情報を得られる機会は拡大しているが、視覚に障害があることで必要な情報の多くを遮断されてしまう実態がある。また本人に限らず身近な人でさえも、どのような支援が必要か、どこに相談すればよいかわからず、サポートが不十分となるケースもある。 そこで、必要な情報が届いていない視覚障害のある人及びその身近な人に「サンキューカード」を用いた間接的な情報提供を行うことにより、情報障害をなくすことを目的として活動を行った。 【方法】  我々は「視覚障害のある人にサポートの声掛けができる人は、身近に同じような境遇の人がいるのではないか」という仮説を立てた。そして、街で視覚障害のある人がサポートを受けた時に、サポートした人やその人の身近にいるかもしれない視覚障害のある人にメッセージを伝えるため、名刺サイズの「サンキューカード」を作成した。本カードには「あなたの周囲で目が見えにくくなってお困りの方がいたらご連絡ください。役立つ情報をお伝えできます。」というメッセージと連絡先等を記載した。本カードは、視覚障害のある人に50枚ずつ配布し、神戸市を中心に視覚障害者団体及び支援団体の協力を得て、2018年からの4年間で約10万枚配布した。 【結果】  現時点で本カードを受け取った人からの問合せはないが、視覚障害のある人から「役所や企業などに視覚障害について理解を深めてもらうためにカードを使用したい」という要望があった。 【考察】  神戸市の人口約150万人に対して配布数が10万枚であることから、配布枚数が圧倒的に足りず普及していないことが、問合せのない要因の一つと考える。そんな中、本カードで必要な情報を届けようと積極的に行動する人もおり、社会全体で支援情報が共通認識となることの重要性を再確認した。  情報から遮断された人を社会が見つけだし、その人らしさを取り戻す仕組みを構築するために、本カードの配布継続に十分な意義があると考えており、今後も本事業を行なう。 14 機器展示 視覚障害者向け機器・生活用具展示会(現地開催) 共催:名古屋ライトハウス 情報文化センター 液晶画面に表示された時刻を音声で読み上げる時計、AI 技術を取り入れた視覚補助具、パソコン画面が見えなくてもメール送受信や文書作成ができるソフト、さらには遮光眼鏡や拡大鏡、拡大読書器、白杖など、見えない人・見えにくい人の生活自立に役立つ補助具や便利グッズのメーカーや販売業者が全国から18 社出展します。 日時:7月16日10時〜17時    7月17日10時〜15時 会場:名古屋国際会議場 431・432会議室 ※本展示会は、研究発表大会参加者をはじめ、視覚障害をお持ちの方やそのご家族の方、一般の皆さまなど、どなたでも無料でご入場いただけます。 出展者および主な展示品 ※各出展者から出展のお申し込みをいただいた際に提出された情報をもとにまとめております。   ※出展者の名称の50 音順に掲載しております。 1.アイネット株式会社   よみあげ拡大読書器「よみあげ名人」 2.株式会社アイフレンズ 音声拡大読書器とうくん 点字タイプライターテラタイプ 振動式光チェッカー 視覚障害者用バッテリーチェッカー タッチパッド動作抑制シートポインティングマスク 3.株式会社Ashirase   視覚障がい者向けナビゲーション「あしらせ」 4.株式会社インサイト   拡大読書器 5.有限会社エクストラ 音声点字携帯情報端末「ブレイルセンスシックスミニ」、音声点字携帯情報端末「ブレイルセンスシックス」、視覚障害者向け高機能ウェアラブル端末「エンビジョングラス」 6.株式会社エッシェンバッハ光学ジャパン   拡大鏡、拡大読書器、単眼鏡 7.株式会社大阪広業社   点字ディスプレイ ブレイルメモスマートAir16/ 32、点字ラベラー、OrCamMyEye2 8.金沢工業大学   コード化点字ブロック 9.錦城護謨株式会社 視覚障害者歩行誘導マット「歩導くん」シリーズ、ポスタープリンター ST-R「かくだい君neo」 10.株式会社高知システム開発   PC-Talker Neo Plus 他 11.株式会社コンピュータサイエンス研究所   iPhoneアプリ 12.株式会社システムギアビジョン   視覚障害者用読書器、ルーペ各種 13.東海光学株式会社   遮光眼鏡、ビューナル、ヴェルジネ 14.