研修事業実施報告書

視覚障害者スキー指導研修会

実施者:佐藤 哲司

所属:国立身体障害者リハビリテーションセンター

実施時期:2004年1月11日(日)〜12日(月)

実施場所:表万座スキー場

事業報告:
(事業概要)
 1 参加人員 13名(講師1名除く)
         男 7名 女 6名

 2 研修内容
  (1)講師
   白崎 正彦氏(かながわブラインドスキーくらぶ事務局長)
  (2)内容
   1月11日(日) 天気:曇り時々晴れ
  9:30        表万座スキー場集合

  9:30〜9:40   主催者挨拶、講師紹介・挨拶

  9:40〜10:00  準備体操及び予定説明

  10:00〜13:00
    講習1 基本編及び展示見学
       1 スキーのはき方、持ち方
       2 リフトの並び方、乗り方(クワッド・ペア、座り位置)
       3 リフトの降り方(立ち位置、進む方向など)
       4 BS(ブラインドスキーヤー)及びパートナー(介助役)による展示見学

    講習2 基本編2 パートナーの実際
       1 2人1組により交互にBS体験(滑走編)
       (1)目をあけて、ガイドの声に従いながら滑走
       (2)薄目をあけて、   〃
       (3)目を閉じて、    〃

  13:00〜14:00  昼食及び休憩

  14:00〜16:00
    講習3 基本編2 指導の実際
       1 BS初心者への指導編1(平坦地〜緩斜面にて)
       (1)片足スキーでの歩行練習
       (2)両足スキーで歩行練習
       (3)階段登降
       (4)カニ歩き(斜面を登る)
       (5)スキーのトップを把持しながらバックプルークで滑る
       (6)トゥーピースをつけて、目をあけてガイドの声で滑走
       (7)    〃     、薄目をあけて  〃
       (8)    〃     、アイマスクで  〃

       2 BS初心者への指導2(緩斜面〜中斜面)
       (1)補助ロープをつけて、目をあけて、ガイドの声で滑走
       (2)    〃    、目を閉じて、   〃
       (3)    〃    、直滑降で滑走(ガイドがロープを引いて重みに耐える練習)

    講習4 BSに対する声がけ実習(1人ずつ交代しながら)及び講師によるフィードバック
         1人ずつ数回ずつ実施。

  19:00〜20:00 ナイトセミナー1
               (1)自己紹介
               (2)意見交換等

  20:00〜      ナイトセミナー2
               (1)講師によるスキーの原理解説
               (2)お座敷スキー(とそのいわれ)
               (3)意見交換


  1月12日(月) 快晴
  9:00〜14:00
    講習5 中級者以上への指導
       1 後ろから膝をもっての滑走(低姿勢で、膝をもって、エッジの立て方の指導)
       2 講師とBSの方の小回りの際の声がけ見学

    講習6 BSの方への実際の指導(実技編)
       1 1人リフト1本ずつ。

   14:00 講習。現地解散、講習終了。


6 実施報告
 実際ブラインドスキーを研修するのははじめてという方が多く、とまどうこともあったが、講師の白崎氏の懇切丁寧な指導により、段々と皆がスキーを通して、ブラインドの方とコミュニケーションを図る楽しさを味わっていたようである。スキーのうまい下手よりもブラインドの人と楽しい時間を過ごすことの意味が少し理解できたのではないだろうか。リハビリテーションに関わる人間はどうしても、訓練、訓練と考えがちな部分があるが、今回の研修のように実際に風や空気を感じ、ブラインドの人と一緒に風になる、一体化する感覚がリハビリの原点であることを今更ながら実感した。
 ナイトセミナー(特に2)においては、白崎氏から「お座敷スキー」と銘打った、スキー理論を体感してもらう方法を中心に講義をしていただいた。視覚障害の方にも、体でもって感じることのできる有意義な方法であると感じた。白崎氏の熱意あふれる、スキーに対する深い知識と理解に裏づけられた講義に、参加者からも積極的な意見が出され、スキー場だけでなく、スキー場に行く前にも、行えることはたくさんあることが実感できた。また、視覚障害の方が工夫してスキーを体感できるように、特に、スキーに触れたことのない視覚障害の方には、まずスキーに対するイメージを膨らませておくことが大切であると実感した。
 今回の研修会においては、初めてということもあり、反省点が多々あった。まず、リハ協の会員に対する案内が遅れたため、集まりが悪かった(実際はそれだけではないかもしれないが)。もう少し早めにアナウンスしておくべきであった。次に、種々の事情により、開催場所・宿泊場所、日程が変更になってしまったことがある。これは、予定していた会場が小・中学生のスキー研修と重なり、会場・宿泊場所とも混雑が予想されたことが一つ。二つ目に、参加者の中に車で参加できない方が多かったことから、他の交通機関を利用してのパックを用いたため、宿泊場所が限定されてしまったことによるものであった。直接ではないにしろ、このことにより、参加希望のあった会員さんに不快感をいだかせてしまい、結果的にキャンセルをさせてしまった。やる気のある会員さんに対し大変申し訳申し訳ないことをしたと反省している。反省としては、研修場所にて現地集合にし、各自で宿泊しやすい場所を確保してもらう方がよかった。主催者として、参加者の宿泊場所まで確保することは、必要なかったのではないかと考えている。通常の研修会のように各自が自分の責任において、決まった日時に研修場所(スキー場)に来てもらう方が無用なトラブルを避けることになると思われる。最後に、講師白崎氏にすべて研修プログラムを組んでもらったことがあげられる。打ち合わせを綿密に行い、実際に研修を行う手順について、しっかりと主催者は把握しておくべきであった。
 とにもかくにも白崎さんには感謝して感謝しすぎることはないくらいお世話になった。その温かい人柄とブラインドスキーに対する熱意には脱帽である。本当にありがとうございました。また、白崎さんを慕って、実際にブラインドスキーヤーとして参加された、江藤さん、川添さん、神奈川ブラインドスキークラブの面々にも感謝したい。主催者として、未熟な面が多く、反省ばかりであるが、皆の助けにより無事成功することができた。また、リハ協からのご支援をいただき、このような実りの多い研修会を実施できたことを感謝する次第である。今後も機会があれば、アンケートの結果をふまえながら、このような研修会を実施したいと考えている。この場が、1人でも多くの方にブラインドスキーの楽しさを知ってもらい、また、1人でも多くの視覚障害の方にもスキーの楽しさを知ってもらえるよい機会になればと熱望する。