名古屋ライトハウス情報文化センター   白杖、点字器、計器類、時計、調理器具、ゲーム、日用品、オリジナル商品など 15.株式会社日本テレソフト   拡大読書器 16.公益財団法人日本盲導犬協会   盲導犬歩行の紹介 17.ミズノ株式会社   白杖(ミズノケーンST) 18.株式会社ラビット iPhone用Bluetoothテンキーボード「Rivo2」、iPhone用Bluetoothフルキーボード「QwertyCase Patch」、日常便利グッズ 15 論文募集要項 「視覚リハビリテーション研究」論文募集要綱  視覚障害リハビリテーション協会では、2010年度の第1回理事会で議題3として研究紀要の復刊が承認されたことを受け、編集委員会を設置しました。編集委員会では、研究紀要の復刊に伴い、これまで通り大会発表論文とともに新たに原著論文を募集すること、そして年2回発行することなど、これまでの大会論文集を一新し、新たに「視覚リハビリテーション研究」を発行することとしました。それに伴い、新しく募集する原著論文に関する執筆の手引きの案を作り、その執筆の手引きは同12月21日の第9回理事会で認められました。  原著論文とは、英語ではオリジナル・ペーパーとかオリジナル・アーティクルとか呼ばれます。内容は研究について記載した論文ですが、研究内容が他の雑誌などに出版されていないオリジナルなものとして認められるものです。また、通常、仮説に基づいて実証的な研究を行い、結果として得られた根拠に基づいて考察している形式であることも求められます。オリジナル・ペーパーとして掲載するのに妥当かどうかは、通常、専門を同じくする複数の人が匿名で査読(ピアレビュー)ということをして決めます。  査読は掲載の可否を決めるプロセスですが、同時に、投稿されてきた原著論文に注文をつけて、より良い論文として掲載できるよう修正を手伝うという側面を持っています。論文の著者と意見が一致しないとか気に入らないというのは査読者にとっては掲載を拒否する理由になりません。専門を同じくする人が、掲載に値するものかどうか、値するようにするにはどういう修正をすべきか意見を述べることで、交換されようとしている専門知識の内容(原著論文の中身)をより高めていくプロセスが査読です。この専門家の査読のプロセスを得て刊行される原著論文だからこそ、一定の信頼と価値が生まれるとも言えます。  研究発表大会で発表した内容についても、これまで通りの査読のない発表論文としてか、あるいは査読のある原著論文としてか、どちらか選んで投稿いただくことができます。査読が終わって採択されたものから、もっとも刊行の近い号に順次掲載していきます。(以前の大会論文集に既に掲載されたり、「視覚リハビリテーション研究」に発表論文として刊行されたりしたものは、同じ内容の再掲になるためいずれの論文としても掲載できません)。  2012年度の第6回理事会では、発表論文と原著論文の他に掲載するカテゴリとして、特定のテーマについて解説・レビューする「総説」と、原著ではないが掲載にふさわしい有用な内容をまとめた「報告」というカテゴリの2つを新設することが認められました。この2つのカテゴリについては上述したような厳密な意味での査読は行われませんが、掲載にふさわしいかどうかについては編集委員会で評価をし、修正をお願いすることがあります。また、原著論文の査読結果、不採択となった場合、「報告」に切り替えて掲載できる可能性もあります。  2015年の編集委員会にて、これらの4つのカテゴリについては一部不文律であったページ数の制約を明記することが決まりました。また、これまで書式の統一性が低かった発表論文や報告について対策を講じる検討がなされ、刊行から5年を経過していることに鑑み、「視覚リハビリテーション研究」における形式を原著論文の形式に一本化することが決まりました。総説・発表論文・報告の執筆についても、原著論文の書式に従ってください。 原著論文等執筆要綱 (2010年12月21日第9回理事会承認、2016年2月1日、2020年8月11日、2021年3月4日編集委員会にて微修正) 1. 原稿の仕様 1.1. 原稿は電子データを以下の1.2.に述べる書類と共に提出する。要約や図表を本文に配置した完成形(以下、レイアウト原稿とする)での提出を原則とする。 1.2. 原稿の構成は原則として次の通りとする。(すべて電子ファイルで提出ください) 1) 連絡票 2) レイアウト原稿(「視覚リハビリテーション研究」のレイアウトに従ってレイアウトをしたもの。Wordファイルの例については以下のJJVRのWebページからダウンロードして用いてください。https://www.jarvi.org/journal_rule/) 3) 写真・図表説明原稿(通常の図表の説明以外に、視覚的な表現では分からない読者のためにテキストだけで説明した内容を別途用意してください。別ファイルでなくても、本文の最後に追加した形で構いません。) 4) 著作権譲渡同意書(著者全員が同意の上、その全員の名前の記載があるもの。提出によって、著者全員から、提出した著者が許諾を得たものとみなします。書式のWordファイルを以下のJJVRのWebページからダウンロードして用いてください:https://www.jarvi.org/journal_rule/) 2. 原稿の提出 2.1. 連絡票、レイアウト原稿、写真・図表説明原稿と著作権譲渡同意書を電子メールで編集委員会へ投稿する。編集委員会のメールアドレスは jjvr@ml.odalab.org である。 2.2. 電子媒体やレイアウト原稿の提出が難しい場合は、編集委員会まで電子メールあるいは郵便にてあらかじめ相談し、提出方法について検討する。 2.3. 提出期限   すべての原稿は、査読や編集委員会での判断・修正作業が終わり次第、近い号に掲載するため、とくに期限を定めない。発表論文については、1号については9月末ごろ、2号については12月末頃におおまかな締め切りを設けているが、掲載論文の数などによって変動する。 3. 著者校正   査読終了後、印刷前に1回著者校正を行う。査読終了後の大幅な内容の訂正は認めない。 4. レイアウト原稿  レイアウト原稿には、タイトル(和文論文題名)、英文論文題名、著者名、著者所属、著者名英語表記、所属英語表記、和文要約、キーワード、英文要約、英語キーワード、本文、文献、図表及び写真が含まれる。ただし、原著論文以外のカテゴリについては、英文論文題名、著者名英語表記、所属英語表記、英文要約と英語キーワードがなくても良い。  レイアウト原稿のフォーマットをJJVRウェブサイトからダウンロードして使用する。(https://www.jarvi.org/journal_rule/)掲載する論文カテゴリごとの長さは、レイアウト後の枚数で以下の通りとする。 ・原著論文・総説 最小6ページ〜最大10ページ ・発表論文・報告 最小2ページ〜最大6ページ 4.1. 連絡票 連絡票には、下記の1) から9) までの事項を記載する。 1) 論文の種類:原著論文と明記する。 2) 表題:論文内容に即したものとし、一連の研究の場合は類似した表題は避ける。 例:「△△△△におよぼす××××の効果」 3) 著者名:著者が複数の場合は [・] で区切る。     例:視覚太郎・山田里葉子 4) 所属機関名:大学の場合は、学部名等も記す。   例:点字大学教育学部、白杖リハビリテーション医院 5) 表題の英訳:   例:The effects of ×××× for △△△△ 6) 著者名のローマ字表記:原則としてヘボン式を用いる。   例:Taro SHIKAKU and Rihako YAMADA 7) 所属機関名の英訳:   例:Faculty of Education, University of Tenji, Hakujyo Rehabilitation Hospital 8) 所属機関所在地のローマ字表記:市名、郵便番号(7桁)のみとする。   例:Yamahana-shi, 000-0000 9) 発表論文の場合には発表した研究発表大会の年度と発表番号と発表タイトル:   例:2019年度、O-1-3、ICTを利用した視覚リハビリテーションの1事例 4.2. 要約とキーワード 和文については300字以上400字以内の要約と3?5項目のキーワードをつける。それぞれのキーワードの間は半角スペースで区切る。 英文要約をつける場合(原著論文では必須)、ネイティブチェックを受けた200語以上300語以内の英文要約、3?5項目の英語のKeywordsをつける。 和文と英文の要約は内容的に一致している必要がある。ただし一語一句一致している必要はない。 4.3. 