(参加者感想・意見)
 研修後アンケートを実施した。その結果を報告する(有効回答数11)。

T 研修会の内容について
 1 満足  (10名)
 2 やや満足 (1名)
 3 普通 (0)
 4 あまり満足でない(0)
 5 満足でない(0)
 <理由>(上記の理由(抜粋))
 ・実践的で具体的な内容の講習でよかった。視覚障害の方と滑れてよかった。
 ・思っていた以上に色々と体験できてよかった。滑る感覚が自分にもわかった。
 ・実際に視覚障害の方と滑ることで、具体的に気をつける点がわかってよかった。
 ・講師がよかった。
 ・最後にパートナーとしてリフト1本分滑れたのはよい経験になった。実際に視覚障害者役になったり、初心者への指導法などの研修ができるとよかった。
 ・ナイトセミナーがよかった。基本的なことが学べてよかった。またやってみたいという気になった。
 ・今回学んだことはスキー場だけでなく、日頃の仕事の中でも活かせることであり、満足している。

U 研修会の期間について
 1 長い (0)
 2 やや長い (0)
 3 普通 (6名)
 4 やや短い (5名)
 5 短い (0)
<理由>(上記の理由)
 ・1泊2日という短い期間だったが、講習内容が充実していたので、時間的には十分だった。
 ・今回位が疲れすぎずよいのでは。内容いかんでは長めにしてもよいかも。
 ・時間的に慌ただしかったので、もう少し長くてもよいと思う。
 ・講師や参加者にまだまだ聞けることがあったので、もう少し長くてもよいのでは。
 ・実習の前に理論的なことを教えてもらう時間があればよかった。
 ・内容が盛りだくさんだったので、習ったことを十分に経験する時間がもう少しあってもよかった。
 ・二泊三日くらいでよかった。
 ・一泊二日で十分。体力だけでなく、ブラインドスキーは集中力や周囲への気配りも必要となるので。
 ・期間的にはちょうどよい。

V 研修時期について
 1 満足 (8名)
 2 やや満足 (2名)
 3 普通 (1名)
 4 あまり満足でない
 5 満足でない
<理由>(上記の理由)
 ・2,3月の忙しい時期よりも1月の方が参加しやすいと思う。
 ・特に問題なかった。
 ・年末や年度末より出席しやすかった。
 ・雪質と天候がいいときであればいつでもよい。
 ・2月を予定していたが、年明けの少し慌ただしい時だったので、ちょっと大変だった。
 ・ちょうどよい。実際にスキーはく前(冬の前に)一度講習会を開くのもよいと思う。

W 研修会場について
 1 満足 (8名)
 2 やや満足 (3名)
 3 普通
 4 あまり満足でない
 5 満足でない
<理由>(上記の理由)
 ・初級者には、ゆるやかなコースが長めにとれて練習しやすかった。宿泊場所も食事も温泉もよかった。
 ・緩斜面と中斜面が適度に分散しているので、初心者にも中級者にも対応でき、ブラインドスキーの講習には適していると思う。
 ・ホテルもスキー場もよかったです。スキー場は人があまりいないところだったので(混んでいなかったので)安心して滑れた。
 ・ちょうどよい斜度のゲレンデがあった。
 ・連休の割にはゲレンデがすいていて、斜度的にも研修しやすかった。ただ、ホテルとスキー場が離れていて、バスが一本だったので少し不便だった。
 ・なだらかでコースもわかりやすく、講習内容にあったスキー場だった。
 ・個人的に好きなゲレンデだった。
 ・大規模なスキー場だと人が多く大変だが、今回の会場は割に小さめで、コースが緩やかでよかった。
 ・ゲレンデ幅がある程度広く、距離が長かったので、講習を受けながらリフトに乗る回数も少なく十分に練習できた。ホテルがきれいでよかった。

X その他(希望等自由記載)
 ・白崎さんはじめ、かながわブラインドスキークラブの方々には大変お世話になりました。また機会があったらぜひお願いします。
 ・とても雰囲気がよく、楽しく学ぶことができた。これを機に、私自身も続けていきたいし、出会った皆さんともつながりをもっていきたい。是非というか、必ず2回、3回とつなげていってください。
 ・普段の業務や訓練とは違った緊張感があり、とても勉強になった。視覚障害の方との信頼関係がとても必要となってくるスポーツだと感じました。
  視覚障害の方のスキー技術の把握はもちろん、苦手な斜面や慎重さを必要とする場所等もしっかりと把握していなければいけないと実感した。当初イメージしていたより、視覚障害者も晴眼者の両方が楽しめるものだと感じた反面、一歩間違えると非常に危険なスポーツであるとわかった。また機会があれば参加させてください。
 ・また飲みましょう。
 ・とてもよい経験ができました。ありがとうございました。
 ・今後の実施においても視覚障害の方が参加していただけると、内容の濃い講習となると思います。
 ・スタッフも講師もいい雰囲気でした。
 ・実りのある講習会でした。また参加したいと思います。