本文 本文は、「目的」「方法」「結果」「考察」の4章、あるいは事例・症例について報告する論文の場合には「目的」「症例」「結果」「考察」の4章に分け、章ごとに内容を分けて記載する。ただし、総説については、これに従う必要はなく、記載する内容に合わせて適切に章立てを行うこと。 4.3.1. 論文構成に用いる記号 論文構成に用いる記号は半角数字を半角ピリオドでつないだものを用い(例:1. はじめに、2.1. 実験参加者、3.2. 主観的評価の結果)、見出しの数字で階層が分かるようにする。階層が深くなりすぎないよう、論文構成に配慮する。 1) 大見出し:算用数字1字を用い、上を1行あける。数字の後ろにピリオドをつけ、全角1マス空けて見出しを書く(例:1. はじめに)。本文は改行して始める。 2) 中見出し:算用数字2字をピリオドでつないだものを用い、上の行はあけない。左端から1字あけて書く。全角1マス空けて見出しを書く(例:2.3. 手続き)。本文は改行して始める。 3) 小見出し:算用数字3字をピリオドでつないだものを用い、上の行はあけない。左端から2字あけて書く。全角1マス空けて見出しを書く(例:4.1.2. 先行刺激の効果が無かった原因の検討)、コロン (:) で区切って本文を書き始める。 4) これ以下の小見出しについては、必要な数の算用数字をピリオドでつないで用いる。表記法は小見出しに準じる。 5) リストの表記:算用数字に閉じ括弧 ) をつけたものを用いる。 4.3.2. 表記について 1) 文体:原則として「である」調とする。 2) 句読点:「、」「。」とする。 3) 年号:原則として西暦使用とする。(例:「2004年」) 4) 記号:以下の記号をその使用例のように用いることができる。 ・中点 (・) 並列する同種の語を列挙する場合。 ・ハイフン (?) 外国語の対語・対句の連結の場合。 ・引用符 (" "または「 」) 引用文に用いる。 ・括弧 ( ) または [ ] を用いる。 ・コロン (:) 例、説明などを導く場合などに用いる。 ・セミコロン (;) 引用文献を列挙する場合、あるいは検定結果を列挙する場合に用いる。 ・省略符 (・・・) 引用文の一部あるいは前後を省略する場合に用いる。 5) カタカナ:本文中の外国語の使用はできるだけ避け、原則として日本語化した外国語を記述する時にのみ用いる。 6) 英数記号:原則として半角英数記号を用いる。 7) 略語:一般に用いられているものに限る。ただし、必要な場合には、初出の時にその旨を明記する。 8) 検定結果の表記:各種統計的検定の結果を示すときには、以下のように検定統計量、自由度ならびに有意水準等を明記する。     (F(1, 50) = 7.05,p[読みません]< .05)、(χ2(5) = 1.54,p< .05)など     F, t, pなどは斜体(イタリック)とすること 4.4. 文献 4.4.1. 引用文献:本文において引用されたすべての文献を、著者名のアルファベット順に論文の後に「文献」として一括リストにして記載する。同一著者の複数の文献は発行年順とする。同一著者による同一年の文献が含まれる場合は、発行年の後に小文字のアルファベットを付けて区別する。また、引用文献においては、題目・雑誌名・巻号の区切り文字の「.」「,」は半角に統一する。 4.4.2. 文献リストの書式   1) 雑誌: 著者名 (西暦年) 題目. 雑誌名, 巻数 (必要な場合は号数) , 開始頁-終了頁.   2) 著書: 著者名 (西暦年) 書名. 出版社, 出版地, 開始頁-終了頁 (必要な場合) . 3) 分担執筆: 著者名 (西暦年) 章題. 編者名 (編) , 書名. 出版社, 出版地, 開始頁-終了頁. 4) 訳書: 原著者名 (西暦年) 原書名. 出版社, 出版地, 訳者名 (西暦年) 書名. 出版社,開始頁-終了頁 (必要な場合) .   欧文の書名 (原書名) および雑誌名は斜体(イタリック)とする。和文著書の場合、出版地は省略する。 5) Webページ: 著者名 (西暦年) 題目. Webサイト名, URL, (アクセス年月日) .     例:1) 雑誌 (和) 同一著者・年はa、bで区別。  鈴木太郎・田中花子 (2010a) 視覚障害幼児への早期リハビリテーションに関する調査研究. 早期研究, 2, 12‐17.  鈴木太郎・田中花子 (2010b) 視覚障害幼児への早期リハビリテーションの一事例. 実践早期研究, 3, 47-51.       2) 雑誌 (欧) :著者3名以上では&の前に (,) を必ず入れる。雑誌名は斜体。  Leg, E. G., Bail, A., & Pel, E.(2007)Effects of early intervention for blind children. International Journal of Videology, 48, 611-618.       3) 著書 (和):田中花子(1995)視覚障害の基礎.拡大社.       4) 著書 (欧):書名は斜体。        Kooman, A. (1997) Visual field. The Sample Press, Amsterdam.       5) 分担執筆 (和)  田中花子 (1988) 視覚障害者のリハビリテーション.鈴木太郎(編),障害者リハビリテーション.山花出版,9‐41. 6) 分担執筆 (欧):編者1名:(Ed.) 、編者複数:(Eds.) 、編者3名以上は&の前に(,)を挿入。書名は斜体。  Keller, A., Miller, B., Dodd, C., & Brian, A. (2001) Vision care. In W. M. Taylor & D. Reynolds (Eds.), The world of vision rehabilitation. Tsunami Press, London, 35‐72. 7) 訳書:原書名は斜体。 Barry, F. & Allen, G. (1999) Rehabilitation and education for low vision. Long Cane Press, New York. 鈴木太郎・山田次郎監訳 (2009) ロービジョンのリハビリテーションと教育.白杖学術出版社,39‐74. 8) Webページ 田中花子 (2015) 視覚障害幼児への早期リハビリテーションの新しい提案. 幼児教育フォーラム, http://www.earlyintervention.org/tanaka/2015/article.html, (2015/12/29) . 4.4.3. 本文中の引用の仕方  著者名の省略は避け、全員の名前を明記する。ただし,著者が3名以上である場合は「 (筆頭著者名) ら」 (欧文の場合は「 (筆頭著者名) et al.」)と記す。著者名の連記は以下の例に従うこととする。 1) 文中の場合   例:鈴木・田中 (1995) および山田 (1987) は・・・ 。佐藤ら (1990) が・・・。   Ryan and Nelson (1984) は・・・。 (&記号は用いない) ・・・Cameron et al. (1991) によると・・・。 2) 文末などの( )内の場合 例:・・・と指摘されている (鈴木・田中,1981;山田, 1980) 。 ・・・と指摘されている (Ryan and Nelson, 1984; ・・・) 。 引用文献が複数の場合はセミコロン (;) で連ねる。カッコ内の引用順は、論文末にあげる文献リストの順に準ずる。 4.5. 図表及び写真 4.5.1. 図表は本文中の適切な位置に割り付け、引用順に図1、表1のようにする。写真も図に含める。それぞれに簡潔で適切な見出しをつける(例:図1 訓練前後での歩行速度の比較)。掲載する図や表について、必ず本文中でその内容についての触れ、十分な説明をすること。 4.5.2. 写真を掲載する場合には、内容が理解できる程度の解像度を確保するとともに、過度に高い解像度のためにファイル容量が増大することの無いよう留意すること。また個人情報保護に特に注意をはらうこと。 4.5.3. 図表、写真にカラーの原稿を用いても構わないが、仕上がりはモノクロとなるので、モノクロでも鮮明な画像となるよう留意すること。 4.6. 註釈 注釈が必要である場合は、本文中にその箇所を明示したうえで、1), 2)のように上付きで通し番号をつけて註を付す。また、本文、あるいは謝辞がある場合には謝辞と引用文献リストの間に、すべての註を1)、2) のように番号順に記載する。 本文例: (前略)ABC共和国における眼鏡の価格はおよそ500円で平均年収のおよそ10%に相当する1)。(後略) 注欄例: 註 1) 2005年当時の為替レートで計算した。なお、本稿掲載時には調査時、執筆時とは状況が大きく異なっている可能性がある。 2)(後略) 5. 写真・図表説明原稿  本誌を点字版やデータ版で読んでいる会員が、図や写真を理解しやすいよう、説明原稿を用意する。図と写真は文章化し、表はテキストデータを提出する。図表の作成に使用した基本ソフトとアプリケーションソフトを明記する。 6. 研究倫理の遵守  投稿者は所属機関等の倫理規定に従い、投稿する論文の内容について充分に人権及び研究倫理上の配慮をしなければならない。また、研究実施の際に配慮した研究倫理に係る事項があれば、論文中に記載すること。なお、二重投稿や著作権・肖像権の侵害などの倫理的問題を避けること。倫理上の問題のある論文は掲載できない。 7. 著作権譲渡同意書  論文を投稿する場合には、著者全員の名前が記された著作権譲渡同意書を1部、他の原稿とともに電子的に提出すること。JJVRのWebページ(https://www.jarvi.org/journal_rule/)からダウンロードした著作権譲渡の書式を用いること。(提出によって、著者全員から、提出した著者が許諾を得たものとみなしますので、提出者は必ず著者全員から同意を得ておいてください。)  この譲渡によって、視覚障害リハビリテーション協会は、「視覚リハビリテーション研究」に刊行された原著論文やその電子的形態による利用を含めた包括的な著作権を有する。しかし、これは著者自身が自著の原著論文を複製,翻訳,翻案等の形で利用することを禁止するものではない。ただし、その全部あるいは大部分を他の著作物に利用する場合には,その旨を協会(事務局)に申し出るとともに,出典を明記すること。また一部分を利用する場合にも,文献あるいは図説の下に出典を明記すること。このことは、原著論文にのみ適用される。 8. 投稿の資格  投稿時に筆頭著者が視覚障害リハビリテーション協会の会員であり、年度会費を納入済みであること。 16 後援・共催・協力(50音順) 後援 愛知県、愛知県眼科医会、愛知県教育委員会、愛知県網膜色素変性症協会、(特定非営利活動法人)愛知視覚障害者援護促進協議会、(特定非営利活動法人)全国視覚障害者情報提供施設協会、全国盲学校長会、名古屋市、名古屋市教育委員会、名古屋市視覚障害者協会、(公益社団法人)日本眼科医会、(社会福祉法人)日本視覚障害者団体連合、(公益社団法人)日本視能訓練士協会、日本歩行訓練士会、(社会福祉法人)日本盲人社会福祉施設協議会、(公益財団法人)日本盲導犬協会、(公益社団法人)日本網膜色素変性症協会、日本ロービジョン学会 共 催 (機器展示会)名古屋ライトハウス 情報文化センター 協 力 開催にあたり、多くの方々にご協力いただきました。HP作成に協力してくれた方、点訳・音訳製作に協力してくれた方、学生ボランティアの皆様、大会時誘導ボランティアの皆様、遅くまでデータ管理をしてくれた事務局スタッフ、多くのご助言をいただいた皆様、本当にありがとうございました。 17 第31回大会案内 視覚障害リハビリテーション研究発表大会in 金沢 大会テーマ「これってインクルーシブ?」 大会長 松井くにお 金沢工業大学教授 当事者の立場になって考える、それが当たり前になるような、本物のインクルーシブ社会を一緒に創っていきましょう。多くの皆様のご参加お待ちしています。 18 実行委員一覧 第30回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会 本大会の実行委員会は、2019年4月もしくは6月から2022年3月までを任期とする理事(@)と2022年4月以降を任期とする理事(A)により組織されました。 大会長:和田 浩一(NEXT VISION)@・A 副大会長:田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーション事業団)@・A      原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター)@・A 実行委員:阿部 直子(アイサポート仙台 仙台市視覚障害者支援センター)@      新井 千賀子(杏林大学医学部附属病院アイセンター)@・A      安藤 伸朗(立川綜合病院)@      内野 大介(神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢自立支援ホーム)@・A      大倉 元宏(成蹊大学)@      岡島 喜謙(福井県立盲学校)@・A      小田 浩一(東京女子大学)@・A      加藤 俊和(全国視覚障害者情報提供施設協会)@      金井 政紀(公益財団法人日本盲導犬協会 神奈川訓練センター)A      金平 景介(高知県身体障害者連合会)@      小林 幸一郎(モンキーマジック)@      阪井 紀夫(徳島県立障がい者交流プラザ 視聴覚障がい者支援センター)@      佐渡 一成(かまいしベイ眼科クリニック)@・A      高戸 仁郎(岡山県立大学)A      田中 恵津子(浜松視覚特別支援学校、愛知淑徳大学)@・A      谷 映志(国立障害者リハビリテーションセンター)@・A      辻 拓也(久留米大学医学部眼科学講座)A      永井 伸幸(国立大学法人宮城教育大学)@・A      中村 透(グローイングピープルズウィル)A      西村 亜希子(福岡市立心身障がい者福祉センター あいあいセンター)@      藤縄 泰彦(社会福祉法人日本視覚障害者職能開発センター)A      堀江 智子(公益財団法人日本盲導犬協会 日本盲導犬総合センター 富士ハーネス)@・A      御園 政光(視覚障害者総合支援センターちば、慶応義塾大学)A      南 奈々(たかだ電動機株式会社視覚障害者支援部てんとうむし)@・A      安山 周平(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター)A      渡辺 哲也(新潟大学工学部)A 第30回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 抄録集 発行日:2022年7月 編集・発行:第30回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会     19 広告 アイコサポート〔イラスト〕〔アイコサポートのロゴです。イラスト終わり〕 視覚に障がいがある方の「今、見たい、知りたい」をサポートします。「今からコンビニにアイスを買いに行きたい」「自動販売機に並んでいる商品を見て欲しい」 思いたった時にすぐに行動ができるし知りたいことを知りたいときに知ることができる。視覚障がい者の方が、ワクワクした気持ちで日常を過ごすためには、いつでもどこでも自分の気持ちを諦めずに行動ができる環境が、とても大切です。アイコサポートでは専門のオペレーターが、視覚障がい者の方の「今見たい、今知りたい」に、いつでもお答えいたします。 利用時間 9時〜21時 12/30〜1/3を除く毎日 料金 月額5,500円(税込み) 毎月2時間まで 回数無制限 最大2か月無料 サービス内容 遠隔のオペレーターが、スマホカメラに映った映像や位置情報を声でお伝えします。他にも、インターネット検索や目的地までの経路案内などができます。 お問合せ プライムアシスタンス アイコサポートセンター 電話 050-3821-0836 〔メールアドレス〕eyecosupport@prime-as.co.jp URL:https://eyecosupport.prime-as.co.jp/ 〔QRコードがあります〕     BLP“視覚に障害あります”キーホルダー! 〔カラーのチラシです〕 Blindブラインド・全盲…見えないLowvision  ロービジョン・弱視…見えにくい PDES PDEシンドローム・眼球使用困難症…目が使いにくい 缶バッジもあります!こちらは晴眼者《せいがんしゃ》にもBLP缶バッジ〔3種類のあります〕日本点字図書館にて発売中!店頭・通信販売対応! 〔キーホルダーと缶バッジの写真とイラストがあります〕 制作 みんなで勝ち取る眼球困難フロンティアの会(G-frontier) BLPキャンペーンページ 〔アドレス〕https://g-frontier.xyz/2020/09/04/blp/ チラシ終わり